メンデ(Mende)
ゴキブリのこと。
アフリカにはナツメヤシがゴキブリに変化してしまった民話がある。
あるときマカメワマカメの息子の結婚式が行われ、そこでは高価なナツメヤシが大皿に盛られ、客人みんなに配られていた。結婚式には村人全員が来ていて、ある貧しい男性の子供は初めて食べたナツメヤシがあまりにも甘くて美味しいので食べ終わると「もっとおくれ、もっとおくれ」と言って泣いた。マカメワマカメがその子にナツメヤシをもう一皿やったが、食べ終わるとまた「もっとおくれ、もっとおくれ」と言って泣いた。マカメワマカメは仕方なくナツメヤシを大皿に盛ってやったが、その子はがつがつ食べてまた「もっとおくれ、もっとおくれ」と言って泣いた。頭にきたマカメワマカメはナツメヤシの代わりに真っ赤に燃やした炭を大皿に盛って出した。その子は燃えた炭をナツメヤシと間違えて鷲掴みにしたので、あまりの熱さに悲鳴を上げて気を失ってしまった。それを見たその子の父親が怒り狂ってマカメワマカメに掴みかかって大喧嘩となったため、結婚式はめちゃくちゃになってしまった。そんな人間たちの様子を見た神様は怒って、ナツメヤシは争いのためにもたらしたのではない、人間たちに甘くて美味いナツメヤシなど必要ないと考えた。その夜、マカメワマカメがナツメヤシを食べようと台所に行くと、ナツメヤシの袋からゴソゴソと音がした。不思議に思いながらもナツメヤシを1つつまんで食べようと口に近づけてみると、足がついていてガサガサと動いていた。驚いて床に放り投げると、それはゴキブリになって走って行ってしまった。そしてその瞬間、袋のナツメヤシが全てゴキブリとなって世界中に走って行ってしまった。
参考文献
島岡由美子/モハメッド・チャリンダ『アフリカの民話 ティンガティンガ・アートの故郷、タンザニアを中心に』82頁
最終更新:2023年05月18日 19:52