ハベトロット(Habetrot)


スコットランドに棲む、醜い老婆の姿をした妖精で、糸紡ぎをする人を守護するとされる。
毎日糸を紡ぐため、糸を引く手は豆だらけ、糸を舐める唇はぶ厚く、下唇が大きくだらりと垂れている。

非常に心優しい妖精で、糸紡ぎが下手で困っている娘の代わりに、糸を紡いでくれる。
また、彼女の紡いだ糸で織ったシャツを着れば、あらゆる病がたちどころに治るという。

 いわゆる「トム・ティット・トット」譚のような、ぐうたら娘が糸紡ぎをしないといかん事情になって、困って「穴の空いた石」(ここに座ったりするとフェアリーが見れるようになると言われる)に座ると、この婆ちゃんが援助してくれ、母親へ自分たちの名前を言わないという条件で、なんとかなったがまたこの女が大変なことしやがったので、キレたママンがソレを高らかに歌い上げてると、面がイケてる領主様(独身)が通りかかった、おかん愛しい娘の糸紡ぎの異常なわざを高らかに歌い上げる、領主様とそのぐうたら娘の婚姻が成立する、嫁は旦那へ真実を話す、主人は、糸紡ぎをせんで良いと言う、といった話がある。 

 スキャントリー・マッブという従業員が仕事をしている。この妖精は、垂れ下がった下唇の他、飛び出た両眼と異常な鉤鼻を持ち、仕事はあんまりよくないらしい。

 同じ展開で、ウェールズにトルティン・トラティン(Trwtyn Tratyn)、グワルイン ア スロット(Gwarwyn a throt)というものがいる。これらは、名称がカムライグ(ウェールズの言葉)ではなさそうなことから、他から伝播したものと考えられるとKMブリッグズ『妖精事典』に書いてある。

 名称に「トット」「ロット」が出るのはKMブリッグズによると「不思議」だそうである。

参考文献

 キャサリン・メアリー=ブリッグズ『妖精事典』264
 キャサリン・ブリッグズ/井村君江『妖精Who's Who』199頁

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最終更新:2023年01月17日 18:43