ミダス

フリギア地方の領主で、童話「王様の耳はロバの耳」の王様は、この
ミダスのことである。

ある日、ミダスはシレノスという老人が酔っ払って前後不覚になっているところを
介抱してあげ、更に何日もシレノスのために宴会を開催して丁寧にもてなした。
このシレノス老人は、酒の神ディオニュソス?が子供時代に世話になった養父兼恩師
であったため、ディオニュソス?はミダスにシレノスを保護してくれた礼として、
どんな願いでも一つ叶えることにした。

そこでミダスは、ディオニュソス?に願って、手に触れたもの全てを黄金に変える能力を授かった。
ところが、この力を授かって以来、食べ物や愛娘までも触れると全て黄金の塊になってしまい、ミダスは大いに
弱り果てて、ディオニュソス?に今度はこの忌まわしい力を消してくれるよう願った。ディオニュソス?
願いを快く聞き入れてやり、この不便な力を取り去ってあげたが、それ以来ミダスは、現世の富にすっかり
嫌気がさしてしまい、以降は牧神パン?を崇拝するようになった。

ある日のこと、パン?アポロンが、お互いの音楽の腕を競い合うというイベントがあり、
ミダスもこのイベントに出かけた。しかし、競技の結果をアポロンの勝ちとした審判たちの判定に
ミダスが不服を申し立てたため、アポロンから罰として、その耳をロバのものに変えられてしまった。

ミダスはこの耳のことが他人にバレないよう、常に頭を隠しておくようになったが、流石に床屋にだけは
隠し通すことが出来なかった。そこでミダスは、この耳のことを絶対に他人に話してはならないと厳命した。
しかし、いつまでも他人に黙っておく自信が無い床屋は、地面に穴を掘って、そこにミダスの耳の秘密を
ささやき、穴を埋めておくことで、誰かに話したいという欲求を抑えることにした。

ところが、そのうち穴を掘ったあたりに葦が生えるようになり、その葦が床屋に穴にささやいて封印していた
ミダスの耳の秘密をささやくようになったと言われている。

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最終更新:2005年08月08日 16:38