フェニックス(phoenix)

ヨーロッパにおいて、エジプトやアラビアにいると考えられた霊鳥。ポイニクスとも。日本語では不死鳥と訳される。不死といっても死なないわけではなく、長い期間(一般に500年)ごとに一度死んでから甦るのである。寿命に関しては500年のほかに540年、645年、1461年、12994年という説がある。

よく知られているのは死期が近づいたフェニックスは香木の祭壇を作り、炎を放って自ら焼け死ぬと、灰の中から新しい肉体を得て復活するというものであるが、これは後に考えられた性質で、フェニックスに関する最も古い記述であるヘロドトスの「歴史」によれば、500年に一度、父親が死ぬとエジプトに現れ、没薬で作った卵殻に入れた亡骸をヘリオポリスの太陽神(ラー?)の神殿に埋葬するのだという。ここではどのように産まれるかについては触れられていない。

博物誌」を著したプリニウスや初期キリスト教の神学者である聖クレメンス一世によれば、死期を悟ったフェニックスは香料類で棺を作り、その中で死ぬ。その死体から生まれた一匹の幼虫が、やがて羽毛を生やし若鳥へと成長して父親の死体をヘリオポリスの神殿に運ぶという。

やがて一世紀の地理学者ポムポニウスが初めて「地誌」において、自ら香木の中で焼け死に、溶け出した肉体から復活するという火に関する性質について触れている。

フェニックスの姿は、ヘロドトスの記述には「半ば赤く、半ば金色の羽毛で、姿と大きさは鷲に似ている」とあり、プリニウスの「博物誌」には「大きさは鷲ほどで、円錐形の羽毛を頭頂に生やし、首には金色の冠羽、身体の羽毛は真紅で尾はバラ色と青が入り混じっている」とされる。

フェニックスの起源は、一説にはエジプトで太陽神の魂の象徴とされる「ベンヌ」という蒼鷺であるという。「ポイニクス」とはギリシア語で赤という意味であるため、フラミンゴではないかという説もある。

一度死んでから肉体を得て復活するという特性から、キリストの復活の象徴としてキリスト教のイメージ・シンボルとしても使われることになっていく。

参考文献

晶文社 幻獣辞典  J.L.ボルヘス
河出文庫 幻想博物誌 澁澤龍彦

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最終更新:2005年11月04日 08:41