華厳経(Avatamsaka Sutra)
チベット仏教においては
般若経と並び、教学の基礎となった聖典。
チベット仏教伝来国の一つである
ネパールでは九法宝典の一つとされる。
朝鮮半島の仏教でも禅と並び極めて重要な位置を占める。
中国や日本にもこの経典を元にした宗派が興り、親鸞のように華厳経に強く感化された
仏教者もいる。しかしながら中国の華厳宗は宋代以降衰えてしまい、日本の華厳宗も
歴史遺産と共に現存しているものの、その教勢は浄土系、日蓮系、真言系、禅宗系に
大きく差をつけられている。
もともと別個に存在していた経典が一つのものとしてまとめられた経緯があり、その内容は多岐に渡る。
華厳経に取り込まれた経典のなかには
十地経のように独立経典として現存しているものもある。
天台の五部八教説においては、仏陀となった釈迦が最初に説法したのが華厳経であるとされ、
仏の悟りをそのまま開示したものと位置づけられた。
翻訳
東晋の仏駄跋陀羅が訳したもの。現在は大法輪閣から刊行されている昭和新纂国訳大蔵経、国民文庫刊行会版の国訳大蔵経に読み下し文が収録されている。全体の現代語訳もあるが、4万円超えとかなり高価。
唐の実叉難陀が訳したもの。大東出版社から刊行されている国訳一切経にはこちらの漢訳が収録されている。日本語の全訳はないが、Thomas Clearyによる英訳(全訳)はある。こちらは日本円で一万円ほど。
入法界品だけを般若という人物が訳したもの。
入法界品はサンスクリット語原典が残っており、日本語訳があるが現在絶版。
八十華厳に近い形態。現存する華厳経の中では最も内容が充実している。
参考
ナツメ社 図解雑学 『仏教』
外部リンク
親鸞と華厳経(CiNii論文、5ページで六十華厳と八十華厳の対応関係を見ることができる)
最終更新:2011年06月07日 21:28