北森鴻「花の下にて春死なむ」(1998)

評価

★★★★

ひとこと

ビアバー「香菜里屋」シリーズの第一弾。
工藤マスターの安楽椅子探偵ぶり、そして美味しそうな料理が魅力の香菜里屋シリーズ。短い短編のなかに複数の人間ドラマが共存している点も大きな魅力の一つです。ミステリの愉しみは「謎解きだけではない」ことをあらわしている。


分類

収録作品

  1. 花の下にて春死なむ
  2. 家族写真
  3. 終の棲み家
  4. 殺人者の赤い手
  5. 七皿は多すぎる
  6. 魚の交わり


ネタバラシ作品(この本より先に読め!作品)


ネタバラサレ作品(この本より先に読むな!作品)



気になる表現

殺人者なら許せるが、大量殺人者は許せないというのは、エゴイズムでしかない。
(p38 「花の下にて春死なむ」)


メモ

  1. 4月初旬の寒い日に身寄りのない片岡草魚がひっそりと病死。彼は何者だったのか、そしてもうひとつの謎まで絡まる。謎が凝縮された、何度も味わいたい一作。★★★★
  2. モノクロの家族写真にまつわる新聞記事を肴に、推理を始める香菜里屋の常連客と、それを聞くともなしに聞いている残業帰りの疲れたサラリーマンの話。★★
  3. 銀座で「終の棲家」と題した写真の個展を開くカメラマン。次々とポスターが剝がされるという現象に潜む謎とは何だったのか。川原で生活する自由生活者の夫婦との物語。★★★
  4. マンションで若い女性が絞殺された。マンションから逃げ出す不審な男は赤い手をしていたと小学生が証言している。★★★
  5. 回転ずしで鮪ばかり七皿食べ続ける男、を見た男二人連れ、を見た男の話。★
  6. 謎の俳人片岡草魚と接点があったと思われる筋委縮症の女性の物語。★★★★

参考文献


主要登場人物

  1. ライター 飯島七緒、俳人 片岡草魚、自由律詩の結社幹事 長峰、工藤マスター
  2. サラリーマン 野田克哉、東山朋生、街頭占い師 北君彦、工藤マスター
  3. カメラマン妻木信彦(40)、工藤マスター
  4. 派遣プログラマー笹口ひずる(24)、警察官 百瀬健次(22)、ライター 飯島七緒、街頭占い師 北君彦、工藤マスター
  5. 東山朋生、夕刊紙記者 高林、街頭占い師 北君彦、工藤マスター
  6. ライター 飯島七緒(30)、佐伯克美、編集者 高塚正雄、自由律詩の結社幹事 長峰、街頭占い師 北君彦、派遣プログラマー笹口ひずる、警察官 百瀬健次、工藤マスター

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最終更新:2011年05月05日 15:53