漂流! 理不尽と暴力と恐怖のしあわせ島

(ぐおん、ぐおん、ぐおん...)

パワポケ「...ああ...俺たち、いったい、どこまで連れて行かれるんだろう...長い航海だなあ...
『しあわせ島』って、いったいどんな島なんだろう...?」

そして...船はしあわせ島に到着した。

パワポケ「ここは... ここが、しあわせ島なのか...?」

「うおっほん! ようこそ、しあわせ島へ。
諸君は、幸せだぞ。こんないい所で働けるんだからな。それじゃあ、宿舎まで、かけ足!」

宿舎までかけ足で向かうところ、山田そっくりの人と遭遇した。

パワポケ「あれ? 山田君...? 山田君じゃないか?」
「え? 誰のことでやんすか? オイラの名前は、落田 太二(おちた たいじ)でやんすよ?」
パワポケ「え...?」
落田「まあ、とにかく、仲良くするでやんす。
この島でわからないことがあったら何でもオイラに聞くといいでやんす。」

「次!」
パワポケ「はい、パワポケです。」
「この島は、我々BB団が管理しておる。
ここに来た者は、畑・工場・鉱山の3ヶ所で働いてもらうことになる。
そして、労働の引き換えにもらえるクーポン「ペラ」を借金分集めれば、
日本へ帰してやろう。お前の場合1000ペラが必要だ。」
パワポケ「え...あの、野球は?」

(バキ!)

「ワシの話は、最後まで黙って聞け!
お前のような野球選手候補は、他の収容者と違って10日ごとに野球のテストを行なう。
その結果によってはペラを渡そう。また、テストの結果が良好なら、
チーム・ブラッドバタフライに所属してもらう。普通に働くよりも、ずっとペラの入りがいいぞ。」
パワポケ「...」
「だが、基本は島での労働だ。お前は、江川の班に入る。おい、江川!」
江川「はい、副所長さま。」
副所長「この新入りを連れて行け。島での細かい生活上のことは、今後この江川班長に聞け。」
パワポケ「はい。」

(バキ!)

副所長「「わかりました、副所長」だ! それから、我らBB団に逆らうことは許さんぞ!」
パワポケ「......」
副所長「貴様、なんだその反抗的な目は!」
(ドカバキボコ)

(そして...)

江川「困るよ、パワポケ君。
この島での支配者は彼らで、ワタシらは弱い立場なんだから。
今後、ああいう反抗的な態度はしちゃだめだよ。」
パワポケ「はい...」
江川「ああ、それからワタシのことは「江川班長」と呼んでくれたまえ。
他の者へのしめしもあるからね。」
パワポケ「江川班長も借金かなにかで?」
江川班長「ある銀行の部長候補だったんだけど、ワタシの出世をねたんだヤツにはめられてね。」
パワポケ「そうですか...」
江川班長「だがね、この島も慣れてみると結構いいもんだよ。この島に来てもう8年になるけど。」
パワポケ「ええっ、8年も!?」
江川班長「ああ、部屋についたよ。おーい、新入りのパワポケ君だ。」
落田「ああ、さっきの人でやんすね。よろしくでやんす。」
パワポケ「それにしても山田君に似ているなあ。まあ、とにかくよろしく。」
落田「最初は畑か工場か鉱山で働くのがオススメでやんす。
いきなりリフレッシュ小屋や練習場に行ったら、BB団に目をつけられるでやんすよ!」
パワポケ「目をつけられる...?」
落田「仕事をサボってると思われたら処分されるのでやんす!」

注意! 気力が0になったり、犬レベルが0か100になるとゲームオーバーになってしまいます。
また、特定のイベントで間違った選択肢を選んだり、
最終日になった時に既定の額のペラが足りない場合もゲームオーバーです。
ゲームオーバーになると、最後にセーブしたところから
やり直さないといけなくなるので、注意してください。

副所長「いてて...」
「どうした、マコンデ。新入りを殴って拳でも痛めたか?」
マコンデ「あのパワポケとかいうやつ、反抗的です。なにより、まだ目が死んでない。」
「アッハハハ! そのぐらい元気でないとこの島じゃ、長持ちしないよ。」

パワポケはしあわせ草畑に向かった。

パワポケ「しあわせ草畑に来たぞ。
これが、しあわせ草なのか...何のためにこんな草を育てているんだろう...?」
落田「ここで生き延びたいなら、細かいことはあまり気にしない方がいいでやんす。」
パワポケ「.....」
落田「ところで、パワポケ君、この島での仕事は初めてでやんすね?
仕事のレベルについての説明を聞きたいでやんすか?」

聞くを選択

落田「それじゃ、親切なオイラが教えてあげるでやんす。
ここでの仕事は、どの仕事にもラク、普通、キツイの3種類のレベルがあって、
その日の仕事を始める前に自分で、どのレベルの仕事をするかを選べるでやんす。
だから、気力の充実してる時にはケガをしにくいから、
キツイ仕事をしようとか自分で管理できるのでやんす。」
パワポケ「でも、ラクな仕事だと、やっぱりもらえるペラが少ないんだよね?」
落田「それは、当然でやんす。
あ、それから、同じ仕事を繰り返してすると、もらえるペラが増えていくのでやんす。
要は、仕事回数に応じて昇給していくのでやんす。
でも、事故を起こすと昇給はリセットされるから、事故には、よ~く注意するでやんす。
ということで、早くここから脱出するためにも、がんばって働くでやんす!」

作業後...

落田「あれ、道具が出しっぱなしでやんす。また小杉でやんすねー。」
パワポケ「小杉?」
落田「そう、あの小杉でやんす。元プロ野球のスター選手だったんでやんすが、スランプを苦にして...」
小杉「うるせえな。ほらよ、片付けとけばいいんだろ!」
落田「...今はあのとおりでやんす。」

(バキ!)
小杉「だまれ、凡田(ぼんだ)のくせに!」
落田「だから、オイラは落田だって何度言えばわかるでやんす!」
「いったい、何の騒ぎです? あなたは! もしや、モグラーズにいた...」
パワポケ「は? いえ、違いますよ。」
「ああ、そうですよね。あの人が、こんな所に来るはずなんかないですよね。」
パワポケ「あなたは?」
「ああ、私ですか...倉刈 仁志(くらがり ひとし)と言うものです。
こう見えても、以前はプロ野球の選手だったこともあるんですよ。」
小杉「あっ、倉刈!」
倉刈「ああ、小杉くん。」
小杉「小杉...「くん」だぁ? 小杉「さん」だと、何度言ったら分かるんだよ!
とにかく、お前だろ、道具を出しっぱなしにしたのは!」
倉刈「え、あれは小杉...さんが置いておけって言ったんじゃ?」
小杉「なんだとぉ~! ...まあ、いいや。そのかわり10ペラよこしな。」
倉刈「え! 10ペラ? どうして...」
小杉「いいからよこせよ!」
パワポケ「倉刈さん、そんなもの渡す必要ないですよ!」
小杉「なんだとぉ~!」
BB団の兵士「こら! 就寝時間に、何やっとるか!」
小杉「いけね! ...いいか、10ペラだぞ!」
パワポケ「なんなんだ、あいつは...」

パワポケは鉱山に向かった。

パワポケ「鉱山に来たぞ。
ここでの仕事は、すごく力がいりそうだな。しかし、いったい何を掘ってるんだろう...?」
落田「何度の言うようでやんすが、ここで生き延びたいなら、
細かいことはあまり気にしない方がいいでやんす。」
パワポケ「.....」

パワポケはキツイ仕事をこなした。

3日目

BB団の兵士「起床ー! 全員洗面所に並べ!」
パワポケ「ああ、眠い................うわ!」
「なんだよ、人の顔見て驚くなよ。」
パワポケ「あ、ごめん。」
「...この前、来たヤツだな。俺、布具里 珠男(ふぐり たまお)。お前も借金したのか?」
パワポケ「う...ちょっと勝負に負けて。」
布具里「この島に来るやつは、大抵そうさ。
借金が返せなくなったり、賭けに負けて売られたり...まあ、俺は違うけどね!」
パワポケ「というと?」
布具里「俺は、この島に流れついたの!
「この島の秘密を知ったものは」とかなんとか言われて、他のヤツラと同じ扱いさ。
あ~あ、母ちゃんどうしてるかな~。」
パワポケ「.......ん、島の秘密?! オイ、この島から出て行ったヤツは本当にいるのか?」
布具里「ああ、俺が知ってるだけでも何人かいるぜ。あ、洗面の順番が来た。」
パワポケ「(じゃ、どうしてこの島のことがマスコミに取り上げられないんだ? まさか出て行った連中は...)」

4日目

パワポケは気力を回復するため、リフレッシュ小屋に向かった。

パワポケ「リフレッシュ小屋...? 落田君? ここは、何をする所だい?」
落田「ここは、名前のとおり、リフレッシュする所でやんす。
人間、たまには、息抜きをすることも必要でやんす。
気力が下がってきたら、ここで気分転換するといいでやんす。」
パワポケ「なるほど...さて、何をしようかな?」

パワポケはヤギと過ごした。

5日目

「やあ、キミ10ペラないかい?」
パワポケ「ありますけど。」
「ちょうどよかった。ちょっと貸してくれないか? 後で返すからさ。」
パワポケ「いいですけど...」
落田「渡辺さん、早く返すでやんす。」
渡辺「ああ、はいはい。」
落田「10ペラ 確かに返してもらったでやんす。」

..........

渡辺「いや、助かったよ。そういや、キミ 新しい人だよな。名前は?」
パワポケ「パワポケです。」
渡辺「パワポケくんか。俺 渡辺。よろしくな。」

6日目

パワポケ「ああ~、もう無くなっちゃった。」
落田「ほんとに、ここのメシは量が少ないでやんすね~。」
パワポケ「あれ? 中田さん、そのオカズ食べないんですか?」
中田「ああ、腹壊してて食欲ないんだ。欲しかったらやるよ。」
パワポケ「ほんとですか? じゃ、いただきま~す!」
落田「オイラには無いでやんすか?」
中田「ああ、これも喰っていいぞ。」
落田「中田さんは、いい人でやんす~!」

7日目

パワポケ「あれ? 女の人だ。しかも、BB団の服を着ているぞ。」
小杉「バカ、あれは所長だよ!」
パワポケ「えっ?」
所長「おい、そこのヤパーナ。私になにか用か?」
パワポケ「「ヤパーナ」って?」
所長「「日本人」だ。私は貴様の名を知らぬのでな。
それと、今の問いには管理者に対する恐れと敬意が足らぬようだ。」
(パチン!)
BB団の兵士「はい、なんでしょうか。」
所長「この男を、ムチ打ち20回の上、今晩は懲罰房へ。」
パワポケ「え?」

(ピシ! バシ! ビシッ!)

(うぎゃあああぁ~...)
パワポケ「あー、ひどいめにあった。」

作業後

小杉「あ~あ。」
パワポケ「どうしたんだ? この島じゃ、数少ない娯楽として仕事の後に酒が買えるじゃないか。」
小杉「うん。この島の原住民が作った果実酒を木のコップで飲むわけだが...
最近、ビールやウイスキーが飲みたくてたまらないんだよ。それもグラスで...」
パワポケ「一応、交渉してみるか。」

(そして...)

BB団の兵士「グラスは割れると危ないので許可できない。
だが、ビールに関しては次の船で運んで来させてもいい。やや高額になるがな。」
小杉「それでもいいや。やったー!」
パワポケ「よかったな。」

9日目

江川班長「おい、みんな聞いてくれ。明日、江川班は試合だ。」
パワポケ「やったー! やっと野球ができるぞ。
工場や畑で働くばかりで不安になっていたところだよ。」
みんな「........」
パワポケ「あれ、みんな?」
布具里「お前は、初めてだから仕方ないよな。
いや、俺も高校時代は野球バカだから野球ができるってのはうれしいんだ。
けど、相手はBBの一軍なんだ。あ、BBってのはBB団じゃなくて
野球チームのブラッドバタフライのことだぜ。」
パワポケ「それがどうして問題なんだ?」
布具里「試合で活躍するとペラがもらえるんだ。
でも、試合に負けると全員がペラを取られる。
だから、試合で活躍できないとペラを取られるばかりなんだ。」
パワポケ「試合に勝てばいいんじゃないのか?」
布具里「ムリムリ、ぜってー勝てないよ。実力が違いすぎるって。」
パワポケ「............
こうなったら、俺が活躍してみんなの戦う気持ちに、火をつけるしかないな!」

パワポケは兵器工場に向かった。

パワポケ「兵器工場に来たぞ。
ここでの仕事は、すごく器用さが必要そうだな。
しかし、いったい何のために兵器を作ってるんだろう...?」
落田「何度の言うようでやんすが、ここで生き延びたいなら、
細かいことはあまり気にしない方がいいでやんす。」
パワポケ「.....」

パワポケはキツイ仕事をこなした。

パワポケ「こういう作業は和桐で慣れたつもりだったんだけどな...あっ!」
(ガリッ!)
(ポコン!)
「コラーッパワポケ! チンタラやってると怒りのプラスチックハンマーが飛ぶぞ!」
パワポケ「三谷(みたに)さん、投げた後で言わないでくださいよ。」
三谷「おお、わりい、先に手が動いちまった。」

10日目

パワポケ「よし、今日は試合の日だ! うぉおおお、やってやるぞー!」
マコンデ「...............おおい、江川ぁ。」
江川班長「ハイ、なんでしょう副所長様?」
マコンデ「あいつ、ずいぶんイキがいいな。......わかっとるよな?」
江川班長「............もちろんですとも、はい。」

(そして...)

パワポケ「え? あれ? 俺って控えなの?」
小杉「まあ、新入りは黙って見てろよ。」
中田「そうそう。」

(そして...)

パワポケ「........あの、試合終わっちゃいましたけど? しかも、ボロ負けで。」
江川班長「いや、申し訳ない! キミには期待してたんだよ。
ここ一番のピンチでリリーフに送ろうと思ってたんだが。」
パワポケ「そ、そうなんですか...」
BB団の兵士「おーい! 二軍の連中は試合に負けたから全員、50ペラ徴収だぞー!」
落田「はいはい、しょうがないでやんすね。」
中田「今日は俺、マイナス30だ。」
パワポケ「え、俺も払うの?」
小杉「あったりまえだろ。お前も二軍なんだから。」
パワポケ「で、でも、俺は出てないよ?」
小杉「ああ、そうみたいだな! ...決まりだからあきらめな。」

パワポケは仕方なくだまって50ペラを払った。

パワポケ「....どうぞ、50ペラです。」
BB団の兵士「うむ。行ってよろしい。」

そして...その夜

パワポケ「......チクショウ...だが、俺は負けないぞ...」

パワポケに謎の声がした...

(悪を打ち払う者よ...)
パワポケ「誰だ!?」
(この島にはより大きな悪の力が渦巻いている。
そなたと仲間達の力を合わせて大いなる悪を打ち倒すのだ。)

光からマスターリングが現れた。

パワポケ「これは...」

パワポケはマスターリングを手に入れ、すぐに手首にはめた。

(過酷な試練と戦うのだ...そして大いなる悪を打ち倒すのだ...)

パワポケ「いったい何だったんだ...? ......もう寝るか。」

次の朝

パワポケ「なあ、布具里。
君は、この島に流れ着いたって言ってたよな。乗っていた船が沈んだのかい?」
(ぎっくう!)
布具里「あはははは。そ、そうだっけ?」
パワポケ「?」

パワポケはさらに尋ねてみた。

パワポケ「どうしてそんなに動揺してるんだ?
そういえば、船が沈んだのなら捜索とかありそうなもんだけど...」
布具里「うるさいな! どうでもいいじゃないか、そんなこと。」
パワポケ「...あやしいな。何を隠してるんだ?」

パワポケ「........うわっ?!」

(ドシン!)

パワポケ「いてててて...誰だ、こんな所に穴を掘った奴は!」
布具里「あー、悪い悪い。」
パワポケ「布具里?! お前のしわざか!」
布具里「ちょっと...そこが掘ってみたくなってな。」
パワポケ「...なんだそりゃ? お前、この島に来る前に日本で何をやってたんだ?」
布具里「ふふふ、聞いて驚くな。
俺の親は、有名下着メーカー フールグーレの社長だったんだぜ。
だから、俺はのんびり大学にいたんだ。」
パワポケ「へえ.....ん? その会社って倒産したような...」
布具里「そうなんだ。
しかも、そのあとで家が火事になってさあ...だから、俺も決心したわけよ。」
パワポケ「なにを?」
布具里「......ああ、もうこんな時間だな! さあ、帰ろうぜ。」

パワポケはさらに追求した。

パワポケ「なにを隠してるんだ?
だって、普通の大学生なら突然、穴を掘りたくなんてならないだろう?」
布具里「しつこいね、お前も。悪いが、俺には夢があるんだ。」
パワポケ「どんな夢なんだ?」
布具里「だから、秘密なの! じゃあな!」

(タタタタタッ...)

パワポケ「あ...くそ、何なんだよ、いったい。」

13日目

(タッタッタ....)

パワポケ「ランニングか。そういえば、野球班以外の連中って何してるんだ?」
落田「あれは短距離走でやんすね。あとはマラソンとか、幅跳びとか重量挙げとか...」
パワポケ「なんだか、運動の基礎能力を見るような競技ばかりだな。」
収容者B「オイオイ、おかしなこと言うなよ。
俺は重量挙げだが、力だけじゃなくタイミングとか技術が必要なんだぞ。」
パワポケ「あ、すみません。そういうつもりじゃなくて...」
収容者B「ま、お前ら野球班はいいよな。
一軍に入れば、対外試合ばかりで島の作業なんてしなくていいんだろ?
他の班には、試合なんてないんだぜ。」
パワポケ「でも、成績がよければペラがもらえるんでしょう?」
収容者B「まあな。おかげで、150キロなんてものまで上げられるようになっちまったぜ。」
パワポケ「ええっ、あなたが?! あの...以前から、重量挙げの選手だったんですか?」
収容者B「いんや。この島に来てから始めたんだけどな。おっと、作業に戻らねえと。」
パワポケ「(いくらなんでも、あの体格でその成績は変だぞ?)」

その後工場で作業後、三谷は缶ビールを飲んでいた。

パワポケ「あ、倉刈さん!」
倉刈「ああ、君でしたか。体調はおかしくなってないかい?
ここは、体がおかしくなったらすぐにお払い箱になってしまうからね...」
パワポケ「ええ、おかげさまでなんとか大丈夫ですよ。ところで、倉刈さんはどうしてここに?」
倉刈「えっ? 私ですか...はは、恥ずかしい話ですよね。」

パワポケは倉刈に話を聞いてみた。

倉刈「娘がね...大学に受かったんですよ。」
パワポケ「よかったじゃないですか。」
倉刈「でもね、大学に行かせるのにお金がいるんですよ。」
パワポケ「大学って、そんなにお金がかかるんですか?」
倉刈「いや、医学部なんですよ。医者になりたいらしいんですよ。最低でも1千万は必要らしいんです。
お金が無いせいで、娘の将来をダメにしたくはないでしょ? 出来るんですよ。出来る子だからよけいに...」
パワポケ「娘さんには、何て言ってここに?」
倉刈「いえ、別に...」
パワポケ「何も言ってないんですか?」
倉刈「ええ...でも、よくしてくれる人が周りにいますから。」
パワポケ「そんな...いいんですか? そんなので。」
倉刈「しかたないじゃないですか...でも、やっぱりきちんと話をしておけばよかったですかね。」
パワポケ「......」

三谷「おい、小杉! グラウンドの整備をサボっただろう。」
小杉「あ、そういえばオレの当番だっけ。悪りぃ悪りぃ、忘れてた。次から気をつけるよ。」
三谷「.........」
パワポケ「小杉って、なんでもいいかげんだよな。」
落田「それに、何度言ってもオイラのこと凡田と呼ぶのが気に入らないでやんす。」

パワポケは小杉と話してみた。

パワポケ「おーい、小杉!」
小杉「なんだよ?」
パワポケ「いつも君は落田君のことを凡田って呼ぶけど、凡田って誰なんだい?」
小杉「凡田は凡田だよ! ......オレの二軍時代の知り合いだ。」
パワポケ「そんなに似てるのかい?」
小杉「そりゃあもう、外見も中身も本人としか思えないぐらいだぜ!
...でも、ホンモノの凡田はモグラーズで活躍してるはずだしな。」
パワポケ「凡田に会いたいのかい?」
小杉「会っても、あいつはオレだとは気づかないだろうな。」
パワポケ「え? それっていったい...」
小杉「さあね。どういう意味かは秘密だ。」
パワポケ「?」

パワポケは練習場に向かった。

パワポケ「野球の練習場に来たぞ。落田君? ここは、いつでも練習できるのかい?」
落田「できるでやんす。いつも誰かが練習してるから一緒に練習するといいでやんす。
でも、練習場の使用料は、ちゃんと取られるでやんす。しっかりしてるでやんす。」
パワポケ「それじゃ、ペラが足りないと練習できないのかい?」
落田「そうでやんす。1回練習するのに、10ペラ必要でやんす。」

パワポケは野球の練習をした。

18日目

BB団の兵士「今日はこのあたりの草刈りを行なう。午前中に終了させるのだ!」
パワポケ・落田「はい。」
BB団の兵士「声が小さい!」
パワポケ・落田「はーい!!」
BB団の兵士「よろしい。」
パワポケ「ちぇ、この作業はペラがもらえそうにないな。」

(ガサガサ)

パワポケ「! .....?!」
(すまねぇ、ちょっと通るよ。)
(ガサガサガサ...)

パワポケ「誰なんだ、今のは。」
落田「バオって奴でやんすね。この島の原住民でやんすよ。」
パワポケ「えっ?」
落田「島の反対側には集落があるでやんす。」
パワポケ「でも、日本語しゃべってなかったか?」
落田「戦争が終わった後も、この島に日本兵が住んでいたそうでやんす。
それに、今はBB団の連中が日本語を話してるでやんすからね。」
パワポケ「へえ....」

工場で作業中、三谷は横着してる収容者たちに激を飛ばしていた。
パワポケが三谷に話すと機械屋としてのプライドだという。

20日目

マコンデ「今日は、二軍選手の力を見てやろう。」
江川班長「はい、副所長様。」

江川班長は、全員に辛く当たるように呼び集めた。

江川班長「おい、お前たち! とっとと始めるんだ。コントロールのテストからだ。
コンバートもありうるから、現在のポジションにかかわりなく全員がやるんだぞ。」
パワポケ「この前の試合は出られなかったけど今度こそ俺の投球術を見せてやる。」

(ドン!)

小杉「ああ、すまんすまん。俺が先ね。」
パワポケ「お、おい! ...ちぇ、仕方ないな。でも、その次は俺だぞ。」
落田「ダメでやんす。テストは、この収容所に来た順番と決まってるでやんす。」
パワポケ「え! じゃ俺は最後か。」

(そして...)

マコンデ「ふぁ~あ。退屈だからそろそろ帰るか。」
江川班長「あと一人なんですが...」
マコンデ「最後は誰だ? ああ、アイツか。まぁ、一応見てやるか。」
パワポケ「(よーし、ここで俺の実力を見せてやる!)」

目標は8点です。

パワポケは的をしっかりと狙い、良い点数を取った。

江川班長・マコンデ「.......」
BB団の兵士「ほほー、あのパワポケとかいう者なかなかやるもんですな。」

(バキ!)

パワポケ「どうやら、うまくいったようだな。」
江川班長「パワポケ! テストの成績がよかったから、賞金が出たぞ。」

続く

最終更新:2021年10月31日 19:35