少森寺での40日間の辛い修行

パワプロ「ごめんくださーい!」
「このような山奥にある、当寺院を訪れたのはどなたですか?」
パワプロ「ここで夏の間、お世話になる高校生のパワプロです。」
「ほう、では修行の希望者ですか?」
パワプロ「修行? (まあ、野球の練習だし、修行かな。) ええ、そうです。」
「なるほど。では、中へどうぞ。」

パワプロ「......それにしても大きなお寺だなぁ。
こんなすごい場所で、タダで合宿ができるなんて、ラッキーだよな。」

...回想...

パワプロ「ああ、また試合に負けてしまった。卒業までには、一勝ぐらいしておきたいよなぁ。」
「なあ、みんな。今度の夏休みのことなんだが。みんなで強化合宿をしないか?」
パワプロ「強化合宿?」
「オレの親戚の寺なんだけどさ。夏の間中、借りられそうなんだ。」
パワプロ「そうか、それはすごいな。行こう行こう!」
「よーし、じゃあ合宿でパワーアップして秋の大会は優勝だ!」

...回想終了...

「お前が入門希望者か。」
パワプロ「はい。(...大きい人だなぁ。) あの、みんなはどこですか?」
「...みんな?」
パワプロ「高校の野球部の連中ですよ。俺だけ寝坊して、バスに乗り遅れちゃったんです。」
「それは妙だな。今日この寺に来たのは、お前だけだ。」
パワプロ「............あれ? ここって小森寺(こもりでら)ですよね?」
「いや、少森寺(しょうしんじ)だ。」
パワプロ「えっ...? しまった、場所を間違えた。すみません、失礼しました!」
「おい。待て。どこへ行くつもりだ。」
パワプロ「えっ? いや、ですからここに来たのは間違い...」
「理由がなんであろうと、この寺院の門をひとたび通った者であるならば、
修行を終えることなく外の世界に帰すわけにはいかん。そういう決まりになっておる。」
パワプロ「へ? それって、つまり、ここで修行をしていけってこと?」
「うむ。」
パワプロ「いや、そんなこと言われてもこっちにも都合があるし...」
「喝ーーーーっ! 郷に入りては、郷に従うべし。さあお前たち、その者を修行房へ連れて行け。」
「ハイッ!」

パワプロ「ちょ、ちょっと待ってくれよ! おーい、話を聞いてくれぇ~~~!!」

...こうして俺の修行の日々が始まった...

漢達が己の精神と肉体を極限まで鍛え上げる地上最強の場所 そこが少森寺である!

少森寺、一日目の朝

「おお、アンタが昨日入門した新入りでやんすか。はじめまして、よろしくでやんす。」
パワプロ「ああ...よろしく。俺...入門するつもりはなかったんだけどね。」
「? まあ、とにかく元気を出すでやんす。オイラは三田 輝家(さんだ てるいえ)でやんす。」
パワプロ「俺の名前は、パワプロだよ。君も高校生?」
三田「そうでやんす。この夏休みの間だけ、ここで修行をするのでやんす。
なにか判らないことがあったら何でも聞いてほしいでやんす。」
パワプロ「じゃあ、ここから出て行く方法はないかな?」
三田「修行期間が終われば、イヤでも出られるでやんすよ。あと40日でやんすね。」
パワプロ「それじゃ、夏休みが終わっちゃうじゃないか!
俺は野球の練習を、しなくちゃいけないんだよ! やっぱり、逃げ出すしかないな。」
三田「ここから逃げる? そりゃあ、無理でやんすね。
修行がイヤになって逃げようとする奴は多いんでやんすけど、いまだに誰も成功してないでやんす。」
パワプロ「そんなに監視が厳しいのか?」
三田「この寺の僧侶は全員武術の達人でこの山のこともよく知ってるでやんす。
うまく寺から抜け出したとしても山道で迷って、ふもとに着く前に捕まってしまうでやんす。」
パワプロ「...そういえば、この寺ってかなり大きな山の上にあったよな。」
「コラッ、そこ! いつまでもムダ話をしていないで、早く修行房に行くんだ。」
パワプロ「修行房?」
三田「あ、「房」って言うのは部屋とかそういう意味でやんす。
5つの房のうちから一つ選んで今日の修行を積むのでやんす。」
パワプロ「(しょうがない、今日はここの様子を知るためにも修行しておくか。)」

パワプロは白虎房・朱雀房・青龍房・玄武房などでの修行の最中、寺門と光山と師匠と出会った。
その後、前から気になる塔へ行ってみると、そこは対決房だった。
ここは一定の修行を修めた者のみが入ることを許される場所。パワプロはチャン太と試合をして勝利した。
一週間が過ぎ、野球部のみんなの心配をするパワプロ。
三田から自分のは山に入ったときに取り上げられたが、この寺の事務所にはあるはずらしい。
しかしパワプロは誰かに助けを求めるのはカッコ悪いといい、自力で山から抜け出すと言った。
ある程度日々が過ぎていき、野球の練習がしたいと不満を抱えるパワプロ。
そして対決房に行き、双 利一に勝利し、次の対決房への訪問で六学院にも勝った。

あと25日

パワプロ「よし、今日の修行が終わった。さあ、行くぞ三田君!」
三田「パワプロ君は元気でやんすねぇ。」

そのころ、光山は...

光山「ここの先生はこれまでの所よりレベルが高いけど、オレには今一つしっくり来ないな。
やっぱり、国内じゃこんなものが限界なのかなぁ。あ、あそこに先生たちがいるぞ。」
六学院「...ほう、彼は有望ですか?」
チャン太「ええ、特に修行に対する意欲はなかなか注目に値しますね。」
光山「(あれ、誰の話だろう。ひょっとしてオレかな?)」
進藤「なにしろ、毎日の修行後に裏庭で練習に励んでますからね。」
双「この際、彼には新しい段階の修行をさせてはどうだろう、シュッ!」
進藤「どうでしょう。パワプロは、そういうことに関心はないように思いますが。」
光山「(え......パワプロ? なに、そんなまさか!)」

そして...

パワプロ「よーし、じゃあ始めようか。」
三田「まかせるでやんす。」
光山「うわ、コイツらマジでやってるよ!」
パワプロ「あれ、光山さん?」
光山「お、お前ら...よく体力が持つな?」
パワプロ「まあ、好きでやってますから。」
光山「くそう、オレも負けてられないな。よし、オレも混ぜてくれ!」
パワプロ「えっ、そうなんですか? じゃあ、ノックに協力してください。」
光山「.........ノック?」
三田「いやあ、これでオイラも打つ側の練習ができて、野球のレベルもグーンとアップでやんす。」
光山「ちょ、ちょっと待て! ええと、状況を整理するぞ。お前たち、野球の練習をしてたの?」
パワプロ「はい? ええ、そうですけど。」
光山「...は、ははははは! なんだ野球の練習かぁ。(先生たちも、そそっかしいなぁ。)
ところが、そのグラブどうしたんだ? 来た時に没収されてただろ。」
パワプロ「ああ、事情を話したら進藤先生が返してくれたんです。」
三田「オイラのは、去年の忘れ物の中にあったものだそうでやんす!」
光山「(あれ? それじゃ、先生は野球の練習だって知ってるんじゃないか。)」
パワプロ「で、どうです? 一緒に練習しますか?」
光山「フン、悪いがオレは格闘技にしか興味ないんだ。こんな野球のボールなんて...それ!」

(びゅっ!)

パワプロ「ああっ? 3個しかないボールを!」

光山「はははは。それじゃあ、野球の練習せいぜいがんばってくれ。」

(スタスタ...)

三田「まずはがんばって、ボールを探すでやんす!」
パワプロ「くそー、暗くなる前に見つけないと!」

あと23日

光山「ハッ!」
チャン太「光山、そうじゃない。もっと前の腕をまっすぐに伸ばすんだ。」
光山「ハッ!」
チャン太「違う。今度は、踏み込みと打ち込みの拍子がずれているぞ。パワプロ、やってみろ。」
パワプロ「えっ、俺ですか? ハッ!」
チャン太「そう、それが正しい。いいか、体重の移動と打ち込みをそろえるんだ! さあ、全員続けて。」

(スタスタ...)

光山「どうして、お前ができるんだよ。」
パワプロ「えっ? いや、バッティングのコツと似てるから、なんとなく...」
光山「バッティング? 野球の話なんかするなよ!」
チャン太「おい、光山。鍛錬だ、鍛錬。」
光山「......はい。」

そして...

パワプロ「あれっ? ここに置いておいた野球の道具がなくなってるぞ!」
三田「おかしいでやんすねぇ?」
パワプロ「どうなってるんだ。これじゃ練習できないじゃないか。」

パワプロが置いておいた野球の道具がなくなっていた。いったい誰の仕業だ?
修行を修めた後の次の日、対決房へ向かうパワプロ。

チャン太「さて、今日は生徒同士の対戦をやろう。それでは、組み合わせは...」
光山「待ってください、先生。オレとパワプロをやらせてください。」
チャン太「ふむ? 指名されたパワプロはどうなんだ。」
パワプロ「俺が光山先輩と? いや、そんなのイヤですよ!
(先生と違って、絶対に手加減してくれそうにないし。)」
光山「おい、パワプロ!」
パワプロ「な、なんですか?」
光山「野球の道具が、どこにいったか知りたくないのか。」
パワプロ「え?! どうしてそれを!」
光山「お前のグラブとかボール。オレが隠したんだよ。」
パワプロ「なんだって?」
光山「返して欲しけりゃ、オレに勝ってみるんだな。」
チャン太「...パワプロ、どうするんだ?」
パワプロ「......わかりました。やらせてもらいます!」

パワプロは野球の道具を隠された怒りを光山にぶつけ、そして勝利した。

チャン太「それまで! パワプロの勝ちだ。」
パワプロ「(よしっ、完勝!)」
光山「そ、そんな...バカな。」
パワプロ「約束だ、野球の道具の隠し場所を教えてもらおうか!」
光山「ぐっ...」

そして...

三田「うわっ、こんな汚いトイレに隠されていたんでやんすか!
臭いがうつってるんじゃ...うわっ、くさいでやんすー!」
光山「(へへへ...)」
パワプロ「ちくしょう、俺の大事なグラブになんてことをするんだ。光山め! 絶対許さないぞ!!」

続く

最終更新:2023年04月02日 18:57