第二回放送案 ◆m4swjRCmWY
カチリ、と時計の針が1日の終わりを示す。
本来ならば誰もが暖かい布団に身を包み、惰眠を貪るべきこの時刻。
───この場でも。
同じように過ごすことができたらどれだけ良かったことか。
『……生き残りの皆さんこんばんは。お初にお目にかかります』
欲望渦巻く会場に───どこか胡散臭さが漂う、男の声が響く。
▲ ▲ ▲
折角の放送だというのに、申し訳ございません、声だけのお伝えで。
私としても直接お伝えしたいのですが、それは出来ない決まりでして。
ああ、名乗り遅れました。
私の名は海東純一と申します───以後、お見知り置きを。
さて、皆さんも気になるでしょう。
悲しくも敗北した脱落者の名を読み上げたいと思います。
一度しか言えませんので……どうか、お聴き逃しのないようお気をつけください。
───以上、14名です。
……嬉しいです、貴方達がこんなにも協力的で。
次は禁止エリアのお知らせです。
今まで通り、禁止エリアに侵入し一定時間経過すると首輪が爆発してしまいますので、気をつけてください。
次の禁止エリアは、
【B-2】
【G-6】
【E-4】
以上三エリアが二時間後に禁止エリアとなります。
首輪の爆発なんて最後、貴方達も望んではいないでしょう。
次は、各陣営のメダル数の通達です。
現在、この場にあるコアメダルは64枚。
赤陣営───11枚。
黄陣営───15枚。
緑陣営───18枚。
青陣営───8枚。
無所属───12枚。
白陣営についてはリーダーが消滅しているので陣営自体が存在していない、ということですね。
生還したいのならば、無所属の方達は早めに他の陣営に所属することをお勧めしますよ。
コアメダルの保有数では緑陣営が一番ですが、黄陣営がトップの人数を誇っています。
敵陣営の人数を減らすか、リーダーを倒して他の参加者を自陣営に引き入れるか……方法は自由ですが、まだどの陣営にも勝利は残されています。
他にも様々な方法を考えるのも自由……皆さん、頑張ってください。
ではこれで放送を終わらせて───
ああ、あと一つ。
一つだけ、まだありました。
皆さんの中で、大切な存在が亡くなられた方はいらっしゃいますか?
家族は?姉弟は?相棒は?思い人は?友達は?仲間は?宿敵は?恋敵は?
その亡くなった大切な存在がどのようにして亡くなったか、ご存知ですか?
───亡くなった方が……誰に殺されたか、知りたくはないですか?
そんな貴方達のために、私達も手を打ちました。
この放送終了後から新しい機能が追加されます。
セルメダルを預けることができるATMに、です。
貴方達の所持するメダルから50枚ATMに投入していただければ……指定した脱落者一名が脱落したその一部始終を、映像でお見せしましょう。
そう───脱落してしまった、貴方達の大切な人を殺した方が分かるのです。
しかし、誰も彼もが見てしまえるのでは、このゲームに協力的な方が損をしてしまいます。
そこでもう一つ、条件を付属させることにしました。
脱落者の首、です。
首輪───脱落者の首輪をATMに投げ込んでいただければ、お見せしましょう。
脱落者の首輪とセルメダル50枚で大切な人の仇が誰なのか、それを知ることができる……良い取引でしょう?
利用されることを、私はおすすめします。
さて、放送としてはこんなところでしょうか。
では私はこれで失礼したいと思います。
次の放送でまた出会えるよう、頑張ってください───
▲ ▲ ▲
カツ、カツ、と革の靴が床面を叩く。
その足音から感情は感じ取れない───当たり前だ、彼は己の世界で自分の野望を勘付かれることなく隠し通した男なのだから。
(……何故だ)
しかしその頭の中は、疑問が飛び交っていた。
真木は何故このタイミングで放送を自分に任せたのか───1度目の放送は己の手で済ませたというのに、何故。
放送自体はそう手のかかることでもない上に、現時点では此方が慌立たしくなるようなことも起こってはいない。
放送に構っていられないほど忙しい、ということはないだろう。
ならば。
純一はゆっくりとポケットの中の硬い感触を確かめ、思う。
(もしやコレのことがバレて───いや、それは無い筈だ。
知っていて泳がされている、という可能性もあるが旨味が無さ過ぎる)
第二のジョーカーになるという思考までが見抜かれているのならば、即座に対応するはずだ。
ジョーカーとは正に世界にとっての天敵そのもの───生物を無に帰す最悪の切り札。
楽に始末できる存在ではない。
そのジョーカーへとなることまで見抜かれているのならば、その前に対処するのが上策だ。
だからこそ『見抜いているが泳がせている』という可能性は低くなる。
(行動を見抜かれているにしてもいないにしても、もう少し慎重に動かなくてはいけないかもしれないな)
ジョーカーの力は強大。そのものになってしまえば、ヤツらのある程度までの行動などでは歯も立たないであろう。
それまでの辛抱だ。気配を殺し、何としても上手くやってみせる。
カツカツ、と足音を鳴らしながら次の行動へ移る。
惚けている暇はない。
彼が歩むのは野望と修羅の道。
止まる必要も、理由もないのだ。
(───大樹は呼ばれなかったか)
だが。
己の中の小さな安堵に気づかぬまま、彼は進む。
▲ ▲ ▲
「コアメダルが破壊されましたか」
明かりが行き届かない、暗い部屋にて真木は一人呟く。
いや、腕に彼の本体と称しても過言ではない存在が腰かけているので、正確には一人と一体か。
「まさかここまで早く砕かれるとは思っていませんでした……が、この程度ならば想定の範囲内。
対策は必要でしょうが、しょうがいにはならないでしょう」
早急に手を打っておくに越したことはありませんが、と続ける真木の顔には表情と呼べる物は存在していなかった。
あくまで、事実を告げるだけ。
其処に感情など含まれてはいない。
だが。
この時、この一瞬だけ、目元に苛立ちが宿った。
「……貴方に言っているのですが、反応は無しですか」
それは。
独り言にしては───誰かに投げかけるような、奇妙な言葉だった。
真木が視線を向けた先には、光の届いていない暗いタイル張りの床のみ。
生物の存在など毛ほども感じ取れない。
だが、真木は再度言葉を投げかける。
其処に、誰かがいることを知っているように。
「貴方がいることは分かっているんですよ───間桐の御老体」
間桐。
魔術師ならば、多くの者がその名を知っているであろうその名。
その名を口にした瞬間。
ぞぞ、と。
何かが這うような、音がした。
ぞぞ。
ぞぞぞ。
ぞぞぞぞ。
ぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞぞ───
大量の『何か』が床を這う音。
人間ならば生理的な嫌悪感を抱かずにはいられない音が暫く続いた。
そして。
その音が止んだ頃。
人らしき声が、聞こえた。
「───呵」
それは、笑い声だった。
老人の枯れた喉から発せられる声。
「───呵々」
しかし、弱々しさなど皆無。
むしろ声から発せられるその存在感は、ソレと正面から対峙してはいけないと警告を鳴らす。
「呵々々々、呵々々々々々々々々!!
───いや、まさか気づかれるとは思わなんだ。気配は殺していたつもりだったのだがなぁ」
闇より出でたのは───魔術師、間桐臓硯。
ある世界の一つの冬木市で行われる『聖杯戦争』を創り上げた、御三家と呼ばれる家系の一つ。
その、長である。
「そう怒るでない。儂としてもおぬしと争うつもりは無いのでな。
清人よ、おぬしも分かっていよう。おぬしの力ならば儂など簡単に消し飛ばせるのを」
「……貴方のことです、どうせ隠し玉でもあるのでしょう」
「さあ、どうであろうな」
ニヤリと笑うその口元からは、笑みに込められるであろう暖かさなど篭ってはいない。
確かに、真木の体内に眠る紫のコアメダルの力を使えば臓硯など瞬く間に消し飛ばせるだろう。
だが、しかし。
真木としては───目の前のこの老人が、そう簡単に殺されるようにはとてもではないが思えないのだ。
「コアメダルの破壊については儂が何とかしよう。
全部破壊されては困るしの───コアメダル破壊を禁止にして好戦的な参加者に慎重になられても困る。
破壊する側にも集めたい側にも、ある程度公平になるようにする術を考えておくぞ」
「……ええ、お願いします」
「儂としてもこのゲームが頓挫するのは困るのでな。
おぬしもこの儂が出す提案なら安心出来ようて」
チラリ、と臓硯は真木の手の甲───正確には、刻まれた紫の令呪に視線を投げかける。
間桐とは、聖杯戦争における御三家の一人である。
遠坂は儀式に必要な環境の土地を。
アインツベルンは聖杯として機能する『器』を。
そして間桐は───聖杯戦争のシステムと令呪を創り上げた。
そして、この場は欲望の大聖杯を巡る、言わば亜種の聖杯戦争とも言える存在。
聖杯についての知識量は間桐臓硯はこの場の何者よりも上回る。
「まあ、あの白猫の知識も借りることにはなるであろうが。
残念だが、ゲームについての知識は疎いのでな」
呵々、と臓硯は笑う。
その姿を見た真木は、思わず眉間に皺が寄る。
聞いたところによると、この間桐臓硯は長い時を生き続けている存在らしい。
常人より遥かに長い時を、このような醜い姿で。
───それは、正に真木清人が嫌う『醜さ』そのものだった。
長い時を生き続け、醜くなってしまう。
『醜くなる前に、美しい内に終わらせる』『終わって初めて完成とする』彼の思想の真逆の存在。
だからこそ、真木は間桐臓硯を認められない。
好ましく思っていない。
普段ならば今にでも消し去りたいほど───だが、真木はそれを行わない。
否、出来ないのだ。
何故ならば。
───間桐臓硯の手の甲に刻まれた、緑の令呪。
彼も、裏陣営リーダーの一人だからである。
裏陣営リーダー同士は、お互いを害することができない。
それ故、真木は手出しができないのである。
昆虫系コアメダルの王の三枚、ガタキリバコンボのオーラングサークル。
肉体が既に蟲の軍隊となっている彼に宿るのは、当然と言えた。
「ではな、清人よ。案が決まればまた会おうぞ」
と。
その言葉を最後に臓硯は消えた。
ふう、と口から吐息が漏れる。
臓硯は真木の最も嫌う象徴であり醜くはあるが、その知識は折り紙付きだ。
信頼してもいい人物の一人。
……のはず、なのだが。
「……インキュベーター君」
誰もいないはずの虚空へ呼びかける。
すると、何時の間に其処に居たのか、鈴を鳴らしたような可愛らしい声と共に白い体毛の小動物が現れた。
真木がインキュベーターと呼んだ存在である。
「なんだい?君から呼ぶなんて珍しい」
「ええ……間桐臓硯の監視を頼めますか」
「……それは、何故だい?間桐臓硯は君と同じ裏のリーダー……言わば仲間だと思うけど」
「……」
真木は答えない。
如何しても間桐臓硯を野放しにしてはいけない、と彼の直感が叫ぶのだ。
理由がある訳でも、確証がある訳でもない。
一つだけわかることがあるならば───真木清人と間桐臓硯は決して相容れないということ。
それだけだ。
だというのに───いや、だからこそか。
正反対に位置する二人はいつか必ず衝突する、と直感じみた確信が真木の中にはあった。
「……まあいいよ。君の目的のための行動は僕の目的のための行動でもある。
不審な行動はないか、よく見ておくよ」
「頼みます」
インキュベーターが再び消える。
残りの障害は───特にない、か。
コアの破壊の対策に関しては間桐臓硯という不安事項があるものの、インキュベーターも共に考えるというので大丈夫であろう。
海東純一はまだ野放しで大丈夫だろう。
『放送を任せる』という牽制を放った今、目立った行動はしないだろう。
「……」
がちゃり、とその場にあった椅子に腰掛ける。
「伊達君は脱落しましたか」
ポツリと呟くのは、一人の男の名前。
感情など入っていないその声は、悲しみなのか失望なのか───何方にも取れるような、空虚を感じさせた。
▲ ▲ ▲
(呵々、残念よのう清人よ。感づいたのは正しいが、いやはや手段が悪い)
緑陣営の裏リーダー、間桐臓硯は笑う。
あくまで心の中で。表情には出さず。
既に臓硯の使い魔───一匹の蟲が、真木清人とインキュベーターの会話を聞き遂げていたのだ。
よって。
真木が此方を警戒していることも、インキュベーターが見張りとしてやってくることも把握済み。
(まあ、さすがに儂の目的にまでは感づいていないようだがの)
臓硯はサスリ、と己の手の甲に刻まれた令呪を撫でる。
この緑の令呪に対応する陣営───つまり緑陣営が勝利した時のみ欲望の大聖杯をこの臓硯が使用できるらしい。
ということは。
優勝が決まるまで臓硯は何もすることはできず、そして他の陣営が勝利した場合手をこまねいてそれを見届けルコとしかできないと言うことである。
陣営裏リーダーは互いを害することができないため、阻止すら難しい。
よって今の臓硯は眺めていることしかできない。
……だが。
この長き時を生きた魔術師が、そのように行儀の良く静観するだろうか?
(細工をするなら聖杯そのもの───否、この令呪か。何ならメダルというのも良いか。
まだ細工を施す時間も思案する時間も多く残っておる。
ぼちぼち行動していくかのう)
ニヤリ、と臓硯は笑う。
もしかすると海東純一を含む『リーダーではない者』を手懐けて此方を排除する可能性も考えておかねばならないか、と。
(まあそれでも構わん。
儂には『アレ』がおるのでな───)
老獪の魔術師は歩を進める。
全ては、己の望みを叶えんとする欲のために。
───長い時が流れ歪んでしまった、己の欲望のために。
▲ ▲ ▲
───残った餌は33。
生きたいのならば喰らえ。
勝ちたいのならば喰らえ。
欲のままに、あらゆるモノを喰らえ。
欲望のままに、己のためだけの願いのために。
さすれば奇跡は与えられん。
───しかし。
それが己のモノかどうかは、また別の話。
がばり、と足の下で欲望が口を開く。
喰われるな。喰い尽くせ。
勝利の鍵は───己の内に眠る、求める本能だけである。
【残り人数 33人】
【二日目 深夜(?)】
【???】
【真木清人@仮面ライダーOOO】
【所属】無・裏リーダー
【状態】健康、左手の甲に令呪(紫)保有
【首輪】なし
【コア】不明
【装備】不明
【道具】不明
【思考・状況】
基本:世界に良き終末を。
1:バトルロワイアルを完結させ、“欲望の大聖杯”を起動する。
【備考】
※原作最終回後の参戦です。恐竜グリードと化してはいますが、参戦時期の都合から何枚の紫メダルを内包しているかは後続の書き手さんにお任せします。
※
カオスに親近感を覚えています。
※無陣営に関するイレギュラーの真実を知っています。
※間桐臓硯に嫌悪感を抱いています。
【間桐臓硯@Fate/Zero】
【所属】緑・裏リーダー
【状態】健康、左手の甲に令呪(緑)保有
【首輪】なし
【コア】不明
【装備】不明
【道具】不明
【思考・状況】
基本:“欲望の大聖杯”を掴み、全てを手に入れる。
1:バトルロワイアルを完結させ、“欲望の大聖杯”を起動する。
2:優勝の他に自身が聖杯を獲得するために細工する(令呪に細工するか、コアメダルに細工するか聖杯に細工するか。現時点では不明)。
3:ドクター真木の動向を監視。
4:コアメダルの破壊についての対策法をインキュベーターと考える。
【備考】
※参戦時期は不明ですが、少なくとも第四次聖杯戦争が終結した後です。
※例え誰かに襲われたとしても、対応できる『何か』を所持しています。
※蟲を配置し真木を監視しています。
他にも何か監視しているかは不明です。
【海東純一@仮面ライダーディケイド】
【所属】不明
【状態】健康
【首輪】なし
【コア】不明
【装備】カリスラウザー&ラウズカード(ハートA~K、ジョーカー、ケルベロスA)
【道具】不明
【思考・状況】
基本:全ての世界を支配するため、“欲望の大聖杯”を手に入れる。
1:バトルロワイアルを完結させ、“欲望の大聖杯”を起動する。
2:1と並行して、自身が聖杯を獲得できる準備を進める(優勝陣営の令呪を奪う)。
【備考】
※真木に己の行動が勘付かれた可能性を考えましたが、その線は薄いと思っています。
【全体備考】
※主催側に【間桐臓硯@Fate/Zero】が存在しています。また、間桐臓硯が緑陣営の裏リーダーでした。
※『殺害時の映像公開制度』がATMに追加されました。
セルメダル50枚と脱落者の首輪を一つATMに投入し脱落者の名を選べばその脱落者の死亡までの映像の一部始終を見ることができます。
最終更新:2015年02月11日 11:14