ファイズとオルフェノクたちの戦いの場に、木場の引き連れたライオトルーパーたちが参戦。
ファイズ「木場ぁ!?」
ライオトルーパーたちはファイズを襲い、さらに真理と、真理たちが保護していた少年・照夫にも襲いかかる。
海堂「えっ!? なんだよ、なんで真理と照夫を狙うんだよ? おい! どういうことだ、ありゃ? やめさせろ、木場!」
木場は答えず、海堂を冷たく突き放す。
海堂「な、なんだよ!?」
無言のまま、木場が海堂を殴りつける。
真理が、ライオトルーパーたちから逃げ続ける。
照夫が転倒する。
真理「照夫くん!?」
そこへ、草加と三原が駆けつける。
音声『Standing By』
草加たち「変身!」「変身!」
音声『Standing By』『Complete』『Complete』
どうにか戦いを切り抜け、地下道で倒れた草加のもとに、真理や草加たち流星塾生の義父・花形が現れる。
巧が木場のもとへ電話をかける。
巧「木場か? わかったよ、お前が本気だって。俺の知ってるお前は、もういない…… いいんだな? そう思って」
木場「君と話すことは何もない。人間であろうとする君とはね」
草加は、スマートブレインの病院へ運び込まれる。
ベッドの上で目を覚ますと、そばに花形がいる。
草加「ここは……? ──父さん!?」
花形「ひさしぶりだな」
一方、真理と三原と里奈。
里奈「本当なの? お父さんに逢ったって」
三原「あぁ。父さんも逢いたがってた。みんなに」
真理「それで、何を話したの? 何か言ってた? お父さん」
三原「みんなと、逢う約束をしてくれた。昔のままの父さんだった。優しい父さんのままだった」
真理の回想。
幼い頃、泣いていた自分を慰めてくれた父──
(花形『泣くな、真理。お前の笑顔は、みんなを幸せにできるんだ。だから、泣くな』)
真理 (お父さん、逢いたい…… もう一度逢いたいよ、お父さん……)
草加「教えてくれ。父さんが流星塾を作った、本当の理由は何だったのか」
花形「私はオルフェノクの王を捜すために、お前たちを集め、流星塾を創った。だがあの同窓会の日…… お前たちの命を奪ったのは私の意志ではない。スマートブレインの一部のオルフェノクたちが勝手にやったことだ」
草加「言いわけはするな……! オルフェノクの王を捜すためだと? そんな目的のために、あんたは!?」
花形「その上、お前たちにベルトを贈ることで、過酷な運命を背負わせてしまった…… 私は賭けてみたかった。幼い頃から、つらい境遇を耐えてきたお前たちの、強さと優しさに…… 私は人間がオルフェノクの力に飲み込まれ、人としての心を失っていくのを何度も見てきた。そして悟ったんだよ。オルフェノクは滅ばなければならない存在だと」
草加「なら、滅べばいい。俺の手で、あんたを……!」
草加が変身しようとするが、またも苦痛に襲われる。
草加「う!? うぅっ……」
花形「やめておけ。お前はもう、変身しないほうがいい」
草加「……何!?」
花形「スマートブレインの実験で、お前はオルフェノクの記号を埋め込まれた。お前がカイザのベルトを自在に操れたのは、その記号にお前の体がある程度順応できたからだ。だが、その力も今や消えかかっている。このまま変身を続ければ、お前自身が滅びることになるだろう」
海堂は、木場のもとに詰め寄っている。
海堂「どういうつもりだ、お前? 何で照夫を襲わせたりしたんだよ? しかも、俺様まで殴りやがってよ。えぇ? お前は人間を守るんじゃなかったのかよ? それがお前の理想だったんじゃねぇのかよぉ!?」
木場「そんな俺の理想を、君はバカにしてたんじゃなかったのか!?」
海堂「バカ野郎…… 違うだろ。俺はな…… 心の底で、ずっとお前を尊敬してました。本当はな、本当はお前みてぇに生きてみたかったんだよぉ!」
木場「くだらない……」
海堂「てめぇ! 馬鹿野郎!」
海堂が、木場を殴り飛ばす。
海堂「お前とは絶交だ。これからは俺が、お前の代りになる。返すぜ、これ」
海堂がライオトルーパーのベルトを放り投げ、立ち去る。
海堂は三原のもとに現れる。
三原「君は……?」
海堂「おい。ちょっと俺様に力を貸せ。どうしてもやらなきゃなんないことがあるんだ。頼む」
再び気を失った草加のそばに、花形が付き添う。
花形「雅人……」
三原から電話が入る。
花形「はい?」
三原「父さん。憶えてるよね? 今日、みんなで逢う約束。俺、行けないかもしれないけど、真理も里奈も、楽しみにしてるから」
花形「あぁ…… わかってる (もう一度、逢いたい…… 真理にも、里奈にも……)」
そこに木場が現れる。
木場「花形さん」
2人が病室の外で話す。
花形「君は知りたがっていたな? 私がなぜ、君を社長にしたか。これがその理由だ」
花形が手を差し出す。
その手は、灰色に変色している。
木場「……どういうことですか?」
花形「オルフェノクとは人間の進化形だ。だが、あまりにも急激な進化は、肉体を滅ぼす。いわばオルフェノクとは、死に至る病と同じだ。放っておけば我々は滅びる」
木場「まさか…… そんな!?」
花形「私が君を選んだのは、君が心の底で人間を深く愛しているからだ。オルフェノクと人間は共存できない。君は滅びの道を選ぶ勇気を持っているはずだ。人間のために……」
木場「……」
花形「それにしても皮肉なものだ。私が以前送った3本のベルトは、オルフェノクの王を守るために作られた。そして今、雅人たちは何も知らぬまま、あの少年を守っている」
草加が意識を取り戻し、その会話を立ち聞きしている。
草加 (あの少年……? まさかあいつが、オルフェノクの王だと!?)
病院を出た草加を、木場が呼び止める。
木場「待て」
草加「すべて聞かせてもらった。オルフェノクの王が滅べば、オルフェノクは全員自然消滅というわけだ。ならば俺が王を倒す。お前も満足だろう? それが人間のためなんだからな」
木場「花形さんは何も知らない。俺の人間に対する絶望の深さを。滅ぶべきなのは人間のほうだ。俺は死なない」
三原と海堂は、ライオトルーパーの1人であるSWAT隊員のもとに現れる。
海堂「お宅、木場勇治からベルトもらったろ? 返せ」
音声『Complete』
SWAT隊員がライオトルーパーに変身する。
三原「変身!」
音声『Standing By』『Complete』
三原と海堂も、それぞれデルタとスネークオルフェノクに変身し、ライオトルーパーに立ち向かう。
真理と里奈は、花形との再会の場に来ている。
真理「何年ぶりかなぁ、お父さんに逢うの
里奈「なんか、ドキドキしちゃうね。早く来ないかなぁ、お父さん」
真理たちのもとへ向かう花形の前に、草加がカイザドライバーを手にして、立ち塞がる。
草加「どこに行くつもりだ?」
花形「雅人……」
草加「真理には会わせない。あんたに会う資格はない!」
花形「よせ! 前にも言ったはずだ。お前はもう、変身してはならない。それに、私と戦う必要はない」
花形が手を差し出す。
すでに灰色に変色している。
そして花形の顔もまた灰色に変色し、サラサラと灰がこぼれ落ちる。
花形「これでいい……」
草加「父さん……!?」
花形「お前は生きろ…… 雅人……」
花形の全身が灰と化し、跡形もなく崩れ落ちる。
草加「父さん!? ……父さん! 俺は、生きる…… 生きて…… 戦う!」
照夫と遊んでいる啓太郎のもとへ、草加から電話が入る。
啓太郎「もしもし。──草加さん? どうしたの?」
草加「お前が預かっていたあの子供だ…… 今、どこにいる?」
啓太郎「今、一緒に遊んでるけど?」
デルタとスネークのもとには、他のライオトルーパー全員も参戦す。
デルタは劣勢に陥り、変身を解除されてしまう。
スネーク「こいつら、強いぜ! 乾だ、乾を呼べ!」
真理「遅いなぁ、お父さん……」
里奈「真理、ここにいて。私、ちょっと見て来るから」
真理が里奈の後姿を見送る。
背後に忍び寄った木場が、真理の口を布でふさぐ。
草加のもとに電話が入る。
草加「もしもし」
木場「園田真理を預かっている。助けに来たほうがいいんじゃないのかな?」
草加「何!? 真理…… 真理!」
大ピンチの三原たちのもとへ、巧が到着する。
巧「三原!」
音声『Standing By』
巧たち「変身!」「変身!」
音声『Standing By』『Complete』『Complete』
巧がファイズに変身、三原も再びデルタに変身し、反撃に転じる。
木場が海岸で待ち構えている。
車の中で、気を失った真理が捕われている。
草加が現れる。
草加「木場……! 貴様ぁ!」
木場「やっぱり来たか」
草加「なに……!?」
ラッキークローバーのオルフェノクたち3人が現れる。
(花形『このまま変身を続ければ、お前自身が滅びることになるだろう』)
音声『Standing By』
草加「変身!」
音声『Complete』
草加が決意と共に、カイザに変身して、オルフェノクたちに立ち向かう。
一方でファイズは、アクセルフォームに変身する。
音声『Complete』
カイザがオルフェノク3人を相手に、激闘を繰り広げる。
真理が車内で目を覚ます。
真理「……はっ!? 草加くん!?」
カイザの手から、灰がこぼれ落ちる。
またも苦痛に襲われるカイザに、オルフェノクたちの攻撃が炸裂する。
カイザ「うわぁっ!?」
ファイズがアクセルフォームの超高速攻撃で、ライオトルーパーを一掃する。
カイザが次第に、追いつめられてゆく。
真理が電話で巧に助けを乞う。
真理「巧、お願い! すぐ来て! 草加くんが!」
ドラゴンオルフェノクの冷酷な一撃が決まる。
変身が解除されて、草加が吹っ飛ぶ。
草加「うぅっ…… くッ……」
地面に転がったカイザドライバーをつかもうとするが、その手から灰がこぼれおち、目がかすむ。
さらにオルフェノクたちの攻撃が炸裂する。
草加が大きく吹き飛ばされ、海岸に叩きつけられる。
草加「うぅっ…… 死んで……たまるか……」
草加が海岸をさまよう。
誰かが、カイザドライバーを拾い上げる。
真理が車を飛び出して、草加を捜し回る。
真理「草加くぅん! 草加くぅん!」
草加「真……理……」
真理は、岩陰に倒れた草加に気づかず、その姿が遠ざかっていく。
朦朧とする草加の前に、カイザが現れ、その首をねじ上げる。
鈍い音が響き、草加の体が崩れ落ちる。
巧と三原が、海岸へ急ぐ。
巧「待ってろよ、草加…… 草加!」
真理「草加くぅん! 草加くぅん!」
カイザが変身を解くと、その正体は木場。
息絶えた草加を残し、木場が去っていく。
真理「草加くぅん! 草加くぅん!」
草加の体が灰となり、跡形もなく消え去っていく──
真理「草加くぅん! 草加くぅん!」
最終更新:2024年09月12日 00:55