誰が書いたかも定かではない手記。
おそらく何処かの兵士によって書かれたものと思われる。
このような手記は各地で発見されており、これはその一つ。
【内容】
今日、
リエードと呼ばれる敵魔導師を見た。
奴もこっちを見てやがった。リエードは悪魔だと聞く。
だが、何とか物資を持って山上の陣地まで辿り着く事が出来た。
神よ、幸運に感謝します。
だが我々が到着早々、陣地の放棄が決定されたとの事。
そして物資を降ろす事なくそのまま下山していた最中、突然山頂部分が爆発した。
見るとそこには高い高い火柱が上がっていた。
その火は瞬く間に広がり、まだそこに残っていた我が軍の兵士を次々へと飲み込んでいく。
悲鳴と、肉の焼ける匂いがした。
退避の号令が再三にわたって響いた。
その号令を聞く前に、我が隊は物資を捨てて逃げるように山を駆け下りた。
その時、燃え上がる火柱を背に、空中に浮いているリエードが微かに見えた。
金色の髪に白い顔をしていたと思う。
奴がこっち側を見ているのに気が付いた。
そいつが杖を振りかざすと同時、瞬く間に炎の槍が隊に向けて降り注いでくる。
その炎は護衛として隊に付いてきていた
魔導士が防いでくれたが、今度は更に巨大な火柱がこっちに向かってきているのが分かった。
我々は足を止めずに全力で逃げようとしたが、火柱はそれより速く迫ってきやがる。
その時、砲声が響いた。
我々とは別方向からの砲撃だった。
砲弾は火柱の根の部分だったと思う、そこに着弾してた。
すると火柱が一瞬消えて、また現れた。
その火柱は我々の方に迫ってくるのをやめ、大砲の方に向かっていった。
その間に我が隊は山を降り林の中に逃げ込んだんだ。
果敢な砲兵が奴を引き付けてくれなかったら我が隊は全滅だっただろう。
リエードはこれほどまでに強いものなのかと実感した。
しかし我々の本隊には重装騎兵隊が控えている。
この国の最精鋭の兵士だ。
果敢な彼らが横列を成し、自陣の一斉砲撃と共に突撃すれば、奴も彼らの槍に打ち砕かれるだろう。
本隊と合流すれば、反撃の時だ。
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最終更新:2025年07月25日 11:45