「…え?それって
あの羊のヤツらがまた湧いてきた可能性があるってこと?」
―確証はない、が、そうとしか考えられない。この前俺がぶちのめしたクズ共…俺に密漁品の
シーアクスをデタラメ言って運ばせようとしたヤツらだが、奴らが持ってた書類に黒羊の紋章の印があったんだ。
それにあの、シーアクスを入れた麻袋、作りからして黒羊が「指定」していたものとほぼ同じだ。
「冗談じゃないわよ。あんなロクでもない組織が復活してるかもなんて」
―それに、追い討ちをするようだが…
ここ最近、
漁師ギルドの間で嫌な話が飛び交っている。
勝手に漁をする正体不明の小型船が、あちこちの漁場に出没しているらしい。
ギルドの紋章も何も描かれてない怪しいヤツがな。…いや、全く何も無いと言ったら正しくは嘘だ。
その怪しい船が残して行った真っ黒な布切れが…
破れていて詳しくは分からないそうだが、白抜きで羊らしい絵が描かれていたという噂がある。
「げぇー…それってあいつらで確定じゃないの」
―確かに奴らは俺たちの手で叩き潰した。マヤも見てた…というより加勢していただろう。
だが、あいつらは俺たちが思ってる以上にしぶとい奴らなのかもしれない。
悪者なんてそんなもん、と言われればそれまでだが、あいつらはちょっと話にならないかもな。
せめて今度は、裏にとんでもない化け物が糸を引いてたりしない、人間の親玉がいてほしいもんだ。
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最終更新:2021年10月13日 18:23