東西
カンモーレ海の北部、巨大な流氷や氷山が漂う極寒の海で古くから稀に目撃されている存在。
だが現れるのは決まって悪天候の時のみであり、その姿も流氷の合間や波間から僅かに垣間見られる程度の為、全貌は未だ不明。
目撃証言を纏めると『20メートルを超える白い巨体』『下半身は鯨の様だが上半身は人の様相』等、
人魚族に近いシルエットをしているという。
しかし何となく近いと言うだけであり、人型の上半身に腕や頭部が複数生えている等の証言も。
なお、現時点でその顔を確認した者は誰一人居ないようだ。
現在まで何か危害を加えられたという事は無い模様。
遭遇しても此方には無関心であり、コミュニュケーションが可能なのかも不明。
呼び掛け等にも一切反応せず、そのまま海中に消えていく。
だが興味深い点として、魔物達はジンギョウの気配を察すると一目散にその場から逃げだす事が挙げられる。
魚類系の魔物から水棲の
レッサードラゴン、果ては大型の
クラーケンですら即座にその場から去って行くという。
リビングアイスバーグの幼体が漁船を取り囲んで氷漬けにしようとしていた際、ジンギョウの鳴き声が聞こえた途端に蜘蛛の子を散らすかのように船から離れて助かったという話もある。
このような経緯からか、北の海で仕事をする
船乗り達の間では一種の守り神とされている事も。
海でその声を聴いたり姿を拝む事が出来ればその日は無事に帰る事が出来ると信じられているようだ。
『アレは深く暗い海の底からやって来るモノであり、近づいたら駄目な存在だ』
『アレの『顔』だけは絶対に見るな。見たらどうなるのかはわからないが、とにかく駄目なのは本能的にわかる』
『―――――だからこそ、大烏賊も生きた氷山も、“アレ”には絶対に近づこうとはしないんだよ』
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最終更新:2022年02月11日 13:01