Top > 創作物投下スレまとめ 2 > 2-465 「―松坂牛の無駄遣い―」

作者:本スレ 1-091

465 名前:オリキャラと名無しさん 投稿日: 2014/02/14(金) 07:24:26

1-866 の人形劇をろだにあげました

※人形注意
※繊さん・牧さん・零さんの三人でお医者さんごっこ
※自分の設定と若干のズレを感じましたが軌道修正なし

今日明日はお天気が荒れるみたいですので、お足元にご注意ください

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  ― 松坂牛の無駄遣い ―

空気の冷たさに目が覚めた。
風を入れよう。外はきっと、もっと寒い。寒いのは好きだ。
まだ薄明前だが空が白い。
何年ぶりだろうか、雪が降っている。
畑にも一面降り積もり、天地の境界がない。
ベランダに出ると足の裏が雪を踏み溶かす感触を伝えてくる。
手摺から身を乗り出し、両掌で触れようと腕を伸ばした。

墜ちた。
衝撃が全身を突き抜けた。口から心臓が飛び出そうだ。
すぐそこにあるように見えたのに。遠かった。
あるいは、舞うように降下できるとでも思ったか。
そうだ、自分は羽を切り離したのだ。空と決別したのだ。
いまさら恋うことなど許されていないと、全身の痛みが、そう告げてくる。
もう少しこのまま、地面と仲良くしていよう。頭を冷やすにはちょうどいい冷たさだ。

「おい!」
目が回る。
上からも、下からも、牧の声がする。
「大丈夫か」
首が折れて、うまく仰げない。身体ごと捻ると、見下ろす牧と目が合った。

+ ← 人形注意

ひどい寝癖に思わず笑みがこぼれた。まあ、もともと癖の強い髪ではあるが。
「うん」
「立てるか?」
自力で立てないことはなかったが、今は差し伸べられた手に甘えたい気持ちが勝った。
両手を差し出すと、少し微笑んで――いるように見える――抱き上げてくれた。
「何してんだ?落っこちたのか?凄い音がした」
「うん」
「飛べるだろ?」
そう言って右肩を優しく撫で擦る。ちょうど、ひとつの羽が残っている辺りだ。
片羽で飛べる生き物などいない。
「服が邪魔なんだよ」
別にはぐらかそうとするつもりなわけではないが。
「だったらなおさら、飛び降りるな。折れてんじゃねえか、首」
「うん」
「よし」
牧の手に促されるまま、鎖骨の辺りに顔を埋めた。今起きたばかりの匂いがする。
寝巻き一枚で出てきたのか。寒いだろうに。
「……悪い」
小さく一言だけ告げた。
俺を抱えているせいか、慣れない雪のせいか、いつもよりゆっくり歩いている。
上下の揺れが心地いい。もう少し長く続くといいのに、家まであと10歩の近さ。
「今日の患者さん第一号はお前だ」

+ ← 人形注意:- at a later time 01 -

+ ← 人形注意:- at a later time 02 -

【END】

※各キャラの設定ページはこちら
 ・繊、牧 ⇒ 本スレ1-866
 ・零 ⇒ 創作物スレ 2-035



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最終更新:2014年02月15日 12:03