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-CROSS OVER ON A DIFFERENT DAY-情景-



507 :-CROSS OVER ON A DIFFERENT DAY-情景-:2014/06/14(土) 04:20:47
 本スレ1-710です
 本スレ1-091様 の お子様(本スレ1-091,143,148) とうちの子(設定スレ1-036)の
 スピンオフな二次SSを仕上げましたので、投下します 以下、属性表記です
  ・そんな描写は全くないけど、現代風ファンタジー(獣人変化もの)
  ・久し振りにウィル一人称
  ・ストーリーはちょい短めで、エロなし、当て馬注意!
  ・登場キャラクターは、ウィル、透さん、奥村さんです
  ・でも、SS本文中に奥村さんの名前の記述はありません…
  ・相変わらずのご都合主義的なストーリー運び?にもご注意!
  ・設定準拠ではない表記、設定矛盾のある表記を若干含みます
 こんな感じですが、よろしかったらどうぞ


508 :-CROSS OVER ON A DIFFERENT DAY-情景-:2014/06/14(土) 04:22:44

視線の先に見覚えのある、赤い髪が映った。
彼はその職業にしては小柄な人だから――すぐに解った。

此方の視線の先に映った、その人は警視庁所属の巡査部長、古瀬透氏だ。
今の此方の仕事柄、彼とそう関わりがあるわけではないのだが、あの警察官らしからぬ緋
色の髪と何処となく艶めしかい容姿は一度目にすればそうは忘れられるものではない。

現在、俺は欧州連合日本国総領事 事務次官補 第一秘書官補などという、それらしい名称
の役割の任に就いている。
その所為もあって、時折ではあるが、俺は政府関係者等の視察等のコーディネートを任さ
れる事があるのだ。

俺が最初に彼――古瀬透氏に逢ったのも、警視庁側の視察受け入れ担当の補佐役として彼
の名前が挙がっていたからだ。
その頃、彼は大きな事件の解決に貢献した代償として深手を負い、暫く療養した後に現場
復帰した直後だったのだと、周囲からは聞いていた。
彼には警視庁側のコーディネーターの補佐役という名目で、あまり負荷のかからない、要
は端的に言えば、実質的な業務はほぼ無いに等しい役割が充てられていようだった。

そんな紅い髪と巡査部長らしからぬ雰囲気を持つ彼には、初めのうちこそ様々な面で驚か
される事が多かったのだが。
それでも、彼はその見た目に依らず、直感力に優れ、なおかつ現状認識力にも秀でていた
し、理知的な一面をも持つ人間だった。
一方で、場合によっては、思いきった行動に移るのだろうな、と思わせる潔さもあった。

ともかく、幾つかの面で、正反対にも思える、少し不思議な雰囲気を併せ持つ人であった
事を今更ながらに思い出した。

その彼は、今、俺の視線の先を、約、100m程先を通りすぎてゆく。
彼は、上背のある目許が涼しげな顔立ちの男と連れだって歩いていた。
一緒に連れだって歩いている男の方の背丈は、180cm位はあるだろうか。
此方の相手の男の方は、今、この場で目にする限りでは、紅い髪の彼とは対照的に、真面
目を絵に描いたような好青年といった人物のように思えた。

彼等の事をそれほど真剣に見ていたという訳ではない。
それでも、彼等が連れ立って歩く、その様子から、恐らくは、互いに大切に想い合う関係
に至った仲のようだという事くらいは判る。
またそれは、紅い髪の彼――古瀬透氏が見せる穏やかな表情を見れば、一目了然のように
も思えた。

――どうりであの時……。
ただ、身体的な要因にのみ起因するのであろうと思われる類の反応だけが良かった筈だ。
貴方は、多分、あの時からもう既に、心此処に在らず、といった心境だったのだろうから。

彼の姿を目に留めていた時間は決して長い時間ではなかったが、僅かな合間に、俺は何故
かそんな事を思慮していた。
それと同時に、俺は貴方が頬杖を付きながら此処ではない何処かを見つめているかのよう
に視線を廻らせていた時の様子を思い出した。

あんな風に何処か虚ろでありながらも、その一方で澄みきった高潔さを併せもつかのよう
な視線を見せる、従前の貴方も充分に魅力的で素敵でしたけれど。
それでも、今の貴方の方が、より更に素敵に見えますよ。
どうかお幸せに。貴方の毎日がこれからも平穏でありますように――。

柄にもなく、俺がそんな思考を重ねがら、その場を通り過ぎようとした瞬間、ほんの僅か
な合間ではあるが、不意に彼と視線が重なった気がしたのだ。
彼は俺に向かって、少し照れくさそうに、僅かながらも微笑みを浮かべていたかのように
も思えた。まあ、それも此方の錯覚かもしれないが。
ただ、その彼の表情に引っ張られるように、此方側の心の内にも何処ともなく、温かみに
満ちた感情が届いた。

そんな一瞬の間を経た後に、彼も、俺も、互いにその場に足を止める事なく、ただ、普段
と同じように、何事も無かったかのように、通り過ぎていく。

――どうかお幸せに。

今、この場を通り過ぎてゆく僅かな合間に、再び彼の事に思考を廻らせながら、俺はその
場を後にした。

【END】

お読みいただきありがとうございました!
透さんと奥村さんのお二人がこれからもずっとお幸せでありますように!との勢いだけで
書きましたw
またウィルさんが相変わらず年下のくせに小生意気で大変恐縮ですが、ご容赦ください
ウィルさん個人の方も、もう少し色々と優柔不断?な部分が軌道修正できるきっかけに
なってくれると良いんですけれどもw



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最終更新:2014年07月04日 21:50