- 最近、とある洋楽を気に入った駆。しかし歌詞は知らず、おまけに英語を聞き取る能力など持ち合わせてなどいない。しかしその曲が駆は好きだった。
「まぁた音楽ばっか聞いて。どうよ駆、お前も次の休みにツーリング」
「すんません、遠慮しときますわ」
「勿体無いなぁ。俺らは待てても季節は待ってくれないぜ? 見所も今週一杯ってところだろうしな」
- 今日も音楽を聴きながら街を走る駆。途中、大学に寄る。休み時間の照らを見つけ、歌詞を聴いてもらおうかと思うが相手にされない。
「なぁなぁ、折角頼って来たんや。ええやん」
「俺をアテにする自体そもそも間違いだぜ?」
「……お前さんには、聞くだけ無駄かいのぉ。インテリ兄ちゃん」
「意味は分からないが、それは人にものを聞く態度じゃないぞ?」
- 仕事中、花屋で一人の女性と出会う駆。彼女は生まれ持った目の病気が悪化し視力を失っていた。近々イギリスの病院に手術に行くのだという。今の自分では花屋を手伝えず、大好きな花を見ることもできない――そう嘆く女性を励ますべく、駆は彼女とデートを約束。
「あ、もしもし先輩? この間話してたツーリングの行き先……教えてもろてエェですか?」
- 彼女を後ろに乗せ、ツーリングに連れ出す駆。そこは一面に花の咲く、見事な自然の花畑であった。目は見えなくとも充分なほどに分かる花の香りに包まれ、女性の顔には笑顔が戻る。
「女の子はやっぱ笑うてた方がエエ。目の保養になるしな」
「駆さんって、案外ロマンチストなんですね」
- だがそこにゴーストが接近。駆は、彼女の耳にイヤホンを当てる。そしてアーカムとなって、花畑でゴーストと戦う。
「綺麗な花に釣られてもうたか? でもアカンなぁ。俺の言えたことやないが、お前のやってることにはロマンがなさ過ぎるわ!」
- 戦いが終わり、彼女の元に戻る駆。何故か彼女は赤面していた。わけが分からない駆であった。
「駆さん……こういうのはズルいと思いますよ」
- 彼女の出国を見送る駆。別れの間際、渡されるメモ。そこには駆が歌詞を知りたかった、そして戦いの最中に聞かせた歌の歌詞が書かれていた。
「この歌が駆さんの気持ちだったら、嬉しいです。ちなみに私の気持ちは……この歌のままですけど」
- 時間軸的には遥見失踪前ってことにしておきましょう。
遠くにいる君を思うと、こんなにも寂しくて
胸に残る君を思うと、こんなにも優しくて
今は遠い君で、こんなにも胸が詰まる
見えないものを信じたことはなかった
見えるものしか信じられなかった
だけど今は
だけどこれからは
遠くにいる貴方を想います
やかましいラウドロックに乗せて歌われていたのは、
遠く離れた恋人を思い励みにして生きる男の、ラブソングだった。
「……アカンやん。こんなの……ハズかし」
最終更新:2008年01月10日 01:26