132 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/06/11(土) 23:20:31
ケイト・ラインハルトは厄介者だ
高い戦闘能力に、優れた容姿、人当たりの良い性格と欠点のないように見える。
しかしながら、彼女は頭が悪かった。
嘘は簡単に信じてしまい、命令も曲解してしまう。
なによりも、自分に出来ることは他の人にも出来る、と考えてしまったいるため、無茶な行動で周りを振り回すことも多かった
戦果は十分に上げている。事実、彼女はこの若さで少尉の地位にある
しかし、それを打ち消すほど、彼女は周りに負担をかけていた。
「ケイト少尉いなくなってくれねえかな・・・。あの人と一緒に任務やってると命がいくつあってもたりねえ」
「無茶な突撃をすぐするからな。おかげで後衛の俺達への負担が半端ない」
「突撃するしか能がねえからなあの人は。でも、振り回されるこっちの身にもなってみろって・・・」
食堂からは下位士官からの愚痴の声が聞こえる。
食堂の喧騒の中ではケイトの耳には入らない。
そんなことは知らず、数少ない仲の良い隊員と食事をしていく。
後に、一部の隊員達の不満が爆発して、彼女は左遷させられることとなる。
184 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/14(火) 23:20:15
アクレピオス隊との戦いから2年が経った今、トウジは故郷の村で平和に過ごしていた。
彼は農作業や時折やってくる野盗の退治などで生計を立てていた。
主な収入は一緒に暮らす科学者の発明品であったのだが……
「平和過ぎて退屈だぜ……」
コクピットから怠そうに空を眺める。
深いため息のあと、特になにげなく機体に火を入れぶらっとしよう考えた。
その後、この世界で彼と彼の機体は忽然とその姿を消した。
地球 伊豆基地近辺
「いててて……いきなりなんだってんだよ。あれ?なんで俺こんなところに?」
見慣れない風景
「頭がいてぇ……ちくしょう……」
【伊豆基地の近くに転移】
187 : ◆gnI8YzVxOo:2011/06/15(水) 00:48:11
「所属不明の人型兵器出現」
その報を受け、伊豆基地はにわかに殺気立った。
伊豆基地の近辺が狙われた訳ではないが、武装組織のテロ活動は増加の一途を辿っていた。未然の阻止は出来ているものの、重なる疲弊は軍人たちの心をささくれ立たせていた。
そこに所属不明機が(前ぶれなく、忽然と)現れたとしたら。しかも目の前に。
相互の誤解を招くのは必定だろう。それ以上に、相互の誤解を解くのは困難だろう。
――良くぞ来てくれた、我らは砲弾にて汝をもてなそう!
伊豆基地駐留連邦軍の動きは迅速を極めた。徹底した市民の避難。半径15km以内の区域の封鎖。どこからともなく出現したという所属不明機を、大隊規模のゲシュペンストMk-Ⅱが手にした様々な火器で捕捉する。模範的と言っていいテロ初期対応だった。
「あの機体……地球圏の機動兵器のようだな?」
「エアロゲイターのものとは思えませんね。既存のPTやAMにも見えませんが」
「テロリストの独自規格か……? ところで、
TEXチームはどうしている?」
「遅れるとのことです。新型機とパイロットのマッチングに手間取っているそうで」
「そうか。では、我らだけで済ませてしまおうか」
拡声器を手にした士官が所属不明機に声を掛けた。
「そこの機体、応答せよ。所属を明らかにせよ。然る後に武器を捨て、こちらに投降せよ。抵抗する場合、当方は交戦の用意がある。武器を捨て、こちらに投降せよ。繰り返す――」
188 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/06/15(水) 01:29:21
>>187
「敵襲?」
ケイト・ラインハルトは突如受けた警報に反応する。
周りは、一気に慌ただしくなり、妙に殺気立ったものが感じられる。
そんな中彼女は飲んでいた炭酸飲料の最期の一滴を飲む。丁寧に缶をゴミ箱に捨てるのも忘れない
「私も出撃するのかなぁー」
敵襲なら彼女にも必然、出撃要請がかかる。
だがしかし、彼女にはあまり関心がないような口ぶりだった。ノーテンキと言っても良い。
それはそうだろう。敵が何機いようが、彼女に出来るのは突撃のみ。
何がこようが、結局は同じだ。
だから、彼女は動かない、自分に出来ることはそれしかないことを知っているから。
そして、のんびりとした歩みで、格納庫に向かっていくのだった。
189 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/15(水) 06:55:06
>>187
トウジの頭痛が治まったころにはすっかり見知らぬ機体に囲まれていた
「なんだ!野盗か!」
>>「そこの機体――」
「へッ!誰が野盗なんかに降参するかよ!
これでも俺は―――強いんだぜ?」
素早くビームマシンガンを抜き1番正面の機体の頭を射抜く同時に、左方向に機体を走らせる
【はやとちりと喧嘩っ早さが災いして連邦と交戦】
190 : ◆gnI8YzVxOo:2011/06/16(木) 00:15:32
>>189
所属不明機がゲシュペンストの頭部を撃ち抜いた! と見るや、パイロットたちの行動もまた迅速だった。
チョバムアーマーにより装甲を増設している機体、ビームコートを施した機体が前進し、ビームマシンガンの弾幕を受けながら各種火器で応射する。
後方からは対PT用迫撃砲による援護――砲弾が山形の弧を描いて所属不明機に降り注ぐ。
194 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/16(木) 06:57:04
>>190
「へっ!どこに撃ってやがる!」
ホバー移動の恩恵をうけ、大型で重装の機体でも動きは軽い。しかし大量の火器を前にして全てを避けきるなんてことは不可能だ。
大型の火砲や迫撃砲は避けて避けて避けまくったが、マシンガンの弾までは避けきれない。
「こんなダメージ、屁でもねぇぜ!」
【HP残り85%】
このままではじり貧……トウジの打開案はあまりにもシンプルだった
「一網打尽だぁ!もらっとけぇぇ!」
【敵を殲滅するために複数のゲシュペンストに肩のミサイルランチャーを8発撃つ】
196 : ◆PyMJ9n/wBY:2011/06/16(木) 10:57:10
>>194
「……おいおい。ちょっと待てよこのテロリスト野郎が! たった1機で強襲なんざ」
遅れて出撃して来たTEXチームは軽く合図を交わすと共に展開。指定のポジションにつく。
辰希の乗る
エクスカリバーは、人型機動兵器から高機動飛行形態へ変形すると共に、銃弾の雨霰を抜けつつ、大暴れするアンノウンへ向けて突っ込む。
そして、警告とばかりに威勢のいい声で接触通信でアンノウンへ呼び掛ける。
「動くなテロリスト野郎! 今、俺の仲間がお前をロックしている。いいか?一歩でも動けばハイゾルランチャーで蒸発してもらう事になるぜ」
その証拠かアンノウンの胴体部に赤色の照準用スコープの光が当てられている。
「……ダメだよ、動かないで」
はるか後方、イータの駆る
シグルド改が両肩の金属粒子砲ハイゾルランチャーの射撃体勢に移行している。マルチアンカーを地表に打ち込んで姿勢を固定する精密狙撃用の体勢である。
T-LINKシステムとのリンクにより、照準補正や弾速のブーストがかかり射撃精度は極めて高い。
「せ、せ戦闘を中止してこちらに、あの……とと、投降してくださぁい!」
そして、その傍らにはサクラの乗る
ドラウプニル改がシグルド改をすぐにフォロー出来る様な位置に待機している。
「……(念動力の反応?)」
狙撃手のイータは、アンノウンに対して妙な違和感を覚える。“念動力”という一種の超能力の気配が感じ取れるのだろうか?
198 : ◆gnI8YzVxOo:2011/06/16(木) 22:03:51
>>194
ゲシュペンスト部隊は8基のミサイルに弾幕を集中させる。6基までは撃墜出来たが、残る2基はそれぞれ同数のゲシュペンストに命中した。
一機はチョバムアーマーで致命傷は避けたもの、一機は直撃だった。爆散までにはパイロットが脱出するだけの時間があっただけ運が良かったと言うべきだろう。
「クソッ、いい腕だ、いい判断だ!」
>>196
隊長機に入電――TEXチームオペレーターからの警告。
『これよりTEX-05による長距離狙撃を行なう。回避されたし』
それを受けて指揮官からTEXチームへ通信。
「機体共々パイロットを捕獲したい。TEXチームはアンノウンを牽制せよ」
負傷した僚機をかばいながらゲシュペンスト部隊は徐々に後退してゆく。
199 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/16(木) 23:26:22
>>196
「誰がテロリストだ馬鹿野郎!! ……ロックだと!!」
モニターには真っ赤な文字と危険を知らせるアラート音がけたたましく鳴り響いている
「……ガッデム!どこから狙ってきやがった!」
頭によぎる違和感。
「念動力者がいるのか? 野盗のくせに生意気だぜ……」
そこまで言ってあることに気付く。
「……お前らなにものだ? 野盗じゃねぇなら、話ぐらいはきいてやるぜ?」
200 : ◆PyMJ9n/wBY:2011/06/17(金) 00:08:25
>>198
「は、はい! 了解ししました。辰希君、あああアンノウンを止めてください」
形式上TEXチームのリーダーなのでサクラが指示を出すが、緊張感やらなんやらで言葉が噛み噛みである。
「おっけーだサクラ!という訳だイータ、念動集中。よぉく狙えよ?」
「待って……辰希、あれの中身」
イータは敵機から念動力を感知した事を告げようとするが、次第に慌ただしくなったので言うのをやめる。
>>199
アンノウンから聞こえてくるのはきっと辰希と似たようなタイプだろう威勢の良さそうな男性の声。
「なんだと? 話をする気になりやがったのかよ……?」
返して来た言葉は意外なものだった。辰希は警戒しながらも、内心は本格的に戦闘にならなくて良かったと安堵する。
「は? 野盗だとぉ? お前が野盗みたいなもんだろが。……とにかく戦う気が無いなら機体から出て手を挙げろ。捕虜として国際条約に基づいた扱いはしてやるから」
シグルド改のレーザーサイトを当てたまま、投降を促す。
「……まぁ、そっちも何やら訳有りって感じだ。何となく解るぜ?念動力者同士だからだろうがな」
辰希もアンノウンのパイロットと合間見えた事により相手に念動力を感じ取る。
201 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/17(金) 08:07:33
「国際条約?だからお前らなにもんだ? グラーフの残党か?」
聞き慣れない言葉に戸惑う。
「お前らみたいな奴らの捕虜になるのはいけ好かねぇけどな・・・・・・」
そこで言葉を止める。トウジの念が強まる。
「いや、かなりいけ好かねぇな・・・・・気が変わった!お前ら俺を従わせたかったら実力でねじふせてみやがれ!」
ロックされているのにも関わらず、挑発する。
「独眼竜のリーダーはたやすかねぇぞ!」」
イータの念を逆探知し、おおよその位置を把握。瞬時にビームキャノンを発射する。
202 : ◆PyMJ9n/wBY:2011/06/17(金) 10:08:06
>>201
「グラーフ……なに言ってんだお前?ひょっとしてDCの残党のことかよ?」
「辰希君、あの人と話が食い違ってるみたいよ……」
「……みたいだな。多分、薬でも射って頭がどうにかなってんだろ?詳しい事は取調室でk」
またもや態度を覆したアンノウン。ケンカっ早いセリフを吐くが早いか、いきなりシグルド改にビームキャノンを放ってくるアンノウン
「イータちゃん!?そそ、そんな……念動力から位置を読んだの?」
多重念動障壁を展開したドラウプニル改がアンカーで固定されたままのシグルド改の盾になる。両機体共に被害は無い様だ
「……どうして!?」
イータはアンノウンのパイロットの荒々しい念の奔流を感じ、一瞬、気押される。
「わりぃイータ。説得失敗だ。撃て。ただし、コクピットは残せよ?」
「……辰希!?了解。ハイゾルランチャー、エネルギー解放。……コンセントレート」
シグルド改の両肩の砲門からハイゾルランチャーが発射される。狙撃用に弾道を集中させ、密度と弾速を最大限まで高めた超速の金属粒子砲が2本、アンノウンの両腕目掛けて照射される
203 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/17(金) 10:51:34
>>202
高速で放たれた重金属粒子がドラグーンに迫る。
「撃ってくるのまでは予想通りだが、コクピットじゃねぇのは予想外だぜ」
ハイゾルランチャーを両腕のビームシールドで受け流す。
「あいにくとビームには滅法強い仕様なんでね!」
シールドを抜けた粒子もビームコーティングに阻まれ決定打とはならない。
「この程度で俺に勝てると思うなぁ!」
TEXチーム全員に向けミサイルランチャーを放つ。
204 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/06/17(金) 10:58:02
>>201>>202
「こーふくしてください!」
突如、突撃してきた
アインツェルがツインビームライフルで、アンノウンを攻撃していく
牽制などないただの射撃だが、一発一発に正確さがあり、彼女の先読みの技量により、さらにそれは増している
アインツェルの突破力は戦闘機並だ。その間に、相対距離はかなり短いものになる
「TEXチームの皆さん大丈夫ですか?私、ケイトが来たからにはもう安心ですよ!」
通信だだもれの中、TEXチームに宣言する
彼女、ケイト・ラインハルトの悪名は折り紙付きだ
腕はたつが、何分命令の趣旨を勝手に曲解する。スタンドプレーには優れるが、チームプレーには向かない
味方にも迷惑はかけるが、相手方への負担も大きい。そのため、つけられたあだ名は歩く爆弾
「テロリストの方は降伏してください!でなければ、私が倒しちゃいますよ」
二丁拳銃を連結させ、バッテリーに直結。
エネルギー反応が上がっていく様子が観察出来る
205 : ◆PyMJ9n/wBY:2011/06/17(金) 12:07:56
>>203
「……対エネルギーコーティング? ごめん、狙撃失敗した」
敵は同じ砲撃機体。位置を知られた以上、一点に止まるのは危険と判断したイータは、地面に刺さったマルチアンカーを取り外し射撃ポイントから離脱。
「おぅ! なら後はサクラと一緒に俺の援護にまわってくれ」
「……了解、辰希」
「わ、わかりました」
高機動飛行形態でマシンガン状の念動弾をばら撒きつつ、アンノウンへ接近するエクスカリバー。
その際、討ち漏らしたミサイルはシグルドとドラウプニルが迎撃していく。
「ただのカトンボだと思うなよ……!!」
その加速に乗ったまま、タツキは空中にてエクスカリバーをPTモードに移行。腰のロシュセイバーを引き抜くと上段からアンノウンを斬りつける。
>>204
「おっしゃケイト、俺と一緒に突撃だ。俺は右、お前は左からだ! いい子だから言うこと聴いてくれよ、頼むからさ」
半分、諦めムードでアンノウンに指示通り右上段から斬りかかる。
この伊豆基地に彼女が来てから何度か共に戦闘をこなして来たが、なにかとスタンドプレーに走る彼女に連携を持ち掛けても寝耳に水だという事はよくわかっている。
206 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/17(金) 18:52:15
>>205>>204
「ちっ!新手かよ。出来るもんならやってみやがれ!」
ビームをシールドで受け止める。
「狙いがよすんぎんだよ!」
直後にエクスカリバーの斬撃が襲う。
「やるじゃねぇか!」
咄嗟にビームブレードで防ぐが、そこで限界だった。
「シット!」
脚部を連結されたビームライフルの威力は凄まじく、かすっただけでバランスが崩れる。
ロシュセイバーを受け止めるために無理な体勢をとったことも加わり、ドラグーンは地面に不様に倒れ込んだ。
【戦闘不能】
207 : ◆vGTe9D4z5Y:2011/06/17(金) 19:30:52
>>205
「分かりました! 援護しますよタツキさん!」
そういうと言われたとおりに左側からツインビームソードを揮う。
もちろんタイミングは合っておらず、アインツェルが先行する形で攻撃を行った。
>>206
動かなくなったアンノウンを確認し、攻撃の手を休める。
「機体の戦闘不能かな。正直難しい手続きはよく分からないから、タツキさんや他の方にやってもらおう」
ビームソードを収納し、ぷかぷかと宙に浮きながら様子を見ている。
208 : ◆PyMJ9n/wBY:2011/06/17(金) 19:47:46
>>207
「って……おいおい! 全然タイミング合ってねえだろ」
やっぱりこうなったか。どうやら辰希の無駄な努力に終わったようだ。
>>206
「全く、手間をかけさせてくれるぜ…。イータ、そいつ、アンカーで固定してくれー」
「……わかった。ごめんね」
転倒したアンノウンにマルチアンカーのワイヤーをきつく巻き付け、確保する。
「もう一度言うが。両手を挙げてコクピットから出てこい。撃たれたくなかったらな」
PSY-デバイスの銃口を突き付けながら、降伏を促す辰希。
「ここまでだ。後は司令さんにまかせる」
210 : ◆rJzb6vv1uA:2011/06/17(金) 20:43:56
>>207>>208
「……男に二言はない」
弱々しく応える。
「どこにでも連れて行け!だけどな死んでもドラグーンはわたせねぇからな!!」
仕方なくと言った様子でコクピットから出てくる。
コクピットから出てきたのは右目に眼帯を付けた、ボロボロの赤いハチマキの青年だ。
パイロットスーツは着ておらず、青いTシャツ一枚というこの世界の人間が驚愕するような格好である。
最終更新:2011年06月27日 22:43