天下のハリウットスター様◆4ajyjN4fcU
私の名前は仁木美香。
お父さんがとある町で町長をしているということ以外は、どこにでもいる普通の女の子である。
最近、自分の体にとある変化が起きたことが悩みではあるのだが、それはそれ。
体の悩みは思春期には良くある話である。まあ、具体的にどこに何が起きたかは言わないが。乙女の秘密である。詮索すんなよ、マジで。
お父さんがとある町で町長をしているということ以外は、どこにでもいる普通の女の子である。
最近、自分の体にとある変化が起きたことが悩みではあるのだが、それはそれ。
体の悩みは思春期には良くある話である。まあ、具体的にどこに何が起きたかは言わないが。乙女の秘密である。詮索すんなよ、マジで。
道の中心をとぼとぼと行くその歩みに合わせて、ポニーテールが揺れる。
殺し合いの舞台の中で逃げも隠れず歩くさまはまさしく威風堂々。
それは、どんな相手が襲いこようとも返り討ちにしてやんよ、という自信故という訳でもなく。
単純に危機感に欠けていると言うか、現実感がないだけの話である。
殺し合いの舞台の中で逃げも隠れず歩くさまはまさしく威風堂々。
それは、どんな相手が襲いこようとも返り討ちにしてやんよ、という自信故という訳でもなく。
単純に危機感に欠けていると言うか、現実感がないだけの話である。
そりゃそうだろう。
こんなぺら紙一枚で殺しあえって方が無理がある。
首に変なわっかはついてるし拉致られたのも確かだけど、それだけで殺しあえとか言われても、ねぇ?
こんなぺら紙一枚で殺しあえって方が無理がある。
首に変なわっかはついてるし拉致られたのも確かだけど、それだけで殺しあえとか言われても、ねぇ?
そして私に支給されたであろうリュック。
その中から取り出した名簿を目を細め月明かりを頼りに眺める。薄暗い中で細かい字を読むと目が悪くなりそうである。
んで、その感想。
その中から取り出した名簿を目を細め月明かりを頼りに眺める。薄暗い中で細かい字を読むと目が悪くなりそうである。
んで、その感想。
「う~ん。知ってる名が多い気がするなぁ」
なんというか、お父さんもいるみたいだし。
同じ中学の同級生である三葉くんに大島さん。
役場の山本さんに、本屋の三条さん。
探偵の桜井くんに葛西さん。
最近開院した今野さん夫婦。
流石に町民全員とまではいかなくとも、町長の娘という立場柄、町で商売やってる人くらいなら大抵知っている。
全員が全員知っているというわけじゃないけど、知ってる人間。というより同じ町の人間が多い。
ここにいる人間は世界を観測する選ばれし者という話だったが、うん。選ばれ過ぎだろ、ウチの町。
同じ中学の同級生である三葉くんに大島さん。
役場の山本さんに、本屋の三条さん。
探偵の桜井くんに葛西さん。
最近開院した今野さん夫婦。
流石に町民全員とまではいかなくとも、町長の娘という立場柄、町で商売やってる人くらいなら大抵知っている。
全員が全員知っているというわけじゃないけど、知ってる人間。というより同じ町の人間が多い。
ここにいる人間は世界を観測する選ばれし者という話だったが、うん。選ばれ過ぎだろ、ウチの町。
「…………なんか信憑性がないなぁ」
町の人間を狩りだしたサプライズ企画だろうか。
お父さんが企画しそうなことである。
リアル中二の私が言うのもなんなんだが、手紙の内容も厨二設定すぎる、やり過ぎな感は否めない。
サプライズにしてももっと方向性がなー。ホラー系よりご本人の登場です、みたいなのが私は好きなんだけどなー。
お父さんが企画しそうなことである。
リアル中二の私が言うのもなんなんだが、手紙の内容も厨二設定すぎる、やり過ぎな感は否めない。
サプライズにしてももっと方向性がなー。ホラー系よりご本人の登場です、みたいなのが私は好きなんだけどなー。
そんなくだらないことを考えながら歩いていると、目の前に人影が見えた。
月明かりをはじき返す艶のある銀の髪が風に流れる。
明らかに日本人とは異なる雪のような白い肌。
そして宝石のように輝く蒼い瞳。
男性に対してこの表現を使うのはどうかと思うが、ただ美しい、それ以外でたとえられない。
明らかに日本人とは異なる雪のような白い肌。
そして宝石のように輝く蒼い瞳。
男性に対してこの表現を使うのはどうかと思うが、ただ美しい、それ以外でたとえられない。
私はその相手の事を良く知っていた。
といっても当然知り合いではない。
といっても当然知り合いではない。
レオナルド・ハルヴァン。通称レオ様。
甘いマスクで女子小学生から団地の奥様まで幅広い女性を虜にしてやまない今をときめくハリウットスターである。
テレビや映画の中でしか会えない相手が目の前にいる。
この訳の分からない殺し合いなんて状況よりよっぽど非現実的な状況だった。
甘いマスクで女子小学生から団地の奥様まで幅広い女性を虜にしてやまない今をときめくハリウットスターである。
テレビや映画の中でしか会えない相手が目の前にいる。
この訳の分からない殺し合いなんて状況よりよっぽど非現実的な状況だった。
確か出演映画のPRとかで日本に来ていたということは知っていた。
たしか昨日は近くの町で記者会見を行っていたはずだ。
私自身はそれほど興味があったわけではないが、レオ様ファンである友達数名が野次馬に行く行かないで騒いでたので記憶には残っている。
たしか昨日は近くの町で記者会見を行っていたはずだ。
私自身はそれほど興味があったわけではないが、レオ様ファンである友達数名が野次馬に行く行かないで騒いでたので記憶には残っている。
体の一部に少女として不適切なモノがついたりつかなかったりしているけれども、そこは曲がりなりにも花の女子中学生である。
興味がないと言っても、ハリウッドスターに合えばいやがうえにも興奮するというもの。
興味がないと言っても、ハリウッドスターに合えばいやがうえにも興奮するというもの。
「えっと、えっとサ、サイン…………いや、今色紙ないな、なら握手……って英語でなんていうんだけ。えっとハンド、ハンド……クロス? いやキャッチプリーズ!」
思わず駆け寄り、もう思いっきりテンパリながらも支離滅裂の中学生英語で握手を求めた。
そんなこちらに対し、天下のハリウットスター様はこちらの意図を汲んで溶けるんじゃないかというほどの爽やか笑顔を向けてきた。
そんなこちらに対し、天下のハリウットスター様はこちらの意図を汲んで溶けるんじゃないかというほどの爽やか笑顔を向けてきた。
「Oh are you my fan? It is glad.」
やわらかに差し出した手が握り返された。
いやぁ、ただのミーハー心で特別ファンという訳じゃなかったけど、マジファンになりそう。
やばい興奮しすぎて股の間から変なのでそう。
変な意味じゃなくて、っていやまぁ変な意味だけど。
いやぁ、ただのミーハー心で特別ファンという訳じゃなかったけど、マジファンになりそう。
やばい興奮しすぎて股の間から変なのでそう。
変な意味じゃなくて、っていやまぁ変な意味だけど。
「が、頑張ってください。応援しています!」
「Thank you Girl」
「Thank you Girl」
私の月並みすぎる(そもそも日本語である)凡コメントに対しても嫌な顔せずにこりと笑うレオ様。
口元から見える彼のチャームポイントである八重歯がまぶしいぜ。
満足しながら、名残を惜しみつつ手を放そうとしたが、レオはその手を放そうとしない。
何かな? と疑問に思ったのも束の間、ぐぃっと握られた手を引かれた。
ゴリとした固い感触が胸元に触れた。
口元から見える彼のチャームポイントである八重歯がまぶしいぜ。
満足しながら、名残を惜しみつつ手を放そうとしたが、レオはその手を放そうとしない。
何かな? と疑問に思ったのも束の間、ぐぃっと握られた手を引かれた。
ゴリとした固い感触が胸元に触れた。
「――――and I'm sorry.」
私でもわかる様なわかりやすい英語の後に、パン、という音が鳴った。
なんの音だと疑問に思う前に私の体はぐらりと倒れる。
その途中、悲しそうな目で蒼い瞳を細めるレオナルドが目に入った。
拳銃を片手に返り血を浴びる姿も絵になってかっこいいな、なんて。
そんな場違いなことも考えながら、私の意識は闇に落ちた。
なんの音だと疑問に思う前に私の体はぐらりと倒れる。
その途中、悲しそうな目で蒼い瞳を細めるレオナルドが目に入った。
拳銃を片手に返り血を浴びる姿も絵になってかっこいいな、なんて。
そんな場違いなことも考えながら、私の意識は闇に落ちた。
■
銃口から上がる硝煙をふっと吹き消し、レオナルドは頬についた返り血を舌を出しペロリと舐めとった。
映画のPRのために訪れた日本で大変なことに巻き込まれた。
連日の記者会見やPR活動で疲れた体を癒すため近くの町まで移動しホテルで仮眠をとっていた。
そして目を覚ました場所はまったく知らない場所だった。
レオナルドの枕元に置かれていたのは、ご丁寧にもルーマニア語で書かれていた置手紙だった。
その内容は言わずもがな。
あんな世迷言信じちゃいないが、イカれた集団に拉致されて殺し合いを強要されていることだけは確かだった。
そして、手紙の横に置かていた荷物の中にあった、拳銃。
普段使っている小道具とは違う本物の銃だ。二発ほど試し撃ちもしてみたが間違いなく本物。ドッキリか何かではないのは確かなようだ。
連日の記者会見やPR活動で疲れた体を癒すため近くの町まで移動しホテルで仮眠をとっていた。
そして目を覚ました場所はまったく知らない場所だった。
レオナルドの枕元に置かれていたのは、ご丁寧にもルーマニア語で書かれていた置手紙だった。
その内容は言わずもがな。
あんな世迷言信じちゃいないが、イカれた集団に拉致されて殺し合いを強要されていることだけは確かだった。
そして、手紙の横に置かていた荷物の中にあった、拳銃。
普段使っている小道具とは違う本物の銃だ。二発ほど試し撃ちもしてみたが間違いなく本物。ドッキリか何かではないのは確かなようだ。
しかし言葉が通じないのは面倒だ。
英語とルーマニア語ならわかるが、日本語はさすがにわからない。
一緒に来日したアリアは多少話せると言っていたが、自分にはさっぱりだ。
まあ、どうでもいい話だが。
どうせみんな、話すまでもなく殺すのだから。
人殺しなんてしたくないし、そんなのは映画の中だけで十分だと思うけれど。
カルネアデスの板。
他の人間を蹴落としてでも生きたいと思う。
だから、殺し合いに乗って、冷徹な殺人者だって演じて見せる。
大丈夫、演技は得意だ。
自分を騙すことだって問題ないさ。
英語とルーマニア語ならわかるが、日本語はさすがにわからない。
一緒に来日したアリアは多少話せると言っていたが、自分にはさっぱりだ。
まあ、どうでもいい話だが。
どうせみんな、話すまでもなく殺すのだから。
人殺しなんてしたくないし、そんなのは映画の中だけで十分だと思うけれど。
カルネアデスの板。
他の人間を蹴落としてでも生きたいと思う。
だから、殺し合いに乗って、冷徹な殺人者だって演じて見せる。
大丈夫、演技は得意だ。
自分を騙すことだって問題ないさ。
【一日目・深夜/E-4 道端】
【仁木美香 死亡】
【仁木美香 死亡】
【レオナルド・ハルヴァン】
【状態】健康
【装備】デザートイーグル(12/15)
【所持品】基本支給品 +美香の支給品
【思考】
1、殺し合いに乗って生き残る
※日本語がわかりません。英語とルーマニア語ならわかります。
【状態】健康
【装備】デザートイーグル(12/15)
【所持品】基本支給品 +美香の支給品
【思考】
1、殺し合いに乗って生き残る
※日本語がわかりません。英語とルーマニア語ならわかります。
08:3人 | 時系列順 | 10:残酷な現実のテーゼ |
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仁木 美香 | 死亡 | |
レオナルド・ハルヴァン | :[[]] |