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残酷な現実のテーゼ

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残酷な現実のテーゼ◆o7DW0ESrOc




殺し合いの一参加者である少女、神楽夢は困っていた。
『40人で殺し合え』、大体に訳すとそういう意味になる手紙を渡され読んだ時は自分の運命を呪った。
これからも、普通な人生を送っていこうと思っていた。
それなのに、こんな現実離れした場所や、電波が書いたかの様な手紙を渡され、殺し合いを強要されたのだ。

「わたし、ついてないよな」

ただとぼとぼと歩きながら、肩を落とす。

「…わたしは普通。わたしは普通でなきゃ…」

ついそう、自分に言い聞かせた神楽であるが、実は彼女、ただの普通な女子高生ではない。

彼女の実家は神社だ。
そこで神楽は、親の手伝いという名目で巫女をやっている。
ただ、そこまで有名な神社ではない為か、年末年始以外は暇を持て余す様な毎日だ。
だが、彼女には暇を持て余す事は出来ない。
彼女には見えるのだ―――いわば、霊が。
だからといえども、彼女はそれをテレビのインチキ臭い霊能力者の様に悪用はせず、ただこうして今も普通を『偽っている』。
それはどうしてなのか。

(…認めたくないからよ。そんな非科学的なもの)

これまで神楽の目に映ってきたのは、様々な存在しない者達だ。
空を飛ぶ内臓がはみ出た犬。
その犬と一緒になって飛ぶ目と片方の翼が無い烏。
建物をすり抜ける穴だらけの猫。
腕と首が無い、同じ年齢らしき制服姿の少女(?)。

普通ならば、いや普通じゃない彼女だからこそ、認めたくない。
相手に気づかれる事は無いのがよかった上に、今は慣れたとはいえ、やはり小さい頃は嫌だった物だ。

「…って、落ち込んでても何も始まんない、か。どうするか考えないと」

と、そう切り替えをすると神楽は渡されたディパックの封を、やや戸惑いながら開く。
中には水、食料、コンパス、地図、それとネットゲームらしきソフトと、煙草がが入っていた。

「わたしに戦わせる気あんのかしら…」

そう主催者への愚痴をこぼしながら更に中を漁ると、一枚の紙が出てくる。

「ん?参加者名簿?どゆ事よ…」

そう標題を見て、下に目をやると、

「相澤猛、芳賀唯、鍔隠誠也、祝伴内、加藤清正ぁ!?なにこれ…」

と、自分の家族や親族は居ないものの、変わりと言わんばかりに自分と同じ学校の生徒や教師が名を連ねていた。
少し神楽は名簿から目を離し、彼等の事を考えてみる。

(確か芳賀さんはあの茶髪の子、鍔隠君は名前が珍しいから覚えてる、加藤さんは口調変だから頭に残ってる。残り二人は教師だから割合っと)

こういう際に知り合いが多い…最大の武器になるかもしれないが、それが自らの喉元へと突き付けられるかもしれない、という例えるならば諸刃の剣だ。
しかし、知り合いが居るとなると安心もする。
少しばかり神楽は心を落ち着かせた。

「…ま、こんだけ居るんだ。一人ぐらい会えるでしょ」

そう呟いて、神楽はディパックへと名簿を戻した。
少し頭髪をかき上げて、目をいつもより多くまばたきさせる。
どうやらこの一連の動作が訳が分からなくなった時のクセらしい。
しかし、クセにいちゃもん付けても意味が無い。
現に、この場では何をしても構わないらしいし、神楽としても、あの手紙に従って殺し合わなくてはならない。

「はぁ…わたしに人なんて殺せるのかなぁ…」

心に大きくある不安。
神楽の心の中はその不安で充満していた。
今にもその心を突き破りそうな『殺人』の不安は、まだ止められない。
今のところは誰にも。
絶対に。絶対に。
空に広がる星空が、何処までも続くかのように。

【一日目・深夜/F-4】
【神楽夢】
【状態】健康、少し不安?
【装備】無し
【所持品】基本支給品、ネットゲームソフト『デス・ザ・ファイト』、煙草(2箱)
【思考】
1、わたし、ついてないなぁ。
2、殺し合いは…んー…出来そうも無いけど…
3、知り合いが居た事に驚き

【ネットゲームソフト『デス・ザ・ファイト』】
全世界で大ヒット中のイギリス産ネットゲームのソフト版。DL版より操作性がアップしている。
【煙草】
煙草。吸いすぎはいけない。8本入りが2箱支給。


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