オリジナルキャラ・バトルロワイアル2nd(ver.2)まとめwiki

OP案:『今から、開始だ』

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OP案:『今から、開始だ』 ◆ORI/A.SOic


 ――― 面白いゲームがあるんだが、君もちょっと参加してみないかい?
 ――― なンてったって、勝てばべらぼうな大金が手に入るって話だからね。
 ――― 危険? ま、0じゃあないさ。そりゃ、当然ね。
 ――― 違法なんじゃないかッてのは、愚問だな。そーゆーレベルの話じゃあないよ。
 ――― とにかく、スリリングでエキサイティングなのは間違いないね。


 ――― この、バトルロワイアルってのは。


◆◆◆

 ポトリ。
 雫が鼻の頭に垂れた。
 目を開けるが薄暗い。いや、薄暗いのではなく仄明るい、というべきか。
 地下室、のように見える。瞬間的な印象だ。湿度があり、かびくさい気がするし、壁も床も冷たい石壁。
 地下牢か? なんて考えも一瞬過ぎるが、どうも違う気がする。
 鈍った頭を押さえて、上体を起こす。痛みはない。怪我をしているわけではないらしい。
 がちっ。
 気付いたのは、首が引っ張られる感覚と、鉄の音。
 一体何事か。そう考え、答えを知り、慄然とする。
 自分の首に填められた鉄の首輪と、そこから伸びる鉄の鎖。その鎖が壁に固定されていて、身動きが取れなくなっているという事に。

 悲鳴。嗚咽。叫び。そのどれでもあり、そのーどれでもない声が、果たして本当に自分の口から発せられたか。
 発せられたのか分からぬうちに、今度は声がした。
 その鎖の付け根にちょこんと置いてある、古く汚れたパペット人形からだった。

『――― やあ、お目覚めだね、諸君』
『少々記憶が曖昧で、戸惑っている者もいるだろうが、私の話を聞いてくれ』
『ああ、勿論大事な話だ』
『君たち各所から集められた30名は、今、ゲームの参加者としてここに居る』
『スリリングでエキサイティングなゲーム』

『バトルロワイアルの、だ』
ルールは単純。ただ時間いっぱい元気に殺し回って最後の一人になれば勝利、だ』
『敗北条件はいくつかある。一つは死ぬこと。もう一つはゲーム会場から逃げ出すこと。そして、入ってはいけない区域に入ること』
『勝者には莫大な褒美が与えられ、敗者には死あるのみ。実にシンプルだ』

 加工されたようなその声は、ただ淡々と狂ったルールを説明している。

『勿論そのままでは心許ないだろう』
『足元を見てくれ。そのバッグの中にあるのが、君の"支給品"。殺し合うのに便利な道具、だ』
『まずは、食料と水、地図、名簿、灯り等がある』
『そしてもう一つは、武器かそれに類するもの』
『最後に、“スキルカード”だ』
『この“スキルカード”は、実に重要で有意義なものだ』
『この“スキルカード”は、君の首輪に付いている差し込み口に入れることで、特別な能力を与えてくれ、先へと進む重要な“鍵”となるからだ』

 半ば混乱した頭で、バッグの中を探る。たしかに、言われたとおりのものがある。

『ゲームは72時間』
『今から、開始だ』

 その声と同時に、異変が起きる。

『おっと。人によっては今、開始前の軽いウォーミングアップイベントが起きているかもしれないね』

 この地下室らしき空間の上から、水が降ってきた。それも、大量に、だ。
 慌てて、バッグを掴む。
 掴むが、水は瞬く間に足首、脛、そして膝へと溜まっていく。

『さあ、どうする? 君たちは選ばれた存在なんだ。このくらいはクリアしてもらわなとね』

 首。首輪だ。首輪が、鎖で壁に繋がっている。
 その長さは2メートル前後。この室内の高さは2メートル半だろうか。何れにせよ、水が充満すれば、ゲームどころではない。スタート間もなく死を迎えることになる。

 パニックになった頭を必死で巡らせる。首。鎖。これを外さねば。首輪? いやそんなのは不可能だ。つるりとした表面に指を這わせても、まるでとっかかりもなく滑らかで、何より硬い。
 膝上。太腿。
 鎖? 引っ張れば切れるか? いや或いはあの付け根に何か仕掛けが?
 股下。腰。
 見回す。何か無いか? 斧か、工具か。
 臍下。鳩尾。
 頭を掻きむしり、首を激しく動かす。
 胸。首下。
 水はどんどん溜まって行き、体がそれに応じて浮力を感じる。
 何だ? 何かが必要だ。
 口の中に水が入る。なんとか吐き出すが、止めどもない。
 何が? 鍵だ。これを外す鍵。首輪を外すか

◆◆◆

 夜だ。
 薄暗いのではなく、仄明るいのだという推測は当たっていた。
 今は夜だ。
 星空を見上げる。見たこともない星空だ。
 数度咽せて、気管に残っていた水を吐き出す。
 後ろを見ると、階段の下は水に寝れているが、既に排水され、今はただの地下室でしかない。
 先程、自分を殺しかけた事が、信じられぬほど静かな。

 鍵は、スキルカードだった。
 先へと進む重要な"鍵"。文字通り、スキルカードを首輪に付いたスロットに差し込むことで、鎖が外れ、排水が始まり、そして上へと登る階段が作動したのだ。
 ふざけたジョークの様なこの仕掛けだが、その事に気がつかねば、やはり自分は死んでいただろう。
 水に濡れたバッグを肩に掛ける。
 体が冷えている。何処かで休まないとままならないだろう。
 しかし―――、と、考える。
 30人が同じように集められ、同じように殺し合えと言われている?
 尋常ではないこの状況で、しかし一体どうすれば良いか。
 一つだけ。一つだけ、最後にあの人形が発した言葉を思い出す。

『――― 覚えているかな? 忘れているだろうけれど、一応言っておこう』
『私は、君たちの中にいる』
『いずれ、会えるだろう ―――』

 何処かさほど遠くない知覚で、音が聞こえた。
 聞こえた気がしただけかも知れない。
 誰かと会うことになるか、それとも誰かと ――― 殺し合うことになるか。
 背後を再び見てみると、ただ僅かに仄明るい地下の空洞が広がって居るのみだった。

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