【名前】山折 宗玄(やまおり そうげん)
【性別】男
【年齢】78
【職業】前村長、現在は隠居した老人。
【外見】頭髪は薄い。小柄だが肉体年齢40代前後、とても元気。
【性格】村民全員の顔を覚え、すれ違えば声をかける優しいおじいちゃん。歳相応に思慮深く、博識である。
【異能】『村人よ我に従え(ザ・ヴィレッジキング)』
「山折村の住民」に対して発される、絶対命令権。山折村に住む者、あるいは住民だという自覚がある者は宗玄の命令を拒むことはできない。
ただし同じ対象に対して命令できるのは一度だけ。命令を実行している間、対象は宗玄に対して一切の思考・行動が不可能(無防備になる)。
命令はほぼ万能であるが、ただ一つ、自死を命じることだけはできない。村人を自ら減らす=村を衰退させる行為に該当するからである。
実際に村の外からやってきて定住しておらず、さらに自らを村外の住民だと強く認識している者には何の効果も示さない。
逆にある程度の期間(一ヶ月以上)村に滞在していれば、居住実態が村外にあろうとも「村人」の属性を得てしまうため異能は発動する。
【詳細】
山折村前村長にして、
山折 圭介の祖父、
山折 厳一郎、
ケージ・スゴクエライ・トテモツヨイ・ヤマオリの父。
村長職を息子の巌一郎に譲って隠居した後は好々爺として日々を穏やかに暮らしている……というのは表向きの話。
その実態は、
八柳 藤次郎が絶滅を願ってやまない山折村の「歪み」そのもの。
外部からの移住者を除く現在の山折村の村民は、多少の例外はあれど大多数が宗玄の血を引いている可能性がある。
山折村が集落として完成した過去の時代、最も強い雄である村長は村の女性を孕ませるという役目を担っていた。
そうした時代が長く続き、村の運営が安定したころ、このような風習は非人道的だという風潮が発生した。それが宗玄から数えて数代前の時代。
宗玄は己が村長となったとき、その掟を復活させた。もちろん、そんなふざけた村の男達が受け入れるはずもなかったため、宗玄は現実的な手法をとった。
山に自生する麻薬草を使った催眠である。加工し煙を吸わせることで強力な睡眠作用と排卵作用を引き起こす。
家族で実験し草の使い方に熟達した宗玄は、村の新婚の女性に片っ端から夜這いをかけた。
今まさに事に及んでいる夫婦の寝室に忍び寄り、ヤク煙を流し込み、眠りこけた夫の代わりに妻に種付ける。この行為は宗玄の自尊心をこの上なく満足させた。
行為は誰にも露見することなく続く。村長職を息子に譲った後も。息子の妻を犯した後も。
齢78を数えてなお村内マラソン大会で優勝するほど元気だが、それは上述の行為により男性ホルモンが常に分泌され続け、常に雄としての絶頂期にあるからである。
農作業で鍛えた腕っ節も健在。若いころは隣村との土地を懸けた殺し合いも経験しているため、拳闘や農具を武器として扱う心得もある。
こうして村で出産を迎える女性には、我知らず宗玄の子を出産する者が存在する。
もちろん、無事に本来のパートナーの子を授かる家庭もある。が、割合としてはかなり少ない。数少ない確定した例外は、
八柳 哉太。
哉太の両親が行為中、当然宗玄は乱入しようとしたのだが、剣術の精神集中によりヤク煙の作用を耐え切った
八柳 藤次郎に阻まれたため。
このとき藤次郎は山折村の忌まわしき歪みを知ったのだが、公表することはできなかった。
何故なら自分の子と信じていた哉太の親は(あるいはそのパートナーも)、宗玄の子である可能性があったからである。
宗玄は確実に破滅させられるが、子と孫の人生もまた同時に破滅する。その未来を藤次郎は選べなかった。
藤次郎にできることは、寝ずの番をして自らの子には絶対に宗玄を近づけさせないことだけ――つまりは、孫を無事に生まれさせるために、それ以外の村民を見捨てたのだ。
そして宗玄は藤次郎が手出しできないことに愉悦を感じつつ、外道を繰り返す。この屈辱と憎悪が、後に藤次郎に村の一切斬滅を決断させることになる。
VH後、真っ先に長年連れ添った妻を斬れたのも、宗玄に穢されたことを知らないまま逝かせてやりたかったからであろう。
息子である厳一郎が外部から研究所を誘致した際、前村長として相談を受けている。
計画の全てを知らされてはいないが、VH発生後は断片的な情報からウイルスが引き起こす異能についていち早く理解し、野望のために動き出すことを決意する。