(花音ちゃんはどんなのを喜ぶんだろう……?)
授業中、私はふとそんなことを考える。
出来合い、手作り。手作りにしても、味、形なんかも考えられる。うーん。
そう、チョコレート。バレンタインが目前に迫った、2月の初めなのです。
(花音ちゃんのことだから、手作りが良いんだろうな、とは思う……)
うーん、……というか、なんで花音ちゃん限定で考えてるんだろう、私。ミカちゃんや紗夜ちゃんにもあげるよね、普通。……うーん、手作りか。 みんなそんなに気合いを入れるものなのかな……手作り……。
「じゃあ次の段落は和田に読んでもらおう」
手作り……、手作りなら……。
「和田?」
「手作り……っ!」
…………声に出てしまった。
「おっ、気合い入ってるなー和田、好きな男子でもいるのか?」
「いえっ、違います……!」
「違っても良いけど、考えるのはまた後でな」
クラスがどっと笑いに包まれる。……うぅ……。
授業中、私はふとそんなことを考える。
出来合い、手作り。手作りにしても、味、形なんかも考えられる。うーん。
そう、チョコレート。バレンタインが目前に迫った、2月の初めなのです。
(花音ちゃんのことだから、手作りが良いんだろうな、とは思う……)
うーん、……というか、なんで花音ちゃん限定で考えてるんだろう、私。ミカちゃんや紗夜ちゃんにもあげるよね、普通。……うーん、手作りか。 みんなそんなに気合いを入れるものなのかな……手作り……。
「じゃあ次の段落は和田に読んでもらおう」
手作り……、手作りなら……。
「和田?」
「手作り……っ!」
…………声に出てしまった。
「おっ、気合い入ってるなー和田、好きな男子でもいるのか?」
「いえっ、違います……!」
「違っても良いけど、考えるのはまた後でな」
クラスがどっと笑いに包まれる。……うぅ……。
(私は一体何をしに来ているんだろう……)
スーパーの一角。少し飾られて適当に盛り上げられている売り場。
『Happy Valentine!!!』
「はぁ……」
私も、こんな浮かれたものに手を出すようになるとは、思いもしなかったな。
それはそうと、どうせ買うなら一つ買うだけでみんなに配れるものが良いだろう、面倒はあまりしたくないものだし……。このお徳用チョコとか言うので良いのかな? 私はそれへと手を伸ばすと。
「あっ」「あら」
もう一つの綺麗な手がぶつかった。
「米原くんか……キミも楽したいのかい?」
「奇遇ですのね中島様。……これは溶かして新しく形を作るのに便利なものですのよ?」
米原くんはチョコを手にとってそういう。
「そうなのか。まあ、私はそのまま配らせてもらうがね」
「草生えますわね」
「そうかい。ところで米原くんは手作りなのかい?」
「そ、そうですわよ、悪いですの?」
「悪くはないが……多分私の為ではないだろう?」
「……ええ」
「そう言い切られてもそれはそれで傷つくものだね」
「うるさいですわね……」
「まあ、頑張ると良いよ、思いが伝わるといいね」
「こ、こんなところで言わないでくださいまし!」
「はいはい」
いやしかし……、バレンタインとの向き合いかたは人それぞれなものだね。
スーパーの一角。少し飾られて適当に盛り上げられている売り場。
『Happy Valentine!!!』
「はぁ……」
私も、こんな浮かれたものに手を出すようになるとは、思いもしなかったな。
それはそうと、どうせ買うなら一つ買うだけでみんなに配れるものが良いだろう、面倒はあまりしたくないものだし……。このお徳用チョコとか言うので良いのかな? 私はそれへと手を伸ばすと。
「あっ」「あら」
もう一つの綺麗な手がぶつかった。
「米原くんか……キミも楽したいのかい?」
「奇遇ですのね中島様。……これは溶かして新しく形を作るのに便利なものですのよ?」
米原くんはチョコを手にとってそういう。
「そうなのか。まあ、私はそのまま配らせてもらうがね」
「草生えますわね」
「そうかい。ところで米原くんは手作りなのかい?」
「そ、そうですわよ、悪いですの?」
「悪くはないが……多分私の為ではないだろう?」
「……ええ」
「そう言い切られてもそれはそれで傷つくものだね」
「うるさいですわね……」
「まあ、頑張ると良いよ、思いが伝わるといいね」
「こ、こんなところで言わないでくださいまし!」
「はいはい」
いやしかし……、バレンタインとの向き合いかたは人それぞれなものだね。
(なあ紗夜)
「ん? なあに、あや」
(そろそろあの日だが……、今年はどうするんだ?)
「あの日? せい……」
(それは一年に一回ではないだろ、おい)
「あー、ばれんたいん、か」
(何があー、なのかはよく分からんが、どうするんだ?)
「んー、もらう?」
(誰から?)
「え、みんなから?」
(あいつらか)
「みんなやさしいからくれるでしょ」
(まあ一理ある。少し分けてくれな)
「いいよー」
「ん? なあに、あや」
(そろそろあの日だが……、今年はどうするんだ?)
「あの日? せい……」
(それは一年に一回ではないだろ、おい)
「あー、ばれんたいん、か」
(何があー、なのかはよく分からんが、どうするんだ?)
「んー、もらう?」
(誰から?)
「え、みんなから?」
(あいつらか)
「みんなやさしいからくれるでしょ」
(まあ一理ある。少し分けてくれな)
「いいよー」
「はい、第一回チキチキあかりんへのチョコレートをつくっちゃおう大会~、どんぱふ」
「変に盛り上げないでくださいまし」
「さあさあ、バレンタインに妙に気合いの入っているかののんを救うために、ミカちゃんと川崎さんが緊急参戦でございますよ~」
「え、川崎も来るんですのこれ」
「えー、というわけで、今はチョコを湯煎しているわけですね~」
「聞く耳を持たないならちぎりますわよ」
「異物混入は避けられますよう、花音様」
「川崎、正論という名のボケをやめてくださいまし」
「……さあ、作っていきましょう」
「流しましたわね、VeRTEXもびっくりですわよ」
「変に盛り上げないでくださいまし」
「さあさあ、バレンタインに妙に気合いの入っているかののんを救うために、ミカちゃんと川崎さんが緊急参戦でございますよ~」
「え、川崎も来るんですのこれ」
「えー、というわけで、今はチョコを湯煎しているわけですね~」
「聞く耳を持たないならちぎりますわよ」
「異物混入は避けられますよう、花音様」
「川崎、正論という名のボケをやめてくださいまし」
「……さあ、作っていきましょう」
「流しましたわね、VeRTEXもびっくりですわよ」
「バレンタイン……か……」
スーパーの上りを見て、思わずそう呟く。
世の乙女は、手作りのチョコレートを意中の人に渡したりするんだろう。でも、私は……。
「あかり……」
届けられない。チョコレートも、私の気持ちも。
ふと、通りすぎた文字が脳を支配する。宅配便。
……もしかして、チョコって送れるのかな。……よし。
少し道を戻って、スーパーへ材料を揃えに行くことにした。……ふふっ。
スーパーの上りを見て、思わずそう呟く。
世の乙女は、手作りのチョコレートを意中の人に渡したりするんだろう。でも、私は……。
「あかり……」
届けられない。チョコレートも、私の気持ちも。
ふと、通りすぎた文字が脳を支配する。宅配便。
……もしかして、チョコって送れるのかな。……よし。
少し道を戻って、スーパーへ材料を揃えに行くことにした。……ふふっ。
丁寧にラッピングしたチョコレートを、鞄の中に入れる。今日、きっと必ず、あかりに渡す。
「花音様、お早う御座います。行ってらっしゃいませ」
「ええ、川崎」
「……御武運を」
川崎は、普段は到底見せそうにないくらい、嬉しそうな顔でそう言いました。
「……ありがとう」
いつも以上の感謝を伝えて、私は門を出た。……!
「あ、花音ちゃん?」
「あかりっ……!」
私は思わずあかりを胸の中に抱いていた。
「……ごきげんよう」
「あはは……おはよう?」
「朝から会えて、……本当に嬉しいですわ」
「う、うん。……ちょっと離してほしいかな?」
「あら、申し訳ございませんわね……そうでした」
私はあかりの代わりに鞄のチョコへ手を伸ばした。
「は、はい。バ、バレンタインのチョコですわっ」
「えっ、……ハート型?」
「そ、そうですわよ、手作りでして……それなりに頑張りましたので」
「あ、そうじゃなくて……、花音ちゃんも手作りだったんだ、てっきり高級チョコレートとかかなって思ってた」
「あ、そっちの方がよかったんですのっ!?」
「あ、いやいやそんなことないよ、そんなの私のとは不釣り合いだし……」
「……もしかしてあかりも私に?」
「う、うん。これはみんなのと一緒のやつだけど……」
そういうとあかりも鞄から何かを取り出して……え?
『あかりへ』
そう手書きで書かれた紙が貼られた箱。
「あ、これじゃないこれじゃない~……、はい、こっち!」
こんどこそ取り出したあかりのものは。
可愛らしいピンクの袋の中にブラウニーが入っていて、留め具のところにはメッセージカードも付いていました。
「あ、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
なんか他人行儀になってしまいました。年頃の女の子ってどういう盛り上がりかたをするんでしょう。それはそうと。
「花音ちゃんへ。いつもありがとう! 花音ちゃんといると……」
「こ、ここで読まないで!」
「えー」
「えーじゃないよ!」
「うーん。……そういえば、あかり」
「な、なに花音ちゃん」
「わたくしもメッセージ、付いておりますので。ひ、一人で読んでくださいまし。見られないように!」
「? 良いよ、後でね」
「……じゃ、じゃあ! 学校へ行きますわよ!」
「う、うん!」
そう言うと、わたくしもあかりも、妙に足早に通学路を進むのでした。
「花音様、お早う御座います。行ってらっしゃいませ」
「ええ、川崎」
「……御武運を」
川崎は、普段は到底見せそうにないくらい、嬉しそうな顔でそう言いました。
「……ありがとう」
いつも以上の感謝を伝えて、私は門を出た。……!
「あ、花音ちゃん?」
「あかりっ……!」
私は思わずあかりを胸の中に抱いていた。
「……ごきげんよう」
「あはは……おはよう?」
「朝から会えて、……本当に嬉しいですわ」
「う、うん。……ちょっと離してほしいかな?」
「あら、申し訳ございませんわね……そうでした」
私はあかりの代わりに鞄のチョコへ手を伸ばした。
「は、はい。バ、バレンタインのチョコですわっ」
「えっ、……ハート型?」
「そ、そうですわよ、手作りでして……それなりに頑張りましたので」
「あ、そうじゃなくて……、花音ちゃんも手作りだったんだ、てっきり高級チョコレートとかかなって思ってた」
「あ、そっちの方がよかったんですのっ!?」
「あ、いやいやそんなことないよ、そんなの私のとは不釣り合いだし……」
「……もしかしてあかりも私に?」
「う、うん。これはみんなのと一緒のやつだけど……」
そういうとあかりも鞄から何かを取り出して……え?
『あかりへ』
そう手書きで書かれた紙が貼られた箱。
「あ、これじゃないこれじゃない~……、はい、こっち!」
こんどこそ取り出したあかりのものは。
可愛らしいピンクの袋の中にブラウニーが入っていて、留め具のところにはメッセージカードも付いていました。
「あ、ありがとうございます」
「いえ、こちらこそ」
なんか他人行儀になってしまいました。年頃の女の子ってどういう盛り上がりかたをするんでしょう。それはそうと。
「花音ちゃんへ。いつもありがとう! 花音ちゃんといると……」
「こ、ここで読まないで!」
「えー」
「えーじゃないよ!」
「うーん。……そういえば、あかり」
「な、なに花音ちゃん」
「わたくしもメッセージ、付いておりますので。ひ、一人で読んでくださいまし。見られないように!」
「? 良いよ、後でね」
「……じゃ、じゃあ! 学校へ行きますわよ!」
「う、うん!」
そう言うと、わたくしもあかりも、妙に足早に通学路を進むのでした。
「花音ちゃんへ。いつもありがとう!花音ちゃんといると、毎日が楽しくって、文字通り、前より明るく過ごせている気がするんだ。 これからもよろしくね!」
「あかりへ。 これは本命ですの。 わたくしはあかりのことが好き。 少し、本気で考えてほしいですわ。 愛しております。Happy Valentine」