「ねぇ花菜~、今度プリクラ撮りにゲーセン行かない?」
「えぇ~、プリクラ~? 写真撮りにゲーセン行くとかダルいし、スマホで良くない?」
「たまにはやりたくない? ほら、コピーとかすぐできるよ?」
「美羽、今日は随分推すねぇ。パパの会社が造ってるとかなの?」
「別に回し者じゃないわっ! てことでさ、」
そこまで佐野さんが言って、私の顔を見る。
…………え?
「あかり、あんたも一緒に行かない? ゲーセン」
……なんで、どの流れで、私が佐野さんと相沢さんに誘われるんだろう。
「ほらぁ、美羽~、和田さん困ってるじゃん。イヤだったら、断っていいんだよ?」
相沢さんがフォローを入れてくれる。…………けど。
「……行きたいは、行きたいんだけど」
「そうなの!? じゃあ行こうよ!」
「まてまて美羽。この歯切れの悪い感じ、何かあるって思いなさいよ。用事とかさ」
「ううん、用事は、……ないんだけど」
「「けど?」」
二人が顔を覗き込むように近づいてくる。
「げ、ゲームセンターが、……怖くて、さ」
「えぇ~、プリクラ~? 写真撮りにゲーセン行くとかダルいし、スマホで良くない?」
「たまにはやりたくない? ほら、コピーとかすぐできるよ?」
「美羽、今日は随分推すねぇ。パパの会社が造ってるとかなの?」
「別に回し者じゃないわっ! てことでさ、」
そこまで佐野さんが言って、私の顔を見る。
…………え?
「あかり、あんたも一緒に行かない? ゲーセン」
……なんで、どの流れで、私が佐野さんと相沢さんに誘われるんだろう。
「ほらぁ、美羽~、和田さん困ってるじゃん。イヤだったら、断っていいんだよ?」
相沢さんがフォローを入れてくれる。…………けど。
「……行きたいは、行きたいんだけど」
「そうなの!? じゃあ行こうよ!」
「まてまて美羽。この歯切れの悪い感じ、何かあるって思いなさいよ。用事とかさ」
「ううん、用事は、……ないんだけど」
「「けど?」」
二人が顔を覗き込むように近づいてくる。
「げ、ゲームセンターが、……怖くて、さ」
私は、和田あかり。割とよくある私立高校に進学したばかりの高校一年生。地上四階建てで地下に体育館のある校舎、全日制の共学、進学実績もそこそこと、どこをとっても普通の高校なんだけど、一つ特殊なのがセーラー服のスカーフが選べること。一般的な赤や白、青から始まり、珍しい緑、橙、黄、紫なんかもある。たまに新しいものが入荷して種類が増えたりとかもする(しかも安いから、頻繁に変えている子もたまにいたりする)。そんな中でもスタンダードな赤を身に付けている私。……地味さが溢れ出ているでしょう?
そんなだから、四月も終わろうとしている今日の今日まで、友達といえるものが出来ていなかった。だから、佐野さんと相沢さんのお誘いはすごく嬉しかったんだけど……。
そんなだから、四月も終わろうとしている今日の今日まで、友達といえるものが出来ていなかった。だから、佐野さんと相沢さんのお誘いはすごく嬉しかったんだけど……。
「ゲーセンが怖い、とな?」
相沢さんが指先を顎につけて首をかしげる。
「う、うん。なんか、……トラウマ、みたいな感じで」
「大丈夫大丈夫! 怖い人が来たりしたら、私たちが守ってあげるって! そりゃ!」
佐野さんはそう言って、人のいない方向へ小さく蹴りを入れる。
「こう見えても、美羽はサッカー部なんだよ、和田さん」
……へぇ。
「ま、そんなわけで!」
そこまで言って、佐野さんは私の手を握って、
「ゲーセン、行かない? イヤな思い出も、良い思い出で上書きしちゃおうよ!」
とびっきりの笑顔で誘ってくる。
こうなると断ることに罪悪感を感じる自分の弱い理性を反省したくなる。
「じゃ、じゃあ行こうか……な?」私は、二人とゲームセンターに行くことになってしまったのでした。
相沢さんが指先を顎につけて首をかしげる。
「う、うん。なんか、……トラウマ、みたいな感じで」
「大丈夫大丈夫! 怖い人が来たりしたら、私たちが守ってあげるって! そりゃ!」
佐野さんはそう言って、人のいない方向へ小さく蹴りを入れる。
「こう見えても、美羽はサッカー部なんだよ、和田さん」
……へぇ。
「ま、そんなわけで!」
そこまで言って、佐野さんは私の手を握って、
「ゲーセン、行かない? イヤな思い出も、良い思い出で上書きしちゃおうよ!」
とびっきりの笑顔で誘ってくる。
こうなると断ることに罪悪感を感じる自分の弱い理性を反省したくなる。
「じゃ、じゃあ行こうか……な?」私は、二人とゲームセンターに行くことになってしまったのでした。
……そして。
三人でゲームセンターに入ろうとして、自動ドアが開いた瞬間。
三人でゲームセンターに入ろうとして、自動ドアが開いた瞬間。
「──畜生ッ!」
空気を貫くほどに鋭い声が、左側から私の耳を震わせた。
「うわ、怖いね、音ゲーやってる人かな?」
「あ、大丈夫だよ和田さん。私たちがついてるからね!」
二人が声をかけてくれているけど。
「うわ、怖いね、音ゲーやってる人かな?」
「あ、大丈夫だよ和田さん。私たちがついてるからね!」
二人が声をかけてくれているけど。
────「誰だお前?」──「お前みたいなオンナが繰る所じゃねーんだよッ!」────「さっさと帰れよ」────「ボッチ女がゲーセン来て泣いてるとか傑作だな!」───────
あのときの出来事が一瞬で脳裏を駆け巡って。
「ううぅっ!」
私は頭を抱えてその場でうずくまることしか出来なかった。
「ううぅっ!」
私は頭を抱えてその場でうずくまることしか出来なかった。
「──どうしたのあかり?」
「トラウマってやつか?」
「トラウマってやつか?」
なにも聞こえない。聞かない。
「おーい、あーかりー」
「……こんなに深刻だと思ってなかったね、和田さんのトラウマ」
「……こんなに深刻だと思ってなかったね、和田さんのトラウマ」
怖い、こわい、恐い、コワい。
「これ、救急車とか、呼んだ方がいいやつ?」
「花菜、もう二人だけで行こう?」
「……そうしよっか! ごめんね和田さん!」
二人はゲームセンターの奥へと消えていく。
「花菜、もう二人だけで行こう?」
「……そうしよっか! ごめんね和田さん!」
二人はゲームセンターの奥へと消えていく。
待って、まって、待ってよ。
そう言いたくても、口が、体が、動かなくて。そのまま、無情にも、無機質に自動ドアは閉じる。
そう言いたくても、口が、体が、動かなくて。そのまま、無情にも、無機質に自動ドアは閉じる。
私は、わたしは、私は。
ただ。
ただ。
「……楽しく音ゲーがしたいだけなのにぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
『おとげであそぼっ 第一話 その少女、米原花音』
どのくらい、こうしていたんだろう。
顔を足の間にうずめている間、私は初めて音ゲーをした時を思い出していた。
顔を足の間にうずめている間、私は初めて音ゲーをした時を思い出していた。
「あかり、誕生日おめでとう!プレゼントはあかりの欲しかった~?」
「た、たいこのたつじんだ!」
「た、たいこのたつじんだ!」
小学生のころ、CMで見た家庭用の太鼓の達人が欲しくて、ねだった覚えがある。お母さんもお父さんも、買わないよ、ってずっと言ってたけど、誕生日にサプライズでプレゼントされて、すごく嬉しかった。
「ほら、おかあさんみて! クリアせいこうだよ!」
「すご~い! あかり上手だね~」
「すご~い! あかり上手だね~」
そう言って頭を撫でてもらって。あの頃は楽しかったなぁ。
そういえば、お父さんと離れてからもう一ヶ月になるのか。少し遠くの高校だったから、この春から高校に近いアパートを借りてもらって一人暮らしだ。
……お父さん、お母さん。
そういえば、お父さんと離れてからもう一ヶ月になるのか。少し遠くの高校だったから、この春から高校に近いアパートを借りてもらって一人暮らしだ。
……お父さん、お母さん。
「そこ、どう考えても邪魔ですわよ?」
不意に背後から、冷ややかで、どこか気品のある声が響いた。
「…………!」
振り向くと、そこにセーラー服の女の子がいた。
私と同じ制服で、スカーフが紫色。髪は艶やかに黒く輝き、肩辺りまで伸びている。口を固く結び、長いまつ毛が縁取る黒い目はじっと私を見つめている。
凄く、綺麗な人。
…………というか。
「ごめんなさい!」
さっきまで動かなかった体が嘘のように足の末端から頭までピンと伸びて、私はそのまま頭を下げる。
「なんだ、生きてたんですの」
「へ……?」
なんか、……すごいこと言われた。
「まあ、いいですわ。貴女、和田様と言いましたかしら?」
「ははは、はいっ!」
私を知ってるってことは一回は会ってる……誰だっけ?
「和田様、行きますわよ。音ゲー、やりたいんでしょう?」
「……なんでそれを」
「なんで、じゃないですわよ。先程の叫び、道行く方全てが振り返っていましたのよ?」
……まじか。
不意に背後から、冷ややかで、どこか気品のある声が響いた。
「…………!」
振り向くと、そこにセーラー服の女の子がいた。
私と同じ制服で、スカーフが紫色。髪は艶やかに黒く輝き、肩辺りまで伸びている。口を固く結び、長いまつ毛が縁取る黒い目はじっと私を見つめている。
凄く、綺麗な人。
…………というか。
「ごめんなさい!」
さっきまで動かなかった体が嘘のように足の末端から頭までピンと伸びて、私はそのまま頭を下げる。
「なんだ、生きてたんですの」
「へ……?」
なんか、……すごいこと言われた。
「まあ、いいですわ。貴女、和田様と言いましたかしら?」
「ははは、はいっ!」
私を知ってるってことは一回は会ってる……誰だっけ?
「和田様、行きますわよ。音ゲー、やりたいんでしょう?」
「……なんでそれを」
「なんで、じゃないですわよ。先程の叫び、道行く方全てが振り返っていましたのよ?」
……まじか。
久しぶりのゲームセンターの内部に、きょろきょろしながら女の子の後ろを歩く。
「ピシっとなさい。誰と歩いていると思っているんですの?」
だから誰だか分からないんだってば。
誰だかは、分からないんだけど、……この子の後ろ姿には迷いを感じさせず、周りを引っ張っていく、いわゆるカリスマ性の様なものが感じられる。その強さと言ったら、さっきまで入り口でうずくまっていた私をついてこさせるくらい。
こんな綺麗で存在感のある子、見たら忘れるわけないのに、そんなに私って周りが見えてなかったんだ……。
「ピシっとなさい。誰と歩いていると思っているんですの?」
だから誰だか分からないんだってば。
誰だかは、分からないんだけど、……この子の後ろ姿には迷いを感じさせず、周りを引っ張っていく、いわゆるカリスマ性の様なものが感じられる。その強さと言ったら、さっきまで入り口でうずくまっていた私をついてこさせるくらい。
こんな綺麗で存在感のある子、見たら忘れるわけないのに、そんなに私って周りが見えてなかったんだ……。
向かっていたのは、まるでドラム式洗濯機のような筐体が特徴の、「maimai」だった。
「さ、着きましたわよ」
そう女の子が言うと、周りの視線が私達の方に向く。────うぅ。
「ここも、……か」
女の子が小さく呟く。
その後、女の子は財布から百円玉を取りだす。──今万札が十枚以上見えたのは気のせいではなさそう。
課金を完了し、プレイキャラクターにソルトちゃんを選んだ女の子は、「FLOWER」という曲を選んだ。
選んだ難易度は、最高難易度の「MASTER」……!
真剣な眼差しでプレイを始める女の子。その瞬間、周りの空気が変わったのを感じた。
思わず周りを見ると、音楽ゲームコーナーにいた殆どの人の視線が女の子に向かっていた。
それもそのはず。
ノーミスプレイを継続し続けていたんだ。
参考までに、「FLOWER」という曲は、どのゲームのどの難易度も簡単ではない。
音楽をやっている人なら分かると思うけど、BPMも173とかなり速い。この速さを有名な曲で例えるなら、X JAPANの「X」がBPM175。聴いたことがない人はどちらも聴いてみると良いよ。
ましてや難易度は最高のMASTER。maimaiのMASTER譜面というのは、挑戦するために、その曲のEXPERT譜面(一つ下)をSランクでクリアしないと解禁されない、基本的に隠し譜面なんだ。
それを難なく捌いている。それが颯爽と現れた美少女だったりしたら、注目も集まるというもの。
『FULL COMBO!』
maimai三人娘によってコールされる、フルコンボ成功。
周りは当然ざわめいた。戸惑いを隠せずポカンと口を開けている人もいれば、向き直って拍手をしている人もいる。
その反応を受け、女の子はmaimaiの筐体に背を向け、上品にお辞儀をし、そのまま大きな声で話し始めた。
「さ、着きましたわよ」
そう女の子が言うと、周りの視線が私達の方に向く。────うぅ。
「ここも、……か」
女の子が小さく呟く。
その後、女の子は財布から百円玉を取りだす。──今万札が十枚以上見えたのは気のせいではなさそう。
課金を完了し、プレイキャラクターにソルトちゃんを選んだ女の子は、「FLOWER」という曲を選んだ。
選んだ難易度は、最高難易度の「MASTER」……!
真剣な眼差しでプレイを始める女の子。その瞬間、周りの空気が変わったのを感じた。
思わず周りを見ると、音楽ゲームコーナーにいた殆どの人の視線が女の子に向かっていた。
それもそのはず。
ノーミスプレイを継続し続けていたんだ。
参考までに、「FLOWER」という曲は、どのゲームのどの難易度も簡単ではない。
音楽をやっている人なら分かると思うけど、BPMも173とかなり速い。この速さを有名な曲で例えるなら、X JAPANの「X」がBPM175。聴いたことがない人はどちらも聴いてみると良いよ。
ましてや難易度は最高のMASTER。maimaiのMASTER譜面というのは、挑戦するために、その曲のEXPERT譜面(一つ下)をSランクでクリアしないと解禁されない、基本的に隠し譜面なんだ。
それを難なく捌いている。それが颯爽と現れた美少女だったりしたら、注目も集まるというもの。
『FULL COMBO!』
maimai三人娘によってコールされる、フルコンボ成功。
周りは当然ざわめいた。戸惑いを隠せずポカンと口を開けている人もいれば、向き直って拍手をしている人もいる。
その反応を受け、女の子はmaimaiの筐体に背を向け、上品にお辞儀をし、そのまま大きな声で話し始めた。
「わたくし、maimaiをこよなく愛しております、米原花音ですわ! 以後、お見知りおきを!」
女の子──米原さんは、ギャラリーに向かって小さく手を振った。
今でも昨日のことが夢みたいに思える。
私と同じ学年の女の子が、ゲームセンターにいる人たちに弾圧されず、むしろ歓迎されるようなムードを作ってしまうなんて。
そんなことを考えながら、私は学校への道を歩いていた。
ふと目線に入る、一枚の表札。
『米原』
米……原?
思わず家を見ると、……お屋敷!?
わぁ、すっごい大きいなぁ、って毎日のんきに横目でながめてた通学路にあるこの屋敷、米原さんの家だったの!?
お屋敷に辿り着くまでに200メートルはありそうな広さの洋風の庭があるし、左右に二つ噴水があるし、奥には女神みたいな女の人の像もある。まだ幼い物心がついたばかりの頃の私がここに来てお母さんに「あかり、ここがベルサイユ宮殿よ」って言われても信じられる気がする、そんなレベルの屋敷。
……もしかしてあの子、とんでもないお金持ちだったりとかする!? 確かに、言葉遣いも、立ち振舞いも、米原さんがお嬢様だって考えたら全部辻褄が合う。
「なに人の家まじまじと見てるんですの?」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
一頻り叫んでから振り返ると、米原さんがいた。……いつからいたの? 門とか開いてなかったよね?
「ああ、正門から出るといちいち注目されるから、裏門から出ているんですの」
「へえ、……じゃなくて! 米原さん! こんなお金持ちだったの!?」
「だから昨日、誰と歩いていると思っているんですの、っていったんですわよ?」
「知らなかったんです、ごめんなさい、ごめんなさい米原さん!」
「あ、わたくしのことでしたら、気軽に花音と呼んでくださいまし」
「気軽に呼べないよそんな!」
「そんなこと言わないで下さいまし。ねぇ、あかり?」
そう言って肩にがっしり手をのせる。……うぅ、……馴れ馴れしい。お嬢様なのにスキンシップがすごい庶民派……。
「……さ、」
米原さんは私の肩から手を離すと、小さく駆けて私の前に立った。「行きますわよ、学校」
そう言って米原さんは、顔を少し傾けて、片目を閉じた。
私と同じ学年の女の子が、ゲームセンターにいる人たちに弾圧されず、むしろ歓迎されるようなムードを作ってしまうなんて。
そんなことを考えながら、私は学校への道を歩いていた。
ふと目線に入る、一枚の表札。
『米原』
米……原?
思わず家を見ると、……お屋敷!?
わぁ、すっごい大きいなぁ、って毎日のんきに横目でながめてた通学路にあるこの屋敷、米原さんの家だったの!?
お屋敷に辿り着くまでに200メートルはありそうな広さの洋風の庭があるし、左右に二つ噴水があるし、奥には女神みたいな女の人の像もある。まだ幼い物心がついたばかりの頃の私がここに来てお母さんに「あかり、ここがベルサイユ宮殿よ」って言われても信じられる気がする、そんなレベルの屋敷。
……もしかしてあの子、とんでもないお金持ちだったりとかする!? 確かに、言葉遣いも、立ち振舞いも、米原さんがお嬢様だって考えたら全部辻褄が合う。
「なに人の家まじまじと見てるんですの?」
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
一頻り叫んでから振り返ると、米原さんがいた。……いつからいたの? 門とか開いてなかったよね?
「ああ、正門から出るといちいち注目されるから、裏門から出ているんですの」
「へえ、……じゃなくて! 米原さん! こんなお金持ちだったの!?」
「だから昨日、誰と歩いていると思っているんですの、っていったんですわよ?」
「知らなかったんです、ごめんなさい、ごめんなさい米原さん!」
「あ、わたくしのことでしたら、気軽に花音と呼んでくださいまし」
「気軽に呼べないよそんな!」
「そんなこと言わないで下さいまし。ねぇ、あかり?」
そう言って肩にがっしり手をのせる。……うぅ、……馴れ馴れしい。お嬢様なのにスキンシップがすごい庶民派……。
「……さ、」
米原さんは私の肩から手を離すと、小さく駆けて私の前に立った。「行きますわよ、学校」
そう言って米原さんは、顔を少し傾けて、片目を閉じた。
お母さん、米原さんと会ったことで、私の中の何かが、変わり始めたよ。……多分。
「おい中島、聞いたぜ、お前チュウニズム得意なんだろ?」
「……そうだけど、それが?」
彼女は、そう言って顔を上げた。
「音ゲーってオタクっぽいって敬遠されてさ、高校入ってから全ッ然友達できねーの。それでさ、仲間がいたと思ってすごく嬉しくて! あ、そうそう! 俺、これでも虹レ乗ってんの。中島、今度マルチしね? 称号集めたくてさ」
男子生徒は、自分のことを指差しながら、身ぶり手振りをはっきりつけて、楽しそうに話す。
「すまないね尾崎くん」
彼女は椅子を引いて立ち上がる。
「……そうだけど、それが?」
彼女は、そう言って顔を上げた。
「音ゲーってオタクっぽいって敬遠されてさ、高校入ってから全ッ然友達できねーの。それでさ、仲間がいたと思ってすごく嬉しくて! あ、そうそう! 俺、これでも虹レ乗ってんの。中島、今度マルチしね? 称号集めたくてさ」
男子生徒は、自分のことを指差しながら、身ぶり手振りをはっきりつけて、楽しそうに話す。
「すまないね尾崎くん」
彼女は椅子を引いて立ち上がる。
「私はもう、誰かと一緒に音ゲーをするのはやめたんだ」
To Be Continued……