オーダーミッションNo.023【アリーナ変則試合乱入】CASE1「犬は踊りまわる」


難易度:S依頼主:STCC
作戦領域:大型水上スタジアム
敵戦力:マッド・ブラッドソー、対戦相手(詳細不明)
作戦目標:敵勢力の全滅
オーバードウェポンを用いたAC同士の変則マッチが行なわれている。本来、アリーナではオーバードウェポンの使用は禁じられている筈だ。参加しているミグラントがどのような経路で入手したか、そしてOVAの連中が何を思って自ら掟を破ったかは不明だが、いずれにせよ野放しにする訳には行かん。
お前には会場へ乱入し、参加しているACを破壊して貰う。
解っているとは思うが、試合である以上、抹殺対象となるACは2機だ。
僚機の随伴を許可しよう。こちらで手配した中から選べ。
腕に自信があるなら単機で乗り込んでも構わんが。
我々は重大なルール違反を見過ごす程、お人好しではない。
万が一失敗した場合は増援を送る。安心して任務に臨んでくれ。
作戦の概要は以上だ。
我々はこの世の歪みの一片たりとも、見過ごすつもりは無い。



 特殊技術取締委員会 作戦報告書より一部抜粋。

 本作戦には前線にS-07、S-29、S-32を投入し、さらに傭兵2名が参加。当初予定では、試合中に消耗したところを傭兵により襲撃をかけ、万が一にも失敗した場合は、隊員により破壊を行う手はずであったが、突如として試合会場が変更となった。時刻1024に連絡を受けたS-18が状況把握を命じた。



『こちらドゥンケル、B-47地点へ到着した』

 渓谷を飛び跳ねるように、それでいて周囲へは最大限の警戒を払っているところに、通信が入った。俺とヴィハンは機動性があるので先攻していたが、おじいちゃん……ではなくドゥンケルは機動性のないタンクのため、一旦は指定したポイントへと向かったからだ。

「了解。こっちはまだ偵察中です」
『了解、連絡を待つ』

 目の前には、やけに澄んでいる水が流れ、廃墟が点在していた。俺は、廃墟へと身を隠し、隙間からカメラアイを眼下へと向けた。簡単に補足されるとは思えないが、それでもACは岩肌へと出来るだけ隠す。こっちは偵察のプロフェッショナルだ、逆にどうすれば見つからないかぐらいわかりきっている。

「こっちにも居たか……」

 試合会場は、さらに先に行ったところだが、その前には1機のACが警戒に当たっている。これ以上接近すれば、相手側に感づかれるだろう。試合に乱入する前に、まずはあのACを相手にしなければならない。そして、その相手はOVA所属の傭兵だ。

「こちらカルスキ・オフチャル。こっちはロウツェン・ノルドマンが警備している」
『ランクは? Bでしたっけ? 』

 通信を入れると、小さなディスプレイが開き、ヴィハンから落ち着いた声が聞こえている。表情もいつもと変わらずで、軍人なんて似合いそうにない穏やかな表情をしている。本当に、何処まで落ち着いているのかは、何とも言えない。あの男は、外面だけで何をするかを判断することが危険だ。以上、カルスキ・オフチャルによるヴィハン観察日記より参照っと。

「Bだが、実際の実力はAランク級と言われている。そっちの様子は?」
『変わりません。警戒しているだけです』
「そうか、マジでそれ以上は近づくなよ? そっちにいるヒルベルト・グレイブハートもAランクだし……試合一つにこれだけの警備を付けるのか」

 分析せずとも本能でわかる。今日の作戦は、おかしいって事にだ。
 そもそもだ、そもそもは、水上スタジアムでオーバードウェポンを装備したACが戦う予定だった。マッチングは、ランクSのザイフリードとランクBのパトリオット・チャリオットだ。両者が消耗したところで、傭兵が向かい、駄目なら俺たちがたたみかける予定だった。俺は、ただの偵察屋だから、おじいちゃんに任せることになるだろうけどさ。
 そうだったはずだけどね、試合開始間近になってもスタジアムには2機の姿が無かった。代わりに、アリーナ実況者が試合場所の変更を告げる中継を見る羽目になった。それでも、試合開始会場は比較的近いため、傭兵を連れて渓谷へと向かったわけだが、そこにはヒルベルト・グレイブハートがいた。間違いなく、試合が順調に行われるための警備だろう。他をあたってみれば、さらなる傭兵がいたわけだし。
 急な会場変更とは言うが、高ランクの傭兵が二人も警備に出ている。しかも、OVAに所属し、OVAが信頼する傭兵だ。つまりは、外部からの妨害に対して万全を計っている。急にこれだけの傭兵を準備できるとは思えない。これは、こちらが襲撃することをOVAが掴んでいたと見て間違いないじゃないか。アリーナ実況者が言うとおりに、急な会場変更ではない。元から、試合会場はこの渓谷だったのだろう。

「とにかく、一度、副長ズに連絡してくれ」
『それですが、急な出撃でベルマレイ副長は居ないと連絡がきています』
「マジか? 」
『隊長と一緒に出ているそうです。どうします? もう片方の副長に連絡したところで、判断が下る頃には試合が終わっていますよ』
「あー、まー、だろうな」

 比較的新参のヴィハンですら、副長の片割れの判断が遅いことを把握している。前に、副長ズが揃っているところで、この新参がベルマレイ副長に直接に判断を仰いだときには焦った。いくら何でも、ないがしろにするわけにはいかんだろうよ。いや、一々ベルマレイに確認しているけどさ。

『ドゥンケル。現場では、貴方が一番階級が高い。判断を』

 嗚呼、なんでこの新参者はいくら判断が遅いと言っても副長を無視して現場で判断しようとするのか。

『ヴィハンよ。儂でも、上の判断を仰がないのはどうかと思うぞ』

 おじいちゃん。そうです。その新参者をしかってください。亀の甲より年の功ってよく言ったものでさ。

『秩序の崩壊が目の前で起ころうとしているんですよ。調停しましょう。傭兵に警備の連中の相手をさせ、僕たちで突撃し、調停をするのです。超過兵装など潰してしまいましょう。このまま退けば僕たちは敵前逃亡の負け犬の役立たずとなってしまいます』

 ヴィハンが淡々と、穏やかに言うが、その突撃って偵察屋の俺も入っているんじゃねぇだろうな。敵前逃亡を嫌っているのは判るが、犬死にしたらなんにもならないってわかっているのか、こいつ。

『……ふむ、隊長ならば、現場の判断を信頼するだろう。何かあっても、儂のような老いぼれの首一つで済むなら安いか』

 おじいちゃん待って、早まらないで。いくらなんでもそれはね。命を粗末にせず、長生きしてください。目指せ100歳現役ACパイロット。

「ま、待って! 待ってくれ! まずは連絡だろ!? 」
『当初の予定とは違いますが、3対2ですし、行けますよ』

 やっぱり、俺も頭数に入っているのかよ。何を勝手に入れちゃってくれるかな。こういうときは仲間はずれにしてくれていいんだよ。

「三人でも、偵察役の俺、サポートのお前、で直接叩くのはおじいちゃんが基本だろ!? 何、突撃しようとしてるの? なんで? 」

 情報通で通っている俺に、判りやすく説明してくれ。

『僕の機体構成では、サポートと突撃しか出来ませんからね。だから、突撃しましょう』
「アホか! サポートしろよ! サポート機なのに、レーザーブレードとか装備しやがって!」
『両手に装備したいぐらいですよ』
「マジやめろよ!? それに、俺は直接戦闘が苦手だって言っているだろ!? パルスガンしか持ってないの」
『何の冗談です? ブーストチャージもあるでしょ』
「お前が何の冗談だ! 軽量機にブーストチャージさせんな! 」

 全く、こいつは、なんで突撃すればなんでも解決するって思っているんだ。状況に歯がゆいのは俺も同じだが、だからって突撃に至るプロセスがわからねーよ。

「おじいちゃんも、待ってくださいよ。俺一人じゃ、そこの突撃したがる奴を止められないからさ」
『ふむ。確かにな。確かに、状況が奇妙である。ヴィハン、お前はとりあえず連絡を入れろ』
『了解です』

 良かった。やっぱり、おじいちゃんは頼りになるよ。マジで長生きしてください。俺の命と胃のためにね。

『さて、状況をどう分析する? 』

 そうだ、俺の役割はあくまでも情報収集と解析し、世界の裏側まで知り尽くすことだ。まかり間違っても、偵察機で超過兵装装備ACに突撃することじゃない。……絶対に突撃しないからな。

「とりあえず、会場変更と警備の存在を踏まえれば、別の何かの企てに遭遇したか、こっちの作戦が漏洩していたのではないかと」

 どんな企てかは今は情報が少なすぎて判らないが、OVAが大きく動いているのは間違いないだろう。さらに、情報が漏洩していたとすれば、突っ込んでいけば相手の思うつぼだ。超過兵装同士の戦いではなく、俺たちSTCCを倒すための準備をしているとすれば……。いや、それにしては、警備が厳重すぎる。誘い込むにしては厳重すぎるな。と、すれば、情報を掴んだ上で、外部からの試合への干渉を防ぐためかと考えるべきか?

『漏洩したとすれば、傭兵からか? 』
「それは……わかりません。一番怪しいところっすけどね」

 おじいちゃんも矢張り、そこに行き着くか。だが、まだ何とも言えない。今は、判らないことが多すぎる。だが、だからこそ、知ることに意味が見いだせるけどよ。

『どの傭兵ですか? 教えてください。まずはそいつを潰しましょう』

 ヴィハンが口を挟んでくる。
 ……こいつ駄目だ。外面が穏やかな割に、中身は大抵を暴力でしか解決できないと思っている。どういう教育したらこんな壊れているほど凶暴な思想に至るんだ。こっちも調べねーと、俺の命が危ういんじゃないか。

「知るかって」
『なんだ、役立たずですね』
「今、わかるわけねーだろ! お前に言われたくねーよ! それより、連絡は? 」
『状況を伝え、どうせ判断がナメクジよりも遅いから、貴方はしばらく待機と言いますねと言ったところ、暫し間が開いてから『ああ』と返答されました』

 勘弁してくれよ。副長を馬鹿にしすぎだろ。副長も、こういう生意気な奴にはガツンと言えば良いんだ。でも、言いそうにないな。今度、ホファヴァルトにでも説教して貰うか。こういった無駄死がでる突撃なんて絶対に止めてくれるだろう。
 とりあえず、現在の状況だ。
 俺のコックピットディスプレイには、《フリークス・MS》の姿を確認できる。かつては最強と称された傭兵コンビの片割れだ。ある任務で負傷し後遺症をもっていると情報はあるが、それでも、下手な傭兵よりは手強いだろう。
 時刻を見れば、あと数分で試合開始時間だ。

「ヴィハン。映像まわしてくれ」
『了解。ずっと警戒しているだけですよ』

 《ウルフファング》が映るディスプレイに、小さなディスプレイが開かれ、《フリークス・MS》の姿を確認できる。かつては最強と称された傭兵コンビの片割れだ。ある任務で負傷し後遺症をもっていると情報はあるが、それでも、下手な傭兵よりは手強いだろう。
 どうしたもんか、これだけの傭兵を使ってまで警備していることが、ことさらに奇妙に見えてきた。 
 超過兵装を用いた試合なんて、滅多にあるものではないし、クーデターの後に、俺たちのような組織が作られてもいるが、それでも、警戒しすぎではないだろうか。俺たち以外にも……まさか、バンガードも何か動いていて、それも警戒してのことか。
 そうだ、あの2機を確認できているだけで、さらに控えている可能性がある。

「おじいちゃん。俺から進言する。試合を見てから決めよう。何か起きる気がする。だったら、俺たちは最後の最後まで切り札でいるべきじゃないか? 」

 すぐには、ドゥンケルから返信はなく、数秒の間が随分と長く感じられる。

『……確かに。確かに、今は、先に動いた方が負けかもしれん』

 ずいぶんと重い口調だった。言葉の裏側に、状況事態を疑っていると言われているようだった。

『ヴィハン。目先だけに囚われるな。こらえることも軍人の仕事だ。割り切れとは言わん。ただ、こらえろ』
『……了解です』

 一番の悩みの種が、少しばかり間があったが素直に返事をした。どうせ、今日はオーバードウェポンを破壊できると期待し、頭に血が上っていたのだろう。見てくれ通り穏やかでいてくれないもんかな。
 それはともかくとして、試合が始まっていた。ディスプレイを少しだけ大きくし、録画の設定もしてある。
 ザイフリードの《マッド・ブラッドソー》とパトリオット・チャリオットの《テンペスト》が間に橋を挟み、対峙していた。少し離れた場所で起きているから、邪魔さえなければ俺の《スカウカー》ならすぐに辿り着いて見ることが出来る。それが出来ないのはなお歯がゆい。

『……所詮は、見せ物か』

 ドゥンケルから呟くような声が聞こえた。それは、動きにキレがない《テンペスト》を見ての事だろうか。確かに、事前に調べたアリーナでの動きに比べると、《テンペスト》の動きは悪い。『疾風』の二つ名が泣くが、油断を誘っているのか。それとも、こんな時に限って調子が悪いとでも言うのか。
 ともかく、おじいちゃんはアリーナだとかそういう最近の流行が嫌いなので、小手先のつまらない策を見て、見せ物程度と呟いたのかも知れない。
 試合は、《テンペスト》が一度廃墟の影へと消えていった。仕切り直しか。

『カルスキ・オフチャル』

 ヴィハンから連絡が入る。いつも通りの穏やかな声だが、こんな時にこの性格破綻者は何の用だ? 試合が映るディスプレイの横にいるウルフファングには動きはない。

「なんだ? おとなしくしていろよ」
『何故、SランクとBランクがマッチングしているのです? 実力差が有りすぎでは? 』
『所詮は下らん見せ物だ。そういうものなのだろう』

 ドゥンケルが、心底つまらなそうに言った。やっぱり、アリーナが嫌いなのね。

「そうそう、それに、傭兵なんて、ランク通りの実力ってわけでもないぞ。極端だが、Fランクにヴェレッタって女がいる……――あ?」

 いや、待て、確かに俺もそこは一度は疑問に思った。作戦立案の時点では、見せ物としての面が強いアリーナだから注目を浴びるマッチングにしただけだと判断し、それ以上は深くは考えていなかった。そうだ、そもそも、作戦立案のためのスタートラインであるマッチングがおかしい。急な試合会場の変更、アリーナでの超過兵装の使用、高ランクの警備よりも、根本をもっと疑うべきだったのか?
 だが、根本への疑いは、ディスプレイに再び姿を現した《テンペスト》によって中断された。

「起動しやがった」
 テンペストのコアを覆うように何本ものパルスガンが伸び、火花が散り、小さな爆発が時々起こる。青白い光を放ち、あらゆる意味で規格外の存在を見せつけるように橋の手前で構えた。《マッドブラッドソー》が逃げずに、橋の上で構えてレーザーキャノンを《テンペスト》に向けていた。
 一瞬の間、その後にはディスプレイが青白い光に包まれた。
 収まったときには、撃ち抜かれ、ブレードが数本欠けたグラインドブレードを対戦者に向けた《マッドブラッドソー》の姿と、パルスガンが数本欠けたマルチプルパルスをパージしている《テンペスト》だった。橋は吹き飛ばされ、溶けたアスファルトが渓谷へと垂れていく。実況者が喚くように言っているが、マルチプルパルスの全方位攻撃を《マッドブラッドソー》はグラインドブレードを盾にして防いだ。盾にする直前に、レーザーキャノンでマルチプルパルスを撃ち抜いた。まとめれば、ただこれだけの事だ。
 しかし、壊された。
 さらに疑うべき事象が起きた。
 もし、定石で行くならば、《マッドブラッドソー》は一度は退くべきだし、せいぜい一度だけ撃てれば良いだけのマルチプルパルスの数本の砲身だけを破壊しに行く必要はない。見せ物としての最高潮を求めるなら、グラインドブレードを起動し突っ込んでいってもおかしくはない。マルチプルパルスが発動する直前に、超過兵装ごと《テンペスト》を抉りにいく展開もあり得る。だが、そのどちらもせずに中途半端な事をして、両者の超過兵装は破壊されている。

『壊れたか。半分は達成したとでも報告しますか? 半分達成なら、OVAに対する警告自体は成り立ちませんが? 』

 ヴィハンは、いつもと同じ穏やかな声だった。ヴィハンの役割は、ジェネレータージャマーを使ってのオーバードウェポンの起動阻止を主体とするサポート役だ。両ハンガーにジェネレーターの限界出力に影響を及ぼすジャマーを搭載し、対超過兵装用に特化した機体だ。だから、超過兵装が絡まない作戦なら、今日のようにここまで、突撃したがらない。口が悪いのは相変わらずのままだが、サポート役に徹してくる。時々、突撃することはするけども。
 そんなヴィハンは何を思っているのか。自分で破壊したがっていた超過兵装が二つも壊れたことをどう思っているのだろう。超過兵装が消えた事を喜ぶのか、自分の手で壊せなかったことを悔やんでいるのか。

『警備を傭兵に任せて、消耗した2機を我々で仕留めるか? 逆も構わんが、試合はもうさほど長くは続かないだろうよ。しかし、既に大技を失った試合に乱入するか。些か間が抜けているがな……』

 続いてドゥンケルが呟いた。

「おじいちゃんの言うことも一理あるし、作戦自体がもう半分は失敗しているようなもんだな。ヴィハン、お前、まだ突撃する気あるのか? 」
『命令であれば。僕は冷静です……少々お待ちを、副長から連絡です』

 俺の機体にもガズニからの連絡が入る。小さなディスプレイにSOUND ONRYの文字が浮かぶ。

『こちらガズニ。作戦は中止する。傭兵と一緒に引き上げろ』

 落ち着いた声に、俺でも、その指示の全てが遅すぎると思ったが、続いた言葉に納得した。

『隊長とベルマレイの方から連絡が入った。起動している大型兵器を確認したそうだ。そちらの援護へ回る。回収ポイントへ急げ』

 そういうことかよ。大型兵器が現れたか。大抵はどこぞのビーハイブだろうけどよ。

「了解。回収ポイントへ急行する」

 通信を返し、SOUND ONRYのウィンドウが消える。試合会場へ背を向けて、渓谷を駆け抜けていく。
 こんな幕切れか、試合の裏に潜む真実を知りたいが、もうそんな訳にもいかない。結果として、試合会場変更を理由とした待機は正しかったわけだ。カードを伏せたまま終わるなんてつまらないが、別件でひっくり返してやるだけだな。
 さて、試合の謎はどこに真実があるかだ。
 もう一度繰り返せば、突然の試合会場の変更があり、高ランクの警備、不自然な試合運び、と色々あるが、一番はマッチングか。
 なにか仕込まれていたことは確実だろう。それを仕込んだのが、OVAなのかバタリアなのか他のミグラントなのか。それとも、本隊のバンガードなのか。
 今は大型兵器の破壊が最優先だろうけど、そいつが終われば改めて調べていけばいい。
 誰かは知らないが、面白い謎が出てきたじゃないか。

「ヴィハン。おじいちゃん」

 二人に通信を入れた。二人とも、順調に回収ポイントへ向かっていることはディスプレイに現れている。

「何が起きたのか解き明かすからよ。次は、成功させようぜ」
『うむ。いずれ、調停せねばなるまい』
『当然です』

 アリーナを嫌うおじいちゃん、超過兵装を嫌うヴィハン、それに俺も、このまま引き下がるようじゃSTCCとしてやってはいけないからな。
 誰が仕組んだか知らないが、俺が探り当ててやるさ。

fin.

投稿者:ug
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最終更新:2013年11月18日 22:29