オーダーミッションNo.021【砲台陣地陽動侵攻】CASE2「Nobody came back」
難易度: A 依頼主: レジスタンス 作戦領域: イル・シャロム郊外・バンガード砲台陣地(ABANDONED CITY) 敵対勢力: バンガード 敵戦力:大型砲台、防御型、狙撃型 ほか(機数不明) 作戦目標: 所定時間内の戦闘継続 特記事項: チームでの作戦行動を推奨 概要: 我々レジスタンスは近日イル・シャロムにて大規模な反抗作戦を計画している。ついては傭兵諸氏に協力を仰ぎたい。 依頼内容は陽動だ。 我々が部隊を展開する間、都市区の反対側に位置するバンガードの砲台陣地を攻撃し連中の目を引き付けてほしい。 目標には大型砲台が配置され、また未確認だがACが駐留しているとの情報もある。単独での侵攻は困難だろう。 報酬は多めに用意したつもりだ。僚機を雇うなり、そちらで対応してほしい。 |
俺は、ある零細ミグラントにつとめているデリバリースタッフだ。ヘリで物資やACを戦場へと届けるのが主な仕事だ。つい先日、ACを輸送している最中に、ACパイロットとしていた話をした。普通は、投下と回収のポイントについての確認が多いんだが、輸送時間が長いと、お互いに手持ちぶさたになって、時々は雑談をすることもある。今からするのは、そんな雑談の一つに過ぎないものだが、そいつが語ることを少しばかり聞いてやって欲しい。
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昔の話だが、こんな事があってよ。
ほんの数ヶ月前の話だ。俺がまだ軍にいた頃、ああ、前はバンガードにいてな。色々あって、今はこんなバカヤロウな傭兵だ。いや、都落ちって言うんじゃねぇバカヤロウ。そもそも、そんなエリート様でもなかったぞ。薄給で激務だったからな。仕事があれば、それで幸せなんて言う奴も居るが、ありすぎても困る。そして、最悪にバカヤロウな仕事ばっかりだと、うんざりしてくるもんだろ。本当に、軍人なんて暇なのが世の中では一番いいんだろうな。ああ、あった事って最悪にバカヤロウな任務のことだ。
それがあった場所は、イル・シャロムの近くにある陣地だ。イル・シャロム防衛の要所の一つだからよ、バカでかい砲台があって、普段から何十機とMTとガードメカが配備されている。
バンガードは、事前にレジスタンスから襲撃されるという情報はつかんでいたらしい。いや、これは後から事務屋の連中から聞いた話だ。よくよく思い起こすと、俺も後から色々と知ったことが多かったな。まぁ、情報をつかんでいたから、防衛のためにAC部隊を派遣していたんだろうな。当然の判断だ
だが、それでも予想以上の戦力が来襲してきたそうでな、別の部隊の俺にまで急に援護に行けって言われてよ、今みたいにヘリからぶら下げられて向かったんだ。そのときは、荒野の偵察任務に120時間も出ていた後だから、もう疲れ切っていたよ。シャワーを浴びて、酒飲んで、丸一日は寝ていたかったな。着替えすら出来ずに上のバカヤロウが、命令を出してきやがった。遭遇戦が無かったからACだけが消耗せずに元気だったな。それでも、ろくにメンテナンスすらしてなかったから、不満だらけで機嫌が悪かった。
第一、イル・シャロムを絶対死守するのは当然だが、そんな修羅場に俺を一人を派遣したところで何が変わるんだって気が立ってた。
普段なら、如何に戦場を引っかき回して、如何に大勝首を取ってやるかなって考えて楽しんでいるところだが、そんな余裕すらないほど疲れて不満だらけで、何かはけ口にぶつける気力もなかったな。あのときは自分らしく無かった。何か嫌な予感を本能的に感じていたのかも知れないな。
夜明け前に着いたが、一目見て酷かったな。本当に酷かった。あちこちで黒煙が上がっていてな、元がACなのかMTなのかも判別できないぐらいに、グチャグチャになったスクラップがあちこちに転がって燃えていた。基地も三分の一ぐらいだったか? それぐらいは廃墟になって燃えていて空が明るく見えた。バンガード側からは、絶え間なく銃弾が撃たれ続けていて、侵攻側は物陰に隠れながら応戦していた。いつもどっかで、何かしらが壊され続けていて、爆発して、燃えていたよ。
ヘリから降下しながら、現場の指揮官に連絡をいれた。そのときの現場の指揮官だが、
カルロウ・ノイマン大尉だった。知ってるか? ああ、知らないか。一言で言えば、バカヤロウだ。説明はそれで十分なぐらいのバカヤロウだ。所属を言おうとしたところで、口を挟まれてな、まずは遅いって罵倒してきたよ。「呼ぶのが遅いんだよバカヤロウ! 罵倒する暇があるなら、所属ぐらい確認しとけバカヤロウ」って言いたかったが、疲れていたから何も言わなかったよ。本当に、そのときは、俺らしくなかったもんだ。普段なら絶対に言って始末書作ってるからよ。あのバカヤロウ相手だと、それで済まないだろうから言わなくて良かったがな。
そのバカヤロウが、逃げる奴は敵も味方も殺せ、俺が許可するなんて言い出した。俺自身にも逃げれば敵前逃亡罪で処刑だって言い出した。ああ、ただの脅しだと思ってるだろ? マジなんだよ、あのバカヤロウの場合はな、すぐに部下を昇進させてくれる。二階級特進だけどな。ちょとしたミスで隊員を処刑するっていうのは、誰でも知ってたさ。レジスタンスよりも大尉が怖い、みんなこう噂してた、葬った敵より処刑した部下の方が多い閻魔部隊だって具合にな。
話が少しそれたな。兎角、俺も戦闘に途中参加したわけだ。ただ、下手に動くわけにも行かない状況だった。下手に動けば、味方の弾に当たる程撃ちまくっていたからな。だから出来る事なんて、物陰に隠れて威嚇射撃する程度だ。自分から状況を変えてやろうって思いもせず、なにか機会があれば、動こうと状況を見ることにしたよ、疲れてやる気も無かったしな。命令違反云々を言ってくれば、戦術に基づき好気を伺ってましたって逃げるつもりだったし、実際問題は、他の部隊の人間をそう簡単には処刑できないだろうと、高を括ってたよ。ただ、それ以上に、現場が混乱していたし、誰にも把握なんてできやしなかっただろうけどよ。
あの戦場には、どれだけ悲鳴があったんだろうな? そんなもんは全部かき消されて、何も聞こえなかった。音なんて一切頼りにならないほど五月蠅い戦場だった。オペレーターだの隊員だの、通信も滅茶苦茶だったな。
酷い戦場だったことは言ったが、敵も味方も酷かった。カルロウ・ノイマンのACを守るように《ストライカー》っぽいのと《ターミネータ》らしきものが2機ずつ、あのバカヤロウの盾になるように展開していた。後方の方には《ロングボウ》のようなものもあったな。ん? 何故に断定じゃないのか? 何故だと思う? 標準的な装備じゃなかったとか、カラーリングが違ったとかじゃない。状態が酷かったんだ。《ストライカー》はボコボコに変形したヘッドが載っていたし、《ターミネーター》の1機は、元から左腕がついてないように見えた。《ロングボウ》は脚部が無くて、トレーラーの荷台に固定されて運用されていたからな。
それにもまして敵も酷かった訳だ。俺も今や、そういう連中の一人のはずだが、それでもあれは無かったな。今の立場になって、さらによくわかる。
輸送中に、ACが10機以上攻めてきていると聞いていた。確かに、大尉もそんなバカヤロウなほど数がそろって攻めてくるなんて予想外だったんだろうな。それでも、数を揃えるのも立派な戦略だろうな。いや、揃えただけならどうにもならないか。どうにもなっていなかったからよ。1機、1機の動きを見れば、機体の状況も搭乗者の腕も大したことがないことはすぐに判った。あの動きは、ただの時間稼ぎだろうってあっさりとわかった。
わかってくれるか?
それを悟らせる程度の動きしかしてなかったってことだ。あれだけの数で攻めてきて、あれだけ消極的だからな。いや、腕も性能も足りなくて、あんな状況だったのかもしれんな。数だけの烏合の衆で、連中はまとまりもなく勝手に動いていた。指揮官がおらず、ただただ、右往左往って具合だ。普段からのチームってわけでもなかったんだろうな。中には、無謀な突撃をする奴、逃げ出す奴に、撃破された機体からパーツを剥いでいる奴だとかもいたな。傭兵が、ただ集まっても、まとまるわけがないよな。それが判れば、少し引っかき回して潰すのは、そう難しくもなかったな。
これも後から聞いた話だが、傭兵ランクで言えばF、それも万年Fランクの連中ばかりだったそうだ。報酬の高い任務に束になって突っ込んで、生き残ったら山分けなんて命がけのギャンブルしていたんだと。そうでもしなければ、どうにもならないような程追い詰められたバカヤロウのバカが、あの侵略だったらしい。
さて問題は、あのバカヤロウ大尉だって、時間稼ぎをしていることは見抜いていたはずって事だ。戦争で人が死ぬのは当然で、殺しに行くのも当然だが、場合によっては最優先じゃない。にも関わらず、逃げようとする奴に強引に部下を突っ込ませていった。単機で出て行けば、流石に雑兵ぞろいでも、そういうバカヤロウは狙い撃ちで蜂の巣にされていたさ。うまく脱出したってよ、あれだけ銃弾が飛び交っていれば、十秒だけ延命して、流れ弾に当たってお陀仏だ。物陰に隠れても、その物陰ごとは吹き飛ばされていたしよ。そんな死に方した連中が敵味方にいくらでも出ていた。だが、単なる時間稼ぎ程度しかしない連中なんて、追い払うだけで十分のはずなのに、無駄に潰そうとして、無駄に犠牲者が増えていた。間違いなく、戦果と犠牲の天秤が狂ってるんだろうな。イカレタ奴は嫌いじゃないが、只の下っ端にとっては何も面白くない。
そのうちに、俺のように他からの増援が来て、バンガード側がどんどん有利になっていった。にも関わらず、あの大尉はボロ臭い航空機ユニットを仕上げとばかりに特攻させたりなんかもしていたよ。相当にでかい爆発だったから、おおよそ、ヒュージミサイルの弾頭でも積んでいたんだろうな。あんな死に方も殺され方もしたくないもんだ、全く。
突然、そんな地獄が静かになったな。
攻撃が止まると、時が止まったみたいに静かだった。実際は、通信は相変わらず滅茶苦茶で、あちこちで生存者の捜索をしていたし、機体が動けなくなって投降してきた傭兵の回収だとか、ようやくやってきた増援の相手だとか、終わったって言うのに忙しく騒がしかった。疲れていた所為だと思うが、ACに乗って聞いているとよ、どこか遠くの出来事みたいに思えてきて、なにか現実味が無かったな。これでも修羅場は潜ってきた方だと思うし、戦果も上げてきた方だと思うが、あれは戦争じゃなかったと思う。ただ、バカヤロウがバカヤロウの相手をして、わざわざ出来の悪い地獄を作り上げただけにしか思えないな。俺はそのときは気がつかなかったが、作り上げた張本人は、後は任せたと言って本人も部下もボロボロの機体のままイル・シャロムの方に向かっていったらしい。あの侵攻が陽動であるなら、レジスタンスがイル・シャロムに侵攻してくるだろうし、それに備えてのことだろうな。あんな機体で何が出来るかは、全然判らんけどよ。
やっぱり、又言うけど、疲れ切っていたんだろうな。偵察任務でずーっと荒野にいたからよ、余計に疲れたのかもしれないな。戦いが無いから、戦果を上げようもないが、荒野を見ていると、つまらないようだが、慣れてくるとなかなか面白くて……いや、この話はいいか。
戦闘が終わったから、陣地の地下ガレージへと入っていったんだ。中も酷かったな。俺みたいに他から増援に来た連中は、さほど損傷も無かったが、それ以外は何かパーツが使えそうな機体だけ回収されていたな。ACから一先ずはと降りたはいいが、人生で初めて感じるほどに、体が重かったよ。血液の代わりに水銀でも流れている気分だった。脳みそには鉛でも詰まっていたかもしれん。体が重いのに、背骨が抜かれて水中をゆらゆら揺れて、体が重いのに奇妙な浮遊感があった。気分が最悪だった。基地の中の様子を見て、さらに辟易したな。他から来た連中に、見知った顔は無かったが、どいつもこいつも疲れて苦虫をかみつぶしたような顔をしていた。知らない連中だったが、あの戦いを経て眼前の光景を見て、気持ちは同じだったのだろうな。
医務室へと続く扉の前から、負傷者と死者が入り交じってシートの上に寝かされていたよ。ガレージにまではみ出てくるほどの損害があったわけだ。衛生兵が忙しく動き回っていたし、本職じゃない連中も手伝っていたよ。片腕を吊った奴が、ピクリとも動かない奴に心臓マッサージをしていたし、血まみれの奴同士がお互いの傷を処置していた。戦闘が終わっても、そこは阿鼻叫喚の地獄だった。
水と静けさを求め、歩いていた。何処にいけばいいのか判らないまま、彷徨って、倉庫の前を通りかかると、一人の血走った目をした兵士が扉の前で座り込んでいた。俺を見かけると何も言わずに、親指で倉庫の中を指し示した。扉は少しだけ開いていて、中を見ると、何人かの女が倍以上の人数の男達に犯されていた。規律でするなと書いてあっても、する奴がいるのは当然だろう。俺自身も、規律なんざいくらでも破っていたしな。
血走った男達が言葉にならないうめき声を挙げながら、組み伏せた女の性器と口にペニスを突っ込んでいた。乳房を引きちぎるようにかぶりつき、抵抗しようとすれば加減せずに殴っていた。女達は、叫び声も挙げられず、ただ、まだ理性は中途半端に残っているようで、濁った目から涙を流していた。女の衣服はナイフか何かで切り刻まれ、一人の女は勢い余ったのか切り傷が見え、腹が血まみれだった。それはパイロットスーツの類だろうと、なんとなく判ったさ。バンガードで支給されている物ではないようで、犯されているのは投降した傭兵だったんだろうな。こういうことをするために、わざわざ投降させていたとした思えなかったな。狙って動いていた連中が居たのかも知れない。あんな地獄で、不埒な考えを実行に移したバカヤロウがいたようだ。それとも、狂ってしまいそうだから、何かにはけ口を求めたのか。だが、求めた結果は、傍目から見れば狂っているようにしか見えない。
汗と血と体液の臭いと熱気が扉の隙間から漏れ出して、酷く不快な気分だった。映像越しのポルノと違う、本物の欲情をさらけ出してぶつけ、人格を壊していた。少し離れれば、一人でも助けようと必死に戦っている連中がいるのに、ここにいる連中はただ、ただ、手頃なはけ口を手に入れて、理性を捨て去った獣に成り果てていた。不謹慎なんて一言で片付くほどの野蛮さじゃないな。
でも、俺は、何もしなかった。文字通り、重たい体を引きずるようにガレージへと戻っていった。義憤に駆られて犯している連中をぶち殺すこともせず、欲情をぶちまけるために混ざることもしなかった。俺は、そのときはずっと見るだけだったな。見ているだけなら、俺は獣になった連中とは違う、まだ、ましな人間だなんて、少しだけ思ったが、どう見ても何も変わらないよな。ただ、あの場にいた連中は、その全てが狂って壊れそうなのを必死に押さえつけていたことだけは間違いない。
地獄が、次の地獄を作り上げた。なら、あのときの地獄は、どんな地獄を作っていたのだろうな。何も知らないんだ。調べる気も起きなかった。あのあとは、気がつけばACに乗っていて、ヘリに吊られていたよ。基地に戻り、一先ずは寝て、起きたら、鮮明に覚えているのに、覚えてないふりをした。いつもは俺を厄介者と煙たがっている中佐と偶然出会してな「チミ、休日をとったらどうだい? 」って言ってきたときに、ようやく気がついた。俺は落ち込んでいたんだってな。
偵察任務では、ずっと一人きりだった。時々、定時連絡を入れるぐらいしか話すこともなかった。場合によっては味気ないメッセージを送るだけだ。
何も無さ過ぎる荒野をずっと見ていると、まだ世の中は捨てたもんじゃないって思ったんだよな。あんたに比べれば若造だが、俺よりもガキだって知っているんだ。この世界は汚れて腐ってるって。
慎ましく力を合わせて生きている奴らがより美しく見える。
正義の一本槍を突き通す勇ましい英雄がより美しく見える。
かけがえのない人を守るささいな行動がより美しく見える。
でも、世界なんて腐ってどうにもならないって思うと、その美しさもどこか腐臭を感じていたんだ。それでも、自分以外、何も無いような場所にいると、寂しくて周りの人間全部が愛おしく感じて、そう思えただけで良い世界だと思っていたところで、あの地獄を見てな。
世界中全部が腐って、腐って、腐りきっているって確信しちまった。あんな惨劇を望まずに必死で戦った結果が、腐った惨劇だ。世界が腐っているなら、生まれた奴も腐っている、生きている奴も腐っている、死ぬ奴も死ぬ前から腐っている。どんな英雄も聖者も悪党も平等に腐っている。
その頃は、そう思ってしまった自分にさらに落ち込んだ。いつも通りに強めの酒を飲んで、基地を抜け出して遊びに行って、下らない世間話を語り合って、バカやって立ち直りはしたけどな。
いや、立ち直ったわけじゃないな。諦めたんだろうな。諦めて、そんなものだと見捨てたんだろうな。
その後は、どうでもいいか。今は、こうして傭兵だ。そして、なかなか傭兵っていうのも面白いって思えてくると、俺が思っているほど世界が腐ってもいないように思えてくる。不思議だが、単に優柔不断なバカヤロウってなわけだ、盛大に笑ってくれ。で、どこか頭の中で、いや、心の中で、信じたいんだろうな。何をと言われると、言葉にしづらいんだが、なんだろうな? 愛ってわけでもないし、心っていうのも違うな。人をかな? それも何か違う気もするな。
判らんな。だが、もう少し考えて……お、そろそろ降下ポイントか。グッジョブだぁ?まだ何もしてないだろ、今からサクッとグッジョブしてくるんだよバカヤロウ。そんで、きっちり迎えに来てくれよ。ん? 戻ってきたら奢ってくれるのか? あんたいい人だな。名前がグッドマンなんてまんまだな。そんじゃあ、行ってくるぜ。
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そういう話を、サクサクだった
ジグザグだったかな、バキバキでもなくツギハギでもなくて、そんな感じの変な名前の傭兵がしてくれた。
実は、その任務に参加したミグラントの一人は俺が送り届けていてね。だが、あの作戦はたった一人も帰還しなかったから、迎えに行く必要が無かった。この仕事をしていて、キツイのは、自分が送っていった傭兵が、戻ってこないときだ。自分が送らなければ、死ななかったかもしれないと思うとやりきれないことがある。中には嫌な奴もいるが、それでもキツイ。これだけは、いつまでたっても慣れないし、慣れたら駄目な事だろう。
あの任務に送り届けた奴にも、奢ってやるって言ってやったよ。送るときはまず間違いなく言っている。ただよ、奢ってやるには、生きて戻ってこないといけない。
だから、ちゃんと戻ってこいよ。
奢ってやる。
fin.
最終更新:2013年11月18日 22:42