「今日転校生くるらしいぜ、ちびっこ」
「ふーん…」
みさきちが私に話しかける。
今はまだ朝のHRが始まる前。
今はまだ朝のHRが始まる前。
「しかもな、なんと双子なんだと。双子なんて見たことねーから今からワクワクしてるんだ~」
「そうなんだ」
「なんだよ、全然興味なさそーじゃん。またネトゲーか?」
あったりー♪眠くて仕方ない。
昨日は先生と一緒に頑張っちゃったからね~。
昨日は先生と一緒に頑張っちゃったからね~。
今は6月、梅雨の時期。
雨が降っている日は少し憂鬱かな?
雨が降っている日は少し憂鬱かな?
「その転校生は双子揃ってうちのクラスに入るの?」
「それはねーんじゃね?やっぱりわけるもんなんじゃねーかな」
どんな人か気にならないなんて言えば嘘だ。
でもぶっちゃけ、どっちでもいいかな…。
でもぶっちゃけ、どっちでもいいかな…。
つくづく冷めた人間なんだよね、私。
ゲームとか自分が好きなことには熱いトコあるかもしれないけど。
ゲームとか自分が好きなことには熱いトコあるかもしれないけど。
みさきちと私が喋っていると、担任の黒井先生が入ってきた。
「おーす、みんな席付きな~」
みさきちは自分の席に戻っていった。
「えー、今日はみんなに大事なお知らせがある。知ってる人おるやろうけど、今日からクラスメートが1人増えることになったんや」
クラスがざわつく。
「先生、女の子ですかー?」
白石が先生に聞く。
転校生が女の子、そんで美少女ならお約束だねぇ。
転校生が女の子、そんで美少女ならお約束だねぇ。
「女の子や」
なんと。これ何フラグ?
「そいじゃ、入ってきな~」
ドアが開く。入ってきたのは…
ツインテールの女の子だった。
しかも、…美少女だった。
これなんてギャルゲ?
若干つり上がった目、整った顔立ち。
淡く桃色で、天使の足跡のような唇。
艶やかで天使の輪がある、長い髪。
淡く桃色で、天使の足跡のような唇。
艶やかで天使の輪がある、長い髪。
――見とれてしまった。
…って、私。なに女の子に見とれてるんだ?全く。
だがその美少女の発した声は、当然かのように輝く。
教会の鐘の音のような神聖さを帯びた彼女の音色は、教室を優しく羽ばたいた。
教会の鐘の音のような神聖さを帯びた彼女の音色は、教室を優しく羽ばたいた。
「柊かがみと言います…親の都合で引っ越してきました。よろしくおねがいします…」
クラスが一瞬、静まり返る。
だれかが拍手したのをキッカケにクラスの人たちは拍手喝采。
よろしくー、なんてちらほら言ったりしてて。
だれかが拍手したのをキッカケにクラスの人たちは拍手喝采。
よろしくー、なんてちらほら言ったりしてて。
しっかし、美人だ。
頭も良さそうな雰囲気。
天は2物を与えるんだね…なんてね。
頭も良さそうな雰囲気。
天は2物を与えるんだね…なんてね。
HRが終わると直ぐに人だかりができた。
勿論中心は転校生、柊かがみさんだ。
勿論中心は転校生、柊かがみさんだ。
「どっから来たの?」
「出身中学は?」
柊さんは質問責めにあっていた。
男子なんか目の色変えて聞く。自重しなよー。
男子なんか目の色変えて聞く。自重しなよー。
彼女の席は窓際で後ろ。
私は廊下側、つまり柊さんから離れたところだ。
私は廊下側、つまり柊さんから離れたところだ。
隣のクラスには彼女の妹、つかささんが転入したみたい。
私はみさきちとまた話していた。
今はあやのとも一緒。
今はあやのとも一緒。
「ちょっとあれかわいそーじゃね?」
人だかりの中、嬉しいけどちょっと困った表情の柊さん。
「確かにね~。あやの、委員長として守ってやれば?」
「そうしようかな?」
柊さんは正直困っているだろう。
「じゃ私、柊さんのとこ行ってみるね」
あやのが救助に入ろうとした。
私はとっさに言った。
私はとっさに言った。
「私もいくよ」
2人は意外そうな顔をした。
「めずらしーじゃんかよ、ちびっこ。自分からアクション起こすなんて」
確かに。
私から何かをすることなんて滅多にない。
私から何かをすることなんて滅多にない。
「いやね…なんとなくかな」
人だかりの輪の中に入る。
あやのは言う。
あやのは言う。
「ほらほらー、柊さん困ってるよー?順番に、ね?」
柊さんはこちらを見て、助かったよって目で伝えてきた気がした。
…やばい。凄く、綺麗。
お昼になった。
1人で食べようとしていた柊さんを私たち3人は誘った。
1人で食べようとしていた柊さんを私たち3人は誘った。
実は発起人は私。
「本当にどうしたんだよ、ちびっこ!?熱でもあるんじゃねーの?」
みさきちに言われた。
「まあまあ、みさちゃん。1人の柊さん仲間に入れるのは良いことなんだし、ね?」
「まあなー。しっかしどうしたんだよー」
正直、自分でも驚いてる。
なんで誘おうとしたのかな。
なんで誘おうとしたのかな。
4人で囲う机。
「朝は本当にありがとう。助かったよ」
柊さんはお礼を言った。
みさきちが開口。
みさきちが開口。
「気にしないでいーんだよ。あやのは委員長なんだし、なー」
私も口を開く。
「困った時はお互い様だよ、柊さん」
お昼を喋りながら食べる。なんの変哲もない、いつもの光景。ちょっと違うのは、柊さんがいることだけで。
なぜだか私の心はワクワクしていた。
新しい友達ができてからかな。
だから私は柊さんに近づいたのかな。
新しい友達ができてからかな。
だから私は柊さんに近づいたのかな。
チョココロネを食べる私を見て、何か言いたげな柊さん。
「なに、どうしたの?」
「いや…それだけで足りるのかな~って」
「私は小食だからね。あんまり食べないんだよ。柊さんは大食い?」
「いやいやいや、違うよ?そんなに食べないからね」
苦笑い気味。
柊さんは本当に美人だ。
私はこんなに綺麗な人を知らない。
多分今頃、男子たちは大変な騒ぎだろう。現にこっち見てる人、結構いる。
柊さんは本当に美人だ。
私はこんなに綺麗な人を知らない。
多分今頃、男子たちは大変な騒ぎだろう。現にこっち見てる人、結構いる。
「てゆーか、自己紹介まだだったよなー」
みさきちが突然言う。確かに。
「私、みさお。日下部みさお。よろしくなー」
じゃ私たちからも言わなきゃね。
あやのがこっちを見る。先言っていいよ。
あやのがこっちを見る。先言っていいよ。
「私は峰岸あやの。よろしくね」
最後に私。
「私は泉こなた。よろしく♪」
柊さんは嬉しげな表情を浮かべて言った。
「みんな、よろしく。私、来ていきなりこんなに沢山友達できて本当に嬉しいよ」
柔和な笑み。
シロツメグサのような儚さと、向日葵のような力強さ。そしてなにより、桜が咲くような美しさ。
シロツメグサのような儚さと、向日葵のような力強さ。そしてなにより、桜が咲くような美しさ。
「泉さん」
「え!?な、何!?」
柊さんに突然私は呼ばれた。
私はまたも見とれていたらしい。
私はまたも見とれていたらしい。
「珍しい名前だね。こなた、って名前。かわいいね♪」
かわいいね。言われた言葉が脳内で山びこ現象のように響く。
かわいいね。かわいいね。かわいいね…
かわいいね。かわいいね。かわいいね…
ドキッとした。
天使のような微笑みが、私の心の扉を叩いた。
天使のような微笑みが、私の心の扉を叩いた。
「いやいやいや、かわいい名前じゃないよ~!」
「そうかなー。わたしは良いなって思うよ」
「いやー。でもありがとう、柊さん。柊さんみたいな美人さんにそう言われると照れちゃうなぁ」
「確かにべっぴんさんだよな、柊さん。」
みさきちが同意した。
柊さんは、
「そんなことないって。私、美人じゃないよ…」
といって手をふる。顔が赤らむ。
やばい。滅茶苦茶、可愛らしい。
本日の学校生活は終わりを告げた。
みさきちは部活で、あやのは委員会。
みさきちは部活で、あやのは委員会。
「一緒に帰る?柊さん」
誘ってみた。一緒に帰りたかった。
「うん。帰ろう♪」
初日からこんなに仲良くなれるのは稀なんじゃないのかな。
帰りは柊さんの妹さんとも一緒に帰った。
こっちはこっちで凄く可愛い。子犬のようだ。ゆーちゃんと近いかわいらしさ。
こっちはこっちで凄く可愛い。子犬のようだ。ゆーちゃんと近いかわいらしさ。
「お姉ちゃん凄いな~、もうお友達できたんだ~」
「うん…まあね。困ってた私を助けてくれたんだ」
「いやいや、助けるなんてもんじゃ…」
私は言った。
「ううん。すっごく助かったよ。ありがとう、泉さん」
いやだね。私、照れてる。デレデレ。
だって、こんな美人なんだよ?
ならない方がおかしい。
だって、こんな美人なんだよ?
ならない方がおかしい。
「いやぁ、照れちゃうからやめてよ、柊さん…」
言って気づく。
「どっちも柊さんだね」
「そうだね。区別つけづらいなら名前で呼んでね。不便だよね」
柊さんは言った。
私は言ってみた。
私は言ってみた。
「じゃ、かがみさんとつかささん?」
そうしたら柊さんとつかささんが口を開いた。
「呼び捨てでいいよ~♪さん、なんていいよ」
「私も呼び捨てでいいからね。泉さん」
「じゃ、つかさと…かがみ?」
2人が頷いた。
1つ、提案が残った。
私は言った。
私は言った。
「私も名前で呼んでよ。こっちだけ呼び捨てなんて気が引けちゃうよ~」
すると柊さん…いや、かがみは言った。
「じゃ、私も…こなた、って呼ぶね。こなた」
…こうして、私たちは名前で呼び会うようになった。
私は2人と別れて1人になった。
1人の帰路。ものすごく、寂しく感じた。
いつも、1人なのに。
いつも、1人なのに。
今日の私はなんだか私じゃないみたいだ。
社交性だって今までなかったのに。
なのになんで初対面の人にここまで積極的になれたんだろう?
なのになんで初対面の人にここまで積極的になれたんだろう?
転校生だって全然興味なかったし、外ばかり眺めていた。
変だね、私。
どうしちゃったんだろ…。
どうしちゃったんだろ…。
私はまだ、知らない。
――今の自分の、気持ちを。
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- GJ!!(≧∀≦)b
↓めちゃ分かる -- 名無しさん (2023-05-31 20:04:44) - こうゆうのって…、どうして夜中に読みたくなるんだろ…不思議。とにかく続編を期待しています。 -- 名無しさん (2009-05-18 10:19:27)
- 続編待ってます! -- 名無しさん (2009-02-25 15:04:23)
- いつでも餌を待つ犬の如く
『待て』の状態で待ってます -- 無垢無垢 (2009-01-12 00:57:07) - 続き待ってます! -- 名無しさん (2008-12-20 02:55:47)
- これは続編を激しく期待しなければなるまい…
早速、夜な夜な枕元に向かわねば…(ニヤリ -- にゃあ (2008-12-02 04:11:28)