匿名の希望は如何にして狂った道化を救うか。~Heartful Cry~ 前編





 煉獄の大地、漆黒の空の下。
 倒れているものがいた。
 アザーズと呼ばれる自分たちの同胞である、黒の髪の道化。
 その人物を人類は気狂いピエロ《ブラックフェイス》と呼び畏怖し、自分はピエロと呼び侮蔑する。
 だが、そこに倒れていたのは道化でもピエロでもない、強いて言うならば、

「………………春原陽平…………」

 匿名希望は色の無くした春原陽平を見つめて呟いた。
 唯一といっていいほど、(偽りではあるが)喜怒哀楽を持つ特異の存在である彼が、何故か今は色をなくした表情でそこに横たわっていた。

「……ついに、拒絶されたのか?」

 恭也と赤星ほどではないが、匿名希望と春原は長い間コンビを組んでいた。故に、匿名希望は春原のことを知り尽くしていたのであった。
 彼がこうしている理由はわかっている。
 誰かに拒絶されたのだろう。実に下らない話だ。が、気狂いピエロ―――――春原陽平にとっては生存し続けるに値する重要な項目なのだろう。

 本当に、下らない。

「……はは、ん、まぁー、ねぇ。もういい、って、さ……もう十分だから、もうこなくていい、ってさ」

 春原は力なく微笑む。それは果たして仮面か、それとも今まで覆いつくされてきた彼の素顔なのだろうか。匿名希望にそれは理解できないし、理解しようとも思わない。知ったところで自分の彼に対する態度は変化するものではないから。
 しかしながら、問うてみた。
 理由は、自分のだけの秘密だが。

「で……そう言われたキチガイピエロ。……その仮面はどうするんだ?」

 外すとすれば、それは春原の死だ。
 発狂死―――――魄終。
 人類が喜色満面の笑みを浮かべて拍手するだろう。月の子と称されるものが一人減ると言うことは、奇跡にも等しい事柄なのだから。

「外すさ、もう。僕の――俺の仮面は、もう用なしみたいだから、なぁ……」

 微苦笑。
 今まで見せたことの無い表情を見せる彼は、もう既に諦めているのだろうか。
 なれど、匿名希望は気狂いピエロの瞳に隠された希望に気付く。
 だから、彼からこんな言葉が来る。

「なぁ、ニート……お前は、どうだ? まだ俺に……まだ僕に仮面をつけていて欲しい、か?」
「そうだな……」

 思索する仕草をし、自分の全てを覆いつくし、白髪の化物と称すに値すべき世界最長であろう800m以上の頭髪を掻き揚げ、返した。

「……お前は、どうしたいんだ?」
「そうだなぁ……ま、お前が望むなら続けるし臨まないならここで朽ち果てるさ。元々、ムーンチャイルドを闘い以外で殺さないために生きていたようなもんだからなぁ、僕は」

 その人生を、その生き様の全てを他人へと宛がい己をないがしろにし続けた男は、笑う。
 そんな己を支えていてくれた彼らがいない世界で、笑う。

「―――――ふん」

 哂う。
 つまり、そういうことだろう?

「………あん?」
「くくくく」

 嘲う。
 下らねぇ、実にくだらないわよ。

「……何似合わねぇ笑み浮かべてんだよ、おい」

 春原の口調に険が篭る。
 その顔に、その意志に、その存在に、色が――――灯る。

「くくくくくく……あはははははははははは!」

 ――――なんて、奇跡!

 その姿は匿名希望ではない。

 それは、今は幻と消えうせた、“彼”の真実の姿。


「くっだらねぇ《くだらないわ》。所詮、お前《アンタ》なんか道化にもなりきれないただのバカじゃねぇか《じゃないの》」

 三雲武司。
 三雲桜。

 三発の核で、たった一つの銃弾で消えうせた、その存在が、今。
 春原陽平のその姿を見て、笑っていた。

「んなっ――――つ、はは、あはははは! そうか、それがお前の――匿名希望の真実か!」

 ピエロは――いや、春原陽平は笑う。
 自分をあざ笑う同族を前にして、自分を罵倒するその声を前にして、歓喜の笑いを上げていく。

「そうかっ、あははは! そうかそうか、俺は――いや、僕はまだ生きていていいのか! あははは、この狂った道化が、道化にもなりきれない哀れな道化が、最後の最後でこんなプレゼントを貰えるのか! あははは、この狂った世界で、この終わった世界で、今はじめて僕は笑っている! 本当に、笑ったのなんて、何百年ぶりだというのに!」

 道化は――いや、道化だった男は笑う。
 仮面を外し自分をさらし、ただただ笑い続けていく!

「くくくっ、くかかかかかかかっ!」

 匿名希望―――――否、三雲武司は、彼の唯一の拠所であった佐倉翔也の笑い方で、大声を上げて哂う。

「相変わらずバカだなあ、陽平。お前、プロの道化が、たかだが一人の客に愛想付かされたぐらいで、舞台を降りるっていうのか?」

 三雲桜は、彼女の唯一の思慕の対象であった佐倉翔也が見とれた微笑を浮かべて言う。。

「良いじゃない。愛想付かされようが嫌われようが……だって、お客さん(ワタシたち)が、貴方の姿を見て笑う人たちがいるんだから」 

 笑いが、止まる。
 その顔は泣きそうに歪み、しかし目じりは笑いに釣りあがり、口元からは嗚咽が零れていく

「ああ――――そう、そうだった……よな。俺はピエロなんだ。誰かに捨てられようと、誰にも報われまいと、俺はピエロなんだ……世界で唯一の、狂ったプロの道化師、なんだよなぁ」

 ぽたりと
 乾いた大地に、一滴の潤いが落ちていく。

 その雫が落ちるのと同時、武司、桜は、その姿を見て、匿名希望の姿へと戻る。
 そして、その雫を踏み潰し、今は真実の姿である匿名希望は、気狂いピエロに向けて、問う。

「どうする?」

 これからの行くべき道を。

 春原は、顔を上げる。
 その顔には相変わらずのへたれた笑顔。それこそがこの道化の至高の仮面。
 そして――――

「決まっている、さ」

 詩が、始まる。






















「俺は道化、阿呆な道化
 泣いて笑いをばら撒き散らす、仮面を被った至高のピエロ」

「拒絶されれば笑われて、泣いて縋って笑われて、最後に自分も笑ってた
 だから俺は決めたのさ。誰かを笑わすためならば、俺も笑い続けようと
 だから俺は決めたのさ。泣いて転んで倒れても、最後にゃたって進んでいこうと」









 匿名希望は、気狂いピエロへと続く。
 それは、もしかしたら、彼の生存に対しての賛美歌なのかもしれない。



「君が居ない色褪せた世界は続く。
 このセカイに刻まれし、永久の罪科を告発しよう」


「窮屈な惑星《ホシ》に産まれ育った、蠢く人形に名前は無く。
 無罪でもあり不実でもある、されどその命の煌きは麗しく―――――」







「そうさ俺は狂った道化。ただ愚かで救いも無い、阿呆が似合う哀れな道化
 呆れながらも俺を見ろ、泣きながらでも俺を見ろ、見たくなくても俺を見ろ、至高の笑いをくれてやる
 呆れる奴には笑いをくれて、泣いてる奴には愉悦を与え、見たくなければ音で笑わせ俺は一人で舞台に映える!」

「さぁ、とくと御覧あれ。これから道化が行うは、一世一代大舞台!
 演じる舞台は陳腐な台座、お客は自分と空虚な世界!
 泣いて笑って呆れて聞いて、笑って笑って笑って笑え、それが俺の命に変わる――――」





「故に私と私は生きていく。
 右は松明―――――左が地図―――――心に言葉
 私たちは―――――三つの光を抱いて生きている」

「君が武司《サクラ》と呼ぶならば、なるほど私は桜《タケシ》だろう。
 君が名前《イノチ》を呼ぶならば、なるほど僕は人間《イノチ》だろう。
 ――――知らないだろう、我が死神《トモ》よ。貴方がそう呼ぶその名前、私は己を超えられる――――」

















 声が、合わさっていく。
 世界を揺さぶる二つの歌が。
 世界を壊す二つの歌が。


 世界に広がる二人の詩が!











「笑って笑って笑い行く。故に俺は――――“道化馬鹿一代《オンリーピエロサーカス》”!!!」

「此処に一つ――――“最期の願い《ラスト・プロミス》”!!!」










 魂魄励起と呼ぶにふさわしくない、その場限りの言葉の羅列を唱え終えた二人は亜神と呼ばれる位階の化けものと化していた。
 匿名希望は隣で、いつまでも笑顔な春原を見て、とりあえず蹴った。

「いつまで笑ってるんだ。気持ち悪い」
「ぐはっ――――感動的なシーンだっつーのにいきなりそれですかねぇ!? っていうか亜神級の戦闘系能力者が非戦闘系能力者の僕を容赦なく蹴るって酷くないですかねぇ!」

 それでもピエロの笑みは消えることはない。
 いや、もうこの顔は永遠に崩れることは無いだろう。
 何故ならば、春原陽平の被っていたそれまでの狂った仮面は崩れ果て、変わりに被ったこの仮面は真実の春原陽平という存在全てが詰まった仮面なのだから。

「何百年経とうがお前はやはりキチガイか。誰が、戦闘系能力者だって? 違う―――――私は万能系能力者だ」

 それ以前に、貴様は心器能力者だろう?

 そう続ける匿名希望は、時が止まった表情に戻っていたが、しかしその声は僅かに彩られていた。
 そのことに気づいた匿名希望は、心で苦笑する。だが、そんなことを気にしている間もない。
 何故って、先程からずっと、ずっと。

 ―――――こちらの様子を観察している人類がいるのだから。

「おいおいおい、僕がキチガイなのは今さらだけど、君が戦闘系じゃないだって? 何だよそれ、僕の聞き間違い?」

 にやにやとその顔に笑みを浮かべながら、春原は――気狂いピエロは立ち上がる。

「で、冷静になって気づいたか。ロリコンピエロ」

 二人を囲んでいる人類に、という意味だ。
 いや、言うまでもなくもう気付いているだろう。先程まで、発狂死――――魄終しようとしていたときとは違い、現状の春原は、13th【気狂いピエロ】なのだから。
 だから、返ってくる言葉は(匿名希望にとって)下らないものであった。

「っていうか誰がロリコンピエロだ変態男女。杏は僕と同い年だし僕は自分より年下の子と浮気したことなんて――――いや、ごめんなさいしてないですよそもそも浮気なんてっていうか杏の姿になるの止めろぉ!!」

 余りに切実とした絶叫だったので、匿名希望は春原杏となろうとしたのを途中で止めてみた。右半分が春原杏。左半分が匿名希望というその姿に、人類は驚愕に顔を染めるが、最初から全てに気づいていた匿名希望はそれを無視する。そして、匿名希望は匿名希望の姿に戻り、春原の顔が安堵に変わったところで――――――

「浮気…………ねぇ」

 時間を掛けることなく(元々、誰かに模倣する際は一瞬だ。それをしなかったのは目の前の道化に恐怖を与えてやろうと思ったからだ)、一瞬にして春原杏へと変える。
 ムーンチャイルド13th限定に対して殺傷力を持つ殺意を携えて、“春原杏”は哀れなピエロへとつかつかと歩み寄った。

「う、浮気なんてしてないですよ!? そもそも僕は杏一筋っていうかまぁ、もろもろの諸事情で身体の関係を持ったことはあるけどそれは全部朋也の策略でげふぁーーー!?」

 一撃(入魂は流石にしなかったが)。

 ムーンチャイルドの中でも上位に入る実力者と人類に認識されている男が、より下位と目されている相手によって一撃で地に這わされるっていうか、砂埃を盛大に撒き散らして飛んでいく。

 それは、そう――――匿名希望が模倣した春原杏の右腕……感応金属で作られた義手に篭められた力がどれほどかということを、物語っていた。

「……気狂いピエロ。本当に浮気してたのか――――春原杏に一瞬自我を奪われたぞ」

 匿名希望は元の姿に戻る。
 そのついでといってはなんだが、“春原杏”の余りの自我に敬意と、制御が奪われかけて自我を消失しそうになった怒りを混ぜながらある心器を顕現した。

 ―――――蒼空《ヴァラキアカ》。
 佐倉翔也の呪具にして、匿名希望の最強の一振り。亜神級のストレイで在るが故に、魂魄励起したときにしか使えない愛すべき切り札。

「いやいやいや、だーかーらー、うわきっつーかそん時は仕方がなかったんだっての! 僕はあの時あの子の恋人に存在変換してて――――ってニートさん? ナニゆえヴァラキアカなんぞを出してこっちを睨んでいるんでせうか? あはは、僕わかんなーってマジしゃれになってねーーーーっ!?」

 匿名希望の心器に表情を青く染めて引きつった笑みを浮かべながら、春原も応戦するように手早く近くの拳大の石を拾い上げ、手に表したネイミングにて文字を記す。
 その文字とは――――“眠りネズミの魔弾《タスラム》”

 その文字が書かれた石を春原が真面目に焦った笑顔で投げ捨て――――












 あっという間にその石は数千数億の細かい針に変わり、背後から匿名希望を殺そうと襲い掛かってきていた人類を、根こそぎ撃ち殺していく。
 そして、悲鳴の連続。

「とある事実が載った文献がある。ある男がある男に立てついた所為で、その男は二次元にしか反応できなくなったという…………今、むしょうにお前の性格を狂わせてどうなるか試して…………下手したら崩壊暴走するが、まあいいだろう?」
「良いわけないだろうっていうかやめてくださいよーうっわ!?」

 春原と同じように、ではなく。
 本当に春原目掛けて薙ぎ払われたその一閃は、春原がマジで焦りながら回避したおかげで、その後方に属する人類の人生を狂わせていった。

 全くの余談であるが、二次元限定反応というのは、最終位階神話級……の時点で魂魄励起し死んでいった―――――曰く、世界の理を見抜いたらしい―――――水原友良、である。




「…………避けるな」


 沈黙が、堕ちる。



 引きつった表情で背後を振り返った春原が見たものは、色々な意味で人類を止めていく元人類たち。
 もう既に彼岸に旅立ったものもいれば、新しい何かに目覚め大地に頭を打ち付けて自殺している連中もいる。更には己の身を爆弾と変え、破裂していく。
 要するに――――狂わされたのだ。今春原が避けた攻撃によって。


「お、お前……ここは避けるなとかそういうセリフはなくてもっと、こぅ、何か感動するものがあって叱るべきだと思うんですけどっていうか本気で狙うなよ!?」

 無視。

「…………で、だ。ピエロ。この人類どもは、どうする? 正直なところ、お前に嘘ばっかついた所為で疲れた」
「酷---っ!? あの感動のシーン全部嘘で括りましたよねぇ!? 今! 今その瞬間に!」

 五月蝿い黙れ、との声と共に振ってきた一撃で再び地面に突っ伏されるものの、すぐに回復――――その後方では断末魔。
 難なくよけるその仕草は、伊達に亜神級レベルの心器能力者になってはない。

「あーあー、わかりましたよー、だ。ふん、まぁ、今日はお前のあの姿に免じて、俺がひっさしぶりに本気を出させてもらうさ。ああ、その前に――士郎を模倣して何か扉と鍵出して。どんなのでもいいからさ」
「いや、今日は私が殺し尽くす」
「へぇ…………ここ数年じゃあ珍しいじゃないか?」

 ムーンチャイルド11thが匿名希望。
 ここ数年は、能動的に殺戮をしたことはない。
 されど、それは専守防衛に当たっているという意味ではない。

 協力技の相方に回ることが多かっただけの話だ。

「事実を確認してからモノを言え。緋勇龍麻が、龍星が死んだときに、都市が一つ壊滅しただろう?」
「ああ、アレはお前か。…………セントラル、ねえ。また【追悼の儀式】でもやったのか?」
「当然だ」

 追悼の儀式。
 それは、ムーンチャイルドが死んだときに行う匿名希望なりの鎮魂歌。

 実例を、挙げよう。
 今、気狂いピエロが言った内容になるが。



 龍星《セントラル》というムーンチャイルドがいた。彼女は最終的に発狂死したわけだが、それを知るまでもなく確信した匿名希望はまず彼女の死んだ場所へいき、残っていた彼女の死骸を(というと語弊がある。彼女は死の間際、己の命を力にして周囲の全てを破壊しつくしたのだじから。故に、ここで言う死骸というのは、僅かに残った彼女の魂魄の名残、という意味だ)丁重に弔い――――しばらく彼女の“家族”に姿を変えて、黙祷の意を表する。






 彼女を殺した主な原因である人類を、彼女の仲間にして親友、家族の姿となり、殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して――――

 ―――――殺しつくした。


 残りの、450人を。

 美里葵、蓬莱寺京一、醍醐雄矢、醍醐小蒔、壬生沙夜…………そして、壬生紅葉。
 彼らの姿を模し、最後にセントラルと呼ばれた緋勇龍麻となり、その存在を、彼らが居た場所を壊滅せしめた。


 彼女は匿名希望が三雲武司、三雲桜であった頃の、友人でもあった。


 そして、ここで気狂いピエロが死ぬことがあれば、同様に此処は地獄と成り果てていただろう。



 …………既に、地獄か。


















「まあ、気狂いピエロ。偶にはお前が観客となっていろ」
「あー、たのしそーだから見させてもらうけど……色々なよしみで見物量タダな?」
「ツケにしといてやろう」
「あんた鬼っすね!?」

 人類に言わせれば、私たち全員が悪鬼羅刹の類だろうがな。






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最終更新:2007年07月10日 13:28
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