王国の一角にある商店にて、数名の
キャンディピープルを人質にして立てこもっていたのは、“
クッキー・プリンセス”を名乗るチョコチップクッキーの男。彼はあろうことか、
プリンセス・バブルガムの王冠を要求していた。
バナナガードのバリケードに隠れて人質解放交渉を行うバブルガムだが、彼は中々折れようとしない。現場に立ち会っていた
フィンと
ジェイクは、変装を用いて潜入してクッキーを文字通り“丸め込む”作戦をバブルガムに提案、早速実行に移すことに。
バブルガムの指示により、牛乳配達員の格好で店内へと入っていくジェイクと、その“影”のフィン。人質に牛乳を配りながらこっそりクッキーの様子を観察…どうやら共犯の
チョコチップの手下がいるらしい。ジェイクがクッキーの気を引いている隙を見て、フィンはチョコチップたちの掃討のため別行動。ジェイクは何気なくバブルガム批判を持ち出し、クッキーの気を引こうとする。好感を持ったクッキーは、ジェイクに自分がプリンセスになることを目指した経緯を語り掛けた…。
…キャンディピープルの孤児“ベビースナップ”だった彼は、同じ孤児たちと無気力な日々を送っていたが、ある日孤児たちの世話に訪れたバブルガムとの出会いが、彼を劇的に変えた。「大きくなったら何にでもなれる」というプリンセスの言葉は、“プリンセス”に対する憧憬を確固なものにした。だがバブルガムは、そんな彼の真摯な想いを一笑に付したのだった…。
思わず同情するジェイク。「あの女は自分だけがプリンセスでいたいんだ!!」…沸き上がった憤怒の勢いで、チョコチップたちに指令を出そうとするクッキーだが、彼らからの応答が無い。…先に潜入していたフィンに抑えられたからだ。すっかり情にほだされていたジェイクは、怒りが収まらないクッキーをなだめるように「ここを出て新しい国を作ればいい」と提案。一旦店を出たジェイクは、バブルガムに「ヤツは店を解放するから放っておいてやれ」と説得したが、バブルガムは国の秩序を乱したクッキーを重罪人として裁くことを譲らない…。
やがて、人質の一人を押えたままジェイクと共に店から出てきたクッキー。バブルガムは彼を脱出させるための
馬を用意していたが、馬は明らかにバナナガードが化けた偽物…。「このままだとクッキーはおしまいだ」…そう思ったジェイクは、自ら馬に変化してクッキーを逃がすように逃亡を図った。王国の塀を超えて森を走るジェイク馬にいつの間にか付いてきていたフィンは「悪者に味方するのか?」とジェイクを責めたが、純粋な想いを抱くクッキーの味方となったジェイクに振り落とされてしまった。
クッキーを逃がすジェイク。彼らの行く先にあるものは…
バナナガードたちの追跡をもろともせずに森を駆け抜けるジェイク馬。しかし、崖を飛び越えようとした矢先にクッキーに無理矢理制止させられてしまった。クッキーは気付いてしまったのだ…自分しかいない国のプリンセスになったって、意味などないのだ…と。クッキーは崖を背にし、色々手を尽くしてくれたジェイクにお礼を言った。目をつぶった彼の体は、崖の下へと落ちていき………。
………バラバラになりながらも一命を取り留めたクッキーは、いつしか
キャンディ王国の精神病院で日々を過ごしていた。そんなある日、「ベビースナップはいるか?」と面会を求める人物が。それは、郵便配達員の格好をしたジェイクだった。クッキーへのお届け物は、なんと“原っぱ王国の王冠”。ジェイクは腕を伸ばし、その王冠をやさしくクッキーの頭上へ。窓の明かりに後光のように照らされた“本物のクッキー・プリンセス”に思わず跪く、ジェイクと患者たちだった…。