時間の歪み ◆IvIoGk3xD6
秘密組織CCRのエージェントである八神総八郎は一人、遊園地のベンチで佇んでいた。
だが、ただ時間を無為に過ごしている訳ではない。
彼は今までの経験を元に、今回の事件のことを考えているのだ。
亀田とは?我威亜党とは?その目的は?
しかし、今の段階では何一つ分からない。得られた情報があまりにも少ないからだ。
分かったことといえば、彼がとんでもない科学力を持つと同時に、
子供にも平気で手を下すような残忍な人間であるということぐらいである。
だが、そんな中で八神はある言葉が気になった。
だが、ただ時間を無為に過ごしている訳ではない。
彼は今までの経験を元に、今回の事件のことを考えているのだ。
亀田とは?我威亜党とは?その目的は?
しかし、今の段階では何一つ分からない。得られた情報があまりにも少ないからだ。
分かったことといえば、彼がとんでもない科学力を持つと同時に、
子供にも平気で手を下すような残忍な人間であるということぐらいである。
だが、そんな中で八神はある言葉が気になった。
『時空の覇者』
亀田が名乗ったこの言葉はどういう意味なのだろうか。
文字通りにとらえるならば、時空、つまり時間と空間の覇者ということになる。
空間というのはおおよその見当がつく。
先ほど自分が経験したワープのことなのだろう。これが能力の総てなのか、
その一端に過ぎないのかまでは分からないが。
では、時間とは何なのだろうか?
そのことを考え始めた時だった、八神の思考は不意に掛けられた声によって中断させられてしまう。
文字通りにとらえるならば、時空、つまり時間と空間の覇者ということになる。
空間というのはおおよその見当がつく。
先ほど自分が経験したワープのことなのだろう。これが能力の総てなのか、
その一端に過ぎないのかまでは分からないが。
では、時間とは何なのだろうか?
そのことを考え始めた時だった、八神の思考は不意に掛けられた声によって中断させられてしまう。
「十波やないか!」
それは八神にとって聞き覚えの無い声と名前であった。
そして、声の主はどうやら女性らしい。
「いや~、まさかこんな所で十波に会うとは思っても無かったわ。
それにしても、お互いついてないな!」
それは八神にとって聞き覚えの無い声と名前であった。
そして、声の主はどうやら女性らしい。
「いや~、まさかこんな所で十波に会うとは思っても無かったわ。
それにしても、お互いついてないな!」
どうやら彼女は人違いをしているようだ。
考えに没頭する余り、周りに注意を払ってなかったことを反省しながら、
そのことに気付いた八神は即座に彼女の間違いを正す。
「ゴメン、人違い何だ。俺は八神っていって、君の知り合いの十波君じゃないよ」
「まったく、甲子園も迫ってるっちゅうのにアンタも大変やな!って、えぇー!?嘘やろ!?」
そこで初めて自分の間違いに気付いた女性ムム大江和那はマジマジと八神のことを観察しだし、すぐに結論を出した。
「すまん!クラスメイトに似てたもんやからついな。アンタの方が全然大人や。
いや~、似てる人っているもんやね。ハハハ」
そう言いながら大江は徐々に八神から遠ざかって行くが……
考えに没頭する余り、周りに注意を払ってなかったことを反省しながら、
そのことに気付いた八神は即座に彼女の間違いを正す。
「ゴメン、人違い何だ。俺は八神っていって、君の知り合いの十波君じゃないよ」
「まったく、甲子園も迫ってるっちゅうのにアンタも大変やな!って、えぇー!?嘘やろ!?」
そこで初めて自分の間違いに気付いた女性ムム大江和那はマジマジと八神のことを観察しだし、すぐに結論を出した。
「すまん!クラスメイトに似てたもんやからついな。アンタの方が全然大人や。
いや~、似てる人っているもんやね。ハハハ」
そう言いながら大江は徐々に八神から遠ざかって行くが……
「待て、どこへ行く気だ?」
すぐに呼び止められた。
「べ、別にどこも行く気なんてあらへんよ?まさか、人違いしていたたまれないし、
知らん人と一緒におるのも不安やから、ここから離れたいな~なんて微塵も思ってませんよ?」
「なるほど、そういうことか。けど安心してくれ。
俺は君に危害を加えるつもりは無いよ。こう見えてもプロ野球選手だしね」
八神は優しく、そして諭すように大江に語りかける。
すぐに呼び止められた。
「べ、別にどこも行く気なんてあらへんよ?まさか、人違いしていたたまれないし、
知らん人と一緒におるのも不安やから、ここから離れたいな~なんて微塵も思ってませんよ?」
「なるほど、そういうことか。けど安心してくれ。
俺は君に危害を加えるつもりは無いよ。こう見えてもプロ野球選手だしね」
八神は優しく、そして諭すように大江に語りかける。
「まあ、アンタが本当の危険人物やったら声かけた瞬間に殺されとるわな」
大江は八神のことを信用したのか、後ずさりするのを止める。
また、それを見ると、八神の方は大江に向かって歩を進め、おもむろに手を差し出した。
「さっきも言ったけど、俺は八神総八郎。ホッパーズで投手をやってる。よろしく」
「八神さんか。さっきはすみませんでした。ウチは大江和那っていいます。こちらこそよろしくな」
大江も一瞬躊躇したが、差し出された手を固く握った。
大江は八神のことを信用したのか、後ずさりするのを止める。
また、それを見ると、八神の方は大江に向かって歩を進め、おもむろに手を差し出した。
「さっきも言ったけど、俺は八神総八郎。ホッパーズで投手をやってる。よろしく」
「八神さんか。さっきはすみませんでした。ウチは大江和那っていいます。こちらこそよろしくな」
大江も一瞬躊躇したが、差し出された手を固く握った。
□
お互い殺し合いに乗る気は無いと分かったので、現在は二人で病院を目指している。
遊園地から近いということもあったし、うまくいけば医療道具も手に入るかもしれないからだ。
お互い殺し合いに乗る気は無いと分かったので、現在は二人で病院を目指している。
遊園地から近いということもあったし、うまくいけば医療道具も手に入るかもしれないからだ。
その道中にあって、親交を深めるためか、二人は互いの境遇について話し合っていた。
「それで、八神さんのチームは解散を免れた訳ですね。世間ではそんなことが起こっとった何て知らんかったわ。
ウチの学校、全寮制で校則が厳しいさかい、外の情報があんまり入って来ないんよ」
「そうみたいだね。結構大きくニュースで取り上げられてはずだから。
それにしても、まさか日本シリーズの前にこんな事に巻き込まれるなんて……。ついてないよなぁ」
八神はつい愚痴をこぼしてしまったが、それも仕方のないことだろう。
彼はこの半年を日本一になるために懸けてきたのだから。
「まぁ、頑張って生きて帰りましょうよ」
大江も八神の落胆に気を揉んだのか、励ましの声を掛ける。
「そうだな、日本一になるためにも一刻も早く亀田を倒さないとな」
八神は力強く答えた。
「その意気ですよ!微力ながらウチも手伝いますから」
「ありがとう、言葉だけでもうれしいよ」
「それで、八神さんのチームは解散を免れた訳ですね。世間ではそんなことが起こっとった何て知らんかったわ。
ウチの学校、全寮制で校則が厳しいさかい、外の情報があんまり入って来ないんよ」
「そうみたいだね。結構大きくニュースで取り上げられてはずだから。
それにしても、まさか日本シリーズの前にこんな事に巻き込まれるなんて……。ついてないよなぁ」
八神はつい愚痴をこぼしてしまったが、それも仕方のないことだろう。
彼はこの半年を日本一になるために懸けてきたのだから。
「まぁ、頑張って生きて帰りましょうよ」
大江も八神の落胆に気を揉んだのか、励ましの声を掛ける。
「そうだな、日本一になるためにも一刻も早く亀田を倒さないとな」
八神は力強く答えた。
「その意気ですよ!微力ながらウチも手伝いますから」
「ありがとう、言葉だけでもうれしいよ」
八神の話が一段落したので、今度は大江が話す番となった。
ちなみに、八神はCCRのことを大江には話していない。
公になってないということもあるが、CCRの実態は大神グループの非合法武装組織なのである。
このことを知ってしまうと、大江が危険な目に遇う可能性があるかもしれないと考えたからだ。
「でな、その自治会長やっとるダチがしょーもない規則を大量に作るんよ。例えばな――」
大江の話はいかにも普通の女子高生の話でしかなかった。
そのような者までをもこのような場に巻き込んだ亀田に対して、八神は改めて憤りを感じる。
ちなみに、八神はCCRのことを大江には話していない。
公になってないということもあるが、CCRの実態は大神グループの非合法武装組織なのである。
このことを知ってしまうと、大江が危険な目に遇う可能性があるかもしれないと考えたからだ。
「でな、その自治会長やっとるダチがしょーもない規則を大量に作るんよ。例えばな――」
大江の話はいかにも普通の女子高生の話でしかなかった。
そのような者までをもこのような場に巻き込んだ亀田に対して、八神は改めて憤りを感じる。
「そんなとこでウチの話は終いや。何か質問とかあります?」
「う~ん、今更って気がするかもしれないけど、最初に俺を誰かと間違えたじゃないか、その人のことがちょっと興味があるかな」
それは単純な好奇心だった。だが、これが後の大きな発見に繋がることとなる。
「あ~、十波のことやね。そいつは、まぁ、何というか、その、ウチの大事な人やねん。
そいつはプロ野球選手になることを夢みとってな、なんと今年甲子園に出場することになったんや」
「えっ、なった?」
「そう、なったんや。確か来週から始まるはずやったと思うで」
これには八神は疑問を感じずにはいられなかった。
八神にとって、今は日本シリーズの前、つまり十月の下旬であり、まかり間違っても甲子園の季節ではない。
不意に八神は大江と会う前に考えていたことを思い出す。
頭の中で何かがカチリと噛み合った。
「う~ん、今更って気がするかもしれないけど、最初に俺を誰かと間違えたじゃないか、その人のことがちょっと興味があるかな」
それは単純な好奇心だった。だが、これが後の大きな発見に繋がることとなる。
「あ~、十波のことやね。そいつは、まぁ、何というか、その、ウチの大事な人やねん。
そいつはプロ野球選手になることを夢みとってな、なんと今年甲子園に出場することになったんや」
「えっ、なった?」
「そう、なったんや。確か来週から始まるはずやったと思うで」
これには八神は疑問を感じずにはいられなかった。
八神にとって、今は日本シリーズの前、つまり十月の下旬であり、まかり間違っても甲子園の季節ではない。
不意に八神は大江と会う前に考えていたことを思い出す。
頭の中で何かがカチリと噛み合った。
そのことを確かめるためにも、ある事を大江に尋ねる。
「大江さん、バカバカしいと思うかもしれないけど、今から聞くことに正直に答えて欲しい。
今日は何年何月の何日だ?」
大江は一瞬呆気にとられたが八神の真剣さに気付き、偽り無く答える。
「今日は確かXX年の8月2日やな」
「大江さん、バカバカしいと思うかもしれないけど、今から聞くことに正直に答えて欲しい。
今日は何年何月の何日だ?」
大江は一瞬呆気にとられたが八神の真剣さに気付き、偽り無く答える。
「今日は確かXX年の8月2日やな」
疑惑が確信に変わった。
八神の視界がグラリと揺れた気がした。
「……まさか年まで違うなんて。大江さん、“俺にとって”今日はYY年の10月21日なんだ」
「えっ、どういうことですか?」
大江が不思議そうな顔で八神を見つめる。
「とりあえず、俺の考えを聞いて欲しい。話しはそれからだ」
そして、八神は自分の考察を話し始めた。
「……まさか年まで違うなんて。大江さん、“俺にとって”今日はYY年の10月21日なんだ」
「えっ、どういうことですか?」
大江が不思議そうな顔で八神を見つめる。
「とりあえず、俺の考えを聞いて欲しい。話しはそれからだ」
そして、八神は自分の考察を話し始めた。
亀田には時間に干渉できる能力、または装置がある。
大まかに言ってしまえばこれが八神の考察の内容だった。
大まかに言ってしまえばこれが八神の考察の内容だった。
「……、八神さん、冗談きついわ」
「冗談みたいな話しだが、真実だ。俺は嘘は言っていないし、大江さんのことを信じている。
だけど、一つしかないはずの今日が二つある矛盾。そして、亀田の『時空の覇者』発言。
これらを考えるとこの結論がでちゃうんだ。まぁ、あくまで可能性の話にしか過ぎないんだけどね」
「冗談みたいな話しだが、真実だ。俺は嘘は言っていないし、大江さんのことを信じている。
だけど、一つしかないはずの今日が二つある矛盾。そして、亀田の『時空の覇者』発言。
これらを考えるとこの結論がでちゃうんだ。まぁ、あくまで可能性の話にしか過ぎないんだけどね」
そう、あくまでこれは考察でしかない。
大江が嘘を言っている可能性が無いわけではないし、
もしかしたら自分が暗示にかかっているのかもしれない。
それに、亀田の時空の覇者発言だってそうだ。あくまで自称に過ぎないのだ。
だが、八神はこれは真実だと思っていた。
亀田が自己顕示欲が強いことは火を見るより明らかであり、そんな男が偽りの自称を用いるであろうか?
何かしらの要素があったからこそ、その自称を用いたのだろう。
だからこそ、八神は亀田の発言に偽りはないと判断したのだ。
大江が嘘を言っている可能性が無いわけではないし、
もしかしたら自分が暗示にかかっているのかもしれない。
それに、亀田の時空の覇者発言だってそうだ。あくまで自称に過ぎないのだ。
だが、八神はこれは真実だと思っていた。
亀田が自己顕示欲が強いことは火を見るより明らかであり、そんな男が偽りの自称を用いるであろうか?
何かしらの要素があったからこそ、その自称を用いたのだろう。
だからこそ、八神は亀田の発言に偽りはないと判断したのだ。
「タイムマシンか……。そんなもん持っとる奴に勝てるんかな、ウチら?」
大江が不安そうに嘆く。
「勝てるさ!あいつは『時空の覇者』なだけで『全知全能の神』じゃない。
俺達にも突き崩せる部分があるはずだ!」
八神は自分にも言い聞かせる様に力強く答えた。
大江が不安そうに嘆く。
「勝てるさ!あいつは『時空の覇者』なだけで『全知全能の神』じゃない。
俺達にも突き崩せる部分があるはずだ!」
八神は自分にも言い聞かせる様に力強く答えた。
ゲーム開始から約2時間、二人のバトルロワイヤルはまだ始まったばかり。
【G-8、遊園地内/一日目/深夜】
【八神総八郎@パワプロクンポケット8表】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1~3)
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:大江と共に病院を目指す
2:仲間を集めるor首輪を外す
3:亀田についての情報が欲しい
【八神総八郎@パワプロクンポケット8表】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1~3)
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:大江と共に病院を目指す
2:仲間を集めるor首輪を外す
3:亀田についての情報が欲しい
【大江和那@パワプロクンポケット10表】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1~3)
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:八神と共に病院を目指す
2:仲間を集めるor首輪を外す
3:知り合いがいたら助けたい
[状態]健康
[装備]なし
[道具]支給品一式(不明支給品1~3)
[思考]
基本:バトルロワイヤルを止める
1:八神と共に病院を目指す
2:仲間を集めるor首輪を外す
3:知り合いがいたら助けたい
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GAME START | 八神総八郎 | 044:起承転々 |