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2.3 熱量測定

(p.82~p.94)

Ⅰ:概論

  • 物質が物理的、科学的変化を起こす場合は必ず熱(エンタルピー)の出入りがある。
    • 溶解熱(混合熱)、吸着熱、結晶化熱、希釈熱、浸潰熱(湿潤熱)、反応熱など
  • これらの熱量を測定することは、製剤分野において解析を行う上で重要である。

Ⅱ:医薬品の分子状態

多形間のエネルギー差=結晶多形の転移熱の測定
  • DSC,DTA等
    • 昇温途中の結晶化により測定が困難な場合がある。cf.) Modulated DSC
  • 溶解熱測定
    • 溶解熱の差=多形の転移熱の差
    • 溶解速度の予測も可能。(初期溶解速度の対数と溶解熱には直線関係)
結晶化度の違いによるエネルギー差の測定
  • 粉末X線回折測定
    • 低結晶化度試料間の違いは不明瞭
  • 溶解熱測定
    • 低結晶化度試料間の違いも確認可能
    • 結晶性と溶解熱の関係を利用し、試料の結晶化度を求めることも可能
そのほか非晶質試料結晶化のモニタリングに熱量測定が有効。

Ⅲ:固形製剤の溶解挙動と溶解熱測定による解析

錠剤を溶解した時、
W(t) 熱伝動性プロファイル 希釈熱が瞬時に発生した場合の時間tにおける測定熱量
f(t) 錠剤の溶解プロファイル 時間tにおいて発生した溶解熱量(≠測定熱量)
g(t) 熱量計のthermogram 時間tにおける測定熱量
とすると、
  g(t)=\int f(t-u)・W(u)\, du
の関係がある。
  • 溶解熱が発生→希釈→熱量変化として測定、となる過程を踏んで測定される
    • t秒後において発生した溶解熱がt秒後の測定熱量と一致する訳ではない。
  • g(t)は熱量測定によって得られる。
    • 測定熱量変化g(t)から溶解熱変化f(t)を求めることが可能(deconvolution
    • 製剤の溶解時の熱量変化を評価することが可能。
    • 溶解熱と溶解量の関係を利用して、熱量変化から重量変化や溶解速度の評価が可能
    • Hixson-Crowellの式などを利用して、溶出機構の評価が可能

Ⅳ:熱量計による錠剤への水の浸透速度解析

  • Ⅲの原理を用いて、微小熱量計の利用により、液体の浸透速度解析が可能。
    • 1方向からではなく全方向からの液体浸透速度が解析可能
  • 錠剤の崩壊を考える上で有用

Ⅴ:熱量計による無水物の水和過程の解析

  • Ⅲの原理を用いて、熱量計の利用により、簡便かつ連続的、定量的に無水物の水和過程が評価可能
    • 無水物の反応速度モデルを用いて、無水物の水和機構の解析も可能
  • 製剤の安定性予測に有用

Ⅵ:吸着熱測定による製剤添加剤の評価

  • 高感度な微少熱量計を用いれば、少量の試料でも吸着熱、吸着等温線測定が可能。
    • 接触角測定などの他の方法では判別不可能な測定も可能。
  • 製剤の扱いやすさ、物理的安定性等の評価に有用

Ⅶ:医薬品の安全性予測

  • 24時間後の微少熱量計によるエンタルピー変化と6ヶ月保存後の残存率に良好な相関関係
    • 高感度な微少熱量計を用いれば、少量の試料でも、簡便に室温での安定性予測が可能。
      • 従来の方法では数カ月必要だった安定性評価が24時間程度で可能
    • 微少熱量計による数日間のthermogram測定から、医薬品の分解速度定数、反応機構が解析可能。
  • 製剤の安定性予測に有用

Ⅷ:懸濁製剤中の界面活性剤の可溶化挙動の熱量計による解析

  • 界面活性剤のミセル形成等に伴う分子状態、エネルギー変化は非常に小さいためにCMCの測定は困難
    • Titration cellを用いた高感度な希釈熱の測定により、CMCが非常に低い非極性溶媒を用いた懸濁系においても、界面活性剤の会合状態変化(挙動)が測定可能。
  • 吸入製剤の開発に有用


最終更新:2011年03月21日 15:42