昇圧回路
1.トランス
鉄芯に巻き数の異なる2つ以上のコイルを巻きつけたものです。1次コイル(電源につなぐ方のコイルのこと)に電流が流れると鉄芯に磁力が発生して電磁誘導が起こり、2次コイル(電気を得る方のコイルのこと)に、元の電圧を1次コイルの巻き数で割り2次コイルの巻き数をかけた電圧が流れます。また、2次コイルの電流は1次コイルに流した電流に対し、電圧と逆の計算をすることで得られます。トランスは下のような見た目をしています。
注意すべき点
- トランスに直流を流すと電磁誘導が起きず、ショートしてしまいます。また、2次コイルに何もつながないと、回路上では2次コイルが存在しないことと同じになり、大電流が流れる危険性があります。2次コイルにつないだコンデンサを充電するときも同じようなことになりやすいので、コンデンサに並列に耐圧の充分な抵抗をつけましょう。
- 出てくる電流は交流なので、電解コンデンサに充電する時は直流か脈流にする必要があります。ここでは簡単に脈流にできるブリッジダイオードというものを紹介します。下の画像のダイオードの形に組まれたものが秋月などで簡単に手に入ります。
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簡単に理想の電圧を得られるトランスですが、そもそも理想のの巻き数比のトランスが入手し難いうえにお値段も張るといった問題があります。
2.倍電圧整流回路
rec1.jpg
C1とC2に交互に充電が行われ、C1とC2が充電池のような役割をはたし、電源電圧の2倍の電圧がえられるというものです。しかし、電源と出力の電位が異なるという問題点がありました。
3.半波倍電圧整流回路
rec2.jpg
Aの電位がBの電位より低いときはB→D2→C1という順で電流が流れてC1が充電され、、Aの電位がBの電位より高いときはC1→D1→C2→Bという順で電流が流れ、C2が充電されます。このとき、Aの電位+C1の電圧で充電されるので、C2には電源電圧の2倍の電圧で充電され、倍の電圧が得られるというものです。上の回路図における電源の下側の端子と出力の-の端子の電位の差がありません。仕組みは倍電圧整流回路と似たようなものです。
4 .コッククロフトウォルトン回路
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この回路の原理は、半波倍電圧整流回路を積み重ねたようなものです。(実際には、徐々に昇圧されます。)この回路において、すべての部品に対しかかっている電圧は電源電圧の2倍以下になり、耐圧の低い部品で高電圧をえられます。
5.昇圧チョッパ
直流電流を昇圧するものです。電源にコイルを直接つなげると、大電流がコイルに流れ、強力な気力が発生します。ここで、コイルのGNDにつないだ端子を高電圧をつなぎたいもの(たとえばコンデンサなど)につなげると、コイルが磁力を維持ししようと一瞬だけ強い電力を発生させます。この切り替えをトランジスタなどを用いて高速に行うことで高電圧を得ることができます。小型化しやすい反面発熱がひどいです。
6.ZVS
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トランスの片方に2つのトランジスタをつなぎスイッチングすることで直流電流を交流にし,それをトランスによって昇圧します。得られる電流は交流なので整流回路が必要となり、回路が巨大化してしまいがちです。
EML(電磁加速装置)
1. ディスクランチャー
渦状に巻いたコイルに強い電気を一気に流すと強い磁力が急に生じ、コイルの上の金属の円盤の中の自由電子がその磁力の変化を打ち消すような磁力を起こす電流を発生させ、それによる磁力がコイルの磁力と反発して高く飛び上がるというものです。
美点
欠点
2. コイルガン
中空のアクリル棒等絶縁体にコイルを巻きつけ、少し離れた場所に発射したい金属(プロジェクタイル)をセットする。コイルにコンデンサから電流を流すと一瞬磁力が発生してコイルの中心にプロジェクタイルが吸い寄せられ、発射されるというものです。
美点
- 発射の際音がしない
- 銃砲刀剣類所持等取締法第二条の銃砲の定義に当てはまらない(追記:2024年の法改正によって銃とみなされるようになりました。)
欠点
3. レールガン
平行に並べられた電気伝導体のレールの間に電気伝導体の弾丸をレールに接するように置き、2つのレールに電圧をかけるとレールの間の弾丸の後方に⊗方向(あなたの目から画面の方向)に磁力が発生し、フレミングの左手の法則(ローレンツ力)により弾丸が発射されるというもの。
美点
欠点
他にも、EMLの一種としてサーマルガンというものがありますが、銃砲刀剣類所持等取締法第二条に定める銃砲に該当するので製造しないいようにしましょう。
(追記:この記述は2015年時点のものです。法改正に注意し、ご自身で最新の法規を確認してください。)
放電装置
1.スタンガン
先述のコッククロフトウォルトン回路を組むことで簡単に高電圧を得ることができます。交流電源としては、使い捨てカメラのフラッシュの昇圧回を少し加工するだけで簡単に直流1.5Vを交流約250Vに昇圧する回路が手に入ります。
他にも、テスラコイルというものがあります。
高電圧スイッチング方法
EMLのところで高電圧を一気に流す、と書いてきましたが普通のスイッチやリレーなどで導通させようとするとスイッチの金属部分が溶接されてしまうので、高電圧向けのスイッチが必要となります。
1.物理的に接触させる
スイッチング対象を物理的に導通させるというものです。ここでは最も簡単な作り方を紹介します。(非推奨)アルミ板を買ってきてそれにスイッチング対象の片方を、アルミ板にネジ穴をあけて圧着端子をつけるなどして導通させます。もう一方の端子に長めのケーブルをつけ、皮膜を多めに剥いでから先端を半田で固めます。そして先ほどのアルミ板の上に接触しないよう注意しながらセットし、発射する際にケーブルの先端をゴムハンマーなどで打ち付け、導通させます。
美点
欠点
- 高圧部を剥き出しにするので危険。
- アルミ板と端子の間で放電してしまうので爆音や火花が出る危険性がある。
- ロスが大きい。
- はんだが溶けてアルミにつく
2.サイリスタ・トライアック・FET
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高圧・大電流向けのスイッチング素子です。対象端子を繋げ、ゲートに電圧をかけると2つの端子が導通します。
美点
欠点
- サイリスタ・トライアックの場合撃った後に一度充電を止めないと導通し続ける
- FETをモーメンタリスイッチで制御する場合、チャタリングの影響を受けてしまう。
3.スパークギャップスイッチ
(諸々長くなるのでレールガンの場合で説明をします。他の場合もそこからのアナロジーで理解してください。)
レールガンを発射するとき電流は「コンデンサ→コイル→レール→コンデンサのマイナス側」という風に流れます。このどかを切って、二つの大きな端子を作って450Vでも絶縁破壊が起きないような程度に距離を離しておきます。(遠すぎてもダメで近すぎてもダメ、絶妙な塩梅を探りましょう。。)この二つの端子の横にスタンガンの先端部分を持って来て、間を放電が通るようにします。すると、スタンガンが絶縁破壊を行なったことで端子間に電流の流れを担う物質が生成し(厳密に言うと放出されるのですが)、レールガンの方も導通が生じます。
美点
欠点
- やったことないからわかんない
- 損失どうなんだろう、気になる
その他
コイルに急に大電流を流すとサージが発生して電解コンデンサやスイッチング素子に悪影響を与えかねないのでフライホイールダイオードを、電流を流す向きの逆になるようにコイルに並列につけましょう。
最終更新:2025年03月09日 13:11