【side:Chal】
…今日も雪の降り続くフィリディア。
僕は叔母に頼まれた用事で珍しく街まで出ていた。
僕は叔母に頼まれた用事で珍しく街まで出ていた。
冷たい雪の降る中、街はいつでも活気に溢れ人が絶えない。
常に喧騒につつまれ、騒がしい道を出来るだけ人を避けて歩く。
呼び込みをしている店員、手を取り歩く親子、店の中には雑談に明け暮れる人。
そんな景色を眺めながら、僕は叔母に頼まれた用事を済ませ、何の目的もないまま歩いていた。
常に喧騒につつまれ、騒がしい道を出来るだけ人を避けて歩く。
呼び込みをしている店員、手を取り歩く親子、店の中には雑談に明け暮れる人。
そんな景色を眺めながら、僕は叔母に頼まれた用事を済ませ、何の目的もないまま歩いていた。
叔母の屋敷は貴族のものとしては小さいが、代々魔力の強いものの生まれる家系として王への謁見や貴族同士の付き合いも多い、それなりに裕福な家だった。
…僕が叔母の家に引き取られたのは両親を亡くした後。
行く当てのない僕を、母の姉である叔母が魔力の強い子ならきっと自分の家にとってメリットになるだろうと引き取ったのだ。
理由はともかくそのお陰で僕は幼い頃から働くこともなく、恵まれた生活環境の中で育つことが出来た。
亡き父の遺産の殆どが叔母の手に渡っていたとしても、もともとそう物に執着する性質ではないし、叔母には素直に感謝している。
…僕が叔母の家に引き取られたのは両親を亡くした後。
行く当てのない僕を、母の姉である叔母が魔力の強い子ならきっと自分の家にとってメリットになるだろうと引き取ったのだ。
理由はともかくそのお陰で僕は幼い頃から働くこともなく、恵まれた生活環境の中で育つことが出来た。
亡き父の遺産の殆どが叔母の手に渡っていたとしても、もともとそう物に執着する性質ではないし、叔母には素直に感謝している。
ふと、すれ違った親子に目が止まった。
幸せそうに微笑みながら、母の手をとり引っ張るようにして先を歩く。
母親もそれに愛しそうな苦笑を返しながらも少年に手を引かれるままその後を追って。
その母親の胸には、ロザリオが揺れていた。
幸せそうに微笑みながら、母の手をとり引っ張るようにして先を歩く。
母親もそれに愛しそうな苦笑を返しながらも少年に手を引かれるままその後を追って。
その母親の胸には、ロザリオが揺れていた。
それを見て、ふと思い出す。
…街外れの教会。
賑わう大通りを抜けて林道に入り、そこを抜けたところにあるあまり人の立ち寄らない静かな教会。
叔母に引き取られた直後、慣れない環境と両親恋しさからから逃げるようによく通ったものだった。
…街外れの教会。
賑わう大通りを抜けて林道に入り、そこを抜けたところにあるあまり人の立ち寄らない静かな教会。
叔母に引き取られた直後、慣れない環境と両親恋しさからから逃げるようによく通ったものだった。
「…そういえば最近は行ってないな…」
ぽつりと呟く。
段々と周囲を受け流す方法を知ったころから、あまりあそこには行かなくなった。
……いや、でもその後一度だけ行ったような気もする。
段々と周囲を受け流す方法を知ったころから、あまりあそこには行かなくなった。
……いや、でもその後一度だけ行ったような気もする。
…あの雪の止んだ6年前のあの日に。
今思えば、夢だったかもしれないとも思うが、確かにあの場所を訪れたような気もするのだ。
今思えば、夢だったかもしれないとも思うが、確かにあの場所を訪れたような気もするのだ。
なんとなく、教会に足を向けることにした。
用事は済ませたし、特に当てもない。
急いで帰ったところで特にすることもないのだ。
散歩がてら久しぶりにあの場所を訪れるのも悪くない。
そう考えながらも、足は既にそちらへと歩き出していた。
用事は済ませたし、特に当てもない。
急いで帰ったところで特にすることもないのだ。
散歩がてら久しぶりにあの場所を訪れるのも悪くない。
そう考えながらも、足は既にそちらへと歩き出していた。
久々に、昔歩き慣れたはずの道を歩く。
あれから身長も伸びたし、久し振りだからなのか。
懐かしいような新鮮なような、不思議な感覚だ。
前よりも木々は低く見え、その道のりは短かったようにさえ思えた。
あれから身長も伸びたし、久し振りだからなのか。
懐かしいような新鮮なような、不思議な感覚だ。
前よりも木々は低く見え、その道のりは短かったようにさえ思えた。
あれから随分経つからだろうかと変な感慨を持ちながら、教会につくとその大きな木扉に手をかける。
ぎぎぎ…と軋んだ音を立てて、扉はゆっくりと開いた。
ぎぎぎ…と軋んだ音を立てて、扉はゆっくりと開いた。
中は無人で、明かりもなく暗い。
足元も殆ど見えない状態だが、此処を訪れる人は暫く居なかったのか、呼吸をすれば少し埃っぽい空気が冷たい空気と共に肺へと入り込む。
小さく詠唱なしの呪を紡ぐと、両端の壁に並んでいた蝋燭に火を灯した。
中が明るくなったのを確認すると、中央の通路を進み最奥までたどり着くと、十字架の飾られたステンドグラスを見上げる。
そして被ったままだったフードを脱いでその場で片膝をついて跪くと眼前で両手を組み祈るように目を閉じた。
別に何を祈るわけではない。ただ静かに瞑想する。
足元も殆ど見えない状態だが、此処を訪れる人は暫く居なかったのか、呼吸をすれば少し埃っぽい空気が冷たい空気と共に肺へと入り込む。
小さく詠唱なしの呪を紡ぐと、両端の壁に並んでいた蝋燭に火を灯した。
中が明るくなったのを確認すると、中央の通路を進み最奥までたどり着くと、十字架の飾られたステンドグラスを見上げる。
そして被ったままだったフードを脱いでその場で片膝をついて跪くと眼前で両手を組み祈るように目を閉じた。
別に何を祈るわけではない。ただ静かに瞑想する。
幼いころ此処に来た時はいつもこうやって、母や父が迎えに来ることを願っていた。
死んだ者が帰ってくるはずもなく。
いくら神であってもそんなことは出来ないししないだろうことはわかりきっていた。
けれど、ただ願うことは罪にはならないし、あの頃の僕はそうする他縋るものを持たなかった。
死んだ者が帰ってくるはずもなく。
いくら神であってもそんなことは出来ないししないだろうことはわかりきっていた。
けれど、ただ願うことは罪にはならないし、あの頃の僕はそうする他縋るものを持たなかった。
教会内は静かで、外で降り続く雪の気配と、自分の心音しか聞こえない。
こうしていると、まるで自分が世界で一人きりになった気さえする。
寂しいと思う気持ちよりも、どこかほっとする気持ちの方が強かった。
こうしていると、まるで自分が世界で一人きりになった気さえする。
寂しいと思う気持ちよりも、どこかほっとする気持ちの方が強かった。