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Place to stay

ash

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フィリディアは雪に護られた国だと言われている。
辺り一面が白銀で、木々は樹氷に覆われ、ただ静かに雪が降り続く。
それはとても儚く美しい…寂しい景色。



そう、父さんが何度も語った通りだと思う。
辺りのもの全てを純白に染め抜く雪。
足跡をつけようと、それも時間が経てば新たな雪に消されてしまう。
触れようと手を伸ばせば融けて消えてしまう儚さ。

久し振りに見た雪は相変わらずとても不思議で美しかった。
思わずその場で数時間立ち尽くしてしまったほどに。


「確か、この林を抜けた先だったよな」

樹氷に覆われ白く彩られた木々の林を抜けた先に、探していた建物を漸く見つけた。
昔、1度だけこの国に訪れたときに父に連れられてきた教会。

悴んだ手で服の上から胸元に触れると、ロザリオの硬い感触。
あの父親がカミサマを信じてたとは思えないけど、肌身離さず持っていた。
俺も別に信じてないけど、形見だと思うと手放すことも出来ずにいつも下げていた。

「……あれ?」

扉が、微かにだけど開いていた。
いかにも誰も来ていなさそうな寂れた建物なのに、誰か居るのか…?
中を覗き込んでみると蝋燭の柔らかな灯りが揺れているのが見える。

古びた扉に手をかけ、力をこめると軋んだ音が響いた。
周囲が静かな分それは殊更に大きな音な気がする。
けれどすぐに降る雪に吸収されたみたいに音は消えた。

とはいえ中に居た相手には確実に届いたらしく、跪いていたのか姿勢を低くしていた相手が立ち上がって此方を見た。
他には誰も居る気配は無く、人影はそれだけだ。

蝋燭の灯りは心もとなく、相手は殆ど影しか見えなかったけれど。
…視線は確かに交わった。
非難混じりに睨まれて、謝ったほうが良いだろうかと逡巡したその瞬間。



教会の中が光に包まれた。






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