托卵パパ(ダークギャザリング)

登録日:2024/04/21 (日) 03:20:03
更新日:2025/04/26 Sat 19:10:54
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赤いドレスが……よく似合う……。




概要

『托卵パパ』とは『ダークギャザリング』に登場する幽霊。
この名前だとわかりにくいが、托卵「した」側ではなく「された」側の哀れな男性である。
なおこの男性、作中での明確な名前がないので読者間でも呼び名が分かれており、主に「寝取られ男」「チェンソーマン」「エグいNTR」等と呼ばれている。
「托卵パパ」という呼び名は作者のX(旧Twitter)での宣伝マンガ内*1の呼び名である。本項目名は公式に準じている。「托卵サレ男」か「托卵サレ夫」が妥当なのでは……


『首塚大明神』を根城にし、ここに訪れた男性に後述の『菌糸の呪い』をかけている。
しかし、これまでに登場した呪いと異なるのがすでに托卵パパ自体の霊はこの世にいないということ。
首塚大明神はパワースポットということもあり、ここで呪いが生じた場合永久的に呪いにエネルギーが補給され続けるので、霊本人が消えても呪いが維持され続けるのだ。

作中では幻燈河螢多朗が神社に訪れた際に呪いがかけられる。
この呪いのせいで螢多朗は自分が愛する寶月詠子の「赤いドレス姿」……つまり「鮮血で真っ赤になった詠子」が見たくなり危うく殺しかけたが、愛の力でギリギリ踏みとどまる。
そして寶月夜宵が托卵パパの呪いの根源がネックレスだと気づき、詠子が車でネックレスを壊したことで、托卵パパの情念と呪いはこの世から消えた――

過去

生前はどこにでもいるごく普通のサラリーマン。
冴えない容姿をした平凡な男性だが、大学からの付き合いである美人の妻と娘の三人で暮らしている。
妻とは結婚して5年目、学生時代から数えて12年目で子供を授かり、やや遅めということもあり彼はたいそう喜んだ。
娘が生まれてからはスキンシップを図り、娘の入学式や卒業式では娘本人よりも喜んだり悲しんだりと一喜一憂するなど娘とも仲が良く、幸せな生活を送っていた……娘の結婚が決まるまでは。

目の前に座る娘と妻と見知らぬダンディな男。そして渡された離婚届。
そこで明かされた胸糞悪い真実――それは妻が結婚前から約30年にもわたって目の前の男と不倫していたこと
そもそも托卵パパと結婚したのも命令されたからで愛ゆえの結婚ではなかったのだ。
というのもこの寝取り男は「汗水たらして稼いだ金で他人の子を育てるのは男にとって最大の屈辱。それを見るのが最高のエンタメ」という外道な価値観だったため。

そして娘が本当の娘ではなかったこと
さらに詳しく聞くと実は娘は幼いころから何度も本当の父親に会っていたこと、実は5歳のころから真相を知っていたのに黙っているように言われたこと
そして次の一言が何よりも托卵パパを絶望させた。


私の結婚式……お父さんには出席しないでほしいの。

私……あなたみたいな、みすぼらしい人よりお金持ちで格好いいお父さんが良い……。


先日までは仲がいいはずだった、20年も一緒に過ごした娘から発されたあまりにも悲しく惨いセリフ。
家から妻子が消え、仲が良かったころの写真を見ながら托卵パパは「自分の30年余りの時間は何だったのかと」と呟く。

だが托卵パパは寝取られて絶望して終わるその辺の寝取られ漫画の主人公とは一味違う。それだけで終わらせない。
托卵パパはチェーンソーを結婚式に持ち込んで、出会う人物を皆殺しにしていったのだ。ターゲットは勿論寝取り男の家族。
寝取り男は手足を切断した後、腹から股間まで切断して殺害。

そして首塚大明神の大木の下で――

思った通りだ綾子……。

君は白いドレスなんかより……やっぱり赤いドレスがよく似合う……。


そこには首を切断され白いドレスを真っ赤に染めた娘・綾子と、隣で同じく首を切断された妻・愛子の姿があった
托卵パパに外道行為を働いたのに、心を痛めなかった妻と娘。そんな人間は生きてちゃいけないと遺体に告げ、神様に自分の嘆きが後世に残るように懇願し、自害した。

死後托卵パパは首塚大明神の神――酒呑童子に食われ、その呪いを利用されることになった。

菌糸の呪い

当の本人は酒呑童子に食われているため、彼の霊現象――呪いが現世に残り続けている。

この呪いに取りつかれると脳に菌糸が繁殖し、「赤いドレスを着せたい」という思考に染められ、自分の意志とは無関係に身近にいる女性の喉を攻撃し服を真っ赤に染め上げる。
強い信念があれば一時的に凌げるが、すぐに回復し物理的に実体化して宿主を殺す。この際菌糸は托卵パパの顔になる。

首塚大明神のエネルギーを補給しているので大本を絶たない限りこの呪いを祓うのは不可能。
托卵パパ自体はすでにいないので、大本は妻が死ぬまでつけていたかつて托卵パパがプレゼントしたネックレスに呪いが宿っている。これを壊すことで呪いが解ける。

関連人物

托卵パパの妻。名前は愛子。黒髪ロングの美人。
大学時代から付き合っていて結婚したが、実は結婚前から浮気していた。
本人の発言から結婚前の時点で恋は冷めていて、本人は結婚する気もなかったが、寝取り男のプレイに付き合ったようだ。
一方で托卵パパが交際1年目にプレゼントしたネックレスを、文字通り死ぬまで付けていた。
離婚した後もしている理由がないので、「托卵パパとの思い出」を大事にする心が少しは残っていたのかもしれない。
……と考えられていたが、後に作者の質問回答によると「貞淑な妻と周囲に思わせるためにつけていた」「夫に未練がない」という悲しい真実が語られた。

托卵パパの娘。いや義理の娘。名前は綾子。最近結婚が決まった。
過去の回想で托卵パパとも仲が良かったことがうかがえるが、実は5歳のころから真実を知っており、それどころか定期的にお小遣いをくれる実父の方を慕っていた。
堂々としている実の両親に比べ心苦しそうに真実を話しているので、托卵パパを慕っていたのは嘘ではないようだが、冴えない貧乏な育ての父とイケメン金持ちの実父で後者を選んだ。

  • 寝取り男
名前不明の色黒でイケメンで金持ちのオッサン。
他人の女に手を出した時点でもアレだが、それでその女と結婚するでもなく、
汗水たらして稼いだ金で他人の子を育てるのは男にとって最大の屈辱。それを見るのが最高のエンタメ」という考えから、手を出した女にそのまま彼氏と結婚することを強要したエグイ性癖の持ち主。
しかし冷静に考えてみると「托卵パパの無駄な行為」が見たいからと言って、女に困ってなさそうなのに愛子が年老いても関係を20年も続けているのは、なかなかの根気の持ち主。
しかも、そこまでして何十年もエンタメを楽しんでいるのに娘に「結婚式に実父として出席してほしい」と言われれば、エンタメを打ち切って托卵パパに真実を伝え慰謝料もポンと払うなど、見切りが速い。
愛子たちとの関係が「遊び」ではないのか、「伝えることを含め最高のエンタメ」なのかは不明。

  • 結婚式場の皆さん
娘やその新郎の関係者やスタッフの皆さん。
今回の件とまったくの無関係なのに皆殺しにされてしまった哀れな人たち。寝取り男の性癖の最大の被害者でもある。
しかし、彼らを巻き込んでしまったことで、托卵パパが被害者ではなく加害者になってしまった。
おそらく作中世界で托卵パパは無実無関係な人間を虐殺したテロリストとして名を残していることだろう…

余談

  • 単行本
托卵パパと同じくらい可哀そうな学校の先生の霊は単行本でフォローされていたが、托卵パパには何もなかった。ネックレスとか単行本案件と思ったのに……

  • 死者のルール
ちなみに本作の人間は死ぬと死んだ場所に幽霊として出現し、何もなければ49日は成仏できない。
このルール上托卵パパは自害後、自分が殺害した妻と娘と即再会したことになる(目と鼻の先で死んだので)
酒呑童子に食われる前の托卵パパは妻子と会話をしたのかは定かではない。

  • 詠子
今回の件を知った詠子は螢多朗を安心させるべく、GPSロガーを持とうかと提案したが「(詠子が浮気をしないと)信頼しているから必要ない」と言われてしまっている。
詠子がやっていることを知らないとはいえ、詠子からしてみたら「螢多朗を長年監視&盗聴をしている詠子は螢多朗を信頼していない」と言われたようなもんである。
なので詠子は目の前が真っ暗になったが、それでも螢多朗を監視するという自分のスタイルを「絶対に曲げない」と誓っている。

  • 作者の質問回答
単行本で解説がなかった托卵パパだが、25年1月10日にXで行われた質問回答で少しだけ語られた。
無関係の結婚式場の皆まで皆殺しにしたのは「怒りで我を忘れてバーサーカーになっていたから」
托卵パパは林業関連の仕事をしていたためチェーンソーの扱いに慣れていた。
とはいえ扱いに慣れていても普通皆殺しにはできないが、酒呑童子が干渉し肉体が強化されていたため皆殺しができたという。

また妻子を大木に追い詰めたのではなく、二人の両足を切断して車に乗せ運搬。大木で二人を殺害したという。




追記・修正は寝取り男のチン○をちょん切ってからお願いします。

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最終更新:2025年04月26日 19:10

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