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Place to stay

律夏

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【side:律夏】





ハッキリ言ってしまうのなら、僕はかなり不機嫌だった。
誰だって寝入ったところを電話で起こされるのって気分が悪いはず。
その電話の主が悪友なのなら尚更。

内容は簡潔で、怪我人が居るから今すぐ着て欲しいというものだった。
わざわざ僕を呼ばずとも救急車でも呼べば良いのに。
けれど呼べない理由があるからこそ僕に電話が来たのだろう。
そうと思えば無碍にすることは出来なかった。


漏れそうになる欠伸を噛み殺しながら、タクシーを降りる。
「レストミル」と看板が出ている店の前には見知った男が1人立っていた。
スーツ姿の優男はいかにもホストって感じがする。
…僕を電話で起こして此処まで呼びつけた張本人だ。

「すみません、こんな時間に」

言葉だけは申し訳無さそうだけど、表情がそれを裏切っていた。
そんなにこやかに言われたところで誠意なんて感じられない。

「その敬語やめてくれる?鳥肌立ちそうだから」
「勤務中ですから。後、此処では私のことは楽杜でお願いします」

本当に鳥肌が立ちそうで思わず腕を摩る。
普段は乱暴な口調のくせに、急に敬語を使われるなんて寒すぎる。
楽杜、と呼ばれたいらしい彼は此方の反応を見ることなく店の扉を開けた。
途端に煌びやかな装飾やらが目に飛び込んできて……顔を顰めた。

「喧嘩でもしたの?」

棚が倒れていたり、カウンターの方では何本もの瓶が割れていたり、豪奢なソファが引っくり返っていたり。
極めつけは中央にシャンデリアが落ちている。
その惨状に思わず尋ねる。
けれど答えない楽杜に、諦めて肩を竦めて歩を進めた。

「オーナー、彼が医師の…」
「相馬です。早速ですけど怪我の具合看させていただきますね」

オーナーと呼ばれた女性にニコリと笑って見せてから、ソファに凭れている青年に近づいた。
良く見ると既にある程度の処置はされているようだ。

「この処置は何方が?」
「あの、僕ですが…」
「なら手伝って。後、お湯とタオル…それとライト持ってきて」

不安そうに名乗り出てきた青年に一言告げてから、楽杜に向かって告げた。

「オレが取ってくる!」
「大地、場所は分かりますか?」
「大丈夫!」

楽杜が頷くよりも早く、亜麻色の髪の少年が奥に駆けていった。
…それにしてもどうしてこの店はこんなに彼方此方壊れていて、こんな時間にこんなに人が残っているんだか。
疑問は感じたけど、先に治療に専念することにした。






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