【side:蓉】
朝食を取り終わった後、言われたとおり聖夜の車で病院へ向かい診察を受けた。
昨日レストミルに来た相馬という医師はガーゼと包帯を換えながら、改めて簡潔に怪我の具合を告げた。
小さな裂傷と、右腕の大きな裂傷、そして右足はシャンデリアの下敷きになったからだろう骨には以上はないものの酷い打撲と軽い捻挫。
全治は約二週間。当分は歩くことも仕事することも不便するだろう。
しばらく右腕右足は極力使わないようにと釘を差され、しばらく必要になるだろう杖と換えの包帯や薬を貰うと病院を後にした。
昨日レストミルに来た相馬という医師はガーゼと包帯を換えながら、改めて簡潔に怪我の具合を告げた。
小さな裂傷と、右腕の大きな裂傷、そして右足はシャンデリアの下敷きになったからだろう骨には以上はないものの酷い打撲と軽い捻挫。
全治は約二週間。当分は歩くことも仕事することも不便するだろう。
しばらく右腕右足は極力使わないようにと釘を差され、しばらく必要になるだろう杖と換えの包帯や薬を貰うと病院を後にした。
今日の分の仕事は聖夜の家を出る前に連絡を入れたからいいとして、明日からどうするかと思考を巡らす。
表の仕事は休むとしても、裏の…斡旋屋の方は休むわけにもいかない。
表の仕事は休むとしても、裏の…斡旋屋の方は休むわけにもいかない。
「着いたぞ」
頭の中で仕事の調整を考えていると、いつのまにか目的の場所に着いたらしい。
到着したのは昨日怪我を理由に報告もしないまま後にしたレストミル。
昨日の仕事の報告と損害についてきちんと話をしなければならない。
到着したのは昨日怪我を理由に報告もしないまま後にしたレストミル。
昨日の仕事の報告と損害についてきちんと話をしなければならない。
「車止めてくるから、先に行ってろ。」
「はい、すみません。」
「はい、すみません。」
聖夜に促され車を降りると車が発車するのを見送り、僕は一足先に店の中へ向かった。
「怪我はどう?」
「はい、まぁ…大丈夫です。」
「はい、まぁ…大丈夫です。」
迎えられたオーナーに、椅子へと促されながら聞かれ曖昧に苦笑して返す。
「先に仕事の報告をさせて頂いてもいいですか?」
「ええ、お願いするわ。」
「ええ、お願いするわ。」
出されたお茶に礼を言い、早速本題を切り出すとオーナーは正面の席に腰を下ろした。
「これまでの件と昨日の件、共に霊の仕業であることは間違いありません。」
僕はまずあえて言葉を繕うことなく口を開いた。
報告のときは一番気を使う。
こういった類の依頼は、他では打つ手が無く気休めぐらいの認識で依頼してくるのが殆どだ。
誰だって、見えないものは信用したりしない。
そういうものが原因かもしれないと思っていても実際こうして真面目に報告されれば狐に抓まれているような感覚になるのも致し方ない。
まして、今回の依頼人は雪城であって、目の前の彼女ではない。
人からどう思われるかなど気にしていられないと思いつつも奇異の目で見られることにはやはり多少抵抗はある。
僕の一言目の言葉に、オーナーはそう、と小さく頷いた。
その表情に目に付く疑念や懐疑がないことに、内心で安堵の息を吐くと報告を続ける。
こういった類の依頼は、他では打つ手が無く気休めぐらいの認識で依頼してくるのが殆どだ。
誰だって、見えないものは信用したりしない。
そういうものが原因かもしれないと思っていても実際こうして真面目に報告されれば狐に抓まれているような感覚になるのも致し方ない。
まして、今回の依頼人は雪城であって、目の前の彼女ではない。
人からどう思われるかなど気にしていられないと思いつつも奇異の目で見られることにはやはり多少抵抗はある。
僕の一言目の言葉に、オーナーはそう、と小さく頷いた。
その表情に目に付く疑念や懐疑がないことに、内心で安堵の息を吐くと報告を続ける。
「…お話を聞いたとおり、亡くなったというこちらのお客様が、雪城さんへの未練から成仏できずこちらに留まり、それにより怪異が起こっていたようです。」
一言一言、オーナーをまっすぐ見つめたまま、至極真面目に伝える。
彼女は暫く沈黙するも、再び小さく頷き、続きを促すようにこちらを見る。
丁度そのとき入り口のドアが開き聖夜が入ってきた。
そのままこちらへ向かい、オーナーへ一言挨拶すると僕の横に腰を掛けた。
ちらりと聖夜へ視線を向けると、続けろと視線で促され再びオーナーに向き直る。
彼女は暫く沈黙するも、再び小さく頷き、続きを促すようにこちらを見る。
丁度そのとき入り口のドアが開き聖夜が入ってきた。
そのままこちらへ向かい、オーナーへ一言挨拶すると僕の横に腰を掛けた。
ちらりと聖夜へ視線を向けると、続けろと視線で促され再びオーナーに向き直る。
「昨日、無事彼女が成仏したのを確認しました。」
「じゃあ、もう被害は出ないのね?」
「はい。」
「…よかった。」
「じゃあ、もう被害は出ないのね?」
「はい。」
「…よかった。」
オーナーの確認の言葉に頷けば、彼女はほっとしたように息を吐いた。
「これで、仕事は終了として問題ないと思います。
ただ、昨日の損害の件については、こちらで責任もってお支払いさせて下さい。」
「昨日の騒ぎは、」
「こちらの、信用に関わります。」
ただ、昨日の損害の件については、こちらで責任もってお支払いさせて下さい。」
「昨日の騒ぎは、」
「こちらの、信用に関わります。」
口を挟もうとした聖夜の言葉を遮るようにきっぱりと言い切る。
「こちらも、ビジネスとしてやっています。
こちらの不手際で損害が生じた場合、私の方でお支払いするのが当然。
また、その旨の保障の件は、依頼人である雪城朔夜さんにお渡しした依頼書の写しに掲載してあります。」
こちらの不手際で損害が生じた場合、私の方でお支払いするのが当然。
また、その旨の保障の件は、依頼人である雪城朔夜さんにお渡しした依頼書の写しに掲載してあります。」
これは罪悪感や責任感ではない。
仕事をする上で必要な契約だ。
それを全うして初めて仕事は終了する。
そうしなければならないし、そうでなければ仕事とは言えない。
仕事をする上で必要な契約だ。
それを全うして初めて仕事は終了する。
そうしなければならないし、そうでなければ仕事とは言えない。
遮ることを許さず言い切った僕に、オーナーはちらりと聖夜へと視線を向け、それから少し考えてから頷く。
「わかったわ。では被害状況の見積もりは、そちらに。」
「はい、お願いします。」
「はい、お願いします。」
視界の端に何か言いたげな呆れたような表情の聖夜が映ったが、それは見ない振りをした。
聖夜や雪城に何を言われようと、これは当然のこと。
それに、これは誰のせいというものでもないのだ。
当然、聖夜や雪城が責任を負わねばならぬ謂れもない。
聖夜や雪城に何を言われようと、これは当然のこと。
それに、これは誰のせいというものでもないのだ。
当然、聖夜や雪城が責任を負わねばならぬ謂れもない。
それに治療費についてもまだきちんとしていない。
今日の治療費もいつのまにか聖夜が払ってしまったらしい。
あとで確認してきちんとその分を返さなくてはと思うものの、意外にも頑固な聖夜にそれをどう納得させるかも考えなくてはならない。
今日の治療費もいつのまにか聖夜が払ってしまったらしい。
あとで確認してきちんとその分を返さなくてはと思うものの、意外にも頑固な聖夜にそれをどう納得させるかも考えなくてはならない。
「今回はご迷惑をお掛けして本当に申し訳ありませんでした。」
とりあえずは、此処での仕事を終わらせるのが先かと、椅子から立ち上がりオーナーに深く頭を下げる。
気にしないでと首を振ったオーナーに損害補償の書類とそれの送り先の書かれた契約書を渡すとオーナーに見送られながらレストミルを後にした。
気にしないでと首を振ったオーナーに損害補償の書類とそれの送り先の書かれた契約書を渡すとオーナーに見送られながらレストミルを後にした。