歓迎
『そんな格好で人を出迎えたら皆怖がるわよ!!』
当たり前だ、俺だって怖かった……というより今も怖い。
「まぁそれでも勝負を受けられる人は、結構根性あるみたいね……例えばそこの人とかさ」
俺のことだろうか?
すると、その娘は俺に近寄ってきた。
「へぇ……結構強いじゃないアンタ……はい歓迎」
「くぁwせdrftgyふじこlp;:@」
なんとその娘は、いきなり俺の頬にキスをした。
「あ…私はフルーラ、この島で巫女をやってるの、であんたは?」
俺は自分の名前と、ポケモントレーナーだということを話した。
すると俺と戦った人が、鳥のお面を脱いで俺のところに来た。
「世界の破滅の時、海の神現れ、すぐれたるあやつり人と共に神々の怒りしずめん……
あやつり人…つまりトレーナー!」
なに電波なことを言ってるんだこの人は?
「分かりやすく言うと、お祭りの日にやって来たポケモントレーナーは、この島で歓迎されるの」
半分ほどは分かった、もう半分は結局分からん。
「さあ、祭りじゃ祭りじゃ!!」
「さあさあトレーナーの方はどうぞこちらへ」
俺は多数の鳥のお面を被っている人に、どこかに連れ去られてしまった。
この島に来てから、数時間ほど経った。
今日はお祭りの日らしく、俺はなぜかそのお祭りで重要な役をやることになったらしい。
ついでに、なぜバトルを挑まれたか聞くと
強いトレーナーに、用があったからと言われた。
お祭りは嫌いでは無いが、散々電波なことを言われて
そのうえ、初めて会った人にキスされた。
なんか怖い……
祭りの内容は、トーテムポールの周りで、踊ったり
ギャラドスを象った、獅子舞のようなものを祀ったりしている。
そして本会場では、たくさんの人が果物を食べながら談笑していた。
周りがたくさん騒いでいる中で、俺は一人黙っていた。
黙っていたらお腹が空いたので、俺が果物に手を掛けようとしたときに
なにか、綺麗な音色が聞こえた。
その綺麗な音色と共に、華やかな衣装に包まれた娘が舞台に上がってきた。
あれは……フルーラだ。
最初に会ったときとは、随分イメージが違う。
フルーラはしばらく、オカリナの演奏をしていた。
その姿に俺は、腹が減っていたのも忘れ、見入ってしまった。
演奏が終わると、軽い足取りで俺のところに来て、突然しゃがみこんだ。
『天地怒り、世界は破滅に向かうとき、海の神現れ、
すぐれたるあやつり人と共に神々の怒り沈めん、
あなたが伝説の操り人ならば、その証を見せてください』
フルーラは上目遣いで、俺のことを見つめてくる。
その姿に、心臓がドキドキと鳴り響く。
ただ、言ってることは電波だから困る。
「どうすればいいんだ?」
「沖にある三つの島から三つの宝を持ってきて
それを本島の祭壇に飾ること、そして私が笛を吹いて終わり。まっ適当にやっちゃってよ!」
俺が食べようと思っていた果物を、頬張りながら、語りかけてくる。
「大変そうだな……」
「船は私が出すし、明日の夜までにやればいいから、そんな堅く考えなくていいよ」
「そうか……まっ、俺の目的に近づけるかもしれないから、引き受けるよ」
この状況で断ったら、なにをされるか分からん。
「そんなことより、あんたポケモントレーナーなら、
さっき出したポケモン以外にも、ポケモン持ってるんでしょ?私に見せてよ」
俺は言われた通りに、腰に装着している五つのモンスターボールを投げた。
中からはリーフィア、サーナイト、ギャロップ、オニドリル、ジュゴンが出てくる。
『まだ一体いるけど?』
まだ俺は一体だけ、ポケモンを出していなかった
「こいつが出てくると大変だからさ……こいつは別にいいだろ?」
「まっいいわ それより最初に貰ったポケモンってどの子?」
「俺は最初にイーブイを貰って、リーフィアに育てた」
リーフィアは俺の足元に来て、頬ずりしている。
フルーラがリーフィアを触ろうとするが、怖がって俺の脚の影に隠れてしまう。
『あっ!もぉ』
「怖がること無いと思うぞリーフィア……」
俺の言葉を聞き、リーフィアはフルーラの足元にで頬ずりを始めた。
『よしよし♪』
フルーラは寄ってきたリーフィアの、頭を撫でている。
この姿を見て俺の緊張は解け、腹を満たすために果物を食べ始めた。
オニドリルが、勝手に食べていたことについては気にしない。
俺の他のポケモンたちも、その場の雰囲気に慣れたのか果物を頬張り始めた。
「よく育てられてるポケモン達ですね……」
声がした方を見ると、青い髪で、優しい雰囲気の眼鏡を掛けた青年が居た。
『あ!フィレンテさん』
明らかに尊敬の眼差しで見ている
フルーラはこの人が好きなのか?
「今年も素敵でしたね……それよりそちらの方は今年の操り人ですか?」
「そういうことになってるよ……それよりあんたは?」
「僕はフィレンテ…ウィナーズカップのヘッドリーダーをやってるよ……」
「ヘッドリーダーって……オレンジ諸島最強のトレーナーじゃ
「そんなことありませんよ……ポケモントレーナーは日々進化してますから」
「でもフィレンテさんはヘッドリーダーになってからは無敗なのよ」
結局最強じゃないか……
宴が終わり、俺はフルーラの家に泊めてもらうことになった。
旅館代が浮いたことは、俺にとってかなり嬉しいことである。
だがそれ以上に、フルーラの家に泊めてもらえたことが嬉しかった。
フルーラには姉がいるようだが、友達と二人で旅行に行ったらしい。
つまりここには、フルーラと俺の二人だけということになる。
……俺は夜這いなどをかけるほど、落ちぶれた人間ではないぞ
「寝るときはそこのベットで寝てね」
フルーラが指差したベットは、明らかに昨日も誰かが寝たような痕跡があった。
「そこってフルーラのベットなのでは……?」
「そうだけど お姉ちゃんのベットは色々と散らかってるでしょ
だからここで私が寝るから それとも何か不満でも?」
……いえ、無いです。
フルーラのベットも、結構散らかってるのは気にしないでおこう。
「私、先にシャワー浴びてくるから あんたは後でいいよね?」
「あぁ 別にいいよ」
俺の返事を確認すると、フルーラは部屋を出て行ってしまった。
さて、この状況は結構危険な状況である。
女の部屋に男が一人、誰も入ってくることはない。
風呂だって、覗こうと思えば覗ける。
……俺はそこまで落ちぶれた人間ではない!………多分
俺はフルーラのベットで寝転がり、枕元に置いてあった雑誌に手を掛けた。
雑誌には【シンオウジムリーダーデンジ 解任の声が強まる】と書かれていた。
色々なポケモン関係の情報が収集でき、有意義な時間が過ごせた。
しばらくしてフルーラが、寝巻きで戻ってきた。
「あんたもシャワー浴びてきたら?」
「あぁ…浴びてくるよ」
俺はフルーラの部屋を出て、バスルームに向かった。
結構迷ったのは内緒だ。
俺はバスルームを出て、持参のジャージを着る。
その後、フルーラの部屋に行くまで、また迷ったのも内緒だ。
部屋に辿り着くと、フルーラはリーフィアと戯れていた。
「勝手に俺のモンスターボールを出さないでくれよ……」
「ごめんごめん、でもそんなこといちいち気にしてたらもてないわよ」
「はいはいそうですか……でもポケモンだって気性の荒い奴だっているんだからさ
それより明日は早くなりそうだから もう寝てもいいかな?」
「もう少し話とかしたかったけど仕方ないか……じゃあ電気消すね」
フルーラは部屋の電気を消し、ベットに潜り込んだ。
俺もフルーラの隣のベットに入って、目を閉じた。
最終更新:2008年05月06日 16:20