消えた宝玉
フルーラの家に帰ってきて、数時間が経ち、俺は再びフルーラの叩き起こされた。
起きると、時計の短い針は9時を回っており、フルーラと約束した試練の時間となっていた。
「さっ 早く行くよ!」
フルーラが俺のバッグを持って、部屋を出て行こうとする。
俺は、フルーラからバッグを取り返し、この家を出た。
六時ごろには人気が無かった港も、九時になればその光景は違った。
祭りの行事ということもあり、普段よりは人は多いと思う。
港の沖に止めてあった、小型の船にフルーラと二人で乗り込み出発した。
船は水飛沫を上げながら、物凄いスピードで海上を走っていく。
物凄いスピードではあったが、フルーラはそれを巧みにコントロールしていた。
俺と同じくらいの年齢なのに、凄い技術だ。
やがてその船は、目的の島へと辿り着いた。
「ここが炎の島か、なんだか暑いな」
アーシア島より、多少気温が高いようだ。
ただでさえ、夏は暑いというのに、この島はそれを上回っている。
「この上の神殿に火の宝玉があるから、早く取りに行きましょ」
フルーラは、神殿の階段を軽やかに登っていく。
俺も走って、登っていかなければ駄目なようだ。
階段を上りきり、奥のほうに進むと
鳥を象った置物があり
その口には、紅色で中に炎の宿っているような宝玉が、銜えられていた。
俺はその宝玉を取り出す。
しっかりと嵌められていて、取り出すのに時間がかかってしまった。
『さっ、早く次行くよ!』
フルーラは俺が宝玉を取り出したのを認識すると、たったと階段を下りていってしまった。
このパターンで襲われたのを、忘れたのだろうか?
雷の島でも宝玉を取り、俺たちは氷の島に来た。
「雷の島ではなんだか静電気がバチバチしてたけど、ここは涼しいな」
炎の島が暑くてうんざりしたので、ここの気温は心地よいものであった。
長い階段を上って、神殿に辿り着いた。
その神殿は炎の島、雷の島のような岩だけの作りでは無く。
一面氷の世界だった。
「夏なのに氷の世界を見るとは………」
さらに奥に進む、そこには他の二つの島と同じように、鳥を象った置物があった。
しかし他の二つの島と違うのは、その口に宝玉が存在しなかったことだ。
『な……なんで氷の宝が無いの…?』
『し…知るかよ!どこかに転がってるんじゃないのか?』
辺りを見回す、しかし球状の物体は落ちていなかった。
それを俺は、一番よく俺は納得できる。
あの口に嵌っている物が、そう簡単に外れるわけないからだ。
それでも俺たちは、しばらくこの辺りを探し続けた。
もちろん宝玉が出てくることは無かったが……
『ここに無いってことは誰かが持ってったってことか!?』
『でも誰が!?』
それが分かったら、苦労しない。
「まずいな……とりあえず一回アーシア島の本島に帰って、長老に報告したほうがいい……」
「で…でも!!」
俺はフルーラを説得して、なんとか本島に帰ることができた。
しかしフルーラの顔から、笑顔が消えてしまった。
俺たち二人は、長老に今までの経緯を説明した。
「宝玉が一つ見つからないのか……」
「あの鳥の置物に嵌められていた宝玉が、自然に抜けるとは思えません
おそらく誰かが持ち去ったのだと思います」
「確かにそうじゃな……できれば今日中に、儀式を完了させたかったのじゃが仕方が無い
後はこちらでなんとかするから、そなたの役目はここで終わりじゃ」
俺の役目は終わり。と言われても、納得できるわけが無かった。
『俺はなんとしても、この儀式を完了させてみせます
……そして、そのための策もちゃんと考えてあります。』
「ほぉ……どんな策じゃ?」
俺は、自分の策を二人に話した。
「……なるほど、それはいい策じゃ、今日はそなたも、フルーラも疲れたじゃろう
今日の夕方から後祭りがあるから、そのときまでゆっくりと休んでなさい」
事実俺は疲労感があった、しかしフルーラは俺よりもっと疲れている。
一旦休息を取ることにした。
家に戻った俺たちは、無言のまましばらく過ごした。
フルーラも、自分の使命が果たせなかったことで、落ち込んでしまっているのだろう。
もちろん俺も同じだ、この島を出るまでに必ず犯人を捕まえよう。
「そんな落ち込むなよ、犯人は必ず見つけてみせるから」
「うん……………」
口では返事をしているものの、心から晴れることは無いようだ。
『じゃあ俺は誓う、この試練を必ずフルーラと一緒にやり遂げることを』
「できるよね……?」
『できるさ、いややってみせる!』
俺はフルーラに誓った、しかしこの誓いが、俺の命までを危険に晒すことになるとは思わなかった。
最終更新:2007年03月29日 18:52