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祭りの夜





時刻は夕方になった、これから後祭りが開催されるようである。
昨日の祭りとは違い、普通の屋台なども出ていて、これなら普通に楽しめそうだ。

外には既に何人かの人たちが、浴衣を来て、祭りに参加している。
俺の服は二着しか無く、このまま私服で参加することになるが
フルーラは浴衣を着ると言って、俺を部屋の外に追い出した。

やることも無い俺は、近くにあった雑誌を手に取る。
その雑誌の表面には【天才弁護士 次々とポケモンを無罪に導く】と書いてあった。
なんでもまるほどう?とかいった弁護士が、ポケモン裁判で無敗記録を所持してるらしい。
雑誌を読んでいると、フルーラがドアを開けて出てきた。

「どうかな…?似合う?」
「……あぁ、似合ってるよ」
見とれてしまった、本当に似合っていた。
「あんたは浴衣持ってないんだし、早く行こうよ」
フルーラは俺の手を掴み、家を飛び出した。





外に出て町の方まで歩いていくと、たくさんの屋台が、所狭しと並んでいた。
たこ焼、お好み焼き、クレープ、カキ氷、綿菓子………

しかし俺には、重大な問題が二つある。
一つ目は、もちろん氷の宝が盗まれたこと……
二つ目は祭りに参加できるほど、金銭的に余裕が無いということだ。
「俺、金あんまり無いんだけど……」
「大丈夫よ、毎年操り人をやった人は、ある程度ならただで物をもらえるから」
なんというサービス
俺は宝くじで、特等を当てたような気分になった。





祭りに参加して、一時間くらいたっただろうか、空は赤と黒が混じり始めている。
参加する人たちも、一時間前と比べると、倍近く増えているように思う。
そして俺の荷物も、出かけたときの倍以上となっていた。

「これ貰ってっていい?」
「あいよ、今年の操り人様がいるからサービスだ」
フルーラは、俺の操り人という立場を利用し、買い物をしていた。
今年の操り人+巫女様ということで、かなり位が上なのだろう。
しかし一番偉いと思われる俺は、荷物持ちをやらされていた。
「これもお願いね」
「もう無理です、勘弁してください」
「まだまだ大丈夫よ、バッグの中に入れとくよ」
フルーラは、俺の肩に掛かっているバッグの中に、強引に買った物を突っ込んだ。
俺の肩には、さらに負担がかかった。

フルーラは、軽い足取りで歩いていく。
俺は重い足取りで、フルーラになんとか、ついていこうとする。

ついていくと、フルーラと誰かが会話をしていた。
俺は朝の出来事を連想し、走ってフルーラのところに向。かった。
しかしフルーラと、会話をしていたのは長老であった

「祭りは楽しんでおるかね?」

『とっても楽しいわよ』
"っ"の辺りを強く感じた。
しかし俺は荷物持ちばかりやらされて、疲労感のみ感じる。





「しかし今年の操り人様は、大変そうじゃな」
俺の両腕に掛かった袋と、肩に掛かっているバッグを見ている。
「はい……ものすごく大変です」
冗談抜きで疲れた。

「楽しんでいるのも別に構わんが、無くなった宝は見つかったのか?」
ここで一番聞かれたくないことを、聞かれてしまった。
答えづらいが、真実を言わざるを得ない。
「すいません……まだです…」

「今日の祭りの最後に、三つの宝玉を祭殿に持っていって、
 オカリナを吹いてもらう予定じゃったのだが、無理そうじゃな……」
「本当に……すいません」
「なに、そなたのせいでは無い、取っていった者が悪いのじゃ」
長老はそう言ってくれはいるものの、自分の心のもやもやは消えることは無い。
フルーラも、この話題を出されて顔が暗くなった。

「まぁよいわ!今日無理だったら明日やればよい
 あんたたち以外にも、この玉を捜してくれる者達は、おるのじゃからな」
初めてその話を聞いた、やはり俺達はかなり重大な過ちを犯してしまったのだろう。
「この島でも、かなり有望な者たちが玉の行方を追っておるし、心配はいらんよ」

『でも私達は絶対に残りの玉を見つけてみせます』

フルーラは長老の声を、掻ききるような大声で叫んだ。
「期待しておるぞ」
長老はそう言い残し去っていった。





『絶対に見つけようね!』
再び俺達は、使命を達成する決意をした。

「じゃあ絶対に見つけるために、まずはこのお祭りを思いっきり楽しもう」
どうすれば、その考えに辿り着くのだろうか。
そんなことを考えていると
俺達の前に、昨日も出合った、眼鏡を掛けていて、青髪で優しい雰囲気の青年が現れた。

「皆さんこんばんわ」

『フィ…フィレンテさん!』
フルーラの顔が、喜びの顔に変わる。
「そちらの彼氏は大変そうですね」
『かかかかか彼氏なんかじゃないですよ!ただの荷物持ちです!!』
公式に荷物持ちに認定されてしまった、ショックだ
こうやって二人で歩いていると、周りからはカップルに見えたりするんだろうなと考えt(ry
「お祭りを楽しむのもいいことですが、氷の宝玉は見つかったのですか?」
「いえ……まだです…」
「そうですか……しかしあなたがたも諦めないでください、僕達も宝玉の詮索には力を入れてますので」
「あんたは長老の言っていた、宝を探す人達の一人か?」

「えぇ、ヘッドリーダーという肩書きも大変ですよ
 あなた方も怪しい人物を見かけたら、僕に連絡をください」
フィレンテは一枚の紙を取り出し、俺に渡した
そこに書いてある番号は、おそらくフィレンテの携帯の番号だろう。





数分フィレンテと立ち話をして、別れた。
フィレンテが去った途端に、フルーラの顔から光が消えたような気がしたが
気にしないようにしよう、いやそもそも消えてなどいない。
その後も、俺の肩への負担は、どんどんと大きくなっていった。

しばらく屋台を回り、満足したのかフルーラは休憩をしようと言って来た。
俺は大賛成し、近くにあったベンチで休憩を取る事にした。
周囲には屋台も無く、当然人も居なかった、祭りだというのに寂れている場所である

「さっき買ったの食べるから、何か出して」
俺はバッグの中から、平べったく、温かい容器を差し出す。
「あんたもその中から、適当に食べたら?」
俺はバッグの中から、買ったたこ焼きを出し、食べ始めた。
フルーラも、お好み焼きを食べている。

数分後、俺達が持っていた容器はカラになった。
食事を終えた、俺達はやることも無くベンチに座っていた。

「誰が宝を持ってっちゃったんだろうね…?」
「……分からない、でも俺は宝を見つけるまではこの島に残るよ」
この言葉は冗談では無い、本気でそうするつもりだった。
「でも旅はどうするの?ここにずっと籠っ……」

『俺の事は心配しなくていい、交わした約束は絶対に守ってみせる』

ここまで本気になって、人との約束を果たそうと思ったのは初めてだ。
それだけ、俺の中ではフルーラは大切な人物になっているんだ……と思った。





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最終更新:2007年03月29日 19:00