電話
再び祭りに参加したのが
やることも無くブラブラと歩いて、結局何もせずに家に帰ることにした。
帰り道もやることは無かったのだが、前から聞きたかった質問をフルーラにした。
「そういえば、いつもオカリナ持ち歩いているけど、そんなに大切なのか?」
大切なものだってことくらいは分かっていたが、どの程度までは知らなかった。
「このオカリナには、アーシア島の近くに住む神様の感情を、コントロールする力があるの」
……神様の感情をコントロールする?……凄い笛だ。
「三つの宝を祭壇に集めて、この笛を吹くことで、神様たちの怒りを静められるの」
「へぇ、そんなものがあったとは……なんだか神秘的だな」
神の感情をコントロールできる代物とは……
今朝、狙ってきた連中は、これが狙いだったのだろうか?
「もしそれが盗られたら、大変なことになるんじゃないのか?」
『それは大丈夫。この島の巫女の血筋に当たる人物じゃなければ、この笛を吹いても何も起きないから』
じゃあ関係無いのか……一体奴らは何が目的だったのだろう。
それになぜ、氷の宝玉だけを持っていったのかも気になる。
『なにぼぉっとしてるの!!もうついたよ』
「………!!」
思いっきり体を揺さぶられた。
「悪い、悪い…考え事してた…」
『しっかりしてよね!』
フルーラは少し顔を強張らせて、俺を見ている。
多少恐怖を感じながら、俺はフルーラの家に入った。
家に入って、肩に負担を掛けていた荷物を降ろす。
そうすることで恐ろしいほど、肩が楽になった。
「私が先にシャワー浴びたいんだけどいいよね?」
「ああ…俺はまた雑誌でも読ませてもらうよ」
俺の返事を聞いて、フルーラは家に奥へ行ってしまった。
俺はソファーに寝転がり、近くにある雑誌を取った。
雑誌には大きく【シンオウの地にて謎のポケモンの目撃情報が集まる】
……興味のある話だ、二頭身で青い体で人間の言葉を喋るらしい、最近のポケモンは知能が高いようで。
幾度も見るこの雑誌、MMRという人たちが調査をしているようだ。
毎回毎回、素晴らしい内容を提供してくれる、毎週購読してみようか……
しばらく雑誌を読み続けていると、フルーラが寝巻き姿でこっちに来た。
「あんたも入ってきたら?汗臭いから」
荷物持たせて、俺に無理矢理汗かかせたのは誰だったけ?
俺は心の中で泣きながら、風呂に入った。
今度は迷わずに、バスルームへと辿り着いた。嬉しい限りだ。
俺は服を脱ぎ、浴槽の中に入る。
熱いお湯の中に入ることで、心が少し安らいだ。
風呂を出てリビングに行くと、またフルーラはリーフィアと戯れていた。
これは予想していたことだ、俺は全く突っ込まずに、読みかけの雑誌を読み始めた。
「何も言わないの?」
「そのくらい予想してたからな……」
フルーラは、リーフィアを抱いて、ゴロゴロとしている。
俺も三度、雑誌を読み始めた。
雑誌を読み始めたものの、集中して読むことが出来ない。
その原因は、間違いなくフルーラにあるだろう。
お互いに話しかけたくても、話しかけられない雰囲気だ。
「あれ?リーフィアが何か持ってるよ?」
どうやらフルーラには、この雰囲気は伝わっていないようだ。
「あぁ、これは熱い岩っていって太陽のエネルギーを溜め込んでおける石だ」
「へぇ…そんな石があるんだ、そういえば色々なところを旅していたんなら、話聞かせてよ!昨日は聞けなかったから」
とくに断る理由も無い俺は、旅の話を語り始めた。
そういえば俺は色々な地方を旅してたんだな……
出身地のジョウト地方では、大会に出て、ベスト8まで残ったっけな。
「あんたって思ってたよりも強いのね……」
「失礼な…こう見えても俺は、ジョウトの大会ではそれなりの成績は取ってるんだぞ」
『あくまで"それなり"でしょ?』
黙らされてしまった、リーフィアが哀れみの目で俺を見つめてくる。
『そ、そんな落ち込まないでよ!悪い意味で言ったわけじゃないんだから』
どう考えたって悪い意味だろ……常識的に考えて……
「そういえばオレンジ諸島のバッジは持ってるの?」
「まだ一個も持ってないな」
宝玉が見つかったら、バッジ集めのためにここらをしばらく周ろうか……
「じゃ、じゃあさ一緒にたb♪♪♪♪♪」
フルーラの声を切裂くかのように、俺の携帯電話が鳴った。
「はい……ですが」
「僕…よ…フィレンテだ、今か…僕の言う…とを聞…てくれ」
フィレンテからの電話だ、どうやら急用みたいだな、電波が悪く聞き取りにくいので外に出た。
「氷の宝玉を持ち出した犯人が分かったんだ……」
この言葉を聴いた瞬間、寒気がした。
「だ…誰が宝玉を盗んだんだ?」
『……………長老です………』
俺は背筋が凍った。
「な、なんで長老が!?」
「そういう経緯は後で話します…今から二時間後
つまり午前零時に、港へフルーラさんと一緒に来てください」
「なぜフルーラまで一緒に?」
「僕とあなたの二人だけで突撃し、万が一失敗したときに援軍を、彼女に要請してもらいます」
「それだったら最初から俺達以外の人も呼んで突撃すれば……」
「これは僕の推測に過ぎませんが、この宝を探したメンバーの中に、長老の手下がいる可能性があります
もしその人たちが僕達の中に居たら、戦況が確実に不利になります…分かりますか?」
確かにその可能性が無いとはいえない、ここは少人数での突破が望ましいようだ。
「………分かった、今から2時間後にな」
「ええ…頼みますよ…」
フィレンテとの通話が、終わった。
俺は手を震わせながら、家へ戻っていった。
家に入ると、玄関にフルーラが居た
「誰からの電話だったの?」
「フィレンテからだ…」
『な、なんか大事なことを言われたんじゃないの?』
フルーラの予想は当たっている、しかしこれを言ってしまったら
確実にフルーラは、俺に付いてきてしまうだろう。
俺はどうすればいいんだ……
『もう黙ってないでよ!!』
「……犯人の手がかりは、掴めたかと聞かれた」
「………そう…」
朗報が来たと思っていたフルーラは、落胆してしまった。
「明日から本格的に探せばいいだろ、だから今日はもう寝て明日に備えよう」
「……あんたって寝るのが随分早いのね……旅の疲れでも溜まってるの?」
「そんなところかな……でも早寝早起きは体にいいだろ?だから早く寝よう」
「意外とあんたって几帳面ね、でも私もなんか疲れたな……おやすみ」
フルーラはそう言うと、奥の部屋に行ってしまった。
この俺の選択は、正解だったのだろうか……?
間違いなく自分には不利な選択だろうし、フルーラの気持ちも裏切ることになる……
だが俺はこの選択には後悔はしていない……不安はあるが。
例えこの選択が失敗だったとしても、俺は誓いを果たさねばいけない…絶対に。
最終更新:2008年05月06日 16:17