※短編だらけ※ 続き7

297: 名前:灰人☆11/12(木) 20:13:02
【さぁ、受け入れ準備を】




「んっ……」


 啄むような接吻けを何度か唇に落とされて、不意に深く口内を貪られた。それに応えればゆっくりとベッドに押し倒される。
 気付けばいつの間にか、おれは一糸纏わぬ姿にされていて、何もかもを目の前の彼に曝す事になっていた。もちろん恥ずかしさもあったけど、そんな事すぐに気にしていられなくなる。


「あっ…… そこだめ……」


 膨らみも、柔らかくも無い平らな胸を執拗に触られる。指先で小さな乳首を摘まれて、指の腹で擦られて。たまに思い出したように爪で引っ掛かれればピリッとした痛みとなんだか危ない感覚が背筋を走った。


「可愛いな。こんな小さいのに自己主張が激しい」
「そんな、弄るな……」


 細やかな抵抗を試みるけど「なんで?」と敢え無く却下される。その上、片手は胸を弄ったまま、もう片方の手が下半身の方に伸びてきた。
 胸を弄られて僅かに反応していた股間を掴まれてやわやわと揉まれる。


「あ…… あっ、あ……」


 自分のそれが、あいつの手の中で硬度を増していくのが分かる。腰が重い。何かが奥の方でぐるぐると渦巻いているようだ。
 いつの間にかおれはもっと強い刺激が、快感が欲しいと思い始めるようになっていた。早くこの腰の辺りに滾るものを放出してしまいたくて仕方がない。


「あ、あん……ね、舐めて……」
「良いよ」
「あっ……! あぁ、ああっ!」


 温かくてぬるつく口内におれのが包まれる。
 やば……気持ち良い……。


「や、あ……あ、もう……もう、あぁっ」
「んふ……イク?」
「やぁ、喋っ、ちゃ、だめだ……て!」


 おれのを銜えられたまま上目に聞かれて喋った息と窺うような視線に身体と顔がカッ、と熱くなった。
 頭を振ってやり過ごそうともするけど、どうにもならない。どんどん絶頂へと追いやられる。


「あ、あっ……イク、あぁ--……ッ!」


 昇り詰める感覚。強烈な快感に目の前が真っ白になった。なんだか違う空間にでも投げ出されてしまった感覚。地に足がつかない、それこそ空へと飛び立ったようなそれ。
 自分でも訳が判らない。


「……濃いな。溜まってた?」


 身体の熱が急激に沈下する。未だ達したせいで朦朧とした意識の中、あいつが自分の手の平に何かを吐き出したのを確認。それが何なのか判ったのは、吐き出したものを後ろの窄まりに塗りたくられてからだった。


「俺も、気持ち良くさせてな?」
「ん…… 一緒に、気持ち良くなろ……」




 さぁ、受け入れ準備を。
 ここからが本番だ--。








※※
久し振りのエロw
でも寸止め…orz


313: 名前:灰人☆11/13(金) 21:34:57
312
まさかの改行忘れ←
焦り過ぎだ自分ww←
改訂版です。すみませんm(_ _)m
にしてもさっきの読みずら過ぎる…orz
横書きはこれだから…←
※※




 赤ずきん、って知ってる?
 そう、お婆さんの所にお見舞いに行こうとして狼に食べられちゃうんだけど、最後には猟師さんに助けられてめでたしめでたし、って終わるあの赤ずきん。
 じゃあ、その赤ずきんちゃんにはもう一つのお話があるのは知ってるかな?
 今から紹介するお話は赤ずきんちゃんが好きな人は読まない方が良いと思うよ?
 大丈夫? それじゃあ、話すね?




【狼と乱交する黒ずきん】




「ふふっ、あぁッ! っもう」


 深い緑に囲まれた森の奥の更に奥深くにあるお花畑に高めの声が響いていた。
 その声は子供特有のものであるのと同時に、娼婦のような妖艶さも兼ね備えているなんとも不思議なもので。
 声の主でもあるその少年はいつも小さな頭を黒い頭巾ですっぽりと覆っている為に普段皆からは黒ずきん、と呼ばれていた。
 そんな黒ずきんの側には美味しそうな香りを立ち上ぼらせるパンの入ったバスケットが無造作に置かれていたが、きっと今の黒ずきんの頭の中にはバスケットの事など一欠片も残されていないだろう。
 トレードマークともいえる黒ずきんだけでなく、身に着けている衣類の全てがお花畑の至る所に脱ぎ散らかされている。


「あ、あぁんッ! 狼さんって、ばぁ!」


 黒ずきんはお花畑の真ん中辺りに肌を晒したまま寝転がり、自分に覆い被さって好き勝手揺さぶる相手に抗議にも似た声を発した。


「なんだい? 黒ずきん」


 黒ずきんの鈴を転がしたような可愛らしい声とは真逆の、低めの響く声が返事をする。
 狼と呼ばれた男は闇に溶けてしまいそうな漆黒の髪を揺らしながら、絶えず黒ずきんを揺さぶる動きを止めようとはしない。
 自分の下であられもなく白い肌を晒し、淫売染みた嬌声を上げる小さな少年は狼の征服欲を煽る要因としては十分過ぎた。
 それを理解している上で、黒ずきんは狼とこうして戯れているのだからどうしようもない。


「もうイカせてよ、狼さんっ」


 そう言った黒ずきんの中心では、未発達の小さい身体とは不釣り合いな程に巨大で赤黒い性器が先端の穴から先走りを溢れさせ、自身の腹部を汚していた。
 自らも腰を揺らし解放を切望する黒ずきんの様子に、狼は真っ赤な舌で自分の唇をペロリと舐めて濡らした。そしてすん、と鼻を鳴らす。


「イキたいかい?」
「うんっ。狼さんの大きいアソコで僕をイカせて?」


 恥ずかしがる様子も見せず、むしろ挑発的ともいえる様な妖しい笑みを浮かべた黒ずきんに狼はそれまでも十分に激しかった律動を更に激しいものにする。
 自分の内部を狼の凶器ともいえる雄に掻き乱されながら黒ずきんは恍惚とした表情で狼を更に煽ろうと声を上げた。


「ああんッ! イイッ、狼さんそこイイよぉッ! あッ、あッあ、はぁああンっ!」
「ココ、かい? 黒ずきん」
「あん、そこっそこぉぉっ! 気持ちイイのぉっ、ぼく壊れちゃうよぉぉ!」


 黒ずきんの思惑通り、乗せられた狼は黒ずきんに満足して貰おうと必死に腰を動かせる。かく言う狼も、自分自身に絡み付いてくる様な熱く柔い黒ずきんの内壁に限界が近かった。
 見れば、いつの間にか黒ずきんも小さな手で手に収まりきらない程猛る己の性器を扱き絶頂へと駈け登っている所だった。
 それに魅せられた狼もまた自身の絶頂の為に腰を更に振り、打ち付けた。


「イクッ! 狼さんイクイクッイクゥッ!」
「うッ……ぁあッ!」


 黒ずきんの性器から白濁が迸るのとほぼ同時に狼のタネが黒ずきんのうねる腸内に植え付けられる。
 しかも、黒ずきんの射精がすぐ終わったのに対し狼の射精は長かった。
 確実に子孫が残せる様にと作られている狼の身体の構造上、長い射精が続いている間は性器もぱんぱんに膨らみ抜けないようになっている。
 まるで尿をされているかの様な程に長い狼の射精を胎内に受けている黒ずきん。
 長い射精で恍惚とした狼と同じ様な表情で黒ずきんも、狼の長い射精の感覚を自分は胎内で共有していた。


「狼さん。終わったのは良いんだけど、狼さんの長い射精のせいで僕のアソコ、また大きくなっちゃったよ」
「本当だ。もう一回しようか?」


 少々赤味が差した頬を膨らませた黒ずきんに促され黒ずきんの中心を改めて視認した狼は、一度抜きかけた自身を再び黒ずきんの奥深くへと埋める。
 狼の返答に満足した黒ずきんは、今度は狼の腹の上に馬乗りになって逆に狼を散々食らったそう。


「あ、ああぁンッ」




 当分は森に静けさは戻らなそうだ。
 気付いた時にはパンなんてカチコチで、
 お婆さんなんて餓死してるかも。


314: 名前:灰人☆11/13(金) 23:27:53
【暗闇遊戯】




 僕の彼氏は少し、いやかなり変わった所がある。


「今日は目隠ししたいな!」


 これだ。二人、ベッドに乗り上げ一糸纏わぬ姿になったところで言われたそれ。別に僕にしたいんなら、彼は僕を抱いてくれる側だし“かなり”変わってるとは言わないかもしれない。


「あぁ、うん。良いんじゃない?」
「ほんと!? やった! じゃあ早速……」


 一気にテンションの上がった彼が、手にしていた黒い布で自分の目を塞ぐ。
 そう。彼は自分が“抱く側”なのにも拘らず、自らを拘束したりするのが好きなのだ。
 これが変わっていないとなると、何が変わっていると言うのだろう。ぜひ教えて欲しい。
 目は見えずとも、興奮しているのが見て取れる彼に僕は思わず小さく溜め息を吐いた。
 それでも文句一つ言わずに付き合う僕を誰か、褒めて欲しい。


「ね、良い……?」
「あ。ちょっと待って」


 目隠しをした彼に低く聞かれて、反射的に頷きそうになりながら僕はハタと思い出したこの部屋で唯一の光源だったスタンドライトを消した。
 いっそ真っ暗にしちゃえ。
 とはいえ、僕は夜目が利く方だから彼の姿は見えている。


「良いよ。--キて? ここだから」
「うん」


 見えていない彼の腕を僕の身体に導く。探るような動きをする彼の手は、次にどんな事、触れ方をしてくるのかが分からないんだ。


「んんっ!」
「これは……乳首かな?」


 感触で分かっているくせに。
 わざとらしく聞いてくる彼はサドなのかマゾなのか本気で分からないよ。


「あ、ちょっ……ひあぁっ!」
「ん? これは何だろ? 硬くてぬるぬるしてるけど……ねぇ、教えて?」


 サドに一票。
 それこそ分からない訳が無いのに、わざとゆっくりと手を上下させながら聞いて来るけど、とてもじゃないけど答えられる訳がない。
 喘ぎながら頭を振る。でも見えていない彼にはそんな事は分からないから、僕を責め立ててくる手も言葉も止む気配がない。


「やっぱり君はイヤらしいね」
「あ、あっ……見えて、ないくせに……」




 暗闇遊戯。
 夜が明けない限り終わる事はない--。



315: 名前:灰人☆11/14(土) 13:24:13
【散らす言葉】




 俺の恋人は俗に言うMだ。因みにドMとまではいかない。言うなればちょいMってところだ。


「あ、あっ、だめ、ぇ……」
「ダメ? 嘘吐くなよ。お前のココ、もうびちょびちょなのにさ」


 そんな可愛いコイツが一番好きなのは所謂“言葉責め”ってやつ。自分の痴態を口にされるとただでさえ感じやすいのが更に感度を増す。
 今だって、ぬるつくモノの事を言われて更に蜜を垂らして俺の手を濡らした。いやいやをするように頭を振って、違う、と言ったところで身体は本当に正直だ。


「ちが、違うぅっ……ぁあっ!」
「へぇー? それなら、俺の手を濡らしてるこれは何なんだ? 嘘つきには、お仕置きが必要だな?」


 俺の方もなんだか乗ってきて、こいつを更に追い詰める様な事を口にする。こいつの被虐趣味は今に始まった事じゃ無いが、俺も同じようなものだ。
 組み敷いた相手が恥ずかしがったりする表情や仕草は堪らなくそそる。


「どうする? このはしたなく汁を漏らすモンの根本を縛るか? それとも、いっそ蓋でもするか?」


 言いながら張り詰めているそれを根本から先端の小さな穴まで濡れた指先でなぞってやると、こいつはもっとしてくれと言わんばかりに腰を上擦らせた。
 その光景はまさに眼福だが、そう簡単には望みは聞いてやらない。


「どうして欲しいか、言えるよな?」
「あ……や、あぁ……」


 あくまで尋ねるような口調。だが、その中に有無を言わせない雰囲気をしっかりと感じ取ったこいつは、逡巡する様子を見せた後に、耐え切れなくなった様に口を開いた。


「イ、イカせて……下さい……」


 俺は敢えて答えずに、屹立し震えるそれを根本からゆっくりと扱き上げた。
 最初は口でしてやろうかとも思ったが、甘やかしすぎるのは良くないからな。これで十分だ。


「あ、ああっ、うあっ、んっ、あっ--」


 扱く手の早さを上げればそれに合わせて嬌声の間隔が短くなり、絶頂が近いのが分かる。追いやるように敏感な先端部分を指の腹で強く擦ってやった瞬間、俺の手の中でそれが弾けた。
 ぶるぶると腰を痙攣させて白濁を自分の胸や腹に飛び散らせて汚す。


「ほんと、イヤらしいな--」





 散らす言葉。
 俺が呟いた時、確かに俺の下にある身体が期待に震えた。


318: 名前:灰人☆11/15(日) 15:23:00
【与え合う快楽】




 俺の恋人は年上で、頭が良くて、優しくて。同じ男とは思えないくらい綺麗なんだけど、たまに少し抜けた事を言ったりする俺からすればとても可愛らしい人なんだ。


「っ…… 春樹、さん」


 そんな彼が今、俺の足の間に顔を埋めて欲望に猛った俺のモノを銜えている。
 苦しそうにその端正な眉を寄せて、鼻で呼吸をしているらしい彼は時折喘ぎの様な息を洩らした。


「ふ、んぅ……どう、したの?」


 名前を呼ばれて、一度俺のモノから口を離した春樹さんが俺を首傾げで上目に見遣ってくる。さっきのは思わず呼んでしまっただけだったんだけど、俺はなんだか中断させてしまった事が申し訳なくなってある提案をした。
 その提案を何故だか渋々といった様子で受け入れてくれた春樹さんが早速、今まで座っていたベッドに仰向けに横たわった俺の上を逆向きで跨ぐ。


「ボクが准くんにシてあげたかったのに」


 ボソリと聞こえた春樹さんの呟きに、俺はさっきの春樹さんの渋い表情の理由を漸く悟った。内心、苦笑しながら目の前にある春樹さんの分身に指を絡める。


「んっ…… ん」


 どことなく甘さを含ませた声が鼓膜に心地良い。その声をもっと聞かせて欲しくて俺は指を絡めていた春樹さんのそれに、そっと唇を寄せた。
 ちゅ、とリップ音を立てながら接吻ければ短い声を上げた春樹さんの背中が僅かに撓った。


「春樹さん、俺のもお願いします」
「ん。分かってる、よ……っふ」


 春樹さんの両手が添えられていた俺のそれが、再び温かいものに包まれる感覚。それは間違いなく春樹さんの口腔で、俺ははやる気持ちを抑えながら春樹さんのへの愛撫を再開した。


「んむ……ふ、んんっ……」


 春樹さんのくぐもった喘ぎ。俺の位置からじゃ表情は窺えないけど、その声だけでも十分腰にクる。
 やっぱり俺はさっきみたいに一方的に快感を貰うよりは、こうやって一緒に気持ち良くなる方が良いし好きだ。
 もちろん春樹さんにして貰えるのは嬉しいけど俺だって気持ち良くしてあげたい。


「ぁ、ん……准、く……」
「……イキそうですか?」
「そ、だから……やめ……っん」
「良いですよ。イッて下さい」


 春樹さんが止めるのも聞かずに、中途半端にしていた春樹さんのを一気に奥まで銜えた。尖らせた舌先で敏感な先端の小さな穴を突いて、じゅるっ、と音をたてながら吸い上げる。


「あっ、ばかっ……ああっ--!」


 呆気なく俺の口に放出した春樹さんの恨めしそうな声が聞こえたけど聞こえなかった振り。


「春樹さん。俺も春樹さんの中でイカせて下さい」
「……早くすれば」
「もう。拗ねないで下さいよ」




 与え合う快楽。
 何でも“一緒”が良い--。








※※
年下×年上。
最近寸止め(笑)性描写が多い←
性描写の練習だとかなんとか思って下さいW
ま、練習言っても駄文なのは変わりませんが…orz



319: 名前:灰人☆11/16(月) 18:58:34
なんだこれ^p^
意味不注意報発令die☆←うざw
とにかく精神的に…ね?←
久し振りに甘さの欠片も無いのを書いた気がします。…あれ、作文?
※※




【自由に踊る肢体】




 その姿はさながら、激しく振り回したお陰で糸が絡まってしまった操り人形の様だった--。




「ふぁ! あ、あぁっ……!」


 目の前に置かれた姿見に映るオレはとてもじゃないが見ていられない。
 日に当たらないでいるせいで男にしては白過ぎる肌。筋肉も殆どついていない薄い胸には幾つも紅い華が咲かされている。
 ……気持ちが悪い。


「気持ち良いのかい?」


 オレの下に仰向けに横たわるジジイが言ってきた。ウザイから快楽に溺れてて聞こえて無い、でいこうと思う。


「あっ、あぁっ! ひあぁぁっ!」


 わざとらしいまでに声を上げる。腰を振って、ジジイを不本意だけど喜ばせようと画策。
 ニタリと気色悪い笑みを浮かべているところを見ると騙されてくれたらしい。クソジジイが。
 心の内ではそんな毒を吐いて、表面では男のそれを目一杯銜え込んで悦に浸る淫乱を演じて。
 オレは一体なんなんだろうか。


「っ!?」
「うん? どうかしたのかね?」


 ハッとして演技を再開。
 自分で聞いていて吐き気がするような猫撫で声を上げながら頭の中は今まで生きてきた培った色々な情報、そして記憶が物凄い速さで駆け巡っていた。
 一瞬、目の前の鏡に映っていた“オレ”が真っ青な顔に虚ろな目をしてこっちを見てた気がした。
 そんな事は有り得ない。思い詰めてたせいで変なものが見えてしまったんだ。
 必死にそう、思い込もうとする。


「あん、や、ああっ…… イ、クぅ……」
「く……私も、だ……うっ!」


 半ば無理矢理果てたところで、そこには何の感情もない。
 目の端で“金”が入っているであろう厚みのある茶封筒が置かれたのと、そこから暫くして耳で、ジジイが部屋から出て行ったのを確認。さっさと風呂場へと向かう。


「…… ひでぇ顔」


 風呂場の鏡に映る自分に向かって吐き捨てて。ふと、さっき見たアレを思い出す。


「うっ…… げえぇっ」


 急に込み上げて来た吐き気。耐えようとする暇もなく吐瀉物を風呂場の床に撒き散らした。
 そして顔を上げて絶句。真正面にある鏡に、先程見た真っ青な顔に虚ろな目をした俺の顔が。しかも先程のとは違って、今度は鏡の方の“俺”が男のモンを銜え込んでいる。
 紅い斑が映える白い肌を曝して男に良いように弄ばれている俺。生気なんてものは無い。まるで屍の様で。
 オレはついにおかしくなってしまったんだ。
 そう思う外なかった。




 自由に踊る肢体。
 実際は偽りの自由に踊らされている。



324: 名前:灰人☆11/17(火) 19:27:40
誰かーーっ!!!私に性描写の書き方を、コツを教えて下さーーいっ!!!!←
特に喘ぎとか喘ぎとか描写とか!!!!!←
あとギャグの書き方も←
※※




【目覚める本能】




 切っ掛けなどは分からないが、最近所謂恋人との“愛の営み”がご無沙汰気味だ。もうかれこれ一ヵ月も。
 初めの頃は俺の方も「それなら仕方ないか」と言うしか無いような理由で断られていたんだが、ここ最近はあからさまにそれを避けているような気がする。でもそれ以外は相変わらず順調だ。


「なんでエッチしたがらねぇんだよ……」


 もう何度目かも判らない台詞。恋人が遊びに来てるっていうのに当のあいつ、将尚は見るからに高級そうな革張りのソファで優雅に愛用のマグカップに入ったコーヒーを口に運んでいた。
 そんな無駄に格好良い姿を見つめていてふと、コーヒーで思い付く。


「将尚。おかわり、入れようか?」
「ん? あぁ。頼む」
「わかった」


 きっと今の俺は今にも鼻歌なんかを歌いだしそうな顔をしているだろう--。




「…… はい。入れてきた」


 そう言ってあくまで普段通りを意識しながら、コーヒーを入れた二人分のマグカップをソファの前にあるテーブルに置く。片方はブラックで将尚の。もう片方はミルクの入った俺の分だ。
 将尚の隣りに腰を掛けながら自分の分のコーヒーに口をつける。横目で将尚を見れば俺と同じようにコーヒーに口をつけていて、俺は心の中でガッツポーズ--……の筈だった。




 確かに性生活がご無沙汰で物足りないとは思ってた。思ってたけど--。


「ふ、あぁっ! まさな、お、ぁっ!」
「っ……お前、何しやがった」


 死ぬ。これ死ぬ。ていうかマジで俺おかしくなる。壊れるって。
 後ろから、それこそ壊れるんじゃないかって思うくらいに突き上げられて、犯される。
 俺が将尚のコーヒーに盛った薬の効果は絶大だったらしい。それか盛る量をミスったか。
 背後から将尚の苛立った声が聞こえる。でもその間にも揺さぶられるのは止まらない。


「あっ、ひあぁっ! くす、薬ぃ……っ!」
「薬? 盛ったのか?」


 将尚の言葉に肯定するようにガクガク頷く。そうしたら「なんでそんな事を」だってさ。
 お前の所為だっつーの!


「あひぃ! あ、だって、も、一ヵ月もしてな……っぁあああ!」
「あぁ……まさか薬盛るとはな」
「ふ、ぇ? ……ああっ! 将尚、だめ、だっ!」


 一瞬。ほんの一瞬、気が緩んでしまった瞬間一気に奥まで捩じ込まれた。あまりの衝撃に息が止まる。
 そしてワンテンポ遅れてやってきた焼け付くような快楽に意識と身体、全部を持っていかれた。
 最後に感じたのは自分の腹と胸、そして最奥にそれぞれの弾けたものが掛かった感覚だった--。




 あとから聞いた話だけど、将尚は俺がお預けを食らったらどうするのかを知りたかっただけらしい。
 にしても将尚の本気はヤバ過ぎる。


328: 名前:灰人☆11/18(水) 20:51:08
250の二人のその後(?)です。
クソ長いです←
※※




【foolish - 愚かな -】




 セオが壊れてから数ヶ月。
 もう逃げだそうとする事も無いだろうと例の地下室から出してやったセオは、今では初めの頃の抵抗が嘘みたいに大人しくなった。しかも家事なんかの雑用を任せればまるで俺の妻にでもなったかの様な働きっぷりだ。
 夜の方だって、俺が教える事を一生懸命実行しようとする。
 欲を言えば、最初の頃の死に物狂いの抵抗やギラついた瞳が無くなったのは正直物足りないが、悪魔が俺に尽くしてるんだと思えば日が経つにつれどうでも良くなっていった。


「デザイア! デザイア!」


 夜。自室に籠っていた俺の耳に入ったのはセオのどこか意気揚揚とした声。声のする方を振り返ってみればコッチの方へ駆けてくるセオの姿が。
 悪魔の漆黒の羽根と尻尾は今は隠させてて身体は人間のそれと変わらない。そして人間のより尖った耳はこればっかりは悪魔でもどうにも出来ないらしく、普段は帽子を被せて隠している。が、今は必要無いからそのままだ。
 耳に関してはセオ“が”出来ないだけの可能性が高いが敢えて触れなかった。


「おい。走るな。転ぶ--」
「デザイ、むぎゃ!」


 ……遅かったか。
 これは手足の拘束を解いて、外に出してやるようになってから分かった事だ。セオは悪魔のくせしてかなり、どんくさい。
 今では大分マシにはなったが、初めの頃は良く洗濯し終わった衣類等を外に干しに行こうとしたセオが、なんでか何も無い場所で躓いて、持っていた洗濯物の入った籠を中身諸共ぶちまける、なんてのが毎回の事だった。しかも毎回同じ場所で転ぶ。
 歩いててこれなんだ。走ったりなんかすれば十中八九転ぶ。今だってこの通り。


「痛いよ……ふぇ……」


 転んで打ったのか、赤くなった鼻を押さえて涙目になってるセオ。初めがアレじゃなかったら悪魔だなんて到底、信じられない。むしろ今でも疑ってるくらいだ。


「泣くな。ウザイ。で、用事は」
「あう……デザイア、今日はしないの?」


 何を、なんて聞かない。
 セオのどこか期待に揺れる紅い瞳を見れば一目瞭然だ。
 何も言わないまま手招きをしてやればトテトテと歩いてくる。俺の側までやってきてから俺を見上げてきたセオの深紅の瞳はいつの間にか熱っぽく潤んでいた。


「デザイアぁ……」
「……シて欲しいなら先ず、スる事があるだろ?」
「ん……わかった」


 コクリと頷いて、ベッドの縁に座った俺の足元にセオが跪く。今では慣れた手つきで俺のスラックスのフロント部分を寛げられる様になったが、最初の頃は……いや、やめておこう。こんなの俺らしくない。
 思考を中断してセオの方を見ればセオはうっとりした表情で俺のソレに接吻けようとするところで、俺はふと思い立ってそれを制した。セオがあからさまに「なんで」という顔で見上げてくる。


「先に全部脱げ」
「おれが脱ぐの……?」


 首を傾げながらもセオは身に着けていたモノを一枚一枚俺に見せつけるように脱いでいく。
 うっすらと頬に朱を散らしながら最後の一枚が床に投げられ、パサリと下着が床に落ちたのとほぼ同時に素肌を完全に俺の目の前に曝したセオが再びしゃがみこんだ。
 先程の続きと言わんばかりに俺の、まだ僅かの兆しもみせていないソレにまるで慈しむような、悪魔にはとてもじゃないが似合わない表情で接吻ける。


「んっ……」


 俺のを両手で包んで、下の方から先端へ向かって舐めあげて。チロチロと先端の小さな穴を、元々尖っているのを更に尖らせた舌先でくすぐって、たまに突いて、抉るかのように弄ってくる。


「ぁ……はむっ……」


 こう、俺が仕込んだままに丁寧にされるとわざわざ一から教えたかいがあるってモノだ。


「……セオ。もういい」
「ん……なんで? おれ、下手だった?」


 俺のを手にしたまま上目遣いに聞いてくるセオは本気で自分が上手く出来なかったから途中で止められたと思ってるようだ。
 危ない。顔がニヤけそうになった。


「いや。俺はオマエのナカでイクから、セオ。自分で挿入れてみろ」
「自分、で……? 慣らすのも?」


 頷けばセオは「分かった」とだけ言ってからベッドに乗り上げてきた。見ればセオの幼い中心は健気にも精一杯頭を擡げて震えている。


「自分の指、舐めてしっかり濡らせよ」
「わ、かった……んっ」


 セオが自分の指を口に含んだ。俺が言ったようにたっぷりと唾液を絡めて濡らしていく。くちゅ、と濡れた音をたてながら己の指をしゃぶるセオの、薄いピンク色の唇の隙間から時折覗く、赤く人間のソレよりも尖った舌が妙に艶めかしい。
 暫くしてセオが唾液で濡れそぼつ指を自らの秘所に宛てがい、一気に挿入した。セオの指は楽に飲み込まれていき、セオの喉からは喘ぎが洩れる。


「ひあぁっ……!」


 セオが指を動かしたり抜き挿しをする毎にぐちゅぐちゅと粘着質な音が俺の耳に入り、セオの嬌声に鼓膜を揺さぶられた。
 不意にセオの指が抜かれ、無意識なのか勃ちあがっているソレに触れようとする。


「ソッチは勝手に弄るな。イッたら犯してやらねぇ。慣らしたら、自分で挿入れな」
「はぅ……上、乗っていいの……?」


 あからさまに残念そうな顔を見せた後に首を傾げたセオ。
 普段は正常位だったりバックに縛ったりで、自分で好きに出来る体位でさせた事は無かった。今回のはハッキリ言ってただの気紛れだ。
 頷いて「来いよ」と促せば、セオがおずおずと窺うような視線をチラチラと向けて来ながら俺の膝の上に乗ってくる。セオは小柄だし体重も軽いから特に負担にもならない。


「そのまま、腰を下ろせ」
「んぅ……! おっき……っひぅ!」


 苦しそうな表情で俺のを飲み込んでいくセオ。そんな表情は俺を煽るに値したが、ゆっくり過ぎて若干イラつく。セオの肩に手を置いて一気に飲み込ませた。
 多少、無理をしようともセオは悪魔だ。どうって事はない。


「っふ……苦し、っ……むぅぅ……」


 そんな風に喘ぐセオの眉間には深い皺。
 あぁ、堪らない……。


「ほら、腰使えよ。俺がイカないと終わらないんだぞ」
「う……あぅ……んんーっ」


 浅く呼吸を繰り返すセオが俺に言われた通りに腰を使いだす。それはお世辞にも堪能とは言わないが、その拙い感じが俺好みに悪魔を仕込んでいる段階だと、これからいくらでも好きなように出来るんだと、思わせた。


「あっ、あ……ん、デザイアぁ……」
「ほらセオ。もっと頑張らないと俺はイカせられないぞ」
「あぅぅ…… ふぁ、も……むり--っ」


 なにが無理だ。人間ならまだしもオマエは悪魔だろ。粘れよ。


「早い。オマエ、仮にも悪魔だろ」
「だ、てぇ……んあぁっ!」


 粘れ、の意味でセオの色の白い尻を叩いた瞬間まさかのセオが白濁を放出した。
 本来なら、ここで“粗相”をしたセオにお仕置きをするところなんだが、もうここまで来たらそれもすらも面倒臭い。
 勝手に達した余韻に身体を震わせるセオをベッドに俯せにさせて後ろから容赦無く腰を打ち付けてやる。
 達したばかりでうねるセオの媚肉は一際敏感になってるらしい。セオの甲高い嬌声が部屋に響く。


「あ、あぁっ! デザイア、デザイアぁ!」
「ッ……!」


 悪魔だからなのか、それともセオ自身の素質なのか、早くも復活していたセオの雄蕊が再び弾けた。それに不本意ながら半ば持っていかれる形で俺もセオのナカに放った。
 行為も終えて、セオのナカから己のを引き抜けば下に居るセオがその刺激にも小さく喘ぐ。だけど見てみればセオは意識を飛ばしてしまったらしく、俺が名前を読んでもピクリともしなかった。
 顔に掛かる前髪を払ってやれば、なんとまぁ無防備というか阿呆っぽい寝顔。


「オマエ、ホントに悪魔かよ」


 可哀相な奴。
 人間に、しかも敵対するであろう神に使える神父に良いようにされて、その上壊された。




 愚かな悪魔。
 俺の退屈凌ぎで可愛い奴隷--。



331: 名前:灰人☆11/19(木) 18:15:03
いやー
330
は我ながら痛いですねー(笑)←
……だからなんだって話なんですけどね ←
※※




【いと甘き抱擁】




「あっ、ふあぁっ」


 僕の背中に回されている、男らしい逞しい腕。大好きな彼の膝に乗せられて、彼の首に両腕を回しながら揺さぶられる感覚に身を委ねる。
 すぐ側で聞こえる彼の少し乱れた呼吸音でさえも、僕の官能をこれでもかという程刺激してきた。


「ンッ……気持ち良い?」
「あ、あっ……ん。気、持ち、いぃ……」


 素直に答えれば彼が嬉しそうな表情を見せてくれる。堪らない幸福感に全身を包まれる感覚に僕はその笑みだけで達してしまいそうになった。でも今達してしまったらこの熱を感じられなくなる。それが嫌だから僕は絶頂感をぐっと耐えれば、彼の微かな笑い声が聞こえた気がした。


「あ、あぁぁ……っ」
「イッて良いよ?」
「やっ……! まだ、我慢できる……っ、もっと繋がっていたい……っ」


 優しいけど、どこか男の色香を滲ませる低い声に首を振る。


「もっと、もっとぎゅってして……っ」


 縋るように懇願。彼はそんな僕に目元を優しく緩めて僕の額に一つ、接吻けをくれる。
 それから僕の背に回されていた腕に力が入った。胸同士がぴったりと合わさって、体温までもが混ざりあっている様な感覚を覚える。


「一緒に、ね?」




 いと甘き抱擁。
 逝くのなら彼の腕の中で--。



332: 名前:灰人☆11/19(木) 22:54:28
【……あ、怒られてる】




 ふと窓側の自分の席なら外を見れば、外で体育してるクラスが。しかもあいつ、俺の悪友のクラス。
 授業中だってのに他の奴とふざけてめっちゃ笑ってる。すっげーいい笑顔だ。
 俺もあの中に入りたいとか思ったら、数人でふざけあってるとこに担任が近付くのが見えた。
 ……あ、怒られてる。
 真面目の授業を受けてる奴等の前であいつが怒られてるのが面白い。自分でも顔がニヤけるのが分かった。


「おい。余所見するな」


 やべ。俺も授業中だった。
 窓の外に夢中になってたら頭を軽く叩かれた。驚いて見れば目の前には丸めた教科書を持った科学の教師。
 最悪だ。これもあいつのせい。




 後で絶対ど突きに行ってやる。







※※
ど突きに行く為であって、決して会いたいから行くんじゃない!


……素直になれよ少年。
そんな話。←どんな話だ。
短いですね。



333: 名前:灰人 (L/G6UpmrlY)☆11/20(金) 22:00:28
トリップ付いてるのは気分です←
※※




【拘束恋愛】




 心も身体も縛ってやりたい。
 そうやって恋人に対して思う俺はおかしいんだろうか?


「痛っ……」


 俺の下には両手首を纏めて縛られる雫。手首を戒める麻縄が食い込んでるのか顔を歪めている。
 可哀相だとは思うけど戒めを解いてやるつもりは無かった。


「ね、痛い……取ってよ……っ」


 懇願にも似たそれに、俺は静かに首を振る。そうしたら雫は悲痛そうな表情を見せてから再び口を開いた。


「せめて、緩めて……血、止まる……」


 俺は再度首を左右に振った。
 血が止まろうが、手が痺れようが、拘束を解くのはもちろん、緩める事すらもしたくなくて。このまま心も縛れれば良いのにとさえ思ってしまっていた。
 俺は“痛み”に涙を流す雫をただ見つめる。透明な綺麗な涙。指先でそっと拭ってやれば、目元を赤くさせた雫が俺を見遣ってきた。


「雄、す、け……?」


 雫の、涙を流すせいか少し掠れてしまった声さえも愛しい。
 もっと名前を呼んで。そう、言葉にする代わりに雫の赤く艶めく唇に自分のを落とした。涙のせいか少ししょっぱかったけど特には気にならない。
 そのまま雫の瞼に唇を移す。眦に溜まった涙を吸い取って、漸く唇を離した。


「ねぇ、雄輔……。やっぱりこれ解いて? ぎゅってしたい。雄輔を、僕で縛りたい」


 俺は思わず目を瞠った。
 涙ももう止まったのか、真剣な表情で俺を見つめてくる雫。「ねぇ」ともう一度呼び掛けられて、俺は何故だか逆らえなかった。
 キツく縛った麻縄は中々解けなくて、仕方なしに雫の身体を傷付けない様に縄を切る。戒めが無くなった雫の手首を見れば、縄で擦れてしまったせいでついた赤い痛々しい痕。


「そんな顔しないでよ。僕は大丈夫」


 微笑んだ雫が、俺よりも小さな身体で俺の身体を包もうとする。
 なんだか俺は雫に心までも奪われた様な錯覚を覚えた。
 ここで抱き締め返せば俺も雫を“縛る”事が出来るんだろうか。


「雄輔も、僕を抱き締めて? 縛って?」




 拘束恋愛。
 きつい抱擁と言う名の優しい“拘束”。






【……あ、怒られてる】




 ふと窓側の自分の席なら外を見れば、外で体育してるクラスが。しかもあいつ、俺の悪友のクラス。
 授業中だってのに他の奴とふざけてめっちゃ笑ってる。すっげーいい笑顔だ。
 俺もあの中に入りたいとか思ったら、数人でふざけあってるとこに担任が近付くのが見えた。
 ……あ、怒られてる。
 真面目の授業を受けてる奴等の前であいつが怒られてるのが面白い。自分でも顔がニヤけるのが分かった。


「おい。余所見するな」


 やべ。俺も授業中だった。
 窓の外に夢中になってたら頭を軽く叩かれた。驚いて見れば目の前には丸めた教科書を持った科学の教師。
 最悪だ。これもあいつのせい。




 後で絶対ど突きに行ってやる。







※※
雄輔(攻め)の台詞が無いのは仕様です。
あえて喋らせませんでした。
だから何? ……なんでしょうね←



335: 名前:灰人 (L/G6UpmrlY)☆11/21(土) 20:02:58
286
の二人です。
雑談で出たネタで書いた話なので何時にもましてグダグダです←




【診察台での×××




 本日もやってきたストーカー、基、掛布 凛。
 普段なら病院に居るのがそもそも可笑しいって程に元気でうざったいテンションな掛布は、今日はなんだかいつもと様子が違った。


「どうした?」
「圭吾先生、敬語じゃなくて良いの、っ。あれ、駄洒落になっちゃった……。けいご先生がけいご--」
「阿呆な事言ってんな。どうしたって聞いてんだ。それに、お前に敬語を使う必要は無い」


 いつも血色の良い掛布の顔色は文字通り真っ青。額には脂汗まで浮かんでる。そんな状態のくせに「あはは」なんて笑ってるがその笑みも乾いたもので、無理してるのが見え見えだ。
 腹を押さえている所を見れば腹痛なんだろうが、それは聞いてみないといけないからな。


「なんかね……お腹痛くてさ……っ」
「どの辺だ? もしかしたら盲腸かもしれないな」
「あー……それはない。俺もう切ってる」


 「そうか」と一つ頷いて、ひとまず聴診器で胸の音を聞く。それから診察台に横になるように言えば、掛布がノロノロとした動きで診察台に仰向けに寝た。
 シャツを捲ればそれなりに鍛えられた腹筋が。


「どの辺が痛い? ここは?」


 声をかけながら腹部に置いた指に力を込める。すると掛布が「うっ」と呻いた。


「痛いか? ……エコーするか」
「痛い……っ。エコー、?」


 奥からエコー検査の為の機材と、ジェルを持って来る。


「冷たいぞ?」


 医療用のジェルを掛布の腹部に出して伸ばす。それに機械を当てて、画面に映った掛布の腹ん中を探った。


「ははっ、なんかヤらしー……。お腹の中見られてる……」
「ヤらしいのはお前の頭の中だろ」


 軽口を叩ける位ならそこまで大袈裟になる事は無さそうだが、一応見ておくに損は無いだろう。
 超音波画像を細心の注意を払いながら、見逃しが無いように見ていく。


「……これを見る限り特に問題は無いな。なんか思い当たる事は?」


 掛布が「うーん」と唸って思案する様子を見せる。数秒して、はたと何か思い付いた表情を見せた。


「昨日、賞味期限の切れたあんぱんと牛乳食べて飲んだ」


 それだ。どう考えてもそれが原因だ。
 こいつ馬鹿だ。救いようのない馬鹿だ。


「お前馬鹿だな。頭腐ってる。初めにそれを言え」
「そこまで言わなくても……。ていうか、腐ってたのはあんぱんと牛乳……」
「それを食って飲んだお前はそれ以上に腐ってる」


 掛布がついに黙る。「これじゃあ精神科のお世話にもならなくちゃ」とか小さな声でごちゃごちゃ言ってるが丸無視だ。
 いっそそのまま発酵しちまえ。


「とりあえず薬出しとくから。腹拭くぞ」


 タオルで掛布の腹のジェルを拭き取る。ふと、その様子を掛布がジッと見つめて来てるのに気付いた。「なんだ」と聞けばニタリと気色の悪い笑みを浮かべられる。


「なんかエロいね。ぶっかけられ--」
「死にたいのか?」


 全てを言う前に顎を掴めば、相も変わらず学習しない掛布が涙目で首を振った。


「先生。先程頼まれたカルテが--」


 そんな所にやってきたのはこの前舌打ちしたのを見られた看護師。
 俺と掛布の格好--見ようによっては今にもキスをしそうな図--に固まった。


「ち、違っ……これは--」
「キャー! 薔薇よ薔薇だわ! リアルに薔薇よーっ!」


 俺の話も聞こうとせず奥に消えていった看護師。
 ところで薔薇、ってなんだ。花?


「圭吾先生。いっそ恋人宣言しちゃう?」




 そう言った掛布の腹に重い一撃。
 診察台に沈んだ掛布を残して俺は先程の看護師に事情説明に向かうのだった--。

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最終更新:2010年05月20日 18:09
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