36: 名前:海☆07/17(土) 16:32:48
そんなお姉さま達は
皆の姿が見えなくなった時
シンデレラは泣き出しました。
そんな、シンデレラの前に
ある一人の女の人が現れたのです。
おばあさんと言うよりは少し若く、
おばさんに近い人でした。
37: 名前:海☆07/17(土) 16:42:48
そして尋ねてきました。
「なぜ、泣いているのかね」
「私も……私も……」
シンデレラは泣きじゃくり後の言葉を言えません。
そんなシンデレラにおばさんは、
「舞踏会に行きたいんだね?」
そう尋ねました。
そしてシンデレラは真っ直ぐ答えました。
「えぇ…そうなんです」
「よしよし。いい子には、ご褒美があるというものさ」
顔を手で覆っているシンデレラの頭を
優しく撫でるおばさん。
38: 名前:海☆07/17(土) 16:53:53
おばさんは黒いマントから杖をだしました。
「…!あなたは一体……」
シンデレラは尋ねます。
「あたしゃ、月の使いさ」
まぁ、と驚くシンデレラ。
けれど、こんなのシンデレラの計算のうち。
すべて、こうなるように仕向けていたのです。
39: 名前:海☆07/17(土) 16:57:57
シンデレラは知っていました。
月の使いは可哀想で報われない子の所へ来ることを。
すべては『今日』のため。
そしてシンデレラの中の悪魔は牙を向くことになるのでした。
40: 名前:海☆07/18(日) 17:42:53
―――パカラッパカラッ
馬の足音が夜の街に響く。
ネズミを馬に変え、かぼちゃを馬車に変え、
とかげをおつきの者に変えた。
もちろん汚い服も、綺麗なダイヤのドレスに。
全部、あの月の使いが魔法の杖で。
「ふふふ……ふっふふ…」
シンデレラの不気味な笑い声が、小さく聞こえる。
最後の夜の街。
41: 名前:海☆07/19(月) 13:59:08
~♪
優雅な演奏が聞こえる。
お城の中では、
金を身につけてる人や、美しいドレスを纏ってる人が
優雅に踊る。
…コツ
…コツ
ゆっくり、段差を上がる音が聞こえる。
…コツ…
足音が止まる。
42: 名前:海☆07/19(月) 14:07:13
それと同時に演奏が止まりました。
「なんと美しい……!」
誰もが口ずさむ。
そして、王子までもが夢中になった。
皆の目線の先には、
シンデレラの姿。
43: 名前:海☆07/19(月) 14:21:02
「お手をどうぞ」
シンデレラの前に現れたのは、
王子様。
ペコリと頭を下げ王子の手をとる。
この光景を見ていた大広間にいた人々は驚きました。
シンデレラの美しさと、
王子自ら手を差し伸べた事に。
45: 名前:海☆07/19(月) 14:25:53
誰より驚いたのは、
舞踏会に来ていたお姉さま方。
「ど……どうしてシンデレラがっ…?」
その驚いた顔を見て、
シンデレラはクスリと笑いました。
ここからシンデレラの悲劇の計画が実行されることとなる。
47: 名前:海☆07/20(火) 16:03:11
王子様はシンデレラを、
もっとも身分の高い人たちの席に案内しました。
そこには、お姉さま達の姿がありました。
お姉さま達の隣に座る、シンデレラ。
お姉さま達は、何も言いませんでした。
そんなお姉さま達を見てシンデレラは言いました。
「お…お姉さま方……!」
なんと恐ろしいものを見たという感じの顔で言った。
その反応に、
疑問を持たなかった者はいなかった。
49: 名前:海☆07/20(火) 16:14:22
一番に、その疑問を聞いたのは
「どうして、そんなに怖がるのですか?」
王子様。
「そ……そのっ…」
シンデレラは自分の左手を右手で覆う。
それに気づいた王子様は、
そっとシンデレラの右手を離した。
そこには、
大きな深い傷跡があった。
50: 名前:海☆07/20(火) 16:21:31
それは、前に奥様につけられた傷跡であった。
「酷い傷じゃないですか……!」
それを見ていた周りの人も驚いた。
ここから、シンデレラの大芝居が始まる。
51: 名前:海☆07/20(火) 16:28:18
シンデレラはボロボロと泣きだしました。
「私…つらい目に合っていたんです……」
そして大勢の人がいる中で、
泣きながら、今まであったことを全部話した。
すべてを話した後、
周りの人の目は、とてもお姉さま方に冷たいものでした。
「人としてどうなのかしら……」
「そんな人と一緒の空気なんて吸いたくないなぁ…」
「なんて酷い……!」
お姉さま方が、シンデレラに浴びせた言葉が
そのまま跳ね返ってきた。
52: 名前:海☆07/20(火) 16:31:15
お姉さま方は、ただ下を見るだけ。
そんな、お姉さま方を見かねた王子様は、
「この者たちを、城から追い出せ」
王子の冷たく鋭い言葉が、
お姉さま方に向かって突き刺さる。
53: 名前:海☆07/20(火) 16:39:38
その言葉を聞いたお姉さま方は、
自ら立ち上がり出口の方へ走って行きました。
「そんな…!そこまでしなくたっていいわ……っ」
階段の段差を駆け降りるお姉さま方を
シンデレラは追いかけた。
そして、お姉さま方を呼びとめました。
「お姉さま……!」
涙目でシンデレラを睨みつけるお姉さま方。
「あんたのせいで……あんたのせいでぇぇえっっっ!!!!び!!!!!!」
夜のお城の外に響くお姉さまの声。
「お姉さま……すみません………」
54: 名前:海☆07/20(火) 16:48:27
「私は、何も悪くないので………」
トン、
「かわいそうな…お姉さま方なこと……」
そう言ったと同時に、
シンデレラはお姉さま方を押した。
「ぎゃぁぁぁああああぁあああああぁぁぁああああああああああぁああぁああぁあ!!!!!」
二人のお姉さまは長い長い階段から、
勢いよく転げ落ちた。
55: 名前:海☆07/20(火) 16:51:36
それを見てほほ笑むシンデレラ。
「あぁ…なんと醜いの。お姉さま」
60: 名前:海☆07/21(水) 18:07:02
お姉さま方の悲鳴を聞いて、
お城の中にいた人達は皆、騒ぎ始めました。
「なんだ…?」
「おいおい…あれ血じゃないかぁ?白い階段の、ほら…」
ざわざわ…
「何が……!何があったのですか?」
王子がシンデレラに駆け寄りました。
シンデレラは、ただ茫然と階段の上に立ちつくしていた。
「王子様……おっお姉さま方がぁ……」
カタカタと震えるシンデレラの手を握る王子様。
「……何があったのですか………?」
冷静に落ち着いて聞いた王子様。
それに、シンデレラはゆっくり口を開いた。
「王子様………」
61: 名前:海☆07/21(水) 18:14:52
「お姉さま方が…『もう誰にも合わす顔がない』って。
自ら命を…………おたちました…」
62: 名前:海☆07/21(水) 18:22:49
「………」
王子様は言葉を見失いました。
そして自分のせいだと、
何度も何度も、シンデレラに頭を下げました。
「そんなっ…私に謝らないでくださいな…
王子様は、王子様は…何も悪くないじゃないですか…」
優しい言葉で王子様を優しく包むシンデレラ。
「あなたは……」
そう王子が言いかけた時、
ゴーン…ゴーン…ゴーン…ゴーン…
24時…12時を知らせる鐘がなった。
63: 名前:海☆07/22(木) 20:58:34
「12時…………!」
シンデレラは慌てた。
なぜか?
それは月の使いとの、ある約束にあった。
『この約束を守れるかい?』
最終更新:2010年07月25日 20:29