赤井 緑那 黒野プロローグ
岩手県の人が立ち入ることのない山奥。
…否、人が立ち入った所で生きて帰ってくる保証がない。
そんな山奥のとある洞窟で狐、狸、豚の3匹は自分達をこの場に呼び出した存在に怯え平伏していた。
大妖怪「阿弖流為」。
約1200年前から岩手の妖怪軍団を率いた妖怪軍師を前に正気を保てという方が無理かもしれない。
「…さて、お前達3匹を呼び出したのは他でもない。
これからお前達には人間界への潜入任務に入って貰う。
…なに、気を張る必要はない。修行と見聞も兼ねた物だ。
お前達の変化術は特に優れていると各々の長からは聞いている。
…行ってくれるな?」
相手は妖怪軍団の主である。
断ることもできるだろうが、断れば待つのは死であろう。
現に今も阿弖流為の背後には今にも飛んできそうな火の玉が浮かんでいる。
その火の玉で素直に死ねればいい方で、悪ければ焼き油揚げ、設樂焼き、焼き豚である。
…彼女たちに断るすべはなかった。
最終更新:2016年03月28日 00:51