グランクレスト異聞録1(ロードス島戦記RPG編)

開催日時:2018年1月28日(日) 10時〜18時
会場:学生会館談話室
レギュレーション:6レベル(コンパニオン2の追加ルールを採用)

 このセッションは、グランクレストの世界を舞台に、他のシステムを使って遊んでみようという実験的(冒涜的)試みの第一弾です。今回は、同じ水野良作品をモチーフとした『ロードス島戦記RPG(コンパニオン版)』を用います。時系列的には 「ブレトランド・サーガ」 の第52話(魔法都市編最終回)と同時期の物語という位置付けになります。
 ルールはほぼ『ロードス島戦記RPG』を用いますが、なけなしのグランクレスト要素として、「個別ハンドアウト」を作成した上で、「天運」ルールも導入します。天運の取得数、取得条件、譲渡条件は元のルールと同じで、使用時の効果は以下の通りです。

+ 天運使用時の効果
共通効果
  • 天運1点消費ごとに判定時の成功率を30%上昇させる
君主専用効果(どちらか片方を選択)
  • 光壁の印:天運1点消費ごとに敵のダメージを-10点
  • 閃光刃の印:天運1点消費ごとに自分の与えるダメージに+10点
魔法師専用効果(どちらか片方を選択)
  • 魔陣構築:天運1点消費ごとに自分の与える魔法ダメージに+10点
  • 魔素集積:天運1点消費ごとにMPを3D6点回復
邪紋使い専用効果(どちらか片方を選択)
  • 混沌蘇生:天運1点消費ごとにHPを3D6点回復
  • 混沌の運命:判定ダイスのどちらかを振り直す
投影体専用効果(どちらか片方を選択)
  • 異界顕現:天運1点消費ごとにダメージ/回復量/装甲値のどれかを+2D6
  • カオスの爆縮:天運2点&任意のHPを消費して、ダメージに消費HP×2を追加
+ 個別ハンドアウト
個別ハンドアウト
 もし、ここに書いてあるハンドアウト以外で「こんなキャラがやりたい」という希望があれば、そちらを優先して頂いて構いません。その場合、空いた枠はNPCとして登場させるか、もしくは当日フラッと現れた通りすがりの誰かにでもお願いします(なお、現状既に1枠空いてます)。

PC①:元素魔法師ラナ・リアン(人間/ソーサラーorシャーマンorウィザード)
 キミはトーキーの領主エディ・ルマンドと契約したばかりの魔法師だ。この村は対アントリアの最前線であると同時に、混沌災害が発生しやすい森に囲まれた危険な地域でもある。エディは常にアントリア方面の動向に気を配る必要があるため、森の調査はキミが担当することが多い。ここ最近、妙に森の近辺で混沌濃度が高まっているようで、怪物の出現頻度が高まっている。
因縁:ニー・マローン(14歳? 一般人? 男性) 推奨感情 メイン:不安 サブ:任意
 キミの以前の契約相手だった君主の親族の少年。キミに対して好意を抱いていた気もするが、気のせいかもしれない。混沌災害で村が壊滅した時、彼は騎士になるための修行に出ていたため、難を逃れた筈なのだが、伝え聞いた話によると、数日後に修行先で行方不明になったらしい。

PC②:邪紋使い(人間orハーフエルフ/ウォリアーorスカウト)
 キミはトーキーの領主エディ・ルマンドに片想いしている村娘だ(性別は問わない)。少しでも彼の力になりたいと願って村の自警団の一員として戦っていた時に混沌核に触れてしまったことで、邪紋使いの力に目覚めた。最近、そんなエディが妙齢の女性を契約魔法師に迎えたらしい。彼女がエディの契約魔法師にふさわしい人物かどうか、キミには見定める権利(義務?)がある。
因縁:エディ・ルマンド(24歳 君主 男性) 推奨感情 メイン:慕情 サブ:任意
 キミの村の領主。童顔でお人好しのため、周囲から舐められることもあるが、騎士としても、統治者としても、その力量は確かであり、村人からの信頼は厚い。おそらくはキミ以外にも隠れファンは村の内外に多いと推測されるが、今のところ(なぜか)浮いた話はない様子。

PC③:君主(人間/ナイトorプリースト)
 キミは最近になってグリース子爵ゲオルグから従属聖印を賜ったばかりの新米騎士だ。マーチの領主セシルの留守中の代役として、今はマーチの警護を任されている。なお、キミは幼い頃に戦争に巻き込まれ、両親をエレメンタラーによって焼き殺され、聖印教会の孤児院で育てられた過去があるため、今でもどこか魔法師(特にエレメンタラー)に対しては忌避感を抱いている。
因縁:アルファ・ロメオ(20歳前後? 君主 男性) 推奨感情 メイン:任意 サブ:親近感
 キミの幼馴染。聖印教会の元信者であり、その縁からキミをグリースに誘った。現在はキミの補佐役としてマーチに滞在中だが、生来の女好きのため村娘のナンパで忙しく、仕事をしていない。なお、彼の出身村にはランスという名の少年がいた気もするが、気のせいかもしれない。

PC④:投影体(全種族可/全クラス応相談)
 キミには記憶がない。気付いた時にはトーキー村の近くの森で倒れていた。そんなキミがPC①(ラナ)と出会うところから、この物語は始まる。
因縁:巨大な龍のような何か(投影元の世界の存在?) 推奨感情 メイン:恐怖 サブ:任意
 キミに残っている微かな記憶の中で、キミは巨大な「龍のような何か」と戦っていたような気がする。その龍はあまりに強大で、その口から吐き出される炎は幾多の人々を焼き殺していた。

PC⑤:静動魔法師アテリオ・ロート(人間/ソーサラーorシャーマンorウィザード)
 キミはアントリア南東部のパトラの村の領主の契約魔法師だ。数日前、村の近くの海岸から、怪しげな風貌の者達が上陸して西へ向かって行ったという噂を聞いた。そのまま足取りを辿って行くと、どうやらクワイエット経由でグリースとの国境付近の森へと入って行ったらしい。その森の近辺に位置するトーキー村の領主の契約魔法師のPC①(ラナ)は、キミとは旧知の仲である。
因縁:ラナ・リアン(PC①) 推奨感情 メイン:任意 サブ:同志
 キミのエーラム時代の学友であり、数年前に同じ領主の元へ研修に出向いていたことがある。最終的にラナはその領主に気に入られて契約魔法師となったが、やがてその領主の村は混沌災害で崩壊し、彼女は一旦エーラムに出戻った後に、トーキー村の領主の契約魔法師となった。
+ 当日の編成/GC対応表
PC①:ラナ・リアン(人間 22歳 女性) シャーマン(エレメンタラー)
PC②:(不在につきNPCとして登場)
PC③:リーン・グレイ(人間 20歳 女性) ナイト(パラディン)
PC④:シリウス(人間 26歳 男性) プリースト(フォーセリア人/ルール上は地球人?)
PC⑤:アテリオ・ロート(人間 20歳 男性) ソーサラー(サイキック)
+ セッションの概要
1、異界の神官
 トーキー村の近辺の森に、異世界フォーセリアに存在する「ロードス島」からの投影体が出現した。彼の名はシリウス(PC④)。フレイムの傭兵王カシュー率いる「火竜山の魔竜の討伐隊」に参加していた大地母神マーファの神官だったのだが、この世界に投影された時点で彼は記憶の大半を失っており、状況も理解出来ぬまま混乱していたところを、突如現れたゴブリンの集団に襲撃されることになる。
 そこへ、トーキー村近辺の混沌濃度の異常を察して森を巡回していた村の契約魔法師のラナ(PC①)、マーチ村から(副官のアルファ経由で聞かされたマーシーからの忠告に基づいて)援護に駆けつけた女騎士のリーン(PC③)、そしてアントリアのパトラ村から「奇妙な風貌の三人組(魔法師らしき男二人と、虚ろな目をした少年)がトーキー方面に向かって行った」という噂を聞きつけて調査に来たアテリオ(PC⑤)の三人が現れ、シリウスと共にゴブリン達を殲滅する(なお、この時、シリウス以外の三人は、ゴブリン達が「アトラタン世界で良くみるティル・ナ・ノーグ界からの投影体のゴブリン」とは微妙に姿形が異なっていたことに違和感を覚えていたが、逆にシリウスにとってはそれは「ロードス島で見慣れたゴブリン」であった)。
 戦いを終えた後、ラナはシリウスから(彼の記憶にある限りの断片的な)話を聞いた上で彼を「無害な投影体」であると認定し、隣村から駆けつけたリーンに感謝しつつ、エーラム時代に親交があったアテリオとも(名目上は彼を「エーラムの調査員」として扱う前提で)協力した上で、ひとまず三人を連れてトーキーの領主エディの元へと報告に向かうことにする。

2、伝承と疑惑
 エディの館の付近まで来たところで、彼の側近の女戦士カティ(PC②枠のNPC)と遭遇したラナ達は、彼女にも一通りの事情を説明するが、シリウスがロードス島出身と聞いた瞬間、カティは驚愕の表情を浮かべる。カティは、百数十年前にこの村の近辺に投影されたと言われている「ロードス島の女戦士シーリス」のレイヤーヒロイックだったのである。だが、シリウスとシーリスは同じ火竜山の討伐体に参加していた同胞だったものの(名前が似ていたのは全くの偶然)、この時点ではまだ彼はシーリスのことを思い出せずにいたため、シーリスの話を詳しく聞きたいと願うカティの期待に答えることは出来なかった。
 その後、ラナからの報告を受けたエディは、この村にかつて幾度か「ロードス島」からの投影体が出現したことがあるという伝承を伝えた上で、リーン、アテリオ、シリウスの三人を歓迎し、森の異変の調査への協力を依頼する。
 だが、その日の夜、三人が泊まっていた宿屋に「死霊の投影体」が出現するという事件が起きた。異界の神聖魔法を用いたシリウスの活躍によって大事には至らなかったが、これまでにその宿屋で投影体が出現した事例はなく、しかもシリウス曰くその死霊は「ロードス島で見たことがある怪物」だったため、シリウスが異界の投影体を呼び寄せているのではないか、という疑惑が広がることになる(実際、百数十年前に出現したシーリスに関しても、「村を混沌災害から救った」という伝承はあるものの、最終的に彼女がどこへ消えたのかは記録が残っていないため、実は彼女こそが混沌災害を引き起こした原因だったのではないか、という異説もあった)。
 だが、エディもラナも、シリウス自身に悪意があるとは考えられない(そして彼が原因であると断言出来る証拠もない)という判断から、あくまでも彼は「協力者」であるという認識を周囲に伝える。その上で、ひとまずこの日の夜は彼等三人を領主の館に泊まらせた上で、エディとカティが交替で夜通し監視することにしたが、それ以降は特に大きな混沌災害も投影体の出現も起きることはなかった。

3、因縁の再会
 翌日、改めてラナ、リーン、アテリオ、シリウスの四人は森へと向かう。前日にアテリオが聞き込み調査で得た「数日前に(アテリオが追っている者達と思しき)奇妙な風貌の三人組が、北の森へと向かって行くのを見た」という情報に基づいて、街道の北方を中心に調べてみたところ、ラナが森の中で(魔法によって隠蔽されていた)「地下に広がる魔境への入口」を発見する。
 ロープと魔法を使ってその魔境へと四人が降り立つと、そこに広がっていたのは、ロードス島における「火竜山」近辺の光景であった。この場に至ってシリウスは投影前の記憶を全て思い出すが、そんな中、激しい地響きが発生する。その震源地と思しき火竜山の方角へと彼等が向かうと、四人の前に炎の精霊エフリートが現れ、襲いかかってきた。四人はそれぞれの力を合わせてどうにか撃退に成功するが、その直後、今度はアテリオが追っていた「奇妙な風貌の三人組」が彼等の前に現れる。
 ラナはその中の一人に見覚えがあった。三人組の中の「虚ろな目をした少年」は、かつて彼女が契約していた(混沌災害で非業の死を遂げた)君主の弟ニー・マローンだったのである。彼は自分の不在時に村で混沌災害が起きたのはラナの仕業であると思い込んでいるようで、激しい憎悪の瞳でラナを見つめながら、その身を「龍」の姿に変えようとする。その龍鱗の形状は、シリウスがロードス島で討伐しようとしていた火竜山の魔竜シューティングスターに酷似していた。
 一方、リーンは残りの二人のうちの片方に見覚えがあった。その男は、かつてとある戦争の最中に彼女の出身村を(戦略上の都合で)焼き払った元素魔法師だったのである(もっとも、彼の方はリーンのことは覚えていないようだが)。ただ、当時の彼はまがりなりにも某国の正規の契約魔法師だったが、今の彼ともう一人の男がまとっている装束は通常のエーラムの魔法師とは異なる。ラナとアテリオは、その風貌から彼等がパンドラの一味ではないかと察していた。
 その上で、ニーの両脇に立つ魔法師達はシリウスのことを「この少年を完成させるための鍵」であると言い、その身柄を引き渡すように通告するものの、直感的に彼等が危険な存在だと察したアテリオが不意打ちで魔法を唱えて、ニーと魔法師のうちの片方(リーンの知らない方)を眠らせる。それに反応して敵の元素魔法師は反撃の火炎魔法を放ち、リーンとラナが重傷を追うが、その直後にラナが放った睡眠魔法によって元素魔法師もその場に倒れ、ひとまず彼等の無力化に成功した。

4、魔境の真相
 ラナ達は魔法師二人をロープで縛り上げた上で、目を覚ましたニーから事情を聞く。どうやら彼は、修行先で「あの村の混沌災害は、唯一生き残った魔法師(ラナ)が引き起こしたのではないか」という噂を聞かされ、当初はそれに反発していたものの、いつの間にか彼の体に(ロードス島からの投影体である)怒りの精霊フューリーが取り憑いてしまい、ラナが犯人だと思い込むようになってしまったらしい。だが、ラナの説得によって彼はどうにか理性を取り戻し、フューリーを彼の心から追い出すことに成功する。
 その直後に、フューリーは近くにいた(自分の故郷を焼いた元素魔法師に対する怒りに震えていた)リーンに乗り移ろうとするが、リーンがその浸食を跳ね除けたことでフューリーは消え去り、そして彼女は沸き起こる憎悪を抑えながら、目を覚ました魔法師達から冷静に話を聞き出すことにした。
 魔法師達曰く、彼等は大陸系のパンドラの一員であり、「力を持たない者達に混沌の力を授けること」を目標として活動しているという(なお、元素魔法師の方は、以前はエーラムの契約魔法師であったが、君主の密命で執行したリーンの故郷の虐殺の責任を取らされて処刑されそうになったところを脱走し、パンドラに身を投じたらしい)。一年ほど前に「フューリーに取り憑かれた少年」の噂を聞いた彼等は、実際にニーに接触して話を聞いた上で、彼に「ラナへの復讐のための力」を与えるために、(彼の身体がロードス島の投影体との親和性が高いという推測の下で)彼を「魔竜シューティングスターのレイヤー」へと育て上げようとしていたらしい。
 現時点でニーの身体は既に「理性を保ったレイヤードラゴン」としての限界まで邪紋が広がっており、この空間はその彼を「魔竜シューティングスターとしての完成形」へと導くための最終段階として、彼に食わせる餌(ロードス島由来の投影体)を生み出すために(「元素魔法師ではない方の魔法師」が)生み出した魔境だったらしい(かつてこの地にロードス島の投影体が出現した記録があったことから、シューティングスターの住む「火竜山」を投影させる上で最適の環境であると判断したという)。
 その上で、彼等はラナ達に対して「この魔境の浄化方法を教えること」と引き換えに身柄を解放するように要求するが、彼女達はその取引を拒絶し、アテリオが自力でこの魔境の構造を見抜くことに成功する。どうやらこの魔境の中心となる混沌核は二つ存在し、一つは火竜山の火口に、そしてもう一つはシリウスの体内にあるらしい。なぜそうなったのかは不明だが、何らかの混沌の作用で二つに分かれてしまった混沌核は、近付くけば近付くほど共鳴して周囲の混沌濃度を上げる構造になっているようである(これまで彼の周囲で投影体が出現し続けていたのも、おそらくはその原理)。
 つまり、シリウスを火竜山に近付けることは危険であると判断したアテリオは、彼とラナをその場に(魔法師達およびニーと共に)残した上で、(この場にいる中で唯一混沌核の浄化吸収が可能な)リーンと共に火竜山へと向かい、混沌核を発見した上で、リーンの手でその混沌核を浄化させる。その直後、地下に広がっていた魔境(火竜山近辺の空間)は消滅し、彼等は真上に位置する地上の森へと弾き飛ばされるのであった。

5、エピローグ
 地上で無事に合流を果たした四人は、身柄を拘束したパンドラの魔法師二人とニーを連れて、トーキーへと帰還する。ラナ達から報告を聞いたエディは、パンドラの魔法師達に関しては(アテリオの手引で)エーラムに強制連行してその処分を魔法師協会に任せることにした上で、正気を取り戻したニーと(火竜山の混沌核が消えたことで)「共鳴」による混沌災害の可能性が無くなったシリウスには、この地でこのまま暮らすことを認める裁定を下す(なお、彼は最後までアテリオがアントリアの契約魔法師であることには気付かなかった)。
 その後、マーチに帰還したリーンは遊んでばかりの副官に説教をしながら、彼が積み残していた仕事の処理に追われ、パトラの領主に事後報告したアテリオはその功を労われつつも、「単身で異国に潜入するような危険な真似は二度とするな」と窘められる。トーキーに残ったシリウスは村の治安維持に協力しつつ、カティ達にロードス島での諸々の出来事を語りきかせ、そしてニーの「保護者」として彼を自宅に同居させることになったラナは、彼の秘められた「淡い想い」に気付くこともなく、新たな「平和な日常」を謳歌することになるのであった。

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最終更新:2018年01月28日 22:35