2018年度後期『ダークデイズドライブ』キャンペーン
『Gyoza Gourmet Guild』

凍城 一郎(イケメン、男性、18歳、派遣社員)
 能力:一般人・捨てる・温泉・健康・冷たい・ケンカ
+ 設定etc.
高校を中退後、派遣社員としていろいろな会社を転々としていたが、どこの上司も自分とは気が合わず飽き飽きしていた。そんなあるとき、吸血鬼の噂を聞き今の自分を変えたいと思いイケメンとなることを決意した。そんな彼がイケメンとしての境遇に満足できるかどうかはこれからの任務次第であろう……

イケメンとしての活動をゆっくりとしかし着実に続けてきた彼は、新人から若手となった。それとともに派遣社員の頃にはあまり得られなかった趣味の時間も手にしつつあった。すなわち温泉である。偶然にも主を共にする温泉好きの仲間がおり、温泉を愛する元来の気持ちを思い出してきたのである。これからも温泉を愛し続け、主人の餃子行脚についていくとともに未知の秘湯を(こっそり)探し続けるのである。

西園寺 豊(イケメン、男性、21歳、犯罪者)
 能力:孤児、侵入、食事、物語、洗練、忍術
+ 設定etc.
 かつては生きるために犯罪に手を染めて、ドン底の人生を歩んでいたが、仕えるべき主人を得てからは、誰よりも忠実に主人のために働き続けている。どのような経緯で忍術を習得するに至ったのかは謎。なんだかんだで、ジェマのイケメン達の中では一番の常識人。

神崎 冬香(イケメン、女性、30歳、趣味人)
 能力:一般人、のぞく、トイレ、ファッション、のんびり、軍隊格闘術
+ 設定etc.
人生楽しんだもの勝ちの趣味人。定職につかず趣味に生きている。ある日、吸血鬼のウワサを聞き「超おもしろそう!」と思ってイケメンになることにした。任務をこなすうちにジェマに恋心を抱く。まだ誰にも言っていないがこれから猛烈に口説いていく予定である。

二階堂 Rei(イケメン、女性、19歳、無職)
 能力:死別、だます、温泉、健康、のんびり、レスリング
+ 設定etc.
***Reiにとっての「無職」とは***

[Rei] 人にもよるかもしれませんが、「何にも囚われないこと」でしょうか。

[インタビュアー] Reiさんはなぜ働かないのでしょうか?
[Rei] うーん、人には時々聞かれるのですが、私は働いていないとは思っていないんですよね。むしろ、人は生きているだけで十分に働いている、いや、働きすぎですらある。そう思いませんか?

[インタビュアー] 思いませんね。
[Rei] なるほど。

[インタビュアー] 働いて収入を得ないと、食べ物や住むところに困るのではないでしょうか?
[Rei] そんなことはないと思います。現状私は生活できていますしね。住むところがなくなったら、まぁ、吸血鬼にでもなろうと思います。

[インタビュアー] あなたが生活できているのは払うべき家賃を払わず、人の家庭菜園を漁ったりしているからでは?
[Rei] うーん、そうでしょうか。自分が住んでいるところに偶然壁や屋根があったり、自生していた野菜を大地から頂いたことはありますが・・・。そろそろ戻ってもいいでしょうか?

[インタビュアー] はい、大丈夫です。今日は、いえ、いままでありがとうございました。どこへでもお帰りください。

Reiが自分の部屋に戻ると、そこにあったはずの壁や屋根は無くなっていた。部屋を壊す働く車たちを呆然と見つめている私の肩を、インタビュアーが優しく叩く。

[インタビュアー(大家さん)] ここにはマンションが建つんです。当面、いや、どれだけ時間が経っても家賃を払わない人は住めないんです。北海道の冬は寒い。冬になる前に、良い住まいを見つけるんですよ。ほら、これを持っておいき。

Reiに1枚の封筒をそっと差し出し、大家さんは去って行った。

なるほど、大家さんはついに賃貸収入で働かずに行きていくことを決意したのだろう。家賃こそ払えなかったが、職にとらわれない生活の素晴らしさを伝えることで少しは補えただろうか(多分、お釣りが来るところだが、私は大人なのでそこまでは求めない)。

大家さんからもらった封筒をゴミ箱に捨てると(どうせ未納家賃の請求書だろう)Reiは街の方に歩みだす。 TO BE CONTINUED...

首取 要(イケメン、男性、25歳、用心棒)
 能力:孤児、隠す、街、グルメ、洗練、軍隊格闘術
+ 設定etc.
(今のとこ)3話のみの登場。クラヴィスさんのとこのイケメン。イケメンの顔(ここでの「イケメン」はAPP15以上の人物(性別は問わない)を指す)が好き。

山田 太郎(イケメン、男性、25歳、バンドマン)
 能力:憧れ、聞き出す、街、音楽、だらしない、ケンカ
+ 設定etc.
第4話・第8話に登場。哪吒傘下のイケメン・ギタリスト。ノリは軽いが、心は熱い。哪吒のクールなところに憧れているらしい。横浜と広島でジェマ達に力を貸した。

印守 舛尾(イケメン、男性、21歳、バーテンダー)
 能力:呪い、変装、温泉、ダンス、静か、拳法
+ 設定etc.
第5話に登場。アクシア傘下のイケメン。「いんす・ますお」と読む。正体は人ではないが、人に偽装して「鮮血のガーベラ」の船員を務める。たまに地上に買い出しに出ることもある。

「夜の領主」ジェマ(吸血鬼、美少女)
 美学:美食 悪癖:興奮 功績:2943 ※最終話終了時点)
+ 設定etc.
 PC達の主人。これまでろくに任務を受けなくても許されていたことから察するに、友愛会内では何らかの特殊な立場にいるらしい。見た目は10代前半の少女のような姿だが、年齢は不詳。
 クラヴィスからは「お嬢」、レジーナからは「二代目」、そして公周からは「ジェニー」と呼ばれる。日頃はやや高慢な少女口調(ツンデレ口調)だが、夜の吸血時には吸血鬼然とした威厳のある口調に変わり、イケメン達が危機に陥った時には「成長した姿(?)」へと変身する(これらの不可解な諸々の理由については、第9話にて明かされる彼女の「正体」を参照)。
 ニンニクには耐性があり(ただし、過剰摂取すると悦びのあまり暴走する模様)、餃子が好物。羽幌えびタコ焼き餃子が食べたい一心で、旧知のレジーナからの依頼を受けて、PC達を雇い、旅に出ることになった。

「静かなる仲裁人」クラヴィス(吸血鬼、美青年、第1話〜)
 美学:衣装 悪癖:暴飲
+ 設定etc.
 友愛会の函館支部長。百五十年ほど前に渡欧中だった榎本武揚と出会ったことを契機に来日し、戊辰戦争時には旧幕軍に協力するも敗れ、以後は函館の夜の世界でひっそりと生活している。函館在住期間が最も長ため「支部長」の座にいるが、位階はそれほど高くはないようで、吸血鬼としてはジェマの方が格上らしい。性格は(表面上は)温厚で、自ら新人の面接官を担当する。

「淫惑の踊り子」レジーナ(吸血鬼、美女、第1話〜)
 美学:舞踊 悪癖:誘拐
+ 設定etc.
 道北を根城とする吸血鬼。ジェマとは旧知の仲らしいが、関係は不明。数百年前に蝦夷の地に辿り着き、その淫靡な姿を用いてアイヌの男達を次々と籠絡して一大勢力を築いていたが、やがて開拓民達によって駆逐され、現在は細々と暮らしている。傘下のイケメンの一人に羽幌えびタコ焼き餃子の名店に努める料理人がいるが、ニンニクは苦手なので、普通の餃子は食べられない。

「最後の白虎」酒井峰冶(吸血鬼、美中年、第2話〜)
 美学:美食 悪癖:強欲
+ 設定etc.
 仙台に潜伏する吸血鬼。戊辰戦争時の白虎隊の生き残りで、クラヴィスのイケメンを経て吸血鬼へと昇格した。現在は仙台支部長を務めつつ、自身のイケメンが開発した地元の名物・仙台あおば餃子の知名度アップのために、吸血鬼狩人を利用して他の餃子店の営業妨害に走る程度の郷土愛溢れる小悪党。ニンニクは嫌いなので、ジェマとは餃子観の相違で対立している。

「風見鶏の経営者」D.C.(吸血鬼、美中年、第3話〜)
 美学:衣装 悪癖:強欲
+ 設定etc.
 友愛会の福島支部長。本名不詳。四百年以上前に宣教師の船に密航して来日し、蒲生氏郷統治下の会津へと辿り着き、現地の郷士達の元に身を寄せる。会津戦争時には土壇場で徳川方を裏切ったことから、クラヴィスや酒井からは嫌われているが、ジェマとの関係は良好。大規模な豚牧場を経営して私服を肥やしていることから、敵からも味方からも「豚野郎」と呼ばれている。

「不夜城の死体人形」哪吒(吸血鬼、美少年、第4話〜)
 美学:美食 悪癖:放蕩
+ 設定etc.
 横浜中華街の食品部門を裏で支配する中華吸血鬼(キョンシー)。日本に渡ってきたのは明治期以降なので日本の友愛会の中では新顔だが、年齢的には数千歳とも言われている。なお、日本語での読み方は近年では「ナタ」が正しいとされているが、長年「ナタク」と呼ばれ続けたため、本人は今でも「ナタク」と名乗っており、ジェマからもそう呼ばれている。

「鮮血の女海賊」アクシア(吸血鬼、美女、第5話〜)
 美学:狩猟 悪癖:興奮
+ 設定etc.
 日本列島近海を中心に活動する海賊。友愛会の運び屋として、海賊フェリー「鮮血のガーベラ」の船長を務める。詳しい出自は不明だが、どうやら人外の何者か(龍?)の血を引いているようで、本気モードになると上図右のような状態になる。同じ海域を縄張りとする三大勢力(海上保安庁、海上自衛隊、アメリカ海軍)とは、時折衝突することもあるらしい。

「荒れ狂う不動明王」アカラナータ(吸血鬼、美女、第5話〜)
 美学:温泉 悪癖:怠惰
+ 設定etc.
 沖縄本島を根城とする吸血鬼。1000年以上前に琉球に辿り着き、天候を操る特殊な力を持つことから、かつては「神」として崇められていたが、数年前に現地住民達と衝突し、大規模な騒動を起こしたため、友愛会の手によって力を封印され、蟄居謹慎処分を受けた。なお、アカラナータ(アチャラナータ)とは不動明王の梵名であり、彼女はもともとはインド方面の出身らしい。

「さまよえるオランダ人」フリードリヒ(吸血鬼、美形、第6話〜)
 美学:鑑賞 悪癖:誘拐
+ 設定etc.
 友愛会の長崎支部長。鎖国時代の日本の出島に来訪し、そのまま今日に至るまで同地の裏社会を支配し続けている。欧州における「さまよえるオランダ人」の伝承の由来になった存在とも言われているが、真相は不明。由緒正しい吸血鬼なのでニンニクは苦手であり、中華街壊滅作戦の裏には、彼の中での餃子への根源的な嫌悪感もあったのかもしれない。

「気まぐれな風来坊」公周(吸血鬼、美少年、第7話〜)
 美学:衣装 悪癖:放蕩
+ 設定etc.
 吸血鬼でありながら仏門に帰依する(と自称する)奇妙な男。「公周」は法名であり、本名は不明。いつの頃から友愛会に所属していたのかの記録も定かでなく、もともと僧侶だった者が吸血鬼化したのか、吸血鬼になった後で信仰に目覚めたのかも不明。ジェマとは過去に面識があるようだが、彼はなぜかジェマのことを「ジェニー」と呼んでいた。

「均衡の守り人」童虎(吸血鬼?、美中年、第8話〜)
 美学:鑑賞 悪癖:?
+ 設定etc.
 厳島神社で神職を務める吸血鬼(自称)。国籍も年齢も一切不明の謎の存在。一説によれば、もともと人外の存在(神使?)だったのではないか、とも言われているが、本人は吸血鬼だと言い張っており、友愛会の一員として登録されている。広島近辺の勢力均衡を望んでおり、本多組による広島一極支配を防ぐために、県内の弱小暴力団達を集めて「童虎会」を結成した。

「千里眼の策士」劉クロード(吸血鬼、美青年、第9話〜)
 美学:鑑賞 悪癖:誘拐
+ 設定etc.
 友愛会の神戸支部長。神戸の中華街の顔役でもあり、様々な店を同地で経営する。19世紀に中国南部に入植したフランス人と現地人との混血児で、吸血鬼となった経緯は不明だが、まだ200歳にも満たない新世代組の代表格。ニンニクへの耐性はあるが、より多くの同胞達に餃子を味わってもらうために、ニンニク不要の味噌だれ餃子の開発に尽力した。手に乗せた梟は使い魔。

「敏腕女社長」七瀬八雲(吸血鬼、美女、第10話〜)
 美学:衣装 悪癖:興奮
+ 設定etc.
 京都の老舗呉服店を影で操る実質的な女社長。元は北陸在住の「傾国の美猫」ことパトラのイケメンだったが、江戸時代の頃に吸血鬼へと昇格した。京都の経済界全体に対して強い影響力を持ち、株式投資にも積極的に参画しており、現在はO将の筆頭株主となっている。同じ「イケメン出身の吸血鬼」である 酒井 によるO将M&A計画には一定の理解を示していた。

「傾国の美猫」パトラ(吸血鬼、人外、第11話〜)
 美学:温泉 悪癖:興奮
+ 設定etc.
 エジプト出身の黒猫の吸血鬼。紀元前の時代から様々な権力者達を惑わし続けてきた魔性の美猫。室町時代に日本に辿り着き、多くのイケメンを育て、吸血鬼へと昇格させた。現在は北陸地方を転々としている。その極上の撫で心地はジェマをも魅了し、一度触れた人間は漏れなく彼女のストーカーになってしまう。マタタビ中毒であり、一定時間摂取が途切れると暴走する。

「蛇遣いの神医」オピュクス(吸血鬼、美青年、第12話〜)
 美学:美食 悪癖:放蕩
+ 設定etc.
 友愛会専属の闇医者。西洋名を名乗ってはいるが、元々は明治生まれの越中富山の薬売りであり、欧州への留学中に吸血鬼となったらしい(その詳細な経緯は不明)。今でも故郷の富山を拠点にしてはいるが、戸籍を持たない(保険が効かない)友愛会の吸血鬼やイケメン達からの需要は多いため、頻繁に日本各地を転々としつつ、各地の名物を食べ歩く。使い魔は蛇。

「夜の麗人」ヴィクトリア(吸血鬼、美女、第12話〜)
 美学:舞踊 悪癖:誘拐
+ 設定etc.
 友愛会名古屋支部長。ジプシーの旅芸人一座出身で、数百年前に旅先で出会ったジェマ(当時はジェニー)に魅了され、彼女のイケメンとなり、やがて吸血鬼へと昇格した(その過程で幾人もの同僚達は消えていった)。出自が出自だけに、もともと興行への関心が強く、最近は美少女イケメンを集めたローカルアイドル「渥美三姉妹」をプロデュース中。使い魔は蝙蝠。

「純潔なる混血児」エリック(ダンピール、美少年、第12話〜)
 美学:鑑賞 悪癖:なし
+ 設定etc.
 友愛会浜松支部長。先代の浜松支部長だった吸血鬼とイギリス人貴族令嬢の間に生まれた混血児(ダンピール)であり、血の暴走が起きない代わりに、吸血鬼としての力は(純潔種に比べると)やや劣る。友愛会では極めて稀な、品行方正で真面目な好人物と言われているが、ジェマはその点が生理的に気に入らないようで、彼からの求婚を様々な理由をつけて断り続けている。

マーヴェラス・レッドシャドウ(セダン、新しめ)
 出力:2 操作性:2 居住性:1 座席数:4 トランク(2):棺
 カスタマイズ
 ・ マスコット
 ・マガジンラック
 ・クーラーボックス
 ・エアコン
 ・衣装ボックス
 ・魔界地図
 ・隠し戸棚
 ・昏き日々の書
 ・カーナビ
 ・工具箱

+ 第1話「裏切り者の隠し部屋」
 道北を支配する「淫惑の踊り子」 レジーナ の配下だった元イケメンが、現金2000万円を奪って逃走した。その捜索依頼が道内の吸血鬼達へと告知されたのに対し、真っ先に手を挙げたのは、これまで友愛会の活動に非協力的だった 「夜の支配者」ジェマ であった。彼女は、新人イケメンとして函館支部長 クラヴィス の面接を受けていた 凍城一郎 (派遣社員)、 西園寺豊 (犯罪者)、 神崎冬香 (趣味人)、 二階堂Rei (無職)の四人を傘下に加え、積年の愛車「エクストリーム・レッドシャドウ」に乗って、逃亡した元イケメンの捜索へと向かう。
 目撃情報を元に札幌へと到着したイケメン達は(途中で 冬香 がコーンのバター炒めを ジェマ のために調達しつつ)元イケメンのアパートを発見し、部屋へと乗り込んだ 一郎 冬香 が元イケメンを脅して金の在処を自白させる。どうやら彼が盗み出した2000万円は、 レジーナ 傘下の羽幌町の築別炭鉱跡の(既に レジーナ が放棄して久しい)隠し部屋にあるらしい。隠し部屋への行き方を強引に聞き出した彼等は、そのまま羽幌町へと向かうことになった。
 その後、彼等は(密かに尾行して再び金を掠め取ろうとした元イケメンを Rei 一郎 が退散させつつ)無事に現地に到着し、疲労で倒れそうになった Rei も無理矢理同行させた上で(イケメンは案外無理が効く)、 炭鉱跡の隠し部屋へと辿り着く。しかし、彼等が2000万円を発見して手にした瞬間、部屋に設置されていた自動防衛システムが起動し、血液によって作り出された怪物が彼等の前に立ちはだかった。真っ先に立ち向かった Rei が致命傷を受けて危機に陥るものの、残り三人の反撃によってかろうじて撃退に成功した後、彼等は レジーナ と合流して2000万円を手渡し、無事に任務を完遂する。
 その後、 レジーナ 傘下のイケメン料理人が作った羽幌の名物 羽幌えびタコ焼き餃子 を振る舞われた ジェマ とイケメン達は、日本餃子協会内において「深刻なニンニク不足」が問題化しているという情報を知る。その背景には吸血鬼狩人達の陰謀が関わっているという噂もあるらしい。 ジェマ は餃子を愛する身として、この問題を解決するために(という名目で)日本全国の餃子の名産地を旅して回る決意を固めたのであった。
+ 第2話「蘇る凶銃」
  レジーナ から、仙台で深刻なニンニク不足が起きていると聞いた ジェマ とイケメン達は早速現地へと赴き(その途上で有名ブランドの女子校制服を ジェマ のために確保しつつ)、仙台支部長である 酒井峰冶 クラヴィス の元イケメン)と対面する。彼は ジェマ 達に対して、自身のイケメンが作り出した 仙台あおば餃子 (ニンニク抜き版)を振舞いつつ、市内のニンニク問屋襲撃の犯人として、吸血鬼狩人の下平兵(しもだいら・ひょう)が怪しいという情報を伝える。どうやら下平はこの地に眠ると言われる伝説の(戊辰戦争時に「徳川方に協力していた吸血鬼」を倒すために開発された)「ニンニク散弾銃」を探しているらしい。
 しかし、この時の 酒井 の言動に違和感を感じた ジェマ が彼の調査をイケメン達に命じた結果、 酒井 によるニンニク(を溜め込んでいる下平の自宅)焼き討ち計画を知ることになる(その陰謀の詳細は下記参照)。のその動きを察した 酒井 は、に対して口止め料を提示するが、がそれを断ると、 酒井 は力づくでを拘束しようと試みる。だが、はあっさりと 酒井 を返り討ちにした上で、 ジェマ にこのことを報告し、イケメン達は下平の留守中に彼が自宅に溜め込んでいた(彼が問屋から奪った)ニンニクを奪還し、各地の餃子店へと送り届けることにした。
+ 酒井の陰謀
  酒井 は自分のお気に入りのイケメンが作った「仙台あおば餃子」を気に入り、その美味しさをもっと多くの人々に味わってもらいたいと考えていた。そのためには他の一般的な餃子店が邪魔だと考えた彼は、吸血鬼退治のためにニンニクを集めていた下平の存在を知り、彼を巧みに誘導してニンニク問屋を襲わせることで、他の餃子店の営業を妨害しようと企んでいたのである(なお、仙台あおば餃子は、店によってニンニクを入れる店とそうでない店があるようだが、 酒井 は「いらない派」だった)。
 その上で、もともとニンニクが苦手だった 酒井 は、下平がニンニク散弾銃を見つけ出すよりも前に、彼が溜め込んだニンニクごとその自宅を焼き払いたいと考えていたが、罪もないニンニクを犠牲にすることを ジェマ が認めないことは想像出来ていたので、彼女達を下平の銃捜索の妨害へと向かわせている間に、密かに焼き討ち計画を進めるつもりであった。
 それと並行して下平の行方を捜索していたイケメン達は(その過程で Rei がネコババした財布などが原因で地元のヤンキー達と何度か交戦しつつ)、 一郎 が市内のボルダリング施設で下平の知人から聞き出した「下平は最近(仙台市内では珍しい)新政府軍の墓地を探している」という情報に基づいて、マガジンラックに積んであった雑誌の情報を頼りにそれらしい場所を発見した結果、その地の祠に封印されていた「ニンニク散弾銃」を発見する。
 だが、その銃を 冬香 が手にした途端、150年前に装填されたままのニンニクが暴発し、それを浴びた ジェマ はあまりの快楽に恍惚とした表情を浮かべながら暴走状態となってしまう。の説得によってどうにか ジェマ は理性を取り戻したが、その直後、今度はその場に下平が現れて交戦状態へと突入することになった。
  冬香 は散弾銃を下平に向けて発砲し(イケメンはニンニクを乱射したい)、はフェイントを用いて下平の隙を突き(イケメンは相手から隙を引き出せる)、 一郎 は車で下平を跳ね飛ばす(イケメンはケンカに車を用いる)。並の狩人ならこの時点で絶命するところだが、下平は最後の力を振り絞り、これまでの友愛会員との戦いを得た経験に基づいて Rei を相手に一矢報いようとするが、友愛会に入ったばかりの彼女は友愛会員としての一般的な戦闘の流儀を知らなかったので、その対策は全く役に立たたなかった(イケメンは友愛会の知識が足りない)。
 こうして下平を撃退したイケメン達は、銃を ジェマ に渡した上で友愛会仙台支部へと帰還し、すっかり ジェマ に対して恭順姿勢となった 酒井 に命じて造らせた「ニンニク入りの仙台あおば餃子」を皆で堪能するのであった。
+ 第3話「死せる餓狼と嗤う豚」
 友愛会・福島支部長の D.C. から、隣県の支部長達に仕事の依頼状が届けられた。ここ最近、彼が米沢で経営している豚牧場に狼が頻繁に出現し、豚を咥えたまま何処かへと運び去っているらしい。これは狼を操る能力を持つ何者かによる人為的な窃盗ではないかというのが、 D.C. の推測である。かつて D.C. に裏切られた過去を持つ 酒井 はこの依頼を無視するつもりであったが、米沢豚は福島の名産品である 福島円盤餃子 の材料ということもあり、 ジェマ とそのイケメン達が解決のために乗り出すことにした。
 新たに手に入れたエクセレント・レッドシャドウ号に乗り込んだ彼等は(なお、 一郎 は風邪のため、今回の任務中はずっとトランクに放り込まれていた)、途中で クラヴィス が派遣したイケメン・ 首取要 (用心棒)と合流した上で(その過程で、彼が運搬中の青森産ニンニクを奪おうとした盗賊団との戦いで車をボコボコにされつつ)、 D.C. が経営する米沢の豚牧場へと辿り着く。そして現地で彼等が D.C. から被害状況に関する事情聴取をおこなってるところに、まさにこの事件の加害者である狼達が現れ、襲撃を仕掛けてきたが、イケメン達は難なく撃退に成功する。この時、 冬香 は遠方から狼を操っている人狼らしき男の姿を発見し、すぐに後を追いかけようとしたが、さすがに狼の足には叶わない。
 その後、マガジンラックに積んであった雑誌の情報を頼りに、狼達の出現場所を突き止めた彼等は(その途上で立ち寄った UFOの里 で土産物を買ったり、イベントを見物したり、吸血鬼狩人達から金を巻き上げたりしつつ)、山奥で狼達に囲まれながら大量の豚を食らっている人狼(下図)を発見する。彼は会津藩士の末裔であり、裏切り者である D.C. への復讐と、(人を食わずに生きるために)湧き出る過度の空腹感を紛らわせるために、彼の牧場から米沢豚を奪い続けていたらしい。
+ 人狼(本名不明)
 彼は「この地からの退去」と「 D.C. の首」を賭けて、 Rei を相手にイケメンコンバットを要求する。初めてのイケコンに戸惑う二人であったが、いい位置を取った上で更なる豚肉を要求しつつ黙って見つめようとした人狼が最後の決めポーズで失敗したのに対し、 Rei は風をまといながらペガサスに乗りつつ自らの優美さを語り(イケメンの元にはペガサスが至る})、もまた同じアクションを決めながら、過去の自分を捨てて正しく生きることを宣言する(イケメンはそれっぽい台詞を思いつく})。そんな二人に対して、思わず「マーヴェラス!」と叫んでしまった人狼は素直に負けを認め、 D.C. への復讐はいずれ果たすと宣言した上で立ち去って行った。
 その後、彼等は現場に残されていた豚達を 冬香 の手で屠殺した上で、その豚肉と(が青森から持参した)ニンニクを福島の餃子屋へと届け、無事に福島円盤餃子を ジェマ に捧げることに成功する。そしては残ったニンニクを各地に届ける任務を ジェマ 達に託し、函館へと帰還するのであった。
+ 第4話「中華的万圣夜」
 餃子の聖地である宇都宮では、毎年11月初旬に 「宇都宮餃子祭り」 が開催される。その開催を目前に控えた10月下旬の時点で隣県福島に滞在していた ジェマ としては、本来ならば自らニンニクを現地へと届けに行きたかったのだが、彼女は(昨年の餃子祭りで騒動を起こした前科により)友愛会宇都宮支部から「出入り禁止処分」を受けていたため、その任を 冬香 に任せて(彼女に旧車エクストリーム・レッドシャドウとニンニクの一部を委ねて)、自身は他の三人のイケメン達と共に、残りのニンニクを茨城経由で横浜の中華街へと届けることにした。
 横浜中華街には水餃子の名店が立ち並び、それらの大半は友愛会所属の中華吸血鬼(キョンシー)・ 哪吒 の傘下にある(餃子愛好家の ジェマ とは昔から交友が深い)。折しも世間はハロウィンで大盛り上がりの中、横浜中華街でも様々な混乱の発生が予想されたため、 哪吒 ジェマ がこの地を訪れると聞いて、彼女が群衆達の引き起こすトラブルに巻き込まれぬよう、案内役として配下のイケメン・ 山田太郎 (バンドマン)を派遣することにした。
 だが、 山田 ジェマ との合流地点に選んだ渋谷は、既にハロウィンに浮かれる若者達(に偽装した盗賊団)に占拠されており、彼の乗っていた車も襲撃を受けてしまう。それでもどうにか ジェマ 達との合流には成功したものの、彼の車は横転させられ、 ジェマ 達の乗るエクセレント・レッドシャドウもまた激しい損傷を負うことになる(その過程でまたしても ジェマ が暴走するが、 山田 によってどうにか宥めることに成功する)。
 その後、盗賊団の親玉の襲撃を 一郎 の活躍で撃退しつつ(イケメンは長剣では斬られない)、どうにか横浜に到着した ジェマ 達であったが、 山田 が案内した「昨日まで 哪吒 の隠れ家だった店」は、既にもぬけの殻と化していた。どうやら何らかのトラブルが起きて、どこか別の店へと避難したらしい。そのことを察した 山田 は、あえて目立つ路上演奏を始めて自分の存在を中華街全体に知らしめることで、この中華街に潜伏する 哪吒 の部下に自分の存在に気付いてもらおうと試みる。結果、集まった群衆の中にいた 哪吒 傘下の者達からハンドサインで「現在の隠れ家」の場所を知らされた彼は、 ジェマ 達をその店へと案内し、そしてが店内の壁に設置されていた隠し扉を発見したことで、ようやく 哪吒 との対面へと漕ぎ着ける。
  哪吒 曰く、彼が急遽本拠地を移転させたのは、 山田 が出迎えに向かった直後に、このハロウィンの騒動に乗じて彼の本拠に襲撃をかけた人物が現れたことが原因らしい。その人物の名は、渡辺レン(下図)。元イケメンの女性である。彼女は以前は暴食癖のある吸血鬼のイケメンであったが、主人であった吸血鬼が暴食の果てに命を落とし、彼女はその志を継いで、世界中の全ての美食を自分が喰らい尽くすという使命に燃えた(友愛会非公認の)はぐれイケメンとなってしまったという。
+ 渡辺レン(はぐれイケメン)
 彼女は 哪吒 が抱える料理人の中でも屈指の腕を誇る月村薫(下図)を誘拐し、何処かに監禁しているらしい(他の料理人達はこの隠し部屋の中で 哪吒 に匿われている)。薫を取り戻すために、レンの好物である「中華饅頭」を餌に彼女をおびき出す作戦を考案した 哪吒 ジェマ は、イケメン達に(このハロウィンに合わせて)横浜港に到着したばかりの「伝説の中国産南瓜」を強奪させた上で、それを具材に練り込んだ特製の「南瓜饅頭」を作り、それを店頭で大々的に振る舞うことで、中華街中にその噂を広めようと試みる。
+ 月村薫(料理人)
 イケメン達は、途中で首無しライダーに襲われながらもの活躍で撃退し(イケメンは常に狩る側にある)、どうにか作戦通りに南瓜饅頭を完成させると、 Rei の街頭食レポの効果もあって、瞬く間にその評判は広がり、そして彼等の思惑通りにレンが現れる。レンは「薫の作る料理は全て私のもの」と言い放ち、「皆で食べた方が美味しいッスよ」と説得する 山田 ジェマ のイケメン達に対して、薫を賭けたイケメンコンバットを申し込んだ。
 このイケコンは熾烈を極めた。イケメン達は最初から自らの全てを捧げる覚悟で挑み、床ドンからの瞬間移動を次々と決めつつ、風をまとい、光を放ち、更には Rei が引き起こした地割れの上で(イケメンは視線だけで地割れを起こす)見つめ合い、抱擁を交わし、互いに相手の美しさに打算を忘れて喝采を送り合い、更には途中から乱入した 哪吒 によるレンへの攻撃を 山田 が身を呈して庇うなど、敵味方の枠を超えた競合的コンビネーションが、彼等のイケメンムーブを更なる高みへと導いていく。この時、 山田 はレンのことを敵とはみなしておらず、あくまでも彼女を含めた全員で、薫の料理を食べることを望んでいたのである(イケメンは夜にみんなで水餃子を食べる)。レンはそんな彼の心意気を受け取りつつ、それでも奇跡的なイケメンムーブで対抗するが、その流れを受けた 山田 の完璧なフィニッシュの前に敗北を認めて、その場に立つ者達全てが、 山田 に向かって「パーフェクト!」と拍手喝采を送る。
 こうして無事に薫を奪還したイケメン達は、レンも交えて薫の(ミシュランにも掲載された) 水餃子 を堪能しつつ、互いの健闘を称え合いながら、それぞれの主人と共に、年に一度の「堂々と吸血鬼が街中を闊歩出来る日」であるハロウィンの夜を満喫するのであった。
+ 第5話「荒れ狂う南風」
 横浜中華街の次に ジェマ が目的地に定めたのは、宇都宮と並ぶもう一つの餃子の聖地・浜松、ではなく(どうやら彼女は浜松にも「行けない理由」があるらしい)、沖縄であった。沖縄には ゴーヤ餃子 を初めとする現地の特産物を生かした独特の餃子文化があるらしい。
 沖縄へ向かうために、友愛会所属の女海賊 アクシア を探していた Rei は、港町の酒場で(買い出しのついでに敵情視察に来ていた) アクシア 傘下のイケメン・ 印守舛尾 (バーテンダー)と遭遇する。酒場の中央でマイムマイムを一緒に踊ったことで意気投合した彼等は、そのまま アクシア が船長を務める海賊船(フェリー)「鮮血のガーベラ」へと(エクセレント・レッドシャドウごと)乗り込み、そして ジェマ アクシア に正式に沖縄への出航を依頼すると、彼女はその申し出を快諾する。
 だが、沖縄への渡航の途上(最初に遭遇した幽霊船は暴走状態となった ジェマ のおかげで撃退したが)、彼等を乗せた「鮮血のガーベラ」は、海上保安庁の巡視船と遭遇してしまう。 アクシア 曰く、どうやら南海で未曾有の巨大台風が出現した影響で、彼等が本来の航路から外れる形で出現することになったらしい。巡視船との戦闘を覚悟した アクシア は、 印守 に命じて緊急脱出艇に「エクセレント・レッドシャドウ」を乗せ、 ジェマ とそのイケメン達をその戦闘海域から退避させることにした。
 荒海の中、どうにか彼等が無事に沖縄本島へと辿り着くと、沖縄の住民達は巨大台風の襲来に怯えて、地下の台風シェルターへと避難を始めていた。気象庁の観測によれば、現在近付きつつある台風は伊勢湾台風以来と言われるほどの規模であり、十分な風害対策を施してある筈の沖縄の建物ですら根こそぎ吹き飛んでしまう危険が高いという。そして、その風の進路には沖縄の地元餃子の名店も存在するらしい。
 なんとかその風害を止めなければならないと考えた ジェマ がイケメン達に対策を講じさせたところ、どうやらこの島には「風を操る能力」を持つ土地神の伝承があるらしい。その情報についてより詳しく調べてみた結果、その土地神の正体が「 アカラナータ 」と呼ばれる女吸血鬼であり、数年前に現地移住民との衝突で大虐殺事件を引き起こした咎で、現在は友愛会から謹慎処分を受けているという事実が判明する。友愛会の規約情報を確認したところ、どうやらその謹慎処分は、 ジェマ の持つ権限ならば解除出来るらしい、ということを知ったイケメン達は、彼女を収容している友愛会の秘密施設へと向かうことにした。
 途中でハブやイノシシや地元の青年団の襲撃を受けつつも、どうにか施設へと辿り着いた彼等を出迎えたのは、 アカラナータ 傘下のイケメン・アントーニョ藤崎(下図)であった。彼はメキシコ系米国軍人の血を引く混血児であり、彼は当初は ジェマ 達のことを訝しげな目で見ていたが、 一郎 の真摯な態度から、彼等が主人に害をなそうとする者ではないと判断し、面会を認めつつ、友好の証として手作りのタコスを手渡す。
+ アントーニョ藤崎(イケメン)の外見
 だが、 ジェマ 達と面会した アカラナータ は、台風を止めることに対して後ろ向きな姿勢を見せる。アカラナーア曰く、数年前の地元住民との衝突は彼等の方に非があり、その自分の言い分を無視して謹慎処分を下した上に、都合のいい時だけ自分の力を利用しようとする友愛会に対して不信感があるらしい。 アカラナータ の推測によれば、現在近付きつつある台風は妖(あやかし)の類いが引き起こした超自然現象であり、このままだと多くの被害が発生することになるが、彼女はそれを「いい気味だ」と言ってのける。だが、沖縄には守るべき文化(ゴーヤ餃子など)がある、と考える ジェマ としては、ここで退く訳にはいかない。そこで、互いのイケメン達によるイケメンコンバットで決着をつける、ということになった。
 ところが、このイケコンは思いの外あっさりと決着がついた。アントーニョに対して床ドンからの顎クイを経て、この地の温泉の場所を聞き出そうとした Rei に対し、アントーニョは彼女を温泉地まで車道側を歩きながら案内しようとするが(結果的に無事に辿り着くが)、フィニッシュに失敗し、あっさりと脱落してしまったのである。
 この結果に納得出来なかった アカラナータ が、今度は自ら改めて彼等にイケコンを申し込んできた。イケコンのルール的にはグレーな作法だが、イケメン達はイケメンなのでその挑戦を受け入れる。連戦となった Rei は地下のマグマを沸騰させつつ(イケメンは新たな源泉を引き当てる アカラナータ を讃えながら抱え上げ、 一郎 アカラナータ のお株を奪うように自分の周囲に風をまとわせる中、 アカラナータ は自らの宝剣をあえて相手に差し出すことで覇者としての風格を見せつけるが、はそれを上に掲げることで完璧なフィニッシュを見せ(イケメンは何を持っても様になる)、その姿に アカラナータ も思わず「パーフェクト!」と叫ぶ。
 その後も アカラナータ は伝説の名馬を召喚し、 印守 は自らの(人としての)皮を剥いでその 正体 を見せつけるなど、激しい戦いが繰り広げらるが、結局、誰ものフィニッシュを超えることは出来ないまま、 アカラナータ は敗北を認め、その特殊な力を用いて台風(を引き起こしている妖怪のような何か)を弾き飛ばし、沖縄は平穏を取り戻す。そして(どうにか巡視船を撃退した) アクシア も合流し、 アカラナータ やアントーニョも交えた形で、皆で平和にゴーヤ餃子を堪能する吸血鬼とイケメン達であった。
+ 第6話「付喪神の矜持」
  ジェマ 達が沖縄で台風騒動を解決している頃、宇都宮への餃子配達任務を完了した 冬香 は、突如現れた謎の男性型淫魔(下図)に捕縛され、虜囚の身となっていた。どうやらこの淫魔は ジェマ と何らかの因縁があるらしい。淫魔は 冬香 に自らの下僕となるように促すが、 冬香 はそれを断り、自身の ジェマ に対する歪んだ変態的欲望を吐露すると、淫魔は(なぜか)彼女の存在を危険と感じ、阿蘇山の火口へと彼女を放り込み、そのまま 冬香 は放置された。
+ 謎の淫魔
  冬香 の危機を知った ジェマ は、 アカラナータ の作り出した特殊な風の力でエクセレント・レッドシャドウを阿蘇山の麓へと吹き飛ばさせ(それをの洗練された技術で無事に不時着させ)、 一郎 Rei の手でどうにか(たちはだかるマグマ怪人を撃退しつつ) 冬香 の救出に成功する。この時、 冬香 から話を聞いた ジェマ は、彼女を攫った淫魔に心当たりがあるようだったが、彼女は不機嫌そうな顔を浮かべつつ、イケメン達に「あの男には気をつけろ」とだけ告げて、それ以上は何も言わなかった。
 その直後、 ジェマ の持つ情報端末に不穏な知らせが届く。どうやら友愛会長崎支部が、長崎新地中華街への破壊工作を計画し、そのための人員提供を九州各県の吸血鬼に要請しているらしい。どんな事情でそのような依頼が出されたのかは分からないが、現地の名物である 長崎一口餃子 の名店を潰させる訳にはいかないと考えた ジェマ は、その暴挙を止めるべく、直談判を決意する。
 (途中で「巨大ムツゴロウ」や「頬の赤い熊」の襲撃を退けつつ) ジェマ 達が長崎に到着すると、長崎支部長の フリードリヒ が潜伏しているハウステンボス内の隠れ家を Rei 一郎 が発見し(その過程で 冬香 が、施設スタッフの衣装の中の一着を勝手に拝借しつつ)、 フリードリヒ との対面に漕ぎ着けた。
  フリードリヒ 曰く、どうやら約一ヶ月前、長崎名物「おくんち」の目玉である「龍踊(じゃおどり)」(下図)の「青龍」が付喪神化して暴走を始め、現在では新地中華街に夜な夜な現れては暴れ回っているらしい。
+ 長崎くんちの龍踊
 その青龍(の付喪神)はあまりにも強力で、確実に退治するには中華街を丸ごと破壊するしかない、というのが フリードリヒ の見解であり、その際の人的被害を最小限に抑えるために、事前に中華街の住人達にやがらせを敢行することで、彼等を自主的に営業停止へと追い込んで該当地区から退避させる、というのが今回の招集の目的であるという。
  ジェマ とイケメン達はその考え自体には一定の理解を示すものの、当然、その計画に賛同する訳にはいかない。そこで、彼女達は青龍の暴走を別の方法で沈める道を選ぶことにした。青龍の暴走の原因が、ここ数年(後継者不足から)龍踊のクォリティが下がっていたことに由来するらしい、という話を フリードリヒ から聞いた彼女達は、龍踊において青龍と対を成す「白龍」を借りた上で、完璧な龍踊を見せることで説得を試みようと考える。
 こうして中華街へと向かった ジェマ とイケメン達は(その途上で現地の暴力団と抗争を繰り広げつつ)、「( 一郎 が作った、珠の代わりとしての)巨大餃子の模型を追い求める白龍の龍踊」を通じて青龍を招き寄せ、対話を試みる。青龍は、人間の手に任せていては龍踊が廃れてしまうという危惧から(自ら自律的に踊るために)付喪神化した(そしてそのためのエネルギーを貯めるために中華街の飲食店を襲っていた)存在であったため、もしイケメン達が「青龍が自ら舞う龍踊」以上の龍踊を見せてくれたら彼等に従うと約束した上で、ここに「白龍をかついだイケメン達」と「青龍の付喪神」によるイケメンコンバットが開幕することになった。
 両者は互いに壁ドン・床ドンを繰り返しつつ、全てを捧げる覚悟で互いに己の願望を曝け出しながら絡み合い、時に黙って見つめ合い、時に言葉を交わしながら、熱く激しく舞い踊る。中華街を守るために必死の演舞を披露する 一郎 に対し(イケメンは主人の気に入った街を守る)、青龍は激しい動きでイケメン達を翻弄しようとするが、は完全にその動きの完コピに成功し(イケメンはどんな動きにもついていく)、青龍を唸らせる。青龍はそんなイケメン達に対して、この地に留まって龍踊を続けてくれるように頼むが、 Rei はそれを無邪気な笑顔で断りつつ(イケメンは一箇所に留まらない)、更に流麗な演舞で青龍を翻弄する。
 そんな美しき競演の末、最終的には青龍は「パーフェクト!」と叫んで負けを認め、これまでの自身の過ちを悔いた上で(それに感化されるように Rei も少しだけ過去の畑泥棒をしていた頃の自分を反省し)、今後は再び神事の一角を担う存在へと立ち戻った上で、自らが地元の若者達を指導していくことを決意し、奉納先である諏訪神社へと帰って行く。
 こうして、長崎の伝統を守り、中華街の危機を救った ジェマ 達は、念願の長崎一口餃子を満喫する。ただ、そんな中でも ジェマ の表情からは、 冬香 を攫ったあの淫魔のことがまだ気掛かりな様子が伺えた。
+ 第7話「イケ麺クライシス」
 長崎での龍踊騒動を解決した ジェマ の元に、凶報が届いた。現在、香川県議会で「中華料理税法案」が審議中で、与党・人民党の賛成多数で可決されそうな情勢らしい。これは、うどんの聖地である香川県内において、ラーメン、つけ麺、油そばなどの勢力拡大を阻むため、中華料理全般に対して価格の50%の税金を課すという法案である。その巻き添えで餃子までもが追加課税の対象になろうとしているこの状況を、 ジェマ が黙って見ている筈がない。(実は数ヶ月前から予約済みの)香川名物の クロワッサン餃子 を守るため、 ジェマ はイケメン達と共に四国へと向かうことにした。
 その途上、( 一郎 Rei の影響で)温泉に興味が湧いた ジェマ が別府で温泉宿に入ったり(その様子を覗き見ようとした 冬香 が警備員に追い回されて重傷を負ったり)、フェリーで「先日 冬香 を拉致した謎の淫魔」に今度は Rei が声をかけられたり、四国上陸後に修験者に襲われたり、愛媛のミカン農家を襲ったり、といった諸々を経た上で、彼女達はこの地でお遍路を楽しむ風変わりな吸血鬼・ 公周 を発見し、彼から(坐禅の修行に付き合わされたりしつつ)香川の現状に関する情報を聞き出すことにした。
  公周 曰く、香川県議会では与党・人民党の勢力が強く、彼等が最近になって唐突にうどん奨励のための法案を次々と成立させ、県民達の大半はその動きを歓迎しつつも、やや困惑状態にあるという。その流れで成立しようとしている中華料理税法案を止めるには、政財界に幅広い人脈を持つと言われる伝説のヤクザ・本多治長(下図)に助力を頼むのが効果的なのではないか、というのが 公周 の見解である。噂によれば、本多は元イケメンであり、今でも友愛会とはある程度の繋がりを有しているらしい。
+ 本多治長(元イケメン)
 途中で化け狸などの妖怪達の妨害を受けつつも、どうにか本多組のアジトに辿り着いた 一郎 に対して、本多は彼等が強力に値するかどうかを判断するために、イケコンを通じて二人の「侠気」を見極めようとする。本多は元イケメンとして、二人に対してイケメンとしての生き方を伝授しつつ(イケメンは後進に道を説く)、彼等の様子を伺っていると、二人はその言葉を受け入れた上で、は屈強な体躯の持ち主である本多に対してあえて自ら抱きつき、そして 一郎 が(厩舎にいた)本多の愛馬を奪うかのように乗りこなすことで(イケメンはヤクザにも怯まない)、それぞれに度胸を示す。そんな二人のイケメンとしての姿に感服した本多は「アメイジング!」と叫びつつ、彼等に香川県議会議員達への脅迫材料として使えそうな、(本多組が元締めを務める違法な風俗店での)彼等の乱行写真を提供するのであった。
 それを手にした ジェマ とイケメン達が(途中で化け狸の親玉などの妖怪を撃破し、サービスエリアでうどん関連商品を購入した上で)香川県議会の議事堂へと向かい、駐車場の裏で議員達に対して 一郎 が写真を盾に法案撤回を迫ろうとしていたところで、議員達を動かしていた黒幕が現れる。その黒幕の正体は、 うどんが好きすぎて脳そのものがうどんと化してしまった元人間の妖怪 であった。ここ最近の過剰なまでのうどん保護法案は、全てこの妖怪によって洗脳されてしまった議員達の暴走の結果だったのである(注:この物語はフィクションであり、GMは本場さぬきうどん協同組合に対しても、株式会社オカピデザインに対しても、一切何の悪意もありません)。
 その妖怪はイケメン達に対し、自身の量産型とも言うべき手下達をけしかけつつ、うどん脳波を拡大することでイケメン達の脳のうどん化を試みる。しかし、はその精神攻撃に耐えながら、SAで買ったうどん用の麺棒を用いて大打撃を与え(イケメンはうどんに屈しない)、 冬香 はその妖怪の脳を構成しているうどんをあえてすすり食うことで、着実にその力を弱らせていく(イケメンはうどんをすすりたい)。最終的には Rei の一撃によって妖怪は倒され、洗脳されていた議員達は(いつの間にか駆け付けていた) 公周 によって饂飩調伏されたことで正気を取り戻し、中華料理税法案の提出は見送られることになった。
 こうして無事に守られたクロワッサン餃子を(報酬として、本来の予定を前倒しさせて)入手した ジェマ は、満足気な表情を浮かべる。一方、他のイケメン達の分の報酬は(もともと発注予定が立て込んでいる店のため)数ヶ月後に函館支部に送られることになったのだが、それが届いた時点で、彼等がその場にいるかどうかは定かではない(なお、クロワッサン餃子の賞味期限は三日である)。
+ 第8話「倫理なき戦い」
 うどん脳事件の後、本多は「久しぶりの客人」をもてなそうと、 ジェマ 達に牡蠣を振る舞うことにしたが、彼の手下が持ってきた牡蠣を食べた 一郎 が、食中毒となって寝込んでしまう。どうやら、いつもなら「広島の姪」から送られてくる筈の牡蠣がまだ届いていなかったため、冷凍してあった古い牡蠣を出さざるを得なかったらしい。
 本多が電話で「広島の姪」に確認してみたところ、ここ最近、現地の本多組が実質支配する漁場に密猟者が現れ、漁獲量が激減しているという。その結果、広島の本多組が経営している「広島牡蠣餃子」の店も経営が危機に陥りつつあると聞いた ジェマ は、すぐさまイケメン達を引き連れて、密猟者から牡蠣を奪い返すために出陣する。
 その途上、たまたまライブ修行の旅の途中でヒッチハイク中だった 山田 (第4話登場の横浜のイケメン)と合流したイケメン達は、彼の助力を得た上で、香川の港で牡蠣の闇取引をしている者達の発見と捕縛に成功し、無事に牡蠣も奪還する。その後、 ジェマ が拷問して白状させた結果、この密猟者は広島の暴力団「童虎会」によって作り出されたハイスペ(改造人間)であることが発覚した。
 童虎会とは厳島神社に潜む吸血鬼 童虎 によって最近結成された新興の暴力団であり、広島の覇権を巡って、本多組とは現在県内各地で抗争状態にあるという。これは根が深い問題ではないかと睨んだ ジェマ は、そのまま瀬戸大橋を渡って広島へと向かうことにした。
 途中で巨大蛸やマツダ原理主義者の襲撃を受けたり、最高級もみじ饅頭を強奪したりしつつも、どうにか広島本多組の本拠地へと辿り着いた彼等に対して、本多の姪であり、実質的なこの地の頭目である関翠(せき・みどり)は事情を一通り説明する。
+ 関翆
 どうやら童虎会は、広島市商店街の中核に位置する牡蠣餃子の店舗を乗っ取り、そこに傘下の「お好み焼き屋」の新店舗を築こうと企んでいるらしい。彼等はそのために牡蠣の強奪に勤しむと同時に、店舗自体に対しても様々な嫌がらせ行為を仕掛けてきているという。その話を聞いた ジェマ 達が急遽(道中で、北海道&横浜出身の彼等に対して異常な敵意を示す地元球団のマスコットと乱闘になりつつも撃退し)現地へと向かうと、そこにいたのは「人狼」の甲斐谷翼(第3話登場 ※名前は今回で初登場)と、「はぐれイケメン」の渡辺レン(第4話登場)であった。二人はそれぞれ、童虎会系列のお好み焼き屋ともみじ饅頭屋に助けられて、一宿一飯の恩義で地上げ行為に協力していたのである(なお、 Rei は前述のもみじ饅頭屋でレンとすれ違っていたのだが、互いに気付いていなかった)。
 二人はイケメン達へのリベンジも兼ねて、今度は「2対4」のイケコンを申し込む。だが、この勝負は思いのほかあっさりと決着がついた。対決の冒頭から、悪に染まった表情を浮かべつつ物憂げな表情で髪をかき上げる姿勢を取る 山田 に対し、レンが(彼等の動きを読み違えたのか)フィニッシュに失敗すると、仕切り直した 冬香 が口から火を放つことで店舗の周囲を火の海に変えつつも目を合わせながら無邪気に甘えた表情を浮かべると、翼はその狂気に恐れおののき、一度は余裕は見せてスルーしたものの、最終的には彼等との戦いに疲れ果ててその場に倒れ込む。そして勝利を確信した Rei は、その燃え盛る炎の中で複雑なポーズで座りながら、避難しようとしていた店長を呼び戻して餃子を作らせ(イケメンは餃子にありつける)、最後は敵味方の壁を超えて、皆で牡蠣餃子を共に味わうのであった(ただし、その過程で周囲の商店街は焼け野原と化していた)。
 その後、イケメン達はこの対立を終わらせるべく厳島神社へと向かうが、ここまでの道中で車が激しく損壊していたこともあり、車中泊中に 山田 以外のイケメン達が次々と疲労困憊で倒れてしまう。そんな中、 ジェマ が突然「大人の女性」の姿へと変身し、 冬香 の心身を全快させた上で、近くのサービスエリアで Rei も立ち直らせようとするも失敗に終わり、やむなく 山田 冬香 の二人だけで、神社の境内へ乗り込むことになった。
 二人の前に現れた 童虎 は、自身の目的が「裏社会のバランスを保つこと」にあると告げる。どうやら彼は、広島における本多組の過度の勢力拡大を防ぐための抑止力として童虎組を動かしているだけで、そこまで本格的な抗争を望んでいる訳ではないらしい。
 その上で「私に一太刀でも浴びせることが出来たら、商店街からは手を引く」と宣言した 童虎 に対して、 山田 は自身のギターを壊しながら殴りかかり(イケメンのギターは壊れる)、 冬香 は神社の御神刀を勝手に拝借して斬り付けることによって、彼の周囲に貼られていた結界を破壊して本体に手傷を負わせることに成功すると、 童虎 は宣言通りに二人の主張を受け入れて、停戦を宣言する。こうして、広島牡蠣餃子の伝統は(周囲の商店街の店達の尊い犠牲と共に)無事に守られたのであった。
+ 第9話「不協和音の四重奏」
 広島にて、 一郎 が牡蠣の食中毒からようやく回復した頃、 ジェマ の携帯端末元に友愛会・神戸支部長の 劉クロード からの依頼が届く。それは但馬牧場の神戸牛のA5肉を、が経営する中華街の餃子店に届けて欲しい、という内容であった。どうやら昨今の兵庫県内は様々な反社会勢力が闊歩して治安が悪くなっているらしく、通常の輸送車では不安があるらしい。
 神戸の中華街でも屈指の名店と呼ばれるの店の 味噌だれ餃子 のため、 ジェマ がその依頼を快諾すると、広島本多組の長である翠は、 ジェマ 達に従姉妹(本多のもう一人の姪)であり神戸本多組を取り仕切る豊川レナの写真(下図)を見せた上で、神戸に行くついでにレナにも牡蠣を届けるように依頼する。
+ 豊川レナ(写真)
 こうして神戸へと向かうことになった ジェマ とイケメン達は、途中の岡山で犬・猿・雉(っぽい妖怪)の襲撃を撃退しつつ、どうにか無事に兵庫県へと足を踏み入れようとするが、その県境で民間警備会社による厳しい取り調べがおこなわれている様子を目の当たりにする。しかも、それを取り仕切っていると思われるのは、明らかに人体改造を受けていると思われるハイスペ警備員の女性(下図)であった。
+ ハイスペ警備員
 このハイスペは前回香川で遭遇したハイスペよりも明らかに格上と判断したイケメン達は、迂回して別ルートからどうにか県境を超えることに成功する。そして、ここに至るまでにイケメン達から「恋愛」に関する話を立て続けに持ちかけられた ジェマ は、遂にここで自らの出自を彼等に明かすことにした(下記参照)。
+ ジェマの正体
 かつて、ジェニーという名の高等吸血鬼がいた。彼女は日本の友愛会全体の女王的存在であり、「夜の領主」と呼ばれていた。そんな彼女が十数年前、とある男性淫魔との間で恋に落ち、エマという娘を産むことになる(それは友愛会にとって明らかに禁忌であった)。だが、本来は結ばれる筈のない特殊な遺伝子同士の掛け合わせであったが故に、エマは生来病弱で、成人するまで生きられないであろうと言われていた。
 そんな娘を救うため、ジェニーは某国に伝わる特殊な秘術を用いて、自らの身体を娘と融合させる道を選んだ。その結果、ジェニーという吸血鬼はこの世界から消滅し、ジェニーとエマの二人が融合した存在としての「 ジェマ 」が生まれた。彼女の魂はジェニーとエマの人格の融合体だが、その時々によって、かつての二つの元人格のどちらかに寄りがちになる不安定な存在でもある。身体的には彼女は(実質的に淫魔の血が1/4入っている特殊な体質ではあるが)吸血鬼としての母の強大な能力を引き継いでいたため、引き続き友愛会の中で幹部待遇を受けつつも、あまり表舞台には出てこなくなった。
 ちなみに、エマを救うためのもう一つの道として、父親である淫魔と融合するという道もあり、淫魔はそれを望んでいたが、ジェニーは激しく拒絶した。ジェニーとしては、娘を(両性具有の?)淫魔にすることは避けたかったらしい。この親権(融合権?)争いを機に両者は決別し、融合後の ジェマ も彼のことは避け続けているらしい。
  ジェマ にとっては、自らの恥部を晒す覚悟での告白であったが、イケメン達から(ある程度驚いた様子は伺えたものの)自分への忠誠心が揺らぐような雰囲気が感じられなかったことに内心安堵する。その上で、「栃木で 冬香 を誘拐した上で阿蘇山の火口に放置し、瀬戸内海のフェリーで Rei に声をかけた、あの男性淫魔」こそが、 ジェマ にとっての「夫にして父」でもあることを改めて彼女は強調した上で、今後も彼には関わらないよう、イケメン達に念を押すのであった。
 その後、但馬牧場の近辺まで辿り着いたところで、彼等は神戸牛達が暴走して道路を占拠している状況に遭遇する。イケメン達がどうにか牛達を牧場へと戻るように誘導した上で、牧場主から話を聞くと、どうやら何者かによって牧場の柵が壊されてしまっていたらしい。調査の結果、その犯人が異界の悪魔(インプ)であることを突き止めたイケメン達は、激戦の末、どうにかその悪魔を倒すことに成功する。
 おそらくこの悪魔は、昨今の神戸内で暗躍する反社会勢力の一つによって送り込まれた工作員であろう、というのが牧場主の推測であった。牧場主曰く、昨今の神戸の治安は日に日に悪化しているため、牧場内の職員達も次々と逃げ出し、牛を捌く技術を持った屠殺業者とも連絡が取れない状態になっているらしい。そのため、やむなく ジェマ 達は(中華街ならば屠殺技術を持つ者もいるだろうという推測に基づいて)、神戸牛を牧場用のトラックに乗せて、自分達の愛車「マーヴェラス・レッドシャドウ」をひとまず牧場に残した上で、そのトラックを運転して中華街へと向かうことにした。
 だが、その途上、今度は「エクソシスト」を名乗る人物(下図)が彼等のトラックの前に姿を現す。どうやら彼は、昨今の神戸各地で活動する「悪魔」を祓うために巡回しているらしい(おそらくは牧場でイケメン達が倒した悪魔も彼の標的の一つだったのだろう)。 ジェマ が淫魔の血を引いている以上、ここで詳しく調べられる訳にはいかないと判断したイケメン達は、どうにか偽装工作を用いてその場をやり過ごすことに成功する。
+ エクソシスト
 その後、ようやく中華街が見えてきたところで、今度は暴力団達の抗争の場面に出くわしてしまう。騒動の中心にいるのは、間違いなく神戸本多組の豊川レナ(下図)であったが、彼女は何かに取り憑かれたかのように不気味な笑顔を浮かべながら大斧を振り回しており、やがてその様相は「抗争」から「一方的な殺戮」へと変わっていく。このままでは中華街に入れないと考えたイケメン達は、どうにか力尽くで彼女を抑え込みつつ、広島の翠から預かっていた牡蠣を彼女に手渡すことで彼女の機嫌を直し、無事にその場の騒動を収拾させることに成功する。
+ 豊川レナ(実物)
 その後、ようやく中華街に辿り着いた ジェマ 達は、この地の支配者である 劉クロード (下図)に神戸牛を無事に引き渡す。だが、実はこの依頼はにとっては「 ジェマ とイケメン達をこの地に連れてくるための前振り」であり、彼には彼女達に頼みたい「本命の依頼」が別にあったのである。
+ 劉クロード
 曰く、現在の神戸は「暴力団:本多組」「ホストクラブ:リヒテンラーデ(を裏で操る異界の悪魔)」「日本神聖キリスト教団(を隠れ蓑にしたエクソシスト集団)」「民間警備会社:TOMEコーポレーション」の四勢力による抗争の最中にあり、現在はこの中華街の一等地の利権を巡って、四勢力が一触即発の状態にあるらしい。
 中華街の顔役でもあるとしては、なんとか彼等の正面衝突を避けるために、ひとまず「『代打ち』を立てた上での決闘(バトルロイヤル)を制した陣営にその地の利権を与える」という方針で、四勢力を納得させたらしい。だが、実際にはこれでは結果に納得しない者達も出てくるであろうことはにも分かっていた。そのため、彼は四勢力に友愛会のイケメンを「代打ち役」として送り込み、「決闘のフリをしたイケコン」を彼等の前で披露することによって、そのあまりの美しさで彼等の心を魅了し、対立を解消させようと企んでいたのである((子曰く「イケコンは人の心を和ませる」)。
 だが、を初めとする神戸の吸血鬼達のイケメンでは彼等に面が割れているため、それでは茶番だとすぐにバレてしまう。そこで、偶然この近辺に立ち寄っていた ジェマ のイケメン達にその「代打ち役」を依頼しようと考えたのである。神戸の四勢力が正面衝突すると、最悪の場合、神戸の中華街が火の海になると考えた ジェマ は、味噌だれ餃子の名店を守るために、イケメン達を四勢力の元へと派遣することに同意する。
 その結果、本多組へと送り込まれた Rei は持ち前のだらしなさを発揮してレナと意気投合し、教会へと派遣された 一郎 は温泉旅館で読んだ聖書の知識を活かして牧師のファーレンハイト(先日遭遇した上述のエクソシスト)に認められ、TOMOEコーポレーションに向かったは社長の武蔵川巴(先日遭遇したハイスペ警備員/本気モードの状態は下図参照)の入社テストに無事に合格する(幸いなことに、彼等はいずれも先日の遭遇時には直接接していなかったため、その正体には気付かれなかった)。
+ 武蔵川巴(警備会社TOMOEコーポレーション社長)
 一方、ホストクラブ:リヒテンラーデへと足を踏み入れた 冬香 の前に現れたのは、 ジェマ の夫にして父でもある「あの淫魔」であった。どうやら彼がこの店のオーナーであるらしい。彼は ジェマ のイケメンである 冬香 が代役を申し出てきたことに明らかな不信感を抱きつつも、度胸試しに出された酒をフラフラになりながらも飲み続ける彼女の心意気を目の当たりにして、あえてその申し出を受け入れることにする。
 こうして四勢力の「代打ち」として認められた四人は決戦の場へと足を踏み入れ、それぞれの雇い主が見守る中、の司会&審判の元で決闘(という名のイケコン)の幕が切って落とされることになった。
 まず最初に動いたのはであった。彼はこの戦いの直前に予め罠を設置していたが、あえて自らその嵌まり、遠方からの謎の射撃を受けつつ、怯えた表情を見せることで、周囲に「この戦いでは高度な駆け引きが展開されている」と思わせることに成功する(イケメンは自滅しても場を盛り上げる)。そんな彼に対して、 冬香 は魔導書を読みながら不気味な笑みを浮かべ(イケメンは影でほくそ笑む)、 一郎 もまた屈託のない笑顔でその様子を眺める中、今度は Rei の足元が突然割れ、彼女はその下に設置されていた底無しプールへと落下するが、華麗な水泳法でその危機を脱する(イケメンは泳ぎも上手い)。だが、そんな彼女とは入れ違いに、今度はあえて 一郎 がそのプールの中に飛び込み、防水加工された聖書をインクレディブルな姿勢で読み込み始めるという離れ業を見せる(イケメンは水の中でも本を読む)。
 そんな彼等の、常人には理解出来ない死闘(?)を目の当たりにした四人の雇い主達は、いつしか(の思惑通りに)彼等の姿に感銘を受け、そして最終的に生き残った 一郎 を勝者として讃え、中華街の一等地を日本神聖キリスト教会に譲るという方針で合意に至る。こうして無事に使命を果たしたイケメン達は、 ジェマ と、それぞれの「かりそめの雇い主」達と共に、の用意した味噌だれ餃子三点セット(焼き餃子、水餃子、揚げ餃子)を頬張りながら、和解の宴席を満喫するのであった。
+ 第10話「平安京M&A」
  ジェマ 達が西日本各地を渡り歩いている間に、北海道の クラヴィス は、自分の元イケメンである 酒井 による「O将M&A計画」を察知していた。 酒井 は、京都に本社を置く全国チェーン店「餃子のO将」の株を買い集めることで経営権を獲得し、現在O将が数量限定で販売している にんにくゼロ餃子 をO将のスタンダードメニューへと切り替え、最終的にはO将のすべての餃子からにんにくを排除することで、「にんにくが苦手な吸血鬼達がいつでも好きなだけ餃子を食べる世の中」を実現しようと企んでいるらしい。
 だが、それは(彼と同じ「餃子を愛する吸血鬼」である) ジェマ の餃子観とは明らかに対立する思想であり、 ジェマ に恩義のある クラヴィス としてはこの状況を看過する訳にはいかないと判断し、たまたま別件で近畿地方に出張していた 首取 に、京都における 酒井 達の動向を探らせる。その結果、どうやら最近になって、O将の現経営陣と懇意な関係にある株主達が次々と行方不明になっているということを知った 首取 は、神戸に滞在していた(四天王決戦を終えた直後の) ジェマ と合流し、そのことを通達する。
  ジェマ としては、にんにく無し餃子の存在を否定する気はないが、さすがにO将で通常の餃子が一切食べられなくなることは耐え難い。一応、彼女自身もO将の有力株主の一人であるのだが、それでも全体の数%程度の占有率でしかない以上、一人で 酒井 の野望を阻止することは出来ないと判断した彼女は(前日のホストクラブでの二日酔いで体調不良の 冬香 をひとまず神戸に残した上で)イケメン達と共に京都へと向かうことにした。
 その途上で(この季節に兵庫県内によく出没すると言われる)赤穂浪士の亡霊や、伏見稲荷の狐達による襲撃を撃退しつつ、行方不明となった株主達の足取りを探っていたイケメン達は、いつしか間(あわい)の世界へと足を踏み入れていた。そこは、狐面をつけた陰陽師の亡霊(下図)に支配された異空間であり、行方不明となった株主達は虚ろな表情を浮かべつつ、陰陽師の眷属と思しき者達との蹴鞠に興じていたのである。
+ 狐面の陰陽師
 「彼等を救い出したくば、我が眷属達との蹴鞠勝負に勝て」と言われた Rei は、鞠を相手の顔面に蹴り付けてKOすることで勝利を収め、陰陽師はその斬新な戦術に感服して、彼等を解放する。どうやら彼は何者かとの契約に基づいて、株主達をこの異空間へと攫っていたようだが、その雇い主の名前までは告げぬまま、彼等の前からひとまず姿を消す。
 助けた株主達から話を聞いたところ、どうやら 酒井 による買い占めは着実に進行しつつあり、ここで救出した彼等の持株と ジェマ の持株を合わせても、酒井派に勝てるかは微妙な情勢らしい。だが、現時点での筆頭株主である京都呉服店「七瀬屋」の実質的な女社長を務める吸血鬼・七瀬八雲がまだ方針を決めかねている、ということを知った ジェマ 達は、ひとまず彼女を説得するために京都市中へと向かうことになった。
 その途上、映画村に立ち寄って記念撮影をしたり、検非違使に生き埋めにされたエイリアンの怨霊から逃げ回ったり、野生の鴉天狗を撃退したりしつつ、どうにか七瀬の元へとたどり着いた ジェマ 達であったが、その場で同じように彼女の説得のために来訪していた 酒井 と遭遇することになる。双方の意見を聞いた七瀬は、元イケメンの一人として、「イケコンでの決着」を両者に促し、呉服屋の奥座敷でのイケコンの火蓋が切って落とされた。
 最初に動いたのは 一郎 であった。彼は唐突に何かに怯えたかのように外へ飛び出したかと思うと、いつの間にか降り出していた大雨に濡れた状態で舞い戻り、その奇行に唖然とした 酒井 の懐から彼の持つ株券を盗み出す。だが、 酒井 がそれにも動じずイケメン達の出方を伺っていると、はあえて武器と間違えたかのように( 一郎 の身体を乾かすために使っていた)ドライヤーを構え(イケメンは間違え方も面白い)、 首取 はその熱風を更に強めてその身にまとって美を示す(イケメンはドライヤーの風を強化する)。その上で、この一連の流れで建物内に湿気が充満して店の商品に被害が出ることを危惧した Rei は、窓を開いて熱風を外に逃がすことで呉服の品質を守り抜く(イケメンは窓を開け放つ)。そんな彼等の連携を目の当たりにした 酒井 は、難しそうな本(イケコン完全攻略マニュアル)を取り出して状況改善の手立てを探るが、具体的な解決策を見つけられないまま、自らの敗北を認めた。
 こうして七瀬の支持を取り付け、現経営陣存続の承認をほぼ確定させたイケメン達であったが、そんな彼等が株主総会の会場へと向かう途中で(O将と対立する分家筋の)大阪O将からの刺客の襲撃を受ける。その刺客を撃退した上で ジェマ が拷問して吐かせた情報によると、どうやら今回のM&Aには 酒井 の他に「にんにくゼロ餃子に満足出来なくなってO将から離れた顧客を引き込むことで勢力拡大を目指したい大阪O将」と「O将へ出荷出来なくなったにんにく業者から(対吸血鬼用としての)にんにくの入手の容易化を目指す吸血鬼狩人協会」も協力しているらしい。そして、吸血鬼狩人協会はこの計画の成功のために、京都に出没する陰陽師の亡霊の力を借りているという事実も判明した。
 その後、深夜の首なし武者の襲撃を撃退した ジェマ 達が株主総会の現場へと乗り込むと、その空間全体に人心掌握(洗脳)の秘術がかけられていることにイケメン達は気付く。その秘術の主は、先日まで株主達を間の空間に閉じ込めていた、あの陰陽師の亡霊であった。彼は狐面を外して素顔を晒した上で(下図)、イケメン達に対して再び「蹴鞠」で勝負を挑む。
+ 素顔の陰陽師
 彼は先日の Rei との戦いを経て、「相手をKOして勝つことが現代蹴鞠のセオリー」だと勘違いした上で、そのセオリーに基づいた新戦略でイケメン達を迎え撃とうとするが、直前に京都のコンビニで購入した(京都特産の特殊な霊力が込められた)唐揚げを駆使した 一郎 達の奮闘の前に敗北し(イケメンは念の為に唐揚げを残しておく)、彼等の健闘を讃えながら、心地良い満足感を浮かべつつ消えていく。
 こうして、洗脳空間から解放された株主達による会合は、平穏無事にシャンシャン総会のまま
終了し、 ジェマ には株主優待として、O将・高島屋京都店にて現在販売中の ぷりっぷり海老餃子 九条ねぎ餃子 プレミアム餃子 のお持ち帰り餃子三点セットが与えられたのであった。
+ 第11話「北陸湯けむり旅情」
  ジェマ 達が京都でO将の株主総会に出席していた頃、ようやく体調を回復した神戸の 冬香 の病室を、 ジェマ の夫にして父親でもある「あの淫魔」が訪れていた。以前は 冬香 の変態性癖に対してドン引きしていた淫魔であったが、先日の一件で 冬香 ジェマ への執念を目の当たりにしたことで彼女を見直し、彼女がいずれ ジェマ を淫靡な世界へと導く(結果的に ジェマ の中での淫魔の血が覚醒する)ことを期待した上で、彼女を ジェマ の側近として認め、彼女に餞別として( ジェマ が長年探し求めている)「伝説のラー油」を託し、京都へと送り出すことにした。
 そんな 冬香 と京都で無事に合流した ジェマ 達が、神戸でのイケコンで優勝した 一郎 へのご褒美としての温泉旅行を計画していたところへ、 ジェマ の旧友である北陸在住のネコ型吸血鬼 パトラ からの依頼が( パトラ の元イケメンである 八雲 経由で)届く。久しぶりに パトラ の毛並みに触れたいと考えていた ジェマ は、 パトラ が(「北陸温泉郷」の一角である)石川県の山中温泉に滞在しているという情報を聞き、そのまま慰安旅行も兼ねて石川へと向かうことになった。
 その途上、(吸血鬼狩人協会からの刺客である)越前蟹によるマーベラス・レッドシャドウへの破壊工作や、東尋坊を漂う幽霊達の襲撃を撃退し、 一郎 の温泉知識との友愛会知識を駆使して、 パトラ が泊まっている「友愛会御用達の温泉宿」へと辿り着く。到着と同時に Rei 一郎 がバイオレンスな温泉卓球を始める(その過程で 一郎 が勝手に負傷する)一方で、が旅館内に潜んでいた パトラ を発見すると、 ジェマ パトラ のモフみを満面の笑顔で堪能しつつ(その様子を 冬香 に物陰から凝視されつつ)詳しい依頼の内容を聞くことになった。
 石川県には 「7号ギョーザ」 という有名餃子店が存在する。終戦直後の闇市に源流を持つ(満州から帰還した餃子職人によって作られた)「ギョーザの店」から暖簾分けした7番目の店、という意味の名を持つこの店は、今では石川県民のソウルフードと呼ばれるほどの名店であるが、最近、その7号ギョーザの店舗に「厄介な幽霊」が出没しているらしい。
 その幽霊は「ギョーザを食わせろ」と言って人々の身体に取り憑き、7号ギョーザに入店するも、実際に7号餃子の焼き餃子やホワイト餃子を口にすると、「こんなものはギョーザではない!」と叫んで暴れ始めるという。どうやらその幽霊は、戦後の闇市での「ギョーザの店」の味が忘れられず、もう一度「その当時のそのままの味」を食べなければ成仏出来ない存在となっているらしい。「ギョーザの店」から暖簾分けした店としては、7号ギョーザの他に「五号ギョーザ」と「六号ギョーザ」が現存しているが(なお、「四号ギョーザ」は縁起の問題で最初から作られなかったらしい)、どの店舗の店のギョーザを食べさせても納得しなかった。
 この事態に業を煮やした石川県警は裏社会の大物達に密かに幽霊退治を依頼するも誰一人果たせず、やがてその依頼が友愛会へともたらされることになったのである。北陸友愛会のご意見番である パトラ は、これに対して一つの平和的解決策を考案した。それは、今は亡き元祖「ギョーザの店」の店主の魂を一時的にこの世界に降臨させるという荒技である。そのために必要な(死者の魂を呼び戻す)「反魂の符」は吸血鬼狩人協会が所有しているため(京都で ジェマ 達と戦った陰陽師の幽霊もその技術で呼び出されたものらしい)、石川在住の吸血鬼狩人の幹部の手からその符を奪い取るための協力者を探していたらしい。
 旧友からの餃子絡みの頼みとあれば、 ジェマ が協力しない筈もない。彼女は( 一郎 のための慰安旅行という名目をすっかり忘れて)イケメン達と パトラ を連れて石川の吸血鬼狩人協会の幹部のアジトへと向かうことにした。その途上、マタタビ切れを起こした パトラ の暴走によって車の居住空間を破壊されたり、越前蟹達の親玉である蟹妖怪(下図)の襲撃を受けたりしつつも、どうにか彼等は標的である(反魂の符を持っていると思しき)吸血鬼狩人を発見するに至る。
+ 蟹妖怪
 その吸血鬼狩人は強固な「対吸血鬼フィールド」を展開する能力を持つ難敵であり、彼の駆使する杭や十字弓によって 一郎 Rei 冬香 が次々と深手を負うが、そんな中で孤軍奮闘していたが敵の隙をついて、かろうじて反魂の符を奪い取ることに成功する(イケメンは最低限の目的は果たす)。
 その後は、 パトラ のストーカー達(かつて彼女の毛並みに触れてその感触に妄執を抱くようになった一般人達)を特殊な銃で撃退しつつ、 パトラ の記憶にある元祖「ギョーザの店」の店舗跡へと辿り着いた彼等は、おもむろに「反魂の儀式」を始める。まず、 一郎 を庇うように車道側を歩いていた 冬香 が、突如突撃してきたマーベラス・レッドシャドウに轢かれ(イケメンは車に轢かれる)、直後に車から出てきた Rei が状況を確認した上で(から逃走の助言を受けつつ)何事もなかったかのように走り去り(イケメンは事故っても安全運転)、その一部始終を目の当たりにした 一郎 は恐怖に震える(イケメンは仲間を信用しない)。
 これは「死者の魂を受け入れるための器」を確保するための捨て身の策であった。仮死状態となった 冬香 の身体に、 パトラ が反魂の符を用いて「ギョーザの店」の初代店長を降臨させると、店長はその場に用意された屋台の器具を用いて瞬く間に「当時の餃子」を作り上げ、その匂いに惹かれた「厄介な幽霊」が 一郎 の身体に取り憑いた上で、一心不乱にその餃子を食べ始める。意識と味覚が残った状態で身体を乗っ取られていた 一郎 には、そこまで特別美味とは思えなかったが、おそらくは終戦直後の貧しかった時代における「思い出補正」が、この幽霊にとっては特別なスパイスとなっていたのであろう。やがて幽霊は餃子を一通り平らげると、満足そうな表情を( 一郎 の顔で)浮かべながら成仏し、店長の魂もまた再び冥界へと去って行った。
 こうして、無事に幽霊騒動を解決した ジェマ 達は、瀕死の重傷を負っていた 冬香 をかろうじて蘇生させた上で、平穏を取り戻した「7号ギョーザ」にて、(現代の最新技術で進化した)ホワイト餃子と焼き餃子を改めて堪能するのであった。
+ 第12話「可憐なる一族」
 7号餃子の幽霊問題を解決した後、改めて山中温泉へと戻ろうとして雪の高速道路を走っていたマーヴェラス・レッドシャドウの前に、奇妙な先行車両が現れた。それは、小〜中学生くらいと思しき少女が運転する特殊な形状の「一輪バイク」であり、その背中には明らかに吸血鬼用と思しき「棺桶」が背負われていた。しかし、さすがに(棺桶分が)重量オーバーだったようで、微妙に少女の体勢が崩れたところで一輪バイクはスリップし、彼女と一輪バイクがマーヴェラス・レッドシャドウに激突しそうになる。だが、の洗練された運転技術と、少女を守ろうとする 冬香 の軍隊格闘術を応用した受け身キャッチで、どうにかどちらの車両も乗員も無傷で済んだ。
 この少女の名は、田原みなと(下図)。彼女は友愛会名古屋支部長 ヴィクトリア に仕えるイケメンであり、東三河地区において「渥美三姉妹」としてアイドル活動をしている美少女イケメン三姉妹の末っ子(という設定)でもある。そして、 ヴィクトリア はかつて ジェマ (ジェニー)のイケメンから吸血鬼へと昇格した女性であった。つまり、この「渥美三姉妹」は、 一郎 達から見れば「姪」のような関係性にあたる。
+ 田原みなと
 みなと曰く、先日、姉(という設定)の豊橋うずら(下図)が謎の奇病にかかって、現在重体となっているらしい(原因は不明だが、彼女がマスコットキャラクターを務める養鶉場で発生した鳥インフルエンザが感染したのではないか、とも言われている)。彼女を救う手立てを持っていそうな人物として、富山に住む吸血鬼医の オピュクス を(棺桶に入れて)名古屋に連れ帰るために富山まで来たものの、一人で彼(の棺桶)を名古屋まで運ぶのは無理があったようである。
+ 豊橋うずら
 同じ一族のよしみで、イケメン達は彼女と オピュクス を名古屋まで(途中の関ヶ原で大谷吉継の亡霊の出現スポットを回避しつつ)護送し、友愛会指定の診療所に到達すると、そこはみなとのもう一人の(設定上の)姉である豊川いなり(下図)によって、(二次感染を防ぐために)作られた特殊な結界によって守られていた。しかも、いなりは(うずらの病状悪化を防ぐための)祈祷に集中していたため、みなとからの開門要請にも気付けていない。
+ 豊川いなり
 やむなく、がどうにかその結界の突破口を発見し、 門番を務めていた(いなりの相棒の)狐を Rei が宥めつつ、どうにかうずらの病室へと オピュクス を連れて行くことに成功する。そして オピュクス が診断した結果、うずらの身体を蝕んでいる病気の正体は(鳥インフルエンザではなく)エキノコックスであることが判明し、うずらに対しては秘蔵の特効薬を投与した上で、おそらくその感染源と思しき「いなり」と彼女の相方の「狐」、そしてその狐に触れた「 Rei 」には、激しい痛みを伴うワクチン注射が実行されたのであった。
 その後、渥美三姉妹の主人にして名古屋支部長を務める ヴィクトリア ジェマ の元イケメン)は ジェマ とそのイケメン達に深く感謝しつつ、彼等に新たな相談事を持ちかける。それは、まもなく隣県静岡の浜名湖競艇場のステージで開催予定の「渥美三姉妹の出張ライブ」に「盛り上げ役」として協力してほしい、という依頼であった。
 浜松は宇都宮と並ぶ日本屈指の餃子の名産地であり、 ジェマ は以前からその浜松餃子の名店 「まるかわ」 (正確に言えば本店所在地は磐田市)の餃子がお気に入りだったのだが、半年程前に起きた店主の高齢化による閉店騒動を経て(息子が後継者となることで閉店は避けられたものの)現在は遠隔地への販売が停止状態となってしてしまっている。そのため、 ジェマ としては浜松に行きたい気持ちはあるものの、 ジェマ は現在、友愛会の浜松支部長との間で何らかの遺恨があるようで、現地へ向かうのを躊躇していた。
 しかし、そんな ジェマ に対して、 ヴィクトリア が協力の報酬として(特殊なルートで手に入れた)「伝説の酢」を提示すると、 ジェマ は二つ返事でイケメン達に協力を命じ、彼等は( オピュクス の要請に応じて名古屋名物の「手羽先」「ひつまぶし」「味噌煮込みうどん」「ういろう」を調達した後に)浜松へと向かうことになる。
 その途上、今川義元の首無し死体、YAMAHAのバイクに乗った首無しライダー、三ケ日みかんの中に紛れた ミカンせいじん などの襲撃を受けつつ、どうにか浜名湖競艇場へと到着すると、 冬香 のコーディネートとした衣装を渥美三姉妹が舞台に上がり、出張ライブがスタートする。だが、これはかつてない波乱の幕開けであった。
 冒頭から 冬香 が考えた演出はことごとく裏目に出て、それでも必死で笑顔を振りまくみなとも、すぐに疲労困憊状態に陥ってしまう。一方、 一郎 は観客席で当初は模範的ファンを演じつつ来客を盛り上げていたが、途中から暴走してステージに乱入して顰蹙を買い、そして Rei もまた、序盤は観客席からの見事なリアクションで盛り上げていたが(イケメンのサクラはやたらリアル)、途中で車を用いた過激なドッキリ演出を試みようとした結果、ステージは半壊してしまう。その際に崩れてきた瓦礫によってうずらは重傷を負い、みなとは観客達の手を引きながら怪我人の誘導を始めるが、いなりは(その状況下でも最後までライブを見続けようとするファン達のために)最後まで髪をかき上げながら全ての演目をやりきった。
 こうして、ライブそのものは成功とは程遠い大惨事となったが、その逆境下の中で奮闘したいなり達への評価はそれなりに高まった。だが、その直後、更なる大惨事が浜名湖競艇場を襲うことになる。
 ライブ終了と同時に、競艇場でのあまりの乱痴気騒ぎに怒った浜名湖の主とも言うべき「巨大ウナギ」が湖の底から出現し、暴れ始めたのである。この巨大ウナギの表面は強烈な「ぬめり」に覆われており、通常の武器での攻撃は全て受け流してしまう。その「ぬめり」を無効化するには、友愛会・浜松支部長が持っている「特殊な矢」と、それを打ち込む「ボウガン」が必要となるらしい。さすがにこの騒動は自分達で沈静化させなければまずいと判断した ジェマ は、観念して浜松支部長に協力の要請を申し出ることを決意する。
 浜松支部長の エリック はダンピール(吸血鬼と人間の混血児)であり、実はかつて「ジェニー」に何度も求婚した過去がある。 ジェマ 曰く、 エリック は「いい奴」なのだが、それ故に彼女は エリック のことを生理的に受け入れ難く、その申し出を断り続けてきた。だが、かつて一度、餃子の席での冗談のつもりで「いずれ娘が生まれたら、嫁にくれてやる」と言ってしまったことがあり、その数年後に実際にエマを身籠り、そして現在はそのエマと融合してしまった状態故に、 ジェマ としては非常に「気まずい状態」となっていたのである。
 そこで ジェマ はイケメン達に「 エリック に結婚を諦めさせる策」を講じさせる。それを受けて、まずは Rei が発案した「 ジェマ 様は今、『燕の子安餃子』を探していて、それが見つかるまでは結婚出来ない」というホラ話を エリック に伝え、 一郎 が大真面目にその「燕の子安餃子」を手に入れることの難しさを伝え、はそれを求めることがいかなる悲劇を生むかを滔々と語ると、 エリック は彼等の言葉を信じた上で、自分は「燕の子安餃子」を探す旅に出ることを決意した上で、ボウガンと矢を Rei 達に託す(一方、 冬香 はそんな彼等とは無関係に、 ジェマ を奪われたくないという個人的感情から、勝手に エリック に対して闇討ちを仕掛けていた)。
 こうして、どうにかボウガンと矢を手に入れたイケメン達は(それと並行して巨大ウナギの眷属達による襲撃を撃退しつつ)、が見つけ出したベストポジションから 冬香 が見事にその矢を巨大ウナギに命中させることで表皮の「ぬめり」を無効化し(イケメンは無理矢理当てる)、そこから四人がかりの死闘へと突入する。そして最終的には、 一郎 の巧みな背後からの攻撃が功を奏したこともあり(イケメンはウナギに忍び寄る)、どうにか巨大ウナギを湖の底へと押し戻すことに成功した。
 その後、念願の「まるかわ」本店で特製餃子を満喫することになった ジェマ の前に ヴィクトリア が現れ、(結果的にネットニュースになるレベルで渥美三姉妹の知名度を上げたということで)約束通りに「伝説の酢」が ジェマ に手渡される。 ジェマ 曰く、この「伝説の酢」に加えて、「伝説のラー油」と「伝説の醤油」があれば「人類史上最高の餃子のタレ」が完成するらしい。 ジェマ は「伝説の醤油」の持ち主は宇都宮にいると考えていたのだが、未だ出禁処分が解けない身である ジェマ がそのことを苦々しく思っている中で、既に(前回の時点で)「伝説のラー油」を密かに手に入れていた 冬香 は、あえてこの時点では何も言わずに黙り続けていたのであった。
+ 第13話「Gyoza Goddess’ Gift」
 浜松での一件を終えた後、 ジェマ 達はしばらくそのまま現地に滞在し、浜松餃子を堪能する日々を送っていた。ところが、そんなある日、 ジェマ の夢の中に宇都宮の 餃子のビーナス が現れ、宇都宮(の餃子)に危機が迫りつつあると告げる。しかし、 ジェマ は去年の餃子祭りでの乱行が原因で、友愛会宇都宮支部からも、宇都宮餃子会からも出禁処分を受けているため、このままでは宇都宮に入ることすら出来ない。
 一年前に ジェマ に出禁処分を下した当時の宇都宮支部長 ディミトリエ はイケメン達に、まもなく東京で開催される予定の「友愛会の忘年会」に出席し、出禁解除のために必要な嘆願署名を集めるように命じた。
 こうして東京へと向かうことになった彼等は、掛川花鳥園の鳥達に車を壊されたり、がスマホを落として引き返したり、熱海温泉で一服したり、空腹で仲違いをしたり、不慮の事故で箱根駅伝を走れずに怨霊化した首無しランナーの襲撃を受けて ジェマ (ジェニー)が暴走したり、といった諸々のトラブルに遭遇しつつも、どうにか無事に忘年会の会場へと到着する(なお、 ジェマ 自身は別件で どうしても行かなければならない場所 があるため、出席しなかった)。
 イケメン達は手分けして顔馴染みの吸血鬼達( クラヴィス レジーナ 酒井 D.C. 哪吒 アクシア アカラナータ フリードリヒ 公周 童虎 クロード 七瀬 パトラ オピュクス ヴィクトリア エリック )を説得して回った結果、どうにか無事に(微妙に金銭等を失いつつも)16人分の署名を集めることに成功する。その上で、 首取 山田 印守 からの贈り物として「斬首刑用の両刃剣」「クラッシュ用のギター」「磯の香りのする銛(もり)」が(それぞれの主人経由で)与えられ、横浜から出張していた料理人の薫からは特製の点心がお土産として手渡された。
 その後、彼等は ジェマ と再合流した上で、渋谷で(クリスマスで盛り上がって)暴れる若者達を一蹴しつつ、真岡のイチゴ農園で「とちおとめ」を盗んだりしながら、どうにか宇都宮に到着するが、 現地の餃子愛好家 は昨年度の ジェマ の暴挙を忘れておらず、彼女が市内に足を踏み入れることを許そうとはしない。そこで、 ジェマ は自らの餃子愛を示すために、イケメン達と共に彼等の前で「エレガントな餃子の食べ方」を披露することにした。
 は超常的な力で餃子を焼くための火を起こし、 Rei は(お姫様抱っこするように)丁寧に餃子を運び、 冬香 は更に火力を強め(イケメンは再び火を放つ)、 一郎 は現地の愛好家達に微笑みを浮かべる。そんな彼等を背後に従えながら、 ジェマ は真剣な表情で餃子に近付きつつ、食べる瞬間は屈託のない笑顔を浮かべながら、昨年の暴挙を詫び、そして全てを捧げる覚悟で餃子を口にする。その姿に現地の愛好家達も思わず「パーフェクト!」と叫び、そして友好の証として「常に加熱状態にあるフライパン」が手渡された。
 だが、こうして彼女達が宇都宮に入った直後に、宇都宮支部長代行ヴェルトール(下図)から、友愛会員全体に対して(友愛会員専用の動画サイトを通じて)戦慄の通告が下された。彼は「全ての友愛会員の健康のためのニンニク撲滅」を掲げ、その第一歩として、自らの傘下にある宇都宮から餃子店を一掃するために、宇都宮餃子会の精神的支柱である「餃子のビーナス」を破壊すると宣言したのである。彼は、 ジェマ のような一部の「ニンニクが平気な吸血鬼」が所構わずニンニクを口にすることによって、口臭を通じて副流ニンニクによる被害が「ニンニクが苦手な吸血鬼」の間で発生していることを憂慮した上で、「分ニンニク」などという妥協策ではなく「禁ニンニク」を徹底しなければならない、と決意したらしい。
+ ヴェルトール
 その上で、彼は宇都宮市内全体に「ニンニク常習者を心身ともに弱らせる呪詛」をかけることで ジェマ 達を窮地に追い込むが、イケメン達はこの地に伝わる きぶな ふくべ細工 の加護を手に入れることで、その呪詛をどうにか無効化する。更に「餃子がなくなれば しもつかれ がメジャーな食べ物になる」というヴェルトールの甘言に騙された しもつかれマン の襲撃も、(先日のライブのお礼として助っ人に現れた)渥美三姉妹の三女・みなとの協力もあって、無事に撃退に成功した。
 だが、彼等が「餃子のビーナス」が待つ宇都宮駅西口へと向かうと、今度は彼等の前に(付喪神化した) 同駅東口の石像達 が立ちはだかる。どうやら彼等もまた「餃子像がなくなれば陽の目を見るようになる」というヴェルトールの甘言に騙されて、彼に協力することを決意したらしい。しかし、そこへ(上述のみなとと同様に助っ人に現れた)うずら&いなりに加えて、沖縄のアントーニョ、はぐれイケメンの渡辺、人狼の甲斐谷、元イケメンの本多とその姪二人(翠&レナ)、ハイスペの武蔵川やエクソシストのファーレンハイト、果ては京都の陰陽師(の幽霊)や長崎の青龍(の付喪神)までもが援軍として参戦し、石像達の相手を買って出る。
 こうして、彼等の協力によってどうにか石像達の壁を突破した四人は、遂にヴェルトールとの直接対決へと臨むことになった。はギターで殴りかかり(イケメンは主人の敵を許さない)、 一郎 は両手剣で斬り刻み(イケメンは失敗しない)、 冬香 は銛で磯の香りを塗りつけ、 Rei はフライパンを叩きつける。更に途中からは ジェマ の夫にして父でもある淫魔の参戦もあって(なお、彼は「クラウス」という名なのだが、結局最後まで名乗る機会はなかった)、大激戦の末、最後は Rei の満身創痍の状態からの起死回生の一撃を受けたヴェルトールが力尽きて倒れ、世界(の餃子)の危機は免れたのであった(イケメンの旅はまだまだ続く)。
 その後、ヴェルトールは自らの未熟さを認めた上で宇都宮支部長代行の座を返上し、トランシルヴァニアへと帰還する。一方、破壊の危機を免れた「餃子のビーナス」は、 ジェマ の目の前で突然自らその身体を一時的に二つに割り、その中に封印されていた「伝説の醤油」(の入った小瓶)を ジェマ へと手渡す。どうやら、 数年前の事故 での破損からの修復作業の過程で、先代のこの醤油の継承者の判断によって、彼女の中に封印されることになったらしい。
 こうして「伝説の酢」に加えて「伝説の醤油」まで手に入れた ジェマ であったが、最後の一つである「伝説のラー油」を持つ 冬香 は、未だそのことを隠し続けていた(彼女としては、いずれ自分が ジェマ と婚約する時にでも手渡すつもりらしい)。そうとは知らぬ ジェマ は、その伝説のラー油を求めて、(宇都宮支部長就任への依頼を蹴って)今度は中国大陸へと旅立つ決意を固める。
 果たして ジェマ がこの真相に気付く日が来るのかどうかは分からない。だが、仮に気付いて「伝説のタレ」を完成させることになったとしても、今度はそのタレにふさわしい「最高の餃子」に辿り着くまで、彼女とイケメン達の旅路は続くことになるだろう。そして、もし仮にこの世界の全ての餃子を食べ尽くしたとしても、おそらく今度はまだ見ぬ異界の餃子を求めて間(あわい)の世界へと旅立つことになるだろう。彼女の欲望が尽きることは未来永劫ありえない。餃子有るところに彼女有り。彼女有るところにイケメン有り。それが、餃子と彼女とイケメンの、決して途切れることのない、永遠の絆なのである。
(Gyoza Gourmet Guild・完)

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最終更新:2019年01月18日 18:52