+ | ウルノフ(人間/騎士) |
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+ | フォルトゥナート(エルフ/戦士) |
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+ | ロビン(人間/盗賊) |
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+ | ジェマ(ハーフエルフ/魔術師 |
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+ | レン(ハーフエルフ/精霊使い) |
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+ | イシリオン(ハーフエルフ/司祭) |
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+ | 第1話「氷竜姫の導き」 |
新王国歴509年、呪われた島と呼ばれたロードスの北東部に位置する千年王国アラニアに、大陸から一人の騎士が来訪した。彼の名はウルノフ。本来は大陸の某国に仕える騎士であったが、彼のことを快く思わない上官の命令により、ロードス島のどこかに眠ると言われる(実際に存在するかも分からない)「支配の王錫(おうしゃく)」を持ち帰るために、たった一人でこの島に派遣された。実質的には、ほぼ追放刑を受けたに等しい立場であった。
そんな彼がアラニア極北の村ターバの近辺に足を踏み入れた時、彼の目の前に謎の女性(下図)が現れる。背中に翼を生やし、尖った耳を持つその容貌から、彼女が人ならざる存在であることはすぐに分かる。彼女はウルノフに素性や目的を訪ねたが、ウルノフは黙して何も答えない。その頑とした姿勢に彼女は苦笑を浮かべつつ、ひとまずその場彼の場から去って行った。
その後、村の広場で彼は、たまたまその場に居合わせた他の旅人達と共に、村人から「ゴブリン退治」と「人探し」の依頼を受けることになる。村人曰く、数日前、村に現れたゴブリン達との小競り合いが発生し、ひとまず撃退には成功したものの、血気盛んな村の若者であるパーン(下図)が逃げるゴブリン達を一人で追走して、そのまま帰って来ないらしい。このゴブリン達を退治した上で、出来ればパーンも無事に連れ帰ってほしい、というのが彼等の依頼であった。
この時、ウルノフと共に依頼を受けたのは、人間について学ぶために旅をしているエルフの戦士フォルトゥナート、生き別れの姉を探すハーフエルフの精霊使いレン、アラニアの首都アランの「賢者の学院」に所属する女魔術師ジェマ(実はハーフエルフだが、耳を隠している)、ローブでその姿全体を隠した謎の女司祭イシリオン(実はダークエルフの血を引く暗黒神の司祭だが、そのことは隠している)、戦斧を背負った正体不明の旅人ロビン(実は盗賊だが素性は全て隠している)の五人であった。
自分の素性を一切語ろうとしないウルノフも含めて、互いに何者なのかもよく分からないまま、ゴブリンが根城にしていると思しき村の北部の(旧炭鉱跡の)洞窟へと向かった六人は、その途上で奇襲を掛けようとしてきたゴブリン達を(ロビンがその存在に気付いたこともあって)あっさりと撃退し、やがて洞窟の入口まで到達した時点で、奇妙な足跡に気付く。 無数のゴブリン達の足跡に混ざって発見されたのは「(パーンと思しき)人間の男性の足跡」と「女性用のハイヒールと思しき足跡」であった。不審に思いながらも六人が洞窟の中に入ると、その洞窟の途中で彼等の進行を塞ぐかのように巨大な「氷」が立ち塞がり、その中心に「氷漬け状態となっているパーンの姿」を発見する。レンが精霊魔法の力で生気を確認したところ、まだパーンには息があったようなので、ひとまず氷を破壊して(ジェマによる絶妙な力加減の妙技もあって)無傷で彼を助け出す。パーン曰く、彼はこの洞窟の中で遭遇した「亜人種と思われる女性」に「しばらくそこで眠っていろ」と言われて、いきなり氷漬けにされていたらしい。 その後、洞窟に潜んでいたゴブリン達を激戦の末に殲滅した彼等の前に、一人の女性が現れる。それは、ウルノフがターバの村の近くで遭遇した上述の「背中に翼を生やし、耳の尖った女性」であり、彼女こそがパーンを氷漬けにした張本人であった。その女性曰く、彼女はこのアラニアに住む「氷竜ブラムド」の分身体であり、この洞窟の奥にある「何か」を探しに来た、とのことである(パーンを氷漬けにしたのは、このまま放置しておくとゴブリン達に殺されると判断したが故の緊急措置だったらしい)。 そして彼女は、この地を訪れた「どの国の一員でもない旅人達」である六人に対して「この島の危機を救うために、手を貸してほしい」と依頼する。彼女曰く、どうやらまもなく、この島に未曾有の危機が訪れようとしているらしい。それを防ぐため、彼等には、彼女を含めた「五色の魔竜(氷竜、水竜、火竜、金竜、黒竜)の分身体」のマスターとなって、この島のどこかに眠る「古代魔法王国の秘められし力」を解放する手助けをしてほしい、とのことである。その力はあまりにも強大であるが故に、国家権力とは無縁の彼等に頼むのが妥当と考えたらしい(なお、パーンは「まだ精神的に未熟」という理由で対象外とされた)。 当初、ウルノフは彼女の話に対して懐疑的であり、彼女に剣を向けようとするが、彼女が再び氷結能力を発動させてその剣を腕ごと凍らせると、素直に彼女の力を認めて、自ら彼女のマスターとして名乗り出る。彼女もその心意気を買い、彼を新たな主とする旨を了承した上で、彼に対して「私に名前を付けてほしい」と告げる(彼女自身は「ブラムドの分身体」だが、個体識別名として、自分のアイデンティティとなる「名前」が欲しかったらしい)。 彼女のその要望に対して、ウルノフが「グレイス」と名付けると、彼女はその名前を気に入り、おもむろに彼の額に自分の額を近付ける。すると、ウルノフの額に謎の紋章が浮かび上がり、彼女はその紋章の「中」へと収束していった(以後、彼女の魂はウルノフの体内に宿った状態となり、希望に応じて「具現化」が可能となる)。 その後、彼等がターバの村へと帰還すると、村人達は彼等に感謝して報酬を手渡す。その上で、彼等は(グレイス曰く「最も温厚な魔竜」である)水竜エイブラの住処の近くに存在する自由都市ライデンへと海路で向かうために、まずは港町ビルニを目指す方針を固めた。こうして、ロードスの平和を守るための六人の旅が、極北の村からひっそりと幕を開けたのであった。 |
+ | 第2話「水竜姫の囁き」 |
港町ビルニを目指すウルノフ達6人は、まずはその途上に位置する隣村のザクソンへと向かうことになった。この村はパーンの故郷ということもあって、ひとまず彼に現地までの案内役を任せた上で、ザクソン行きの馬車に乗った彼等は、その途上で巨大ムカデに襲われていた木こりの男性を助けつつ、無事にザクソンへと辿り着く。
その後、これから先の長旅に備えて、ザクソンの商店街で各自が個人用のテントなどを購入する中、ジェマは賢者の学院の同僚であったスレイン・スターシーカー(下図)と遭遇し、「賢者の学院が崩壊した」という衝撃の事実を伝えられる。
スレイン曰く、かつて(魔法を悪用しようとしたため)賢者の学院を追放された魔術師バグナードが突如舞い戻り、学院の魔術師達を次々と殺害し、貴重な書物を奪った上で建物に火を放ち、学院全体を焼け野原にしてしまったらしい。バグナードの目的は不明だが、もしかしたらグレイスが語っていた「この島の危機」とも何か関係している可能性も十分あり得ると考えたジェマは、改めて警戒心を強める(その間にイシリオンは村人の一部に暗黒神ファラリス教団の「自由を尊ぶ教え」を布教し、ロビンは闇市での精力剤業者へのムカデ肉の売り付けに失敗し、ウルノフはパーンに騎士の心得としての「謙虚さ」の重要性を伝えていた)。
翌日、彼等はパーンと別れた上で、馬車に乗って港町ビルニへと無事に到着し、(前日に助けた木こりからの紹介状もあって)ライデン行きの船便を見つけることには成功するが、高額の船賃を提示されて、(変装用の白粉を大量に買って金不足になっていた)イシリオンは難色を示す。そんな中、彼等の前に一人の仲介屋(下図)が割って入ってきた。
彼はライデンの商人ギルドの一員だと名乗り、格安の船賃での便を紹介する。フォルトゥナートはその男の怪しげな風態を見て激しく訝しむが、他の者達は彼の話を信用し、そのまま六人で格安便に乗ることになる。
だが、その船は非合法な奴隷商人達による海賊船だった。彼等の案内された船室の壁の不自然な位置に開けられた空気穴から(おそらくは何らかの人体に害を及ぼす)「香」が流れ込んでくることに気付いたフォルトゥナートは、すぐさまそのことを皆に告げ、ジェマとレンの魔法も駆使して扉を破壊し、船室の外に出る(その過程で、火の精霊が床に燃え移ったことで全員が軽い火傷を負う)。 その後、改めて彼等を取り押さえようとする海賊達との乱戦となり、一時は(火傷の影響もあって)イシリオンが倒れ、ウルノフも絶体絶命の窮地へと追い込まれるが、間一髪のところでどうにか勝利を収めることになる。 その後、ウルノフ達が生き残った船員達を脅してライデンに向かうよう仕向ける一方で、ロビンとフォルトゥナートは、船内に潜んでいた一人の少女(下図)を発見した。
どうやら彼女もまた奴隷として売られそうになったところを、途中で抜け出して隠れていたらしい。だが、そんな彼女からは、どこか人間離れした雰囲気が漂っていたことにフォルトゥナートは気付く。彼女はロビン達に対して「竜」に関する何かを知っていることを仄めかしつつ、現状において彼等の元にまだ「一人(氷竜姫)」しかいないことに気付くと、「今はまだこれ以上語るべきではない」と言い残し、その場に倒れる。そしてイシリオンの応急手当てで目覚めた時には、今まで自分が何を話していたのかも分からない様子で、ただ呆然と今の状況に混乱していた。彼女は「サビーネ」と名乗ってはいるものの、名前以外の素性については、本人すらもよく覚えていないらしい。
その後、ライデンに着いた彼等は、ひとまず疲弊した様子のサビーネと、(もともと船酔い状態ながらもここまで無理して奮闘していたことで)体調が限界に達していたロビンを船宿に預けた上で、水竜姫の手掛かりを探すために街中に出てみることにした(なお、海賊船の船員達は今後も手下として協力させることにした)。 (ウルノフの中の)グレイス曰く、エイブラは「太守の秘宝」を守るために青竜島から動けない呪縛をかけられており、グレイスのような形での分身体を直接的に作り出すことは難しいため、おそらくは自身の魂の一部を切り取って「人間」として受胎する形でライデンのどこかに潜んでいる可能性が高いらしい。なお、エイブラの「本体」はライデンの沖合に位置する青竜島に鎮座しており、本体に話を聞くのが一番確実ではあるのだが、昨今はその青竜島近辺を根城とする海賊達がいる(しかも、その海賊団には強力な精霊使いも加わっている)ため、安易に近付くのは危険であった。 そんな中、彼等はライデンの下町の酒場にて、「青竜島の海賊討伐計画の参加者募集」という貼り紙を発見する。提唱者の名は「ライデン評議会の議長の娘・リンファ」と書かれていたが、街の人々曰く、リンファは元来は自ら率先して海賊と戦いたがるような気性ではなく、あまり人前に出ることもない大人しい箱入り娘だったため、この告知に対しては皆一様に困惑しているらしい。 この件に関して何か裏があると考えたウルノフ達が、それぞれ手分けして情報を集めていると、青竜島に関する情報収集をしていたジェマの前に、テティスと名乗る少女が現れる(下図)。彼女はリンファの侍女であり、最近の(海賊討伐を言い出した頃からの)リンファから、何か不気味な「人知を超えた力」が感じ取られるようになったため、その正体を突き止められそうな「博識な魔術師」を探していたらしい。
その話を聞いたジェマは、リンファが水竜姫である可能性を想定した上で、仲間達と共に彼女達の住む議長の屋敷へと案内されることになった。この時、ジェマは屋敷の周囲から「凶々しい魔術師の気配」を感じ取りつつも、ひとまずは平静を装いながら、実際にリンファと対面することになる(下図)。
ジェマがリンファの瞳の奥を覗き込むと、何らかの魔術の力で彼女に「暗示」にかけられていることが分かる。おそらく、唐突に海賊討伐を提唱し始めたのも、その暗示の影響であろう。しかも、それはかなり高位の魔術師の仕業であり、これを解くことはジェマには出来そうにない。一方、(暗黒の島マーモ出身の)イシリオンは、リンファから「マーモの皇帝ベルドの側近である(「賢者の学院」を滅ぼした張本人である)魔術師バグナード」の気配を感じ取り、そしてレンもまた「リンファの背後」から奇妙な力を感じると同時に、彼は侍女のテティスからも何らかの「人ならざる者のオーラ」を感じ取っていた。
彼等はそれぞれに困惑しつつ、ひとまず海賊退治には協力することを約束した上で、一旦リンファの前から去り、互いに感じ取った彼女達の印象を情報として共有した上で、改めて青竜島や海賊達に関する情報を探すための情報収集へと向かう。 そんな中、バグナードがこの事件に関与している可能性を危惧したジェマが、街中で彼の足取りを探っていたところで、彼女の前にまさにそのバグナード本人が姿を現す。どうやら彼は五色の魔竜が守る「太守の秘宝(の中のどれか?)」を探しており、青竜島へと調査に行く上で邪魔な海賊達を一掃するために、リンファに暗示をかけて海賊討伐を促したらしい(人選の理由は、彼女が立場的に煽動役として適任であり、なおかつ精神が未熟であるが故に暗示にかけ易かったから)。ジェマの側は自分達の目的は伏せつつも、太守の秘宝に手を出す意志はないことを明言した上で、相互不干渉を互いに要求しつつ、その場は別れることになった。 そしてこの日の夕刻、ジェマ達が宿屋へと戻って来ると、部屋で療養していた筈のロビンとサビーネの姿が消えており、その場には「この男を借りていく」という書き置きが「サビーネ」のサインと共に残されていた。五人はその行方を探そうと手を尽くすが、全く手掛かりすら掴めなかった(この真相については来週明らかになる予定)。 行方不明の二人のことを心配しつつも、ひとまずは海賊退治に向かうことになった五人は、テティスの提案に従い、対海賊の最前線ではなく、リンファの身辺警護を任されることになった。序盤の戦いでは討伐隊は優位に戦いを進め、リンファの近辺にまで敵の手が及ぶことはなかったが、途中でレンとフォルトゥナートは(おそらくは海賊団の精霊使いによって放たれた)風の精霊シルフの気配が自分達の船内に入り込んでいることに気付き、迎撃態勢に入る。激戦の末、彼等はどうにかシルフによる襲撃を退けることに成功するが、その過程でテティスが、シルフからリンファを守るために一瞬だけ(グレイスの作り出した「氷の壁」と同様の)「水の壁」を出現させていたことに、ジェマだけが気付いていた。 やがて戦いは無事に討伐隊の勝利に終わり、兵士達が歓喜の声を上げる中、リンファにかけられていた暗示が解け、彼女は(これまで自分が何をしていたのかも分からないまま)「素」の状態に戻る。ひとまずテティスがその場を取り繕いつつ、彼女はジェマに対して「二人で話がしたい」と告げ、彼女を別室へと案内し、他の者達がいないことを確認すると、彼女の前でそれまで隠していた自身の「羽」を広げ、「耳」を本来の姿に戻す(下図)。
テティスは自分の正体が水竜エイブラの分身体であることをジェマに告げ、ジェマもまた、自分達が氷竜姫と共に彼女を探しにこの地に来たことを伝えると、テティスは囁くようにジェマに「私のマスターになってくれませんか?」と申し出る(テティスは、ジェマ達が自らの力を託すにふさわしい人物かどうかを見極めるために、あえて黙っていたらしい)。ジェマがその提案を快諾すると、テティスは(グレイスがウルノフにした時と同様に)ジェマの額に自らの額を合わせ、そしてジェマの額に「紋章」を浮かび上がらせた。
グレイスの憶測通り、彼女はエイブラの魂の一部が「人」として転生した姿であるため、グレイスのように「マスターの体内に自分自身を『収納』すること」は出来ない。だが、「契約」によって「マスター」となった人物とは常に意思疎通が可能となり、グレイスのような存在としての「テティスの分身体」をジェマの額の紋章から生み出すことが出来るようになる。テティスは今後もリンファが何者かに利用される可能性を危惧した上で、彼女自身はテティスの傍に仕え続けつつ、いつでもジェマの呼びかけがあればその力を貸すと約束するのであった。 |
+ | 第3話「金竜姫の輝き」 |
海賊退治を終え、テティスと契約を交わし、無事に宿屋に戻ってきた5人の前に、行方不明だったロビンが一人で現れる。彼はこの間の自分の行動については軽くはぐらかした上で、サビーネについては何処かへと姿を消したと告げる(その真相は以下の通り)。
一方、宿屋の近くの酒場では、新たに不穏な噂が流れてきた。このライデンとモスの間に位置する「鏡の森」で、巨大な灰色熊(グリズリー)が大量に出現する事件が発生したらしい(元来、灰色熊は単体で出没することが多く、これは極めて稀な事例である)。鏡の森は多くのエルフが住むことで知られており、フォルトゥナートの故郷でもある。フォルトゥナートがすぐさま現地へと向かうことを決意すると、他の五人も彼に同行するという方針で一致し、ひとまずは(元)海賊船に乗ってロードス島西岸に位置する、鏡の森に最も近い村へと向かうことにした。
その海路の途上では巨大海蚯蚓との遭遇をウルノフの機転で回避し、上陸後の陸路では巨大蟻による襲撃を撃退した上で、無事に鏡の森へと到達した彼等は、フォルトゥナートの口利きによって森へと入ることを許された上で、森の各地で猛威を振るう灰色熊との連戦を闘い抜き、どうにか首魁と思しき親熊の退治に成功する。 そしてこの過程で、彼等は二人の女竜騎士と遭遇していた。一人はまだ幼さの残るエレナ(下図上)という少女で、もう一人は妙齢のソニア(下図下)という女性であった(なお、この時点で「ウルノフの中のグレイス」と「ジェマの中のテティス」は、エレナとテティスの双方から「竜姫の気配」を感じ取っていたのだが、ひとまずこの時点ではウルノフもジェマも黙っていた)。
二人はそれぞれに個人的に灰色熊退治に協力するためにこの森に来ていたようだが、なぜかエレナはソニアを敵視するような態度を見せ、灰色熊を殲滅して森の平穏が取り戻せたことを確認した時点で、彼女は(ソニアから逃げるように)森を去り、そのことを知ったソニアもまた別の方向へと飛び去って行った。
その後、この森の有力な氏族の長であるフォルトゥナートの父は、息子と(フォルトゥナート曰く)その「下僕」の5人を歓待し、この機にジェマは召喚魔法の触媒としての樫の木材を手に入れ、イシリオンはファラリスの教義の布教に勤しむ(しかし、フォルトゥナートに止められる)。なお、鏡の森のエルフ達曰く、エレナとソニアはいずれもモス公国の竜騎士である可能性が高そうではあるものの、特にエルフ側から彼女達に協力を要請した訳ではないらしい(鏡の森のエルフ達とモスの竜騎士達は、百年以上前に勢力圏を巡って小競り合いになった過去があるため、あまり仲は良好ではないらしい)。 翌日、改めて金竜姫を探すために、鏡の森を出て陸路でモスへと向かうことになった彼等であったが、その途上、今度は野営中に山賊達に包囲される形で襲撃を受けることになる。だが、ウルノフの巧みな指揮の妙もあり、敵の機先を制してその包囲網を切り崩すと、山賊達の首領は部下を見捨てて逃亡し、その場に残された者達は戦意喪失して、あっさりと降伏した。 捕虜となった山賊達曰く、彼等は「飛竜の爪団」と呼ばれる一派であり、他にも「飛竜の牙団」や「飛竜の翼団」といった山賊達がこの地に混在しているらしい。ただ、最近になって竜騎士のエレナという少女がこの地に現れ、山賊団のいくつかを武力で制圧した上で自身の傘下に加え、独立勢力を築こうとしているらしい。そして、彼女と対立関係にあるソニアは、ここから南に位置するモスの最北端の村の警備隊長であるという。 事情がよく呑み込めないまま、ひとまず捕虜達を官軍であるソニアに引き渡すのが筋だろうと考えた六人は、そのまま南下して村に到達し、捕虜達を官憲に突き出した上で、ソニアとの面談に至る。当初、ソニアは余所者である彼等に事情を説明することを躊躇していたが、最終的にはレンの説得が功を奏して、渋々ながらもエレナとの確執の原因を語り始める。 ソニア曰く、エレナは以前はこの村の警備隊長だったが、ソニアの提言によって(「エレナはまだ未熟」という理由から)エレナは解任され、ソニアがその後任に就き、そのことを不服に思ったエレナは「それなら、私は自分の国を作る」と言い放って出奔したらしい。先日の鏡の森での一件に関しても、エレナとしてはソニアよりも先に灰色熊騒動を解決して名声を手に入れたいと考えていたのだろう、というのがソニアの見解であった。その上で、ソニアから「エレナの近辺に最近、怪しげな額冠(サークレット)を付けた女魔術師が出没しているらしい」という話を聞かされた彼等は、ひとまずエレナの現状を確認するための調査へと向かうことにした。 イシリオンが村の裏路地の住人達から得た情報によると、どうやらエレナの率いる「飛龍の瞳団」は最近、村の北方に突如として出現した「塔」に拠点を移したと言われており、その塔を建てたのが例の女魔術師らしい、という情報を突き止める。一方、村の外に出て調査に向かったウルノフとレンはその「塔」(と、その周囲に集まる「エレナの配下と思しき山賊達」)を発見するが、その調査の過程で彼等とはぐれてしまったロビンは、その塔を築いた女魔術師と思しき人物(下図)に遭遇する。
彼女はロビンの身体に残っていた「謎の人物の残り香」を感じ取り、両者の間に不穏な空気が流れるが、その場を通りかかったドワーフの旅人(下図)の気配を察知した彼女は、そのドワーフが姿を現す前にロビンの前から姿を消す。やがてロビンの前に姿を現したそのドワーフは、彼に対して「黒髪の人間の女性」を探している旨を告げ、その外見的特徴が「女魔術師と思しき女性」と一致すると判断したロビンが、彼女がそのドワーフから逃げるようにその場を去ったということを告げると、そのドワーフは怪訝そうな顔をしながらその場を去って行った。
その後、無事に合流した六人がソニアにその旨を報告すると、ひとまずソニア率いる村の警備隊がエレナ率いる山賊団の者達を陽動で塔から引き剥がした上で、その間に六人が塔の内部に潜入してエレナの現状を確かめる、という方針で合意に至る(そしてレンはソニアの配下の古参兵から「竜騎士は『竜熱』という特殊な病気にかかりやすく、早逝する者が多いため、ソニアはエレナの身を案じて、彼女が竜騎士になること自体に反対している」という話を聞かされる)。
翌日、作戦通りに塔の内部へと侵入した六人は、明らかにこの塔が「古代王国の時代に作られた塔」であることを薄々感じ取りつつ、その途上で立ちはだかる魔法生物達を撃破して最上階へと上り詰め、エレナと(上述の)女魔術師と対峙する。そして、女魔術師の姿を見た(ウルノフの中の)グレイスは、すぐに彼女の正体に気付いた。 グレイス曰く、この女魔術師の「本体」は額冠であり、その正体は古代王国の魔術師カーラであるという(そして、現在カーラが憑依している肉体は、氷竜ブラムドの盟友ニースの養女レイリアであるらしい)。カーラはこの世界における光(秩序)と闇(混沌)の均衡を保つために、これまでにも世界の各地で何百年も暗躍し続けた存在であり、五色の魔竜達とはまた別の形で、この世界を守るために戦い続けているらしい(だが、そんな彼女に対して、グレイスもテティスも、あまり快い印象は抱いていない様子であった)。 一方、カーラもまたグレースの正体には気付いた上で、エレナが「(グレイスと同種の存在である)金竜マイセンの分身体ソニア」と「人間の竜騎士」の間に生まれた「金竜の血を引く人物」であると告げる。その上で、エレナには「この島を統一する英雄」となるために、彼女に「神竜の竜騎士」となる道を示していたのだが(その「神竜」なる存在に関しては、グレイスもテティスも知らない)、カーラの言動にどこか怪しげな「裏」があるように感じたフォルトゥナートの説得により、エレナはひとまずカーラと別れて、ソニアの元へと帰還することを決意する。カーラはそんなエレナの決断に対して、一瞬苦々しい表情を見せつつも、「いずれ力が必要になったら、またあなたの前に現れる」と告げて、彼女の前から姿を消す。 その後、エレナを連れてソニアの元へと帰還した六人は、彼女とエレナに一通りの事情を告げると、ソニアは彼等に協力する意を示し、ソニアは(エレナの推薦により)フォルトゥナートとの間で契約を交わした上で、村の警備はエレナに託して、以後は彼等と共に行動することを決意したのであった。
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+ | 第4話「闇竜姫の嘯き」 |
残る二体の魔竜のうち「火竜は一番厄介だから、後にした方がいい」というソニアの助言に基づき、まずは闇竜ナースの分身体を探すため、ウルノフ達はソニアの竜騎士団によってモス北西岸の(彼等の配下の元海賊達が待つ)港町へと空路で護送された後、再び(元)海賊船に乗船した上で、暗黒の島マーモへと向かうことになった。
その途上、海路を阻んでいた巨大な海蟲を撃退しつつ、マーモの領海へと入り込んだ彼等は、哨戒艇に対して偽装したマーモの旗を掲げることでごまかした上で、ファラリスの司祭であるイシリオンが代表者となり、他の者達は「彼女が布教の成果として連れ帰った新たな信者」のフリをすることで、どうにか入国を許された(なお、ジェマは警戒のため、カメレオンの魔法を用いることで自身の姿を消していた)。 やがてイシリオンの案内でマーモの首都に位置するファラリス神殿へと辿り着いた彼等は、信者達から闇竜ナースに関する情報について聞き回ったところ、「マーモの宮廷魔術師バグナードの元に『ナースの使者』と名乗る幼い少女が出入りしている」という噂を聞きつけ、彼の住む館へと向かうことになる(この時点も、バグナードと面識のあるジェマは姿を消したままであった)。 面談を許された彼等の前に現れたバグナードは、ライデンで遭遇したロビンを目の当たりにした瞬間、あの時の彼の背後(サビーネ)から感じられた圧倒的なオーラを思い出し(あのオーラの持ち主がロビン本人だと勘違いしていたが故に)、思わず一歩後ずさりつつ、警戒と焦燥が入り混じった表情を浮かべながら、イシリオンからの要請に応じて、事情を説明することになる。 バグナード曰く、彼はナースの持つ太守の秘宝を手に入れるべく、「ナースの使者」と名乗る少女と交渉中であるらしい。その少女の正体は不明だが、桁外れの魔力を持った、おそらくは人間でも妖魔でもない特殊な存在であり(この時点でウルノフ達は、彼女が「ナースの分身体」である可能性が高い、という想定に至る)、彼女はナースからの要求として、マーモの内地の「死者の山林」に潜む「ダーク・マンドラゴラ(アンデッド化したマンドラゴラ)」を提供するように要求しているという。 ダーク・マンドラゴラは過去に幾人もの者達が入手しようとして失敗したと言われる伝説の魔草だが、ウルノフは(グレースからの助言に基づき)「グレースの力で凍らせれた状態で根こそぎ掘り返せば『引き抜く時の悲鳴』を聞かずに持ち帰れるのでは?」という発想に思い至り、バグナードに、そのダーク・マンドラゴラを自分達が持ち帰ることを条件に、「ナースの使者」との会談の場に自分達も同席させることを要求し、彼もそれに同意する(だが、この時点でテティスやソニアは、一国の宮廷魔術師である彼に自分達の存在を知られることになる可能性を危惧して、この提案には乗り気ではなかった)。 その後、「死者の山林」へと乗り込む前に、山林に立ち込めていると言われる瘴気や毒素に対抗出来そうな薬剤を手に入れようとした彼等がこの街の調剤師の元へと向かうと、そこで彼等の視界に一人の「(肌が浅黒くない)ハーフエルフと思しき女性(下図)」の姿が映る。それはレンが長年行方を探していた、生き別れの姉・リンであった。
リン曰く、彼女は数年前にレンとはぐれた後、各地を転々としていたが、やがて奴隷商人に捕まってマーモへと連れられた後に、とある「お嬢様」に買われて、その人物の専属の「お世話係(主に料理担当)」として働いているらしい。そして今は、その「お嬢様」が所望する伝説の食材「ダーク・マンドラゴラ」を探しており、先日、その調査の過程で「死者の山林」に足を踏み入れた際に特殊な毒素をその身に受けて体調を崩し、その症状を和らげるための薬を買うためにこの調剤師の店を訪れたらしい。
ここまでの話から、おそらくその「お嬢様」こそがバグナードと接触している「ナースの使者(分身体?)」であろうと推測したレンは、この街の一角に位置する彼女の住居の存在を聞き出した上で、一旦(「お嬢様」のおやつを作るために帰宅しなければならなかった)リンと別れ、ひとまずは予定通りに「死者の山林」へと向かうことにした。 「死者の山林」にたどり着いた彼等は、山林全体に漂う毒素の入り交ざった空気に耐えながら、次々と襲いくるゾンビやワイトを撃退しつつ、やがて山の頂上付近に住んでいた、この山の「主」である吸血鬼と遭遇する。吸血鬼は彼等に対して、自身の下僕となって血を捧げれば、ダーク・マンドラゴラの成分の一部を分けてもいいと提案するが、彼等がその申し出を受け入れる筈もなく、実力で吸血鬼を排除した上で、ダーク・マンドラゴラを冷凍保存し、そのまま持ち帰ることに成功する。 街に戻った彼等は、リンから聞いていた場所に位置する屋敷へと向かうと、そこで彼等の前に現れたのは、魔竜の気配を漂わせた一人の少女であった(下図)。推測通り、彼女こそがリンを保護している「お嬢様」であり、闇竜ナースの分身体でもあった。
彼女はリンの手で調理されたダーク・マンドラゴラを満足そうに堪能しつつ、ウルノフ達からの協力要請に対してもそれなりに前向きな姿勢を示すが、この地に残る「闇竜姫としての本体」としての彼女の護衛兼雑用係として、レンにこの地に残って(最近過労で体調を崩し気味の)リンの手助けをするように命じる(彼女曰く「竜姫」と「契約者」は一蓮托生の関係であり、どちらかが死ねば、契約相手の命も失われてしまうらしい)。
レンは仲間達の今後を案じながらもその申し出を受け入れ、そして闇竜姫はイシリオンをパートナーに示し、彼女の中に自身の力を託す。そして、自身の「闇竜姫としての名」が「エマ」であると彼女に告げるのであった。 |
+ | 第5話「火竜姫の轟き」 |
レンと別れた後、最後に残った火竜シューティングスターに関する情報を得るため、マーモのファラリス神殿の信者達を中心に(火竜が住むと言われる)フレイム方面の情報を収集していたイシリオン達は、興味深い噂話を耳にする。
どうやら、ロードス島の中心に位置するヴァリス王国北部において、フレイムとの国境付近を守る兵士達が、一人の女性に率いられた謎の集団の襲撃によって壊滅的な打撃を受けたらしい。その襲撃者達は、フレイムを拠点とする「炎の部族」の中の一派ではないかと推測されており、ヴァリスの首都ロイドでは、彼女達を討伐するための冒険者を募集しているという。 この話を聞いた四人の竜姫達は、おそらくその女性こそが火竜の化身であろうと推測する。今のところ彼女の目的は不明だが、もともと気性の荒い火竜の性格を考えれば、些細なことを契機に人間達と衝突することになってもおかしくはないだろう、というのが竜姫達の認識であった。 ウルノフ達は彼女達の助言に従い、ヴァリスへと向かうことを決意するが、至高神ファリスの信者が多いヴァリスは入国審査が厳しいであろうことを考慮した上で、これまで乗ってきた海賊船を通常の商船であるかのように偽装し、マーモ方面から来たことを悟られないように配慮しながら、ヴァリスの王都ロイドの港へと向かう。だが、港の検問官は、交渉役となったウルノフの風体から何らかの「危険な匂い」を感じ取ったようで、彼等の入国は拒絶されてしまった。 やむなく彼等は、ヴァリス南東部(カノンとの国境近辺)の人気のない海岸から秘密裏に上陸するという手段を選ぶことになる。その上で、ヴァリス入国時の最大の懸念事項となるであろう(ダークエルフの血を引く)イシリオンは船に残したまま、今回はウルノフ、フォルトゥナート、ジェマ、ロビンの四人での密入国作戦を敢行することにした。 四人は無事に上陸に成功し、そのまま人目を避けながらヴァリスの中心部へと向かおうとするが、その途上、山賊達に襲われている若いファリスの神官(下図)の姿を発見する。彼の周囲には既に幾人もの(彼の旅の同行者と思しき者達の)死体が横たわっており、彼自身も自分の身を守るので精一杯の状態であった。
ファリスの神官からの信頼を得ることが出来れば、ヴァリス国内の通行の支障もなくなるだろうと判断した四人は、神官に助力し、山賊達をあっさりと殲滅する。そして彼等の思惑通り、その神官は四人に感謝した上で、彼等の腕を見込んで、フレイム国境の賊討伐に協力してもらうように依頼し、四人もそれを快諾する。ちなみに、この神官の名はエト。ヴァリスのファリス神殿で司祭となるために修行中の少年であった(実はザクソン村出身で、パーンの幼馴染でもあるのだが、それはこの物語本編とは一切関係ない)。
だが、エトの案内で四人がヴァリスの王都ロイドへと辿り着いた時には、冒険者募集は既に終了し、討伐隊は北部国境へと向かった後であった。それでも、後追いながらも五人が北の山岳地帯へと足を踏み入れると、そこは明らかに超自然的な力による異様な熱気に包まれていた。そのあまりの暑さにジェマは体調を崩し、足元をフラつかせながらも必死で皆と共に北上を続けていくと、やがて彼等の視界に数多の冒険者達の死体が打ち捨てられている様子が映る。そして、その更に先で彼等を待っていたのは、激しい熱気をまとった炎の精霊達の集団であった。 「何しに来た?」と問うに精霊達に対し、フォルトゥナートが正直に「火竜姫に会いに来た」という旨を伝えると、精霊達はあっさりと道を譲る。どうやら、この精霊達は火竜姫に使役された存在であり、「彼等」が来るのをこの地で待っていたらしい。精霊達に導かれるように山頂へと彼等が到達すると、そこには巨大な斧を振りかざした火竜姫の姿があった(下図)。
火竜姫曰く、数日前に「謎の幼女」が彼女の前に現れ、「竜の力を集めている者達」の存在を彼女に告げたらしい。だが、(結果的に「後回し」されたことで)なかなか姿を現さない「彼等」に対して痺れを切らした火竜姫は、「彼等」が自分の居場所を見つけられずにいるのではないかと思い、あえて国境を荒らしてひと暴れすることで「彼等」の目を引こうとしていたのである(残念ながら、その時点でマーモにいた彼等にその情報が伝わる前に、無駄な血が数多く流れてしまうことになった)。
そして、自分の契約相手候補としてロビンを紹介された火竜姫は、彼が「自分の相方」に相応しいかどうかを確認すべく、自分の使役する炎の精霊との一対一の勝負を要求する。日頃は好不調の波が激しいロビンであるが、この重要な局面において、(さすがに精霊相手に通常の武器では歯が立たないため)ジェマの魔法で強化された斧を振り上げて、これまで見せたことがない程の会心の一撃で炎の精霊を瞬殺し、火竜姫はその見事な斧捌きに素直に感服する。 その上で、火竜姫は今度はウルノフ達全員の戦力を推し測るために、「火竜姫自身と炎の精霊達」と「彼等」の勝負を申し込んできた(なお、まだこの事態をよく把握出来ていなかったエトも、なりゆきでこの戦いに巻き込まれていた)。「竜の力は使わない」という約束の上で始まった両者の戦いは熾烈を極めるが、やがて精霊達を倒されて劣勢に追い込まれた火竜姫が、自身の中に秘められた「火竜そのものの力」を発動させようとする。幸いなことに、その渾身の一撃はウルノフの身体には命中しなかったものの、そのあまりに強大なオーラにウルノフの心に戦慄が走り、そして直後にウルノフの中から現れたグレースが「やりすぎだ」と叫んで割って入ったことで、火竜姫も冷静さを取り戻し、彼女は自分をここまで追い詰めたウルノフ達を「竜の力を託すべき者」として認める。 火竜姫は現在の「人間体」としての自身の名が「マルシア」であることを告げた上で、ロビンに「最強の魔竜」としての火竜の分身の力を預ける。一方、火竜が持っている「支配の王錫」を手に入れる機会を密かに伺っていたウルノフは、目の前で「真の魔竜の力」を見せつけられたことで萎縮し、ひとまず現時点での王錫奪取は諦める。そして、よく分からないまま一連の戦いを見せつけられたエトは、自分の恩人である彼等が「何か強大な敵と戦うために極秘の任務を遂行中である」ということを察した上で、この一連の出来事については誰にも告げずに自分の胸の奥に留めておくことを誓うのであった。 |
+ | 最終話「五竜姫の羽搏き」 |
こうして「最後の竜姫」の力を手に入れた彼等は、闇竜姫の力を預かるイシリオンと合流すべく、ひとまずはロイドへと帰還しようとする。だが、その途上の山道で、彼等の目の前に突如として暗黒神ファラリスの眷属である魔犬ケルベロスとヘルハウンドが現れ、彼等に対して襲いかかってきた。どうやら、竜姫達の強大な力が彼等を呼び寄せてしまったらしい。
竜姫達曰く、このような形で魔族の類いを引き寄せてしまうこと自体は彼女達にとっては珍しい話ではなく、むしろ今まで出現しなかったことを不思議に思えていたようだが、おそらくそれはファラリス神官であるイシリオンの身に宿った暗黒神の加護のおかげだったのではないか、というのが彼女達の推測である。彼等はどうにか無事にケルベロス達を撃退した上で、一刻も早くイシリオンと合流すべく、ヴァリス南東部の海岸へと向けて歩を早める。 一方、エマの元に残っていたレンもまた、エマからイシリオンの身に危険が起きる予感を聞かされたことで、(リンの体調が回復したことを確認した上で)彼女の眷属のワイバーンに乗って、イシリオンの元へと向かうことになる。すると、そこでは(イシリオンの放つ妖魔のオーラを毛嫌いしたのか)イシリオンを乗せた海賊船がウンディーネ達に襲われていた。 レンとウルノフ達の加勢を受けて、どうにか(イシリオンの信者となった海賊の一人が犠牲になったものの)ウンディーネを倒した彼等は、無事に合流を果たす。そして遂に一同に会すことになった五人の竜姫達は、具現化した状態で互いの魂を重ね合わせ、それぞれの頭の中に断片的に残されていた記憶を繋ぎ合わせることで、ようやく隠されていた「真相」に到達する。 グレース曰く、この島には彼女達とは別に「神竜」と呼ばれる特殊な竜が存在するらしい。それは、かつて神々の争いが起きた際に、光闇どちらの陣営に与することも拒否した中立神の一人が、「竜」の姿へと身を変えた存在であり(なお、 別の大陸 には獣の姿へと身を変えた中立神達もいるらしい)、元来は「時」を司る神であるという。神竜はその「未来を見通す能力」故に、全ての争いを不毛と感じ、この島の「帰らずの森」の地下で、静かに隠遁生活を送る道を選んだ。 歴代の古代魔法王国のロードス島太守達はこの神竜の存在に気付いていたが故に、何度もその力を人々のために役立ててほしいと訴えたが、神竜には自身が人間界に関与することで新たな争いが生み出される未来が見えていたため、断り続けた。だが、最後の太守サルバーンによる説得の末に「この世界に住む全ての生命達にとっての危機」が訪れた場合に限り、「五色の魔竜に認められた相手」にのみ力を貸す、と約束した。そして、あらかじめその「危機」が訪れる時期を予見していた神竜は、五色の魔竜に「その時」が来た時点で「このこと」を思い出すように、サルバーンと協力して五色の魔竜達の脳内に記憶を分割して断片的に埋め込んでいたのである。 ここまでの話を聞いた彼等は、意を決して帰らずの森へと向かうことにした。この森に住むハイエルフ達は、人間どころか他のエルフ達とも滅多に交わることのない者達であり、不用意に足を踏み入れると、その名の通り「帰らぬ身」となってしまう可能性もある(ましてやイシリオンのようなダークエルフの血を引く者は、彼等にとっては仇敵である)。それでも、ここまでの話を聞いた上で、今更この件から手を引こうとする者は誰もいなかった。 そして、帰らずの森に足を踏み入れた彼等の前に、一人の女性のハイエルフが現れる(下図)。彼女の名はディードリット。この森に住む最年少のハイエルフであり(120歳)、その若さ故の好奇心から人間界にも興味を持っていた彼女は、この「奇妙な取り合わせの六人組」に対して密かに木陰から好奇の視線を密かに向けていたところを、イシリオンによって発見されたのである。
この森に来た目的を聞かれたウルノフが、ひとまず素直にグレースを具現化させると、グレースはディードリットに対して「長老を呼べ」と告げる。グレースから発せられる雰囲気から、彼女が只者ではないと察したディードリットは、言われた通りに長老ルマースに話を通した結果、六人と竜姫達は長老の元へと案内される。どうやらグレース達の言っていた通り、ルマースは「神竜と魔竜達の盟約」についても知っていたらしい。そして彼の元には「先客」として、以前に海賊船で遭遇した(そしてロビンと共にバグナードを退散させた)幼女サビーネの姿があった。
彼女の正体は「神竜の精神の一部を憑依させた少女」であり、神竜は彼女を通じて、今のこの島の状況を確認していたらしい(なお、「サビーネ」自身はあくまでも「常人よりも感受性の強い、ただの孤児」である)。そして彼女の口を借りて神竜は「迫り来る危機」の真相を告げる。 神竜の見た未来によると、数日前に何らかの特殊な方法でこの世界に出現した「異界の神」が、「この島の一人の若者の身体」に憑依した上で、やがてこの島を圧倒的な魔力で制圧して、人々を支配することになるらしい。その神がどのような経緯で何を目的に出現したのかは不明であるが(なお、その異界神の出身世界は「ラクシア」と呼ばれているらしい)、いずれにせよ「この世界に住む者達同士の争い」ではなく、「異世界からの侵略者との戦い」であれば、神竜としても手を貸しても良いと考えたようである。 ただし、サビーネの幼い身体では(彼女はその感受性の高さ故に「依り代」としての適性はあったものの)神竜としての本来の「未来予知の力」を完全に発揮することは出来ないため、神竜自身が表に出ぬままこの件を解決するには、彼女に代わって「神竜の依り代」となる「若く健康な肉体の持ち主」が必要となる(そして神竜自身は、あくまでも自分自身が人間界に関わろうとする気はなかった)。 竜姫達は全会一致で(この場にいる中で唯一魔竜との契約を経ていない人物である)レンを指名し、レンもその申し出を受け入れることにした。長老ルマースの案内により、神竜が眠っている地中の真上へと移動させられた彼は、竜姫達によって取り仕切られた謎の儀式を経て、その身に「神竜の精神」を憑依させることに成功する(そしてこの時点で、サビーネからは神竜の気配が完全に消え、彼女は「ただの幼女」へと戻った)。 こうして、神竜の「予知眼」を手に入れたレンは、神竜が予見した未来における「異界の神に憑依された若者」が、アラニアで出会った(グレースによって氷漬けにされていた)パーンであることを知る。神竜曰く、パーンには「いずれこの島を代表する英雄となる資質」があり、おそらく異界の神も本能的にその潜在能力に気付いた上で依り代に選んだのだろう、とのことであった(おそらく、ザクソンでウルノフ達と別れた後に異界神に憑依されたのであろう)。 六人は、ひとまず(ただの「身寄りのない孤児」に戻った)サビーネも連れてザクソンへと向かい、そこでジェマの学友であるスレインにサビーネを預けた上で、スレインに(この街出身と言っていた)パーンのことを知らないかと尋ねたところ、どうやらパーンは再びノービスへと向かったらしい(その時点でパーンの様子がどこかおかしいとスレインは感じていた)という話を聞き、六人はすぐさまそちらへと向かう。すると、ノービス近郊のターバに位置する大地母神マーファの神殿にて、「奇妙な異形の力」をまとったパーンが、大司祭ニースおよび氷竜ブラムドを相手に戦っている場面に遭遇することになった。 この時、パーンは「この島で最高位の神聖魔法の使い手」と「五色の魔竜の一体」を相手に互角以上の戦いを展開しており、その動きが明らかに常人ではないことが分かる。そして、彼の表情からも、今の彼が完全に異界神に身体を乗っ取られていることは明白であった。どうやら異界神は、この島を支配する上で厄介な存在となりうる者達を、順番に叩き潰していく算段であるらしい。 だが、その先にある破滅的な未来を回避するために、ウルノフ達六人がニースへと加勢する。異界神は自らの本体と思しき霊体をパーンから切り離した上で、「霊体」でニース達との戦いを続ける一方で、「パーンの身体」を用いてウルノフ達の前に立ちはだかる。そして、パーンの身体から放たれる大規模魔法(のような何か)と圧倒的な剣技で襲いかかるが、ウルノフ、フォルトゥナート、ロビンの三人に加えて、レンがノームを、ジェマがストーンサーバントを召喚して前線を形成することでパーンの足を止め、後方からイシリオンが回復魔法を放ち続けることで戦線を維持しながら、徐々にパーンを追い詰めていき、遂には彼の身体から異界神を退散させることに成功する(この時点で、パーンは意識を失って倒れた)。 だが、彼等の周囲から異界神の気配が消えた直後、レンの脳裏には「サビーネが異界神に憑依される未来」が予見される。彼等は(パーンのことはニースに任せた上で)グレースの本体である氷竜ブラムドに乗ってザクソンへと急行し、そしてサビーネの身体を異界神が乗っ取ろうとする前に竜姫達が特殊な儀式を用いたことで、サビーネの意識を保ったまま、彼女の「中」にその異界神を封印することに成功する。そしてこの瞬間、レンの予知眼から「この島が異界神に支配される未来」が消滅し、ロードス島の(そして場合によっては世界全体の)崩壊の危機はひとまず回避されたのであった。 |
+ | エピローグ |
こうして、ロードスの平和は守られた。だが、その立役者となった六人の物語を後世に語り継ぐ者はいない。この一連の出来事が世に知られた場合、いずれ「サビーネの中に封印された異界神を、自らの野心のために利用する者」が現れる可能性がある以上、彼等の成し遂げた偉業を歴史に残す訳にはいかなかったのである(レンの中の神竜曰く、サビーネの中に施された異界神の封印は、よほどのことがない限りは解かれることはないが、それでも意図的にその封印を解こうとする者が現れた場合に関しては、絶対とは言えないらしい)。
レンは異界神の封印を守るために、サビーネをひとまずスレインの私塾に預けた上で、自らも(エマとリンの許可を得た上で)サビーネの封印の危機が訪れた時にいち早く対応するために、スレインの私塾を手伝うという名目で、アラニアに定住することを決意した。彼には「神竜の力を返還して、ただの旅人に戻る」という選択肢もあったのだが、ここまで関わった身として、再び起こるかもしれない世界の危機に対して、見て見ぬふりをすることは出来なかったのである。 これに対して、ジェマはテティスとの契約を解除して「普通の魔術師」の身に戻った上で、レンと同様に、学友スレインの私塾を手伝いながら、サビーネを見守るという道を選ぶことにした。彼女としては、バグナードの動向が気がかりではあったが、レンの予見によれば、バグナード自身は世界の支配や破壊を目指している訳ではない、ということが分かったため(その過程で様々な戦乱が起きる未来は予見出来たが)、これ以上、彼に関わる必要はないと判断したらしい。 そんな彼女と同様に、ロビンもまたマルシアとの契約を解除して、その力を火竜に返還する。その上で、彼は誰にも何も告げないまま、何処かへと姿を消すことになった。結局、彼は最後まで自分が何者だったのかを語らないまま、斧と弓を抱えながら、あてのない旅路へと向かうことになったのである。その後の彼の行方を知る者は誰もいないが、もしかしたらまた別の何らかの騒動に巻き込まれて、うっかり再び世界を救う戦いに身を投じることになったのかもしれない。 一方、フォルトゥナートは、ソニアとの契約を維持しつつ、旅を続ける道を選んだ。その傍らには、エレナの姿もある。「母の命を守るために、母と一蓮托生の契約をしたフォルトゥナートの命を守る必要がある」というのがエレナの目的らしい。フォルトゥナートとしては、別に契約を解除するならそれでも良いと思っていたらしいのだが、ソニアからも「娘をよろしく」と頼まれ、その意図がよく分からないまま、なし崩し的に彼女と同行することになったようである。 そして、ウルノフはグレースとの契約を維持したまま、海賊船に乗って祖国へと帰還することを決意した。レンの予見した未来によると、ウルノフがこのままロードスに留まった場合、彼の祖国では数年後に(彼と敵対関係にあった)大臣の暴走により、「封印されていた魔竜」が復活し、大乱が起きることになるらしい。その未来を知ったウルノフが、氷竜の力を用いた上で、祖国で何を成そうとしているのか? そこまでの未来は、レンも神龍も確認しようとはしなかった。 また、その彼の傍らにはイシリオンの姿もあった。彼女はエマとの契約は解除した上で、ファラリスの新たな信者の獲得のため、あえて大陸へと渡る道を選んだのである。ひとまずはウルノフの祖国を皮切りに、「自由の素晴らしさ」を世界中に解こうと考えていたようだが、彼女もまたウルノフと共に、彼の祖国の騒乱に巻き込まれていくことになるのかもしれない。いずれにせよ、二人のその後の行く末については、少なくともロードスの歴史書には記されていない。 こうして、人知れずロードスを救った六人の若者達がそれぞれの人生へと回帰していく中、彼等によって救われた少年パーンは、(自分が異界神に乗っ取られていたという事実を知らされないまま)一年後には自由騎士として名を馳せ、更に十数年後には「ロードスの騎士」の称号を得て、この島の全ての人々から敬愛される存在となるのだが、それはまた別の物語である。
……to be continued to
『ロードス島戦記 1 灰色の魔女』
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+ | 五色の魔竜の基礎情報 |
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+ | キャラメイク時の指針 |
名前
基本的には西洋名が推奨ですが、カタカナ表記でさえあれば、特に規定はないです。姓はあってもなくても良いです(人間以外の種族の場合は、無い方が一般的です)。偽名・通称・二つ名などをご希望の方はご自由に。 TRPGのキャラメイクにおいて、ここで一番時間をかける人が多いので、なるべく事前に考えておいて下さい(万が一被った時のために、候補が複数あると尚良いです)。
年齢
種族ごとの平均寿命と成人年齢は以下の通りです。若者設定にしておいた方が物語に絡みやすくなると思いますが、精神年齢が若ければ(年甲斐なく冒険に出られるだけの気概があれば)高齢PCでも構いません。
性別
男性か女性のどちらかを選んで下さい。それ以外を選びたい場合は応相談。ただし、精霊使いの場合は性別によって効果が変わる魔法があるので、少なくとも「便宜上の性別」は男性か女性のどちらかに決めておいて下さい。
キャラ設定
細かいところは次回で話し合って決めますが、以下の点に関して、おおまかな方向性を決めておいて下さい。
全クラス共通事項
このキャンペーンは、ロードス島の北東部に位置するアラニア王国の北端のターバの村から始まります。人口100人程度の小さな村で、村の周囲に氷の精霊が集う寒冷地帯のため、農耕には適さず、森での採取や狩猟で生活している人々が大半です。村の郊外には大地母神マーファの大神殿があり、女神の祝福の言葉を授かるために、結婚を望む男女など、多くの巡礼者が訪れます。 初回はPC達の出会いの物語となる予定なので、まずは「この村の住人」なのか「立ち寄った旅人」なのかを決めておいて下さい。後者の場合は、旅の目的(金、名声、見聞、修行、人探し、物探し、自分探し、etc.)を大まかに考えておいて下さい。
騎士
このゲームにおける「騎士」とは「王や貴族に仕えている一族(≒下級貴族)」か「何らかの大志を抱いた浪人」のどちらかを意味します。前者の場合は「ターバの村の領主の息子」か「王都から派遣されてきた駐在員」あたりの設定が無難でしょう。後者の場合は、この村の住人でも良いですし、旅人でも構いません。 なお、アラニア王国では女性の騎士叙勲は認められていないので、もし「国に仕えている女騎士」にしたい場合は「別の国から派遣されてきた騎士」か「性別を偽っている騎士」という設定でお願いします(どんな国の選択肢があるかは、次回お伝えします)。
戦士
このゲームにおける「戦士」とは「戦闘に優れている人」全般を指す言葉なので、どのような設定でも構いません。村を守る自警団員でも良いですし、誰かに雇われた傭兵でも良いですし、旅の賞金稼ぎでも良いでしょう。 あるいは、戦闘技術には長けているものの、戦闘は本業ではなく、日頃は農業・林業・漁業・手工業などで生計を立てている一般人、ということにしても構いません。
盗賊
このゲームにおける「盗賊」とは「何かを盗む能力に長けた人」全般を指す言葉です。日頃から盗賊行為で生計を立てている人の場合は「盗賊ギルド」に所属していることが一般的ですが、「既に犯罪行為から足を洗った一般市民」や「これから盗賊になろうとしている若者」であれば、無所属設定でも可とします(ただし、裏社会の情報を得るには盗賊ギルドへの所属が必須です)。 普通は「盗賊」と堂々と名乗る者はいないので、「表向きの生業」が何か別にある方が自然でしょう。一般的には、猟師、傭兵、博徒、情報屋、旅芸人、吟遊詩人などがお勧めです。
魔術師
このゲームにおける「魔術師」とは「古代語魔法と共通語魔法を使える人」を指します。アラニア王国には「賢者の学院」と呼ばれる魔術師養成所があるので、そこで魔術を学んだという設定にするのが自然だと思いますが、何らかの特殊な経緯で魔術の力を手に入れたという設定にしたいのであれば、相談には応じます。 初期設定としては「魔術学院の学生」「村の(一般教養を教える)学校の先生」「知識を探求する旅人」などといった設定が無難かと思われますが、もっと突飛なキャラでも大歓迎です。
精霊使い
このゲームにおける「精霊使い」とは「精霊魔法を使える人」を指します。精霊魔法は明確な養成機関が存在している訳ではないため、エルフの場合は一族内でその手法が伝授されているか、もしくは天性の才能で精霊と交信することが出来るのでしょう。人間の場合は、偶然その力に目覚めたか、もしくは誰か特定の師匠に習ったという設定でも良いと思います。 精霊使いが日頃何をしているかは人それぞれですので、表向きの職業や設定は自由に決めて下さい。能力的に精霊魔法とは全く無縁の仕事をしていることにしても構いません。
司祭
このゲームにおける「司祭」とは「神に仕える者」を意味しており、神聖魔法を用いることが出来ます。仕えるべき神は「至高神ファリス」「大地母神マーファ」「戦神マイリー」「知識神ラーダ」「幸運神チャ・ザ」の五種類です(詳細は wikipediaの記事 を参照)。これら以外にも「暗黒神ファラリス」を初めとする様々な神が存在しますが、ルール的に「神ごとに規定された特殊魔法」が五大神以外には無いので、あまりオススメはしません。 ターバの村はマーファ信仰が盛んな地ですが、他の神の信者でも構いません。ただ、その場合は「旅人」か「他の地で修行して司祭となって帰ってきた者」という設定が妥当でしょう。
エルフ/ハーフエルフ
出自一覧の中には「帰らずの森」と「鏡の森」の二種類が存在しますが、一般的にはハイエルフ(寿命のない上位種)の場合は前者、通常のエルフの場合は後者出身であることが多いです。 また、この世界には「ダークエルフ」と呼ばれる特殊なエルフも存在します。彼等は元々はエルフと同じ妖精界の住人でしたが、太古の昔の「神々の戦い」において、ゴブリンやコボルドなどと同様に暗黒神に協力した者達であり、「妖魔」と呼ばれています。PCとして作成することは推奨されていませんが、どうしてもやり人がいた場合は相談には応じます。 エルフは気位が高く、普通はあまり他の種族と関わろうとはしません(それ故に、人間との混血児であるハーフエルフは忌み嫌われることが多いです)。それでも森を出て冒険に加わる動機付けが出来るような、何らかの設定を考えておいて下さい。
ドワーフ
出自一覧の中には「鉄の王国」と「石の王国」の二種類が存在しますが、前者はアラニア王国内に存在するドワーフの集落であり、後者はロードス南東部にかつて存在していた集落です。つまり、「帰るところがある設定」を望む場合は前者を、「帰るところがない設定」を望む場合は後者を選択して下さい。 ドワーフは人間に対しては比較的友好的であり、特にアラニアではドワーフが作った武器や細工物などが頻繁に流通しています。ただし、エルフとは犬猿の仲です。
グラスランナー
出自一覧の中には「アレクラスト大陸」という表示しかありませんが、これはロードス島の北方に存在する大陸です(旧版ソードワールドの舞台です)。つまり、グラスランナーはロードス島においては極めて稀な種族、ということです。 基本的にグラスランナーは陽気で好奇心旺盛な性格ですので、日頃は旅芸人や吟遊詩人として各地を自由気ままに放浪しているのが一般的です。 |