+ | 世界観詳細 |
この「ラクシア」世界は、三本の魔剣によって創造され、植物や動物、幻獣や人間が生み出されました。
あるとき、一人の人間が"調和の剣"ルミエルを見つけ出します。その人間は"始祖神"ライフォスとなり、多くの恩恵を人々に与えました。ルミエルを貸し与えることによりたくさんの神が誕生しました。エルフやドワーフなどの人族も生まれました。このとき、神紀文明シュネルアが興ります。 それからしばらくしてもう一人の人間が"解放の剣"イグニスを手にします。彼は"戦神"ダルクレムとなります。ダルクレムは好戦的で、ライフォスの陣営と戦うための軍団を作り上げます。その過程として、魂に穢れを与えることで生物を強化させるというものがあります。その結果生まれたのが蛮族です。 そして神々の戦争がはじまりました。両陣営の押し押されが続き、膠着状態が続く中、ライフォス陣営、ダルクレム陣営はいずれも"叡智の剣"カルディアを求めました。しかし、カルディアは自らを戦争に使われることをよしとせず、自ら砕け散り、魔力の結晶となって世界散らばっていきました。結果として、両陣営とも決め手に欠け、疲弊し神々が傷をいやすために休眠することでなし崩し的に戦争が終わりました。
そののちに(神に依らず)起こった文明が、魔法文明デュランディルです。現代にも伝わるいくつかの魔法技能が生み出され、強力な魔法文化が栄え、各地の魔法王が覇を争いました。また、魔力を帯びた強力な工芸品なども作り出され、現代では再現不可能となっています。この文明は、3000年前に滅びたとされています。
もっとも時代の近い文明が魔動機文明アル・メナスです。2000年前に始まり、高度に発達した魔法の道具(魔道具)を用いて栄えました。後期にはほとんどすべての蛮族を地上から駆逐していたほど強大な文明でした。また、こうした道具は大量生産され、一部の上流階級のものだけではなく一般市民までもがこの恩恵を受けていました。
そして、300年前。世界規模で蛮族の大反乱が発生しました。同時に天変地異が巻き起こり、文明は破壊され、国家の数々が滅び、人族は絶滅の危機に瀕しました。これを<大破局>(ディアボリック・トライアンフ)と言います。大破局がどのように終結したかは、定かではありません。
――現代。大破局で間一髪滅亡を免れた人族は、力を合わせ復興へ尽力しています。300年かけ、ようやく安定した国家が形成されつつあるものの、辺境には蛮族が多く潜んでおり、蛮族に占領されたままの領域も多く残っています。蛮族の掃討、過去の遺物を取り戻すための遺跡探索など、危険を顧みず困難に果敢に立ち向かい、そして戦う力を持つ冒険者の存在は、不可欠であるといえます。
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☆第1話「ガザトオリコに消える」
(第一回) ハールーン魔術研究王国王都にある、とあるのギルド前。突如悲鳴が上がる。声のした方向では女性が倒れており、いかにもな小悪党がにつかわしくない荷物を抱えている。ひったくりである。たまたまその場に居合わせた神官のポーラや、バイク(馬)に乗ったレックスなどが犯人を取り押さえ、ギルド支部からニスモやフォートレスが登場し、犯人を囲んで捕まえることに成功した。ただし、レックスやニスモなどはむしろ話をややこしくしていたのだが。ニスモがその場に集った人たちに、「冒険者か?」などと確認していると、すこし隠れて様子を確認していた、人見知りのグラシが登場し、なんやかんやでこの5人はこのギルドに所属することになった。 ある日、ギルド支部長であるリードが声をかける。曰く、「5人組くらいが丁度よさそうな依頼」とのことである。各人思うことはありつつも、この5人でパーティーを組むことになった。依頼内容は「星座の町サイレックオード」に向かって帰ってこない弟子、ドワーフの女性、パリス・ノスの捜索である。師であるネルゴ・アランゾから様々な情報を聞き、一行はサイレックオードに向かい出発した。 観光地でもあるサイレックオードの周辺は道路が舗装されていて、ほとんど危険はないのだが、この世界である、無論例外は存在する。腹をすかせた凶暴な狼の群れが5人に襲い掛かった。しかしながら、ポーラによる的確な支援、ニスモやフォートレスによる苛烈な魔法攻撃、前線のレックス・グラシの近接攻撃により、難なく撃退するのであった。
(第二回)
一行が次に遭遇したのは、〈セーフティメット〉売りの商店である。2000Gでセーフティメットを売っている店で、店主は「このあたりは落石が多いから買っておいた方がいいぜ」と案内している。しかし、ポーラやニスモは、友達の友達が落石事故を目撃した、程度の話しか聞かず、フォートレスに至っては、落石の頻度はそれなりにあるものの、これはサイレックオード全体の話であり、ピンポイントで事故が起こることはめったにないという風に考えがまとまった。この考えをパーティー内で共有し、セーフティメットは買わないことになった。 さらに西へ進めば、"冒険者が集う星"カーリーヴェリや"地に近い星"ガザトオリコが見えてくる。そしてしばらくして、空が見えず魔動機灯の立ち並ぶ"空のない街"サイレックにたどり着く。ここから、飛空船乗り場でパリスについての情報収集を行い、飛空船に乗り込んでガザトオリコ岩底面に着陸する。 一行はさらに大主坑に据え付けられたグレートリフト(巨大なエレベーター)で、2時間ほどかけてガザトオリコを登っていく。
そしてたどり着いた先はガザトオリコ中央区だった。ここはサイレックオード全体での文化や観光の中心地になっていて、"星座の心臓"などが所在している。
彼らはまず、実質的にはこの星の警察として機能している冒険者ギルド支部"星座の心臓"に向かうことにした。ナイトメアのギルド支部長、ハンスベル・ラフィンと会話することになる。彼曰く、パリスの捜索は事件性が低いため星座の心臓では扱えないが、捜査には協力するとのことである。パリスの似顔絵の複写やマギランプの貸与を行ってくれた。また、捜査場所の候補として「歴史博物館」「ゴールザック大劇場」「宿屋」を挙げてくれた。 歴史博物館→ゴールザック大劇場→宿屋の順に回った一行は、「ドワーフの男と同行している姿が目撃されたこと」「ここにきて三日目の朝早くに宿屋を出てから消息が不明なこと」といった情報を手に入れた。 日も沈んできていたので、その宿で一晩を過ごし、次の日からの捜査に備えることにした。
(第三回)
ニスモやポーラがグレートリフトで聞き込みを行うと、ドワーフの二人組が第137支道区に向かったという。 一行が第137支道区に降りていくと、そこでは、中年の人間男性が荷下ろしを指揮していた。男の名前はガロック・ロア。彼は、第137支道区周辺で万屋をしていて、ドワーフの二人組を見かけたという。彼によると、「二人組は上に向かった」「上はだれも住んでいないので不思議な連中だと思った」とのことだ。この助言に従い、一行は一つ上の階層である第136支道区に向かう。 第136支道区には、二対の奥に行く足跡と、一対の出てくる足跡があった。それを追跡していくと、行き止まりにぶつかる。実はそこは隠し扉になっていて、さらにその奥には小規模なダンジョンが存在していた。 ダンジョン内には毒ガスや冷気ガスのトラップなどがあったが、4つのレバーのギミックを用いてトラップを解除し、先に進むことに成功した。その奥にはぐるっと一周した通路があり、右手前と左奥には待機所があった。右手前の待機所には、「ここに生物がいる間は警備用魔動機は作動しない」との記述があったが、実のところセンサーは壊れており、右手前の待機所は意味をなさないようだった。一方左奥の待機所には、なんと探し人であるパリス・ノスが衰弱したまま閉じ込められていた。彼女によると、ムトゥルと名乗ったドワーフの男にいいように利用され、ここに閉じ込められてしまったという。グラシを始めとした数人は、彼女は衰弱していて、すぐにでも街に帰り休息をとらなければ危険であることを理解した。 鍵は解除した状態で、パリスを一旦待機させてさらに右奥に進んだ一行は、そこで停止している魔動機と目録、それから宝物庫(一部が崩落してしまっていて奥には進めない)を発見する。宝物庫からは悪くない魔導部品が得られたようだ。また、目録も近くに放置されてたのでそれも取り上げた。 ここで、問題が発生する。この施設から全員で逃げるためには、左奥の待機所からは出なくてはいけないが、左奥の待機所に誰も残らなければ、番人の魔動機に襲われてしまう。彼らは、この魔動機を無力化することを決意し、入り口に向かって走るのだった。
(第四回)
とはいえ、無鉄砲に突っ込むのもよくないと判断した彼らは、決戦前にある程度の準備をすることにした。魔法によりあHPを回復させ、とても快適とは言えない環境ではあったが少しの仮眠をとり、万全の状態で挑むことにしたのである。そして意を決して待機所から出て、エンカウントまでの間に、ポーラは神に祈りを捧げ障壁を張ることができた。ニスモもポーラとは別種の、操霊魔法に属する障壁展開を行おうとしたのだが、不幸にも発動に失敗してしまった。当初は攻撃がなかなか当たらず、泥仕合が予想されたが、ニスモの支援やポーラの回復とレックスとバイク(馬)の2種攻撃、高威力のグラシの剣戟、そして装甲をも貫くフォートレスの弾丸がうまくかみ合ったようだった。魔動機に幾度か攻撃をかわされていたが、着実に魔動機の体力を削っていき、1分経たずして魔動機は沈黙した。
帰路は比較的安全であった。パリス・ノスを連れ、星座の心臓に帰還した一行は、まず彼女に通話のピアスを渡し、依頼主であるネルゴ師に連絡を取った。数分間話をしたのち、彼女はポーラに
「師匠が冒険者たちに替わってほしいって言ってます」 と言われ、ピアスを渡す。ネルゴ師曰く、 「依頼は達成とみなす、君たちに依頼してよかった。彼女はしばらくそちらで療養してもらいたい。代金の支払いと詳細報告は君たちが王都に帰ってきたときで構わないだろうか……そうだ、そちらの支部の代表に代わってもらえるか?」 と。支部長のハンスベルに取次ぐと、二人は電話口でなんことかかわしたようだった。ハンスベルが通話を切ると、以下のような話をしてくれた。 「報酬は、この支部で建て替えて今払うことにしようかと思う。冒険者の懐事情がつらいのは知っている。早く受け取れた方がいいだろう。そちらの女性にはこちらで部屋を与えて療養してもらうことにした。それから、君たちが見つけて来てくれた目録だが、こちらで受け取ってガザトオリコの就労支援に使おうと思っている。確約はできないがその遺跡の奥で何かめぼしいものがあれば君たちに伝えよう」
彼女を閉じ込めた犯人こそ捕まえられなかったものの、一人の女性の命を救ったのである。これは十分たたえられるべき功績だ。その夜、一行は依頼達成祝いとして、酒場で宴会を開くのだった。
☆第二話「サイレックオードをとぶ」
(第五回) 遺跡からもどって早一週間。一行はハンスベルから宿代を受け取り、ガザトオリコを満喫していた。そのとき、ハンスベルから連絡が入った。曰く、「パリス嬢に依頼して目録の解読を進めていたところだが、起きた盗掘は想像以上に深刻で、中には現在ではかなり需要の高いマナタイト・エンジンと呼ばれるものも含まれていた。可能ならば星座の心臓で対応したかったのだが、残念ながら事件としては小さい。故に君たちに盗掘品の奪還とドワーフの確保をお願いしたい」とのことだった。目撃証言に従い、まずは上ガザトオリコ区へ向かった一行だったが、たしかに件のドワーフ、ムトゥルのものと思しき情報を得る。その後は、団体で行動するよりかは、個人で島々を巡った方が効率よくムトゥルの足を調べられると考え、一人ひとり分かれて行動した。行動法にもいろいろあった。たとえば、ゴンドラは無料で最も利便性の高い乗り物ではあるが、ダイヤはまともに機能しておらず、ガザトオリコとほかの星との間の往復にしか使えない。そのため、グライドウィング、グライドフェザーなどの魔動機、キャルモといった鳥の騎獣をレンタルし空を駆けていた。ポーラは、トリネスにてムトゥルの死体を発見し、ムトゥルがなんらかの魔物に入れ替わられているということを明らかにした。 最終的に、フォートレスがルーペルでムトゥルを目撃する。折よくポーラと合流することができ、しばらくは二人で追跡を行っていたが、追い詰めることまではできなかった。翌日朝になって残りメンバーも合流したのだが、直接戦闘に入るのではなく、しばらくあとをつけていたところ、カーリーヴェリやヨーレンヘイム、ゴクモークへと彼が向かったので追跡した。そしてそこでグラシとレックスが「魔動機の鑑定ができる」と話しかけ......
(第六回)
フォートレスが狙い撃つ。するとムトゥルの肉体が膨れ上がり蛮族が姿を現す。かなり素早く動く上に、魔法も使ってくるなど、行ってしまえばいやらしい敵で、苦戦はしたのだがダメージを少しずつ蓄積し、撃破に至った。その後、ポーラが死体を弔い、盗掘品と証拠品を星座の心臓に持って帰ることができた。ハンスベルはその成果に対し、予定通り1000Gの報酬を与えた。これは余談だが、前回の冒険で得た情報から若干の利益が出ているようで、その情報料も得ることができた。こうして、一連の事件は終幕した。はてさて、次に彼らを待ち受けるものとは?
☆第3話「水晶と迷宮案内人」
(第七回) 一行はかつて出会った商人、ガロック・ロアにある仕事を紹介された。というのも、冒険者が集う星カーリーヴェリで鉱石採掘の仕事があるのだという。この情報をもとに、一行はエンデリントにある冒険者ギルド支部<階梯の守護者>に向かった。 案内された依頼は、迷宮案内人ギルドと職人ギルドの合同以来で、カーリーヴェリクオーツを採掘してくるというものだった。見習い迷宮案内人のコディが昇級試験で、職人ギルドからサンドラがくず石と鉱石の判別のため同行することになった。 まず一行を待ち受けていたのはギミックのある扉だったのだが、コディがしっている様式のギミックだったようで、難なく次の部屋へ進むことができた。次の部屋では、先行していたフォートレスが奇妙な石像に触れてしまう。その結果、石像に模していたガーゴイル、ゴースト、ドライコープスと戦闘になってしまう。ニスモはオークにゴーストを攻撃させたのだが、すり抜けてしまった。通常の武器ではゴーストにダメージを通すことができないと知った一行は、魔法支援を載せたうえで殴る事により、この戦闘に勝利した。 しかし、コディの様子は明らかにおかしくなっていた。問いただすと、地図は現状と対応しておらず、おそらくはこの(地図がない)状況で最奥まで行って帰ってくるのが「真の」昇格試験なのだろうと話した。カーリーヴェリクオーツでかなり儲かりそうであったこと、このままでは帰れないことなども重なって、一行は探索&採掘を継続することにした。次の部屋に会ったのは宝箱である。ポーラがかかった罠を解除し、ニスモが続いてオープンすると、そこには魔晶石と鍵が入っていた。引き返しさらに奥へと進むと、そこには泉のようなものがあり、多少の休憩をとることができた。そこからつながる部屋は二つあったのだが、一方は何者かの気配がしてその上鍵がかかっている状況だったので、もう一方へと向かうことにした。そこには魔法陣が配置されており、このパーティの魔法使い三人が術式の読み取りを試みたところ、詳しくは分からなかったが、アイテムに何かを付与する魔法陣だとわかった。鉱石や鍵など様々なものを投げ入れてみた結果、どうやら銀めっきを付与する者のようだった。躊躇しつつもゴーレムに武器を載せて、アイテムを強化した。一部屋戻り鍵穴を開けると、そこにはアンデッドであるファントムとゴーストがいた。いずれも通常の武器ではダメージを与えられない敵であるが、武器に炎属性の魔法を付与したこともあり、着実にダメージを与えていった。ファントムはかなり動きが素早く仕留めるのに時間がかかったのだが、レックス、馬、グラシ、オークの4前衛によりダメージを蓄積していき、最終的には倒すことができた。アンデッド特有の瘴気が部屋を支配していたが、ファントムを倒すと、剣の欠片に集約される形でその気配は消えていった。 帰りは、コディが迷宮の構造を完全に理解できたようで、特に何事もなく入り口まで戻ってくることができた。ここで、今まで、くず石と水晶の区別のみに口をはさんでいたサンドラが、口を開く。「コディ君、よく頑張りましたね。冒険者の方にはばれてしまっているようですが、私はコディ君の試験官を務めるために同行していました。ええ、合格です。これであなたも一人前の迷宮案内人です」と。ポーラをはじめ一行は拍手でその場面を祝福した。「少し色をつけておきますので、このことは周りの冒険者の肩にはご内密にね」とサンドラが付け加えた。 それはそうと、帰ってから報酬を確認したのだが、どうやら取れ高はかなり上場だったらしく、2回分の冒険に相当するような金額を得ることができた。さて、コディという新しい友を得て、一行は次はどこへ向かうのだろうか。
☆第4話「潜む魔物と空遊少女」
(第八回) 前回の採掘から一週間ほどが経った。彼らはそのままカーリーヴェリにとどまっていたのだが、前回仕事で同行したコディとサンドラから声がかかる。 「ギルドのネットワークで、トリネスの空遊ギルドから『空いている冒険者がいたらこっちによこしてほしい』って連絡を受けたんだけど、みんなって他に予定とかある?」 これといってほかに用事もなく、カーリーヴェリにとどまっている理由もなかった彼らはサイレックオード西方、トリネスの星屑へと向かった。そこでは空遊ギルドの構成員がやって来て、急ぎの仕事を頼みたいと声をかけられた。空遊ギルドの支部では、代表者から声がかかる。曰く、
とのことだった。一行は、やや報酬には不満があったものの、この依頼を受けることとした。また、空遊ギルドからはグライドフェザーが貸し出された。グライドフェザーを携え、目的地を目指すこととなった。のだが、グライドフェザーは基本的に下降しかできないにもかかわらず、リンジーの指さす先は、斜め上方であった。リンジーによると、
「この時期なら、ちょっとしたコツが分かればいい感じに風に乗れるから、あの星屑まで行けるよ」 とのことだった。もっとも「ちょっとしたコツ」には多分に現地人の勘をふくんでいて、寒暖の差への対応や突然現れる鳥、風に乗るための風読みなど、なかなか難しいものだった。そのため、フォートレス以外は体力を消耗したりけがをしたりしてしまった。かくしてその島にたどり着いた。ひどくさびれており、ほとんどの家屋が廃墟だったのだが一軒だけ最近使われた痕跡があった。幸い、トラップ等は入口にはなく、中を探索することができた。ニスモとグラシはいくつか棚を調べてことで、イフリートの髭と魔晶石を手に入れた。ポーラは、床をよく観察した結果、地下への扉がある事が分かった。その先は狭いトンネル状になっていて、グラシが先頭、レックスとゴーレム(ロームパペットにアップグレード済)がしんがりとなって進んだ。途中で矢を射出するタイプの罠や落石などがあったのだが、そこまで被害は大きくなかった。 トンネルを抜けた先は岩の反対側になっていて、小規模な林が広がっていた。そこにいたのは、数体の蛮族と1体の植物、おそらくは証言にあった「うねうねしたもの」、だった。事前の情報もあったので魔物の情報を抜くことができた。炎属性を弱点に持つブラッディ―ペタルであった。ニスモが真っ先にファイアウェポンをかけて、前衛組に炎属性を付与し攻撃を繰り返した。また、後衛職のフォートレスも、属性を操る弾丸を作ることができるため、着実に弱点を削っていった。部位数の多い敵であったが、ゴーレムの活躍もあり、数十秒で決着はついた。残りの蛮族は一行よりやや弱い蛮族で、その掃討にはたいして時間はかからなかった。 戦闘後、フォートレスが剥ぎ取りをしている間に、残りの5人で軽く周囲を探索していたのだが、紙束が見つかった。それは雑に殴り書きされていて、一行の中では読める者はいなかった。空遊ギルドに戻ると、職員の一人がそれを読み解く。どうやら汎用蛮族語で書かれていたようだ。それは指令書のようで、内容は「レアマナタイトを採掘せよ」というものだった。星屑各地の地図も同封されており、他の無人の星屑でも同様の採掘がおこなわれていることが想像できた。 はたして、次に待ち受けるものとは。
☆第5話「灼熱の星と幻獣の意志」
(第九回) 彼らが空遊ギルドにもたらした情報は衝撃を与えていた。おそらく大規模な蛮族の集団が結成しているのだと予測できたからだ。かたや、もう一つの情報ももたらされた。ギルドのドアを元気よくくぐる少女、「雛姫」ヴィヴィは滞在していたペガサスとの意思疎通に成功したのだという。曰く、ペガサスは身重で、出産と子育てのための養育地として星屑の一つを借り受けたいとのことだった。 二つの情報でしばらくはてんやわんやしていたのだが、数時間後、 「ここにいる冒険者は会議室に集合してほしい」 との連絡が入った。ギルドの代表によれば、二つの事案に積極的に対処していくべきであり、ここにいる冒険者を星々に送り、蛮族を一斉に掃討すべきとのことだった。しかし、問題は星々の位置である。一行が入手した地図によれば、快適な星に限らず、灼熱である「炎の極星」の近くにすら蛮族が潜んでいるとのことだった。一行が配置されたのは、極星の最近接でこそないものの、かなり猛暑の星の一つだった。 「決行は明日。それまでに各員準備をお願いする」 との号令のもと、いくつか物品を買い足すなどして、備えることができた。 あくる日、その星に向かうことになった。その星は前回訪れた星ほど高空にあるものではないのだが、だいたい同じくらいの高さで距離も離れているとのことで、かなりの運転技術が要求された。その結果ポーラ以外は若干の傷を受けてしまった。 星につくと、何か行動するたびに熱が体を傷つけた。サーマルマントを装備していたニスモとドワーフのグラシ以外にはかなり痛い状況ではあった。奥の方に蛮族の気配を感じ向かうことになったのだが、どうやら蛮族によると思わしき妨害の跡がいくつかあった。まず、崖を下りねばならなかったが、機転を利かせたポーラの発案により、グラシが先に降りてロープを結ぼうという話になった。グラシは重武装なこともあり、バランスをくずして落ちてしまったが、しっかりと受け身を取ることができ怪我にはいたらなかった。グラシが一端を、崖上でもう一端を結び、一行は無事に通過できた。その後待ち構えていたのは、石を積み上げたバリケードだった。かなり固く攻撃の通りは悪かったのだが、新調したゴーレムの連撃や、レックスの弱点を突く刺突、グラシの大振りな打撃により、数十秒で破壊することができた。 その先では、4体の蛮族と謎の装置が待ち構えていた。蛮族の片方は純粋なパワーファイターとして知られるボルグヘビーアームであり、もう片方は魔動機術の使い手のアンドロスコーピオンだった。謎の装置についても、そのダルクレムの意匠から、マナタイトを用いて敵方を強化するためのものなのだろうとおおよそ見当がついた。 ボルグヘビーアームは、防御を捨てたかなり大ぶりな攻撃を連発しており、一時はレックスの馬を気絶直前まで追い込んだが、その姿勢がゆえに隙が多く、前衛組の連撃に長くは耐えられず、倒れ伏した。途中で飛行型蛮族が紛れ込む事態が発生したのだが、近くの島々を飛び回っていたリンジーがそれを引き付け、空中戦に持ち込んだ。アンドロスコーピオンは、途中まで謎の装置のチューニングを行っていたのだが、ボルグヘビーアームが倒れたのを見ると攻撃に専念し、何人かに大きな痛手を与えた。レックスがとどめを刺そうと一撃を放ったのだが、それはまるで明後日の方をついてしまった。いや、正確にはそのはずだった。彼は運命を変転し、正確にアンドロスコーピオンを刺し穿つ。その一撃で倒しきれこそしなかったものの、つづくグラシとゴーレムの連撃でついには活動を停止した。
剥ぎ取りを終えたのち、一行は装置をかかえ空遊ギルドへと戻った。職員もまた、詳しく調べるまではその装置がなんであるのかは理解できなかったようだが、この装置の奪取も追加報酬に計上されることになった。報酬の受け取りを済ませ、一行が帰ろうとしたところでリンジーが声をかける。
「みんなはこの後どうするの?」 考えていなかったものも、考えすぎていたものもいたことだろう。しかし、答える者はいなかった。彼らにしかわからない悩みというものもあるのだろう。そんな様子を察してか、リンジーが続けた。 「みんないろいろ考えてることがありそうね。でも、また空を舞いたくなったら、こっちに来てよ!」 空遊ギルドで、だれよりも空をを楽しむ少女は、いつでも彼らを歓迎するだろう。
数日後、彼らはガザトオリコの星座の心臓に呼び出されていた。支部長のハンスベル・ラフィンは、
「パリス嬢の体調もだいぶ回復したようだ。君たちがこの後どうする予定なのかは知らないが、彼女を連れて、一度この国の王都に戻るのもいいだろう。ああ、そうだ。支部長のリードから、返済期限がそろそろだと連絡が入っていたぞ」 といった。一行はそれに同意して、また戻ってくるつもりのある者もいたが、いったんは王都に戻ることとなった。
王都では、支部長のリードと、初めての任務の時の依頼者であるネルゴ師が出迎えた。師弟は再開を喜び、しばらくの休暇ののちに、もとの師弟に戻る事だろう。リードも、彼らの無事の帰還を喜んだ。借金の徴収を終えた後、リードがこういった。
「せっかくの帰還ですので、今日の飲み代は店で持つことにしましょう」
飲んで、騒いで、語って。そうして夜は明けていく。サイレックオードという一つの巨大な冒険に一つの幕を下ろした彼らの、進む先と待ち受ける冒険は定かではない。
どうか、彼ら五人の行く先に、剣の御加護があらんことを。
Fin.
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レックス
PL名:
種族: 年齢: 性別: 主な技能: 設定等: [部分編集]
グラシ
PL名:デラウェア
種族:ドワーフ 年齢:21 性別:男 主な技能:ファイター・レンジャー 設定等:人見知りな性格であったが、仲間たちとの冒険を経て立派な冒険者となった。彼の冒険はこれからも続くであろう。薬を飲ませるのがやけに上手い。 [部分編集]
ポーラ
PL名:
種族: 年齢: 性別: 主な技能: 設定等: [部分編集]
フォートレス
PL名:推進課
種族:ナイトメア 年齢:16歳 性別男 主な技能:マギテック シューター 設定等:産まれた瞬間忌み子として扱われ山奥に捨てられるが、隠棲していた高名な学者に拾われて弟子として育てられる。9歳の時に育て親である師匠と魔動機文明の痕跡を調査していたが、その際に一緒に奈落の魔域に落ちてしまい一人だけ生還する。その後師匠の研究の跡を継ぐが、師匠の研究内容を狙って刺客が来るようになり、共同研究者の友人からどこかに身を隠すことを勧められて冒険者となる。複雑な出自のせいか人間よりも蛮族に近い思考スタイルが垣間見えることも [部分編集]
ニスモ
PL名:たまねぎ
種族:レプラカーン 年齢: 性別:男 主な技能:ゴーレムこそ至高 設定等: |
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ハールーン魔術研究王国王都に存在するある冒険者ギルド支部の支部長。元冒険者でかなりの腕利きである。
54歳人間男性。真語魔法・操霊魔法を習得し、今は後発の育成に励んでいる魔術師。彼や彼の私塾はかなり評判がいいようである。元冒険者で穏やかな性格。パリス・ノス捜索依頼の依頼人である。
55歳ドワーフ女性。真語魔法を学んでいる見習いの魔術師。行方不明。
→魔動機文明時代の遺跡で、衰弱した状態で発見。
第137支道区で万屋を営んでいる人間の男性。
パリスに同行していた黒髪黒ひげのドワーフの男性。行方不明。
→入れ替わりが発覚。本人は死亡
冒険者ギルド支部「星座の心臓」支部長。冒険者ギルド支部の形をとっているが、実質的にはガザトオリコの警察・治安維持組織である。
リカントの少年。迷宮案内人ギルドの見習いをしており、先日冒険者とともに昇格試験に挑んだ。無事合格し、見習いから一人前の迷宮案内人となった。
カーリーヴェリクォーツを鑑定するために派遣された、職人ギルドの職人である。
......というのは嘘で、実は迷宮案内人ギルドから派遣された、コディの昇級試験の試験官であった。
人間の少女。空遊ギルドの職員で、空を飛ぶのを何より愛する自由人。多少の戦闘能力は持っており、冒険者たちの星屑の調査に同行した。魔動機型騎獣の扱いに関しては天才的なのだが、あまり自覚はなく、風に乗ることも慣れれば簡単だよと言ってのける。
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