システム


【世界観】
 貴方達PCは死者……、正確には「再生者」である。

 「回転体(=ローテーター、おおよそエイリアン)」の侵略によって95%の人々が死亡した後の地球。回転体は殆どが宇宙へと去っていったが、僅かに地球に残ったものもいる。5%の生存者は滅亡寸前の世界でそれでも懸命に日々を生きている。
 「回転体」に敗北した「AI:エレボス」は考えた。あまりにも突然の事、あまりにも多くの死者。彼等には当然ながら「未練」があるだろう。それを解消してもらおうじゃないか。

 貴方達PCは「エレボス」によって思念を機械に閉じ込められ、24時間だけ蘇生する事を許された「再生者」である。そのたった24時間で、未練に、世界に終わりを告げろ。


参加者

GM:セツナ

PC:4名

+ PC①:紫藤 和(シドウ カズ)
PL:三下さん
男性/26歳/放蕩者

未練:
謳歌→「」
謳歌→「遺骨」
謳歌→「伽藍洞の別棟」
確認→「漆黒のディスプレイ」
返報→「」
救済→「行かないでと呼ぶ声」

FBE:

「雨の夜、詐術」酔醒
「もう二度と出会う事はない。離れる事もまた」祝福
「その結末だけは許さない」復活
「伽藍洞は死後、人になった」親密
「強い繋がり」集中
憎悪
「それとは無関係"だった"」惜別砲

+ PC②:秀吉(ヒデヨシ)
PL:s.sさん
男性/20歳/復讐者

未練:
返報→「ユイカの記憶」
返報→「」
返報→「」
後見→「自殺」
確認→「大切な人」
救済→「マユの言葉」

FBE:

「あなた"は"死ぬべきではない」忍耐
「」浄化
憎悪
「こんなことはさせたくない」猟犬
「もう離れたくない」束縛
「二度と傷つけない…本当に?」絶鐘

+ PC③:瑠菜(ルナ)
PL:ココノハさん
女性/25歳/守護者

未練:
後見→「タケル」
後見→「石神くん」
後見→「」
救済→「マユの左目」
救済→「」
確認→「和さんの"姉"という言葉」

FBE:

「何度でも守る」非常口
「当たり前だった時間」治癒
「片目で見通す未来」障壁
「再び幸せが訪れる」晴天
「最後の宝探し」危機感

+ PC④:ユイカ
PL:睦月さん
女性/18歳/贖罪者

未練:
救済→「手記」
救済→「」
救済→「飛び降りようとする人」
復興→「孤児」
確認→「」
謳歌→「」

FBE:

「忘れない記憶」光鎖
「一日の延命」死雲
「見えなかった愛 そばにあった愛」花畑
憎悪
「失くしたい記憶」反射壁
NPC:
※第1話は定例以外でも回す可能性がある為、ネタバレ注意。第1話のNPCには*を付す。

+ *マリ(万理)
外見年齢12歳の少女型自律機械。
性格などは彰の娘のものを引き継いでおり、記憶は喪われている。
彰の事を「パパ」と呼ぶ。

+ *坂城 彰(サカキ アキラ)
「万理」の父であり、優秀な研究者。
妻と娘を回転体の襲撃で亡くし、その後、エレボスの助力によって「マリ」を造った。
座敷牢の中で既に死亡している。

+ *タケル
15、16歳の少年。
村人の排他的な性質に疑問を持ち、集団を抜け出した。
しかし生活に困り、度々元いた廃村を漁っている。その際に村の状況に違和感を覚え、電化製品が暴走した原因を探っている。

+ 夜桜 繭(ヨザクラ マユ)
20代前半の女性。教会で子供達の面倒をみている。
子供達に名前は教えていない。(「繭」でなくなる事で過去を封印している)
①「人を傷付けてはならない」
②「人を傷付け得る存在は悪」→大人や自律機械などの迫害
①②の二つを教えとして掲げて、子供達を養育している。

+ 夜桜 舞子(ヨザクラ マイコ)、夜桜 理紀(ヨザクラ マサノリ)
50歳前後の男女。夫婦で機械系の研究をしていた。
繭へのいじめを止められなかった事に対して負い目を感じ、屋根裏部屋での生活を甘んじて受け入れ、必要な時には繭に知恵を貸している。

+ 子どもたち6人
5~10歳の子供が多い。名前は特にない。
回転体やそれ以外の影響で親を亡くした子供や、捨てられた子供である。
繭に拾われ、現在は彼女によって育てられている。
皆が繭を妄信して「教祖様」と呼んでいる。

+ 瓜生 紗耶(ウリュウ サヤ)
30代前半の女性。気は強いが、責任感があり根は優しい。
瑠菜の同僚だった医者であり、運よく回転体の攻撃の手をすり抜けた。
倒壊しかけた元職場の病院を解放し、人々の生活を支えている。

+ 石神 真白(イシガミ マシロ)
元は守護者の再生者である影人。真っ白な泥の集合体の様に見える存在。病院の周囲を徘徊し、瑠菜を見付けると執拗に追ってくる。(攻撃はしない)
実は生前に瑠菜が担当していた患者であり、恋人だった。彼女が死亡直前に庇った存在でもある。
瑠菜に感謝を伝える為に彼女を探しているが、影人である為に感情を伝える術を持たない。
「先天性色素欠乏症」(いわゆるアルビノ)を患っている上に身体が弱く、外に出るのが困難な程だった。
しかし、極めて純粋かつ優しい性格をしている。

+ 陽菜(ヒナ)
瑠菜の姉。かつて、村で瑠菜の都会行きを唯一後押しした存在。
現在は収集者の再生者になっており、瑠菜の事は思い出していない。
本当は自分も村を出たいと思っていたが、瑠菜の為に諦めた過去がある。
村の在り方を知りながら変えられなかったことを悔やんでいる。
未練:
確認「妹」
確認「両親」
確認「夢」
返報「自分自身」
救済「攻撃的な在り方」
謳歌「子供達」
FBE:

「貴女の為に生きましょう」《忍耐》シールド1
「受け入れ難い両親」全表示《広域判定バフ》2
「医者を志した日」械復《構造力回復》3
憎悪
「日常は宝探しだった」実体化《アイテム入手》2
「無力とは罪なのだから」崩壊《直接ダメージ》2
「こうはならない、なりたくない」拒絶《強化》

あらすじ

※全てオリジナルシナリオ。第1話は定例以外でも回す可能性がある為、ネタバレ注意。第2話以降は定例限定シナリオである。

+ 第1話「とある少女の話」
[前日譚]
 現在では廃村になっている、とある集落。その集落の人々は極めて排他的であり、また、自分達の利益の為には外の人物を害する事を厭わない性質であった。
 回転体の襲撃によって妻と娘を喪った「彰」。エレボスは、彰が過去に造った家事用のアンドロイドを基にして、娘である「万理」の魂を封じ込めた自律機械、「マリ」の製造に成功した。記憶こそ無いものの、性格が完全に娘と同じ。当初は混乱していた彰も、段々とマリに心を開いていく。
 彼等は森の中に研究所を構えて生活していた。ある日、近隣の村から複数人が訪ねてくる。
「その自律機械をきちんと利用する気は無いか。……兵器として」
 拒む彰に、不服そうながら村人は帰還する。
 しかし暫くの後、村人は彰を拉致、座敷牢に監禁した。
 そうして「彰は村にいる。村の為に協力してくれている。だから君も頼むよ」と言って、マリを唆した。周囲の村を脅迫し、暴力でもって略奪を繰り返させた。
 マリは、血で汚れた手を見詰めながら、何度も唱える。「パパの為だから」
 ある時から、村の電化製品が暴走する様になった。供給される電力にバグを混入させる回転体の影響である。困窮した村人は、その集落を捨てる事にした。
 取り残された研究者は、そのまま餓死した。
 孤独なる自律機械。最早メンテナンスをする優しい手もそこには無く。
 回転体の仕込んだバグによって摩耗し。
 暴走寸前のまま、「父」の帰還を待ち続けている。
 賢明なるAI、エレボスならばこう判断するだろう。
「かの自律機械は人類の脅威。破壊せねば」と。

[実卓]
 PC達は真っ白な部屋で目覚める。見覚えのない景色に戸惑っていると、人類の守護者だったもの、「AI:エレボス」が説明を行う。その説明を聞き、PC達は一先ずは状況を呑み込んで自己紹介を始めた。「数学教師」は本名を覚えておらず、そのまま呼ぶ訳にはいかない、という事で「カズ」というあだ名をつけられた。
 再生先は森の中だった。エレボスによると、クエストは「暴走寸前の状態になっている少女型自律機械の破壊」。現在地点からそう遠くない場所に、その自律機械のいる研究所があるという。それとは別で廃墟と化した集落もあるようだが、一先ずは研究所を目指す事になった。
 研究所にて、自律機械は「マリ」と名乗った。ユイカにお茶の用意を手伝ってもらった彼女は、とても人間的に、可愛らしく笑った。暫く談笑した5人だったが、ふとマリは寂しげな表情を見せる。気遣うPC達に対して、ずっと研究所の所長である「坂城 彰」が帰って来ないのだと語った。彰は生前のマリの父親であるが、マリにはその記憶はない。それでも彼は自分を愛してくれたのだ、とも。その様子を見たPC達は、問答無用でマリを破壊するのではなく、一先ずは彰を探す事にした。彰は研究者である事から、彼さえいればマリの内部に発生しているバグもどうにかできるのでは、との判断である。バグの影響か、ふらつくなどするマリを休ませる。その際にPC達はマリから、彰は近くにある村の人と話をしていたが、それから暫くして失踪した、と聞かされた。4人で村へ向かう事となった。
 村の中には、多くの暴走した自律機械が存在していた。感知されないように注意しながら村の中を探っていると、一人の少年と出会う。少年は「タケル」と名乗り、自分はこの村の人間だと口にした。どうやら村人は既にほかの地域へ避難しているようだが、その中で彼は村で自律機械が暴走した原因を探ろうとしているらしい。彼曰く、村には地下牢の様なものが存在するという噂があったが、見た事はないらしい。と、話していると自律型携帯電話に見付かってしまう。カズと秀吉が犠牲になるも、生存者であるタケルを護りながら、なんとか自律型携帯電話の破壊に成功する。動揺するタケルに事情を説明し、カズと秀吉には再生と同時に通信を繋げて失った記憶を補填する。タケルは驚きはしたもののその事実を受け入れる。既に村の中をある程度調査しているタケルは、地下牢を探そう、と提案した。
 果たして、崩れた村長の家の下から鉄製の扉が見付かった。これが地下に繋がる扉だと確信し、鍵の壊れた扉をこじ開ける。瞬間、内部から生臭い腐臭が漂った。嫌な予感を覚える一行だったが、タケルの「村の一員である俺には知る責任がある」という言葉をきっかけとして全員が中に入っていく。座敷牢の様になっていたその場所には、一人分の人骨だけが残されていた。恐らくは彰の遺体だろう。手掛かりを探していると、瑠菜は遺体の下から手記を見付ける。読んでみると、彰の視点で全ての事実が書かれている。また、村人が出ていって飲食ができなくなり、衰弱する中でマリを想う彼は、メンテナンスされていないマリの暴走を危惧し、「マリに安息を」と、マリを破壊してくれと残していた。カズは彰の遺体を見詰めながら、回想する。そして遺骨の上着に包み、持ち帰る事を決めた。
 5人はマリの元へと戻る。笑顔で迎える彼女だったが、その健気さが寧ろ痛々しかった。5人はマリに全てを告げた。マリは遺骨を受け取り、泣いた。涙した。搭載されていない筈の機能だ、と戸惑いながら、深い悲しみに身を任せていた。
 暫くして落ち着いたマリは、彰の埋葬を一緒に行ってもらえないか、と願う。6人で彰を埋葬した後、マリの今後について話し合った。結局、タケルの決断をもって、「タケルがスリープ状態のマリを連れて近くのシェルターへ行き、マリのバグを何とかする」という策がとられる事になった。
 残された僅かな時間を、4人は思い思いに過ごす。
 瑠菜は自分がタケルと同じ村の出身で、タケルと幼馴染みであった事を思い出し、タケルと言葉を交わした。その際、タケルは初恋は瑠菜であったと明かした。しかし、今は別の好きな子がいるのだという。「絶対に報われない」と零すタケルを励ます瑠菜は、タケルが去った後、寂しさの滲む表情で「大きくなったね」と独りごちた。
 カズは研究所の整理をするマリの手伝いをしていた。話しながら、ふと回想の内容をマリに明かした。「大切だった幼い少女を喪った」可能性に沈むカズ。マリは「パパがいなくなってしまって寂しい」と、カズを「パパ」と呼んだ。その時だけは、確かに二人は血縁だった。そうして、心を通わせたのである。
 ユイカと秀吉は、村で一人の少女の事を思い出していた。彼女の名前は「繭」。ユイカの親友であり、秀吉の恋人であった少女。彼女はユイカを庇っていじめられていたのだ。ユイカは自らが贖うべき罪を、秀吉は自らが復讐者である理由を知った。二人で繭について語る。今、彼女はどうしているのだろうか。
 再生が終わる寸前、全員が集まった。「また会おう」と約束を交わす。その際、タケルは瑠菜に一瞬だけ目線を向けてからユイカに向き直った。
「俺、多分、お前の事が好きだ」
 再び目を覚ました時、4人は最初と同じ白い空間にいた。エレボスに「要望はないか」と聞かれ、以下の三点を依頼する。
「またこのメンバーで再生する事」
「出来るだけ早く次の再生を行う事」
「タケルの支援をする事」
 エレボスは快諾した上で、4人に一時的な休眠を告げる。

 1つ目のとある話。
 何でもない日常の苦難。
 何よりも辛い事、死の哀しみを乗り越えた。
 人間よりも人間だった。
 そんな、とある自律機械の少女の話。


+ 第2話「とある教祖の話」
[前日譚]
 マリを助ける為、ひいては彼女の能力を人類の為に役立ててもらう為。エレボスの手助けの下、タケルは離れた場所の教会に辿り着く。しかし其処にマリを救う「研究者」に該当する存在は無い。また、教会は何やら異常な雰囲気を帯びていた。道案内をしてくれていたエレボスの一部は、どうやら話す事は出来ない様である。マリに危害を加えられたら本末転倒であると、タケルはこの教会付近の草原などを生活拠点に、再生者の再来を待っていた。
 二度目の再生は、前回の件から半年の後となった。
 繭は、回転体による襲撃の前は普通の高校生であった。明るく優しい性格から人気があり、幼馴染の「ユイカ」とはずっと仲が良かった。また、年上の恋人「秀吉」もおり、幸せな生活を送っていた。
 全てが変わってしまったのは、ユイカがいじめられ始めた事がきっかけ。早期に気付いた繭は彼女を庇った。それによってユイカへのいじめは止んだ。しかし、次のターゲットは繭であった。徐々に激化するいじめは心身共に繭を蝕んでゆく。ユイカは助けられなかった。いや、助けなかったのかも、しれない。秀吉には、いじめの存在さえ伝わる事はなく。
 真っ白の病室。ベッドに座る彼女の目に嘗ての輝きは無い。目の前の秀吉の姿さえ映さぬまま、その瞳はただ、虚ろに外を眺めていた。静かな慟哭の中、彼女の心は時を止める。
 失われたものは多かった。左目の視力。傷跡の無い身体。
 ……そして、未来に懸けた夢と希望。
 回転体の襲撃によって、世界のほとんどが壊れてしまった後。幸いにも繭とその両親は生き残った。ユイカや秀吉の行方は分からなかったが、当時の彼女にとっては些末な問題だったのかもしれない。
 とにかく、繭は「傷付けられる事」を忌避し、「傷付ける存在」を憎む様になった。回転体だけではなく、大人や自律機械までも。
 困窮する子供達に手を差し伸べたのは、本当に純粋な好意からだったのか?
 エレボスの判断。タケルをこの教会に導くという判断は、マリの事を思った事だけが理由ではない。真の目的は、子供達の保護。つまりは……。
「繭の排除、もしくは心変わり」

[実卓]
 再生者達は、半年の時を経て二度目の再生を果たす。前回の再生の最後の要望を叶える形で、タケルの支援ができる様だ。しかし、支援が必要だとすれば、それはまだマリの修理が終わっていないという事。一抹の不安を抱えながら再生された先は草原だった。少し歩くとタケルとスリープ状態のマリがおり、事情を聞く事ができた。エレボスが「マリを修理できる者がいる」とした教会にはそれらしき人物の姿はなく、幼い子供と「教祖」と呼ばれる女性がいるばかりだという。また、教会の人々は何やら異様な雰囲気であり、近付くのを躊躇ったタケルは、この草原でPC達を待っていたらしい。
 タケルとマリに危険があってはいけないと、4人は2人を残して教会へ赴く。どうやら教祖はいない様だった。ユイカと秀吉が子どもたちの相手をし、その隙にカズと瑠菜が教会内に侵入する。中には祭壇の様な場所があり、よく調べると色の違う押し込めるタイルがあった。押してみると上から梯子が下りてくる。屋根裏へ続いているようだ。2人は屋根裏へと上がった。そこには、50歳前後と思われる男女がいた。彼等は教祖の両親である様だ。カズと瑠菜はシャットをした。そのまま話を聞いていると2人の想定通り、「教祖=繭」であると分かる。この2人は研究者であり、確かにマリを直す事はできる。しかし、その見返りに変わり果てた繭を何とかしてほしい、と懇願してきた。カズと瑠菜は頷き、取り敢えずは下へ降りて身を隠した。
 カズと瑠菜は、繭に近しいユイカと秀吉こそ教会内を調べるべきだと判断する。カズが熊の着ぐるみに身を包んで子供達の注意を引き付ける中、残りの3人は教会内の教祖の部屋を探索する事にした。そこに、ユイカと秀吉の記憶にある可愛らしいインテリアや繭好みの本は無かった。どちらかと言えば殺風景であり、生活に直結する実用書が多く見られる。その中で、机には写真立てが飾られていた。入っていたのは、一度破り捨てたものをテープなどで修繕した跡のある写真。ユイカと秀吉と繭、その3人が遊園地で撮った写真だった。
 暫くして、教祖が、繭が戻ってくる。教祖の部屋で対峙するが、繭は再会した友人と恋人にナイフを向けた。嘗ての哀しみ、憎しみ、痛み。それら全てを怨嗟に変えて涙を流す。ユイカは周囲の制止を振り切って、繭に近付いた。ナイフの刃を握り締め、奪う。動揺する繭を抱き締め、何度も「大丈夫」と繰り返した。ユイカの言葉に、繭の心が解けていく。そうして和解した3人は、しっかりと抱き締め合った。
 その間、カズは疲れて眠ってしまった子供達を寝かしつけていた。眠る少女の姿に生前の記憶らしき映像を重ねながら。視覚共有によって3人の和解を確認した時。子供達が一斉に起き上がる。そして、取り憑かれた様に「自分達を捨てるの」「教祖様だけは一緒にいてくれるって言ったのに」などと繰り返して、亡霊の様に教祖の部屋へと向かっていく。攻撃を加える訳にもいかず、狼狽える4人。その中で繭は、毅然とした態度で子供達に「捨てないよ」と告げ、説得を試みた。子供達は正気に戻ったのか、繭に危害を加えようとした事をただただ公開し、泣きながら謝り続けていた。
 その後、繭の両親によってマリも修理され、全てが解決した。どうやらマリとタケル、加えて子供達は皆で一緒に動く事になった様だ。
 瑠菜は、繭の失われた左目を気遣う。瑠菜自身もオッドアイである事でいじめられた経験があった。瑠菜は繭にヘアピンを差し出したが、繭は「目を見せて人を不快にさせたくない」と断った。しかしそこにあるのは絶望ではなく、他者への思いやり。それを感じた瑠菜は、繭に対して優しく微笑んだ。また、タケルとユイカの件について話した。どうやら今回の再生の中ではまだ話せていない様だ。タケルの背を、どこか複雑な気持ちで押した。
 カズは元気になったマリのもとへ向かう。繭達ともすぐに打ち解け、一人ではない事を実感したマリはとても嬉しそうだった。しかし、それは他者を見る余裕が生まれたという事でもある。カズに「無理をしないでほしい、嘘をつかないでほしい」と釘を刺した。
 秀吉は繭の父である理紀に呼ばれた。彼は妻から預かった指輪を秀吉に渡し、「繭は決して君を忘れないだろう。だからこそ、君からこれを渡してやってほしい」と依頼した。悩む秀吉だったが、繭と二人きりに。その中で繭は、「忘れないけれど、新しい幸せを、新しい世界をきちんと探す」と、涙ながらに、しかし笑顔で誓った。指輪はいつかまた、他の誰かにはめて貰う日が来るのかもしれない。それでも今は、共に。
 ユイカの発見したカメラで、全員並んで写真を撮る。そこに映っているのは、笑顔ばかりだ。

 2つ目のとある話。
 何でもない世界の、仮初めの関係性かもしれない。
 それでも良かった。
 未来へ向かう為、だから。
 そんな、とある教祖だった女性の話。


+ 第3話「とある"白"の話」執筆中

+ 第4話「とあるスペアの話」執筆中

+ 第5話「とある秘め事の話」執筆中

+ 最終話「とある話の終幕には」執筆中


スケジュール


4/29:自己紹介+説明+キャラメイク
5/6:第1話(前半)
5/13:第1話(後半)
5/20:第2話(前半)
5/27:第2話(後半)
6/3:第3話(前半)
6/10:第3話(後半)
6/17:第4話(前半)
6/24:第4話(後半)
7/1:GM都合によりお休み(ごめんなさい!!!!)
7/8:第5話(前半)
7/15:第5話(後半)

—一旦休止—

9/21:最終話

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最終更新:2022年01月10日 20:03