+ 本キャンペーン独自の特殊ルール
  • 能力値成長ルール:次の能力値☓5点の経験点を消費すれば可能
  • レベル3以上の魔法: こちらのサイト のデータを参照
  • 草野球ルール:以下を参照
+ 基本原則
1、処理の簡略化のため、1回の判定で1打席分の結果を処理する
2、判定は原則として「2D6+能力値」だが、投手の投球判定は以下のように処理する
  ・通常投球:1D6+能力値
  ・全力投球:2D6+能力値(精神力を1点消費)
3、判定時のクリティカルは「+10」、ファンブルは「-10」として扱う
  →それに加えて、以下の状況におけるファンブルには、追加効果が発生する
   ・投球時:デッドボール
   ・捕球時:自動失敗
   ・送球時:暴投(全員追加進塁)
4、「バント」「盗塁」は原則禁止とする
5、守備側と打者or走者との対決判定の場合、打者・走者側を「能動側」と解釈する
6、左打者は左投手との対決においては-1、打撃後の走塁判定では+1とする
7,NPCの利き手は2D6で決定する
  (9以下=右投げ右打ち、10・11=右投げ左打ち、12=左投げ左打ち)
8、状況に応じて、プレイヤーからの意見も取り入れつつ、判定法が追加される場合もある
+ 打席判定&処理の流れ
1、配球決定
  →捕手の知力判定 −(打者の知力+7)
   →この数値を次の投球判定時の投手の判定値に加算
2、投球判定
  →投手の器用or体力判定 vs バッターの器用or感知or体力判定
   ・投手>打者→三振
   ・投手=打者→四球
   ・投手<打者→フェアグラウンドへ打球(方向は以下の通り/ただし内野フライは除く)
          ・打者が器用で判定した場合(流し打ち)
           =右打者なら一二塁間(右翼)、左打者なら三遊間(左翼)への打球
          ・打者が感知で判定した場合(センター返し)
           =二遊間(中堅)への打球
          ・打者が体力で判定した場合(引っ張り)
           =右打者なら三遊間(左翼)、左打者なら一二塁間(右翼)への打球
3、打球処理(上述の「打者の判定値 − 投手の判定値」 に基づいて対応)
  +1:内野フライ(1D6で守備担当者を決定)
    →守備側の器用判定:6以上ならアウト、5以下なら内野安打
  +2:内野ゴロ(飛んだ方向のいずれかの内野手が担当)
    →守備側の感知判定:8以上なら捕球成功、7以下なら「外野ゴロ」扱い
     →捕球した場合:守備側の器用判定 vs 打者の敏捷判定でセーフ/アウトを判定
             ※走者がいる場合、打者ではなく走者との敏捷判定で封殺可能
              ・「一塁・二塁→三塁」「全ポジ→本塁」の場合は守備側に-1
              ・要タッチの時は捕球側の器用判定 vs 打者側の敏捷判定も発生           
              ・続けて他塁に投げる際には守備側に-2(タッチ後は+3) ※累積
  +3:内野ライナー(飛んだ方向のいずれかの内野手が担当)
    →守備側の感知判定:10以上ならアウト、9以下なら「外野ゴロ」扱い
  +4:外野ゴロ(飛んだ方向の外野手が担当)
    →守備側の敏捷判定:8以上なら単打(走者は1進塁)、7以下なら「長打コース」扱い
              (長打コースとなった場合は、隣の外野手が処理)
              A:打者&走者が一塁上記の到達塁でストップなら終了
              B:打者&走者が次塁を狙うなら守備側の体力 vs 打者の敏捷
  +5:外野ライナー(飛んだ方向の外野手が担当)
    →守備側の感知判定:10以上ならアウト、9以下なら「長打コース」扱い
              (長打コースとなった場合は、隣の外野手が処理)
               ※走者がいる場合、走者はタッチアップ判定が可能
                →守備側の体力判定 vs 走者の敏捷判定
                 ※二塁→三塁の場合、左翼手は+1、右翼手は-1
                 ※三塁→本塁の場合、守備側は一律で-1               
  +6:浅い外野フライ(飛んだ方向の外野手が担当)
    →守備側の敏捷判定:10以上ならアウト、9以下なら「長打コース」扱い
              (長打コースとなった場合は、隣の外野手が処理)
               ※走者がいる場合、走者はタッチアップ判定が可能
                →守備側の体力判定 vs 走者の敏捷判定
                 ※二塁→三塁の場合、左翼手は+1、右翼手は-1
                 ※三塁→本塁の場合、守備側は一律で-1               
  +7:深い外野フライ(飛んだ方向の外野手が担当)
    →守備側の敏捷判定:12以上ならアウト、11以下なら「長打コース」扱い
              (長打コースとなった場合は、隣の外野手が処理)
               ※走者がいる場合、走者はタッチアップ判定が可能
                →守備側の体力判定 vs 走者の敏捷判定
                 ※二塁→三塁の場合、中堅は-1、右翼手は-2
                 ※三塁→本塁の場合、守備側は一律で-2             
  +8:長打コース(飛んだ方向の外野手が担当)
    →守備側の敏捷判定:10以上なら二塁打、9以下なら三塁打(走者も同数進塁)
              A:打者&走者が上記の到達塁でストップなら終了
              B:打者&走者が次塁を狙うなら守備側の体力 vs 打者の敏捷
                ※二塁→三塁の場合、中堅は-1、右翼手は-2
                ※三塁→本塁の場合、守備側は一律で-2             
  +9:フェンス直撃(飛んだ方向の外野手が担当)
    →守備側の敏捷判定:12以上なら二塁打、11以下なら三塁打(走者も同数進塁)
              A:打者&走者が上記の到達塁でストップなら終了
              B:打者&走者が次の塁を狙うなら守備側の体力 vs 打者の敏捷
                ※二塁→三塁の場合、中堅は-1、右翼手は-2
                ※三塁→本塁の場合、守備側は一律で-2             
  +10:ホームラン

PC一覧
+ ナディラ・セージ(よまなつ)
(画像出典元: 生意気で中性的な子 に
名前:ナディラ・セージ
年齢:15
性別:男性
趣味:料理、読書
性格:礼儀正しい(+1)、あまのじゃく(-2)、大人びた(0)
得意技:園芸

感知力:5
敏捷度:1
外見:3
知力:4
器用さ:3
体力:2
精神力:16
耐久力:15

魅力値:10

経験点:10(通算180点)
戦闘レベル:0
魔法レベル:4


呪文:(Lv.1)癒しの手、(Lv.1)応急手当、(Lv.1)診察、(Lv,1)枝葉のささやき、(Lv.2)庭師の目、(Lv.2)導きの矢、(Lv.2)意志強化、(Lv.4)安らぎの場、(Lv.4)音知覚、(Lv.4)心の声

特殊アイテム:癒しの手
持ち物:傷薬(軟膏)、毛布、スコップ、枝切りばさみ(園芸用品等)

ぷろふぃーる
 とある山奥の村で両親と姉と一緒に暮らしていた男の子。小さいころから森の木々とお話をするのが好きで、気づいた時には家でも植物を育てるようになっていた。優しい男の子で家族との仲も良く、村の人たちにも可愛がられて天真爛漫に育っていた。自由な環境で育てられたことが幸いしたのだろう、他の人を想う優しい気持ちが魔法となり、治癒の魔法を使えるようになった。小さな村の中で治癒魔法を使える人は珍しく、"村の小さなお医者さん"として、けがをした村民たちを治療する毎日を送っていた。幼いナディラは、自分が魔法を使える理由を『森の神様の加護』のおかげ、と教えられていた。―――だがこの平和は一晩のうちに破られた。ナディラが12歳になった年の冬に、ナディラたちの村を盗賊たちが襲ったのだ。家が燃えるパチパチという音で目を覚ましたナディラが最初に見たものは、村の人たちが盗賊と戦い、………そして敗れて殺されていく姿だった。いつもパンをくれた優しい村長も、ナディラは立派な魔法医師になれるな、と応援してくれた鍛冶屋のおじさんも、将来は騎士になるんだ!と張り切っていた友達の男の子も、そしていつも自分を受け入れて励ましてくれた父さんも、――その平和な日常の全てが壊れていく姿だった。その現実が受け入れられず、あたりの騒音が収まるまでベッドの中でうずくまった。『森の神様の加護』のおかげ……なのだろうか。ナディラが盗賊に見つかることはなく、また火の手がナディラの下に及ぶこともなかった。盗賊がいなくなった後の村の中で、ナディラは家族の姿を探し回った。――父さんはすでに亡くなっていた。身体を貫通する剣は、明らかに父さんが死んでしまっていることを示していた。村中を探し回っても母さんと姉さんの姿は見つからなかった。村の片隅に、姉さんが大事にしていた小さな腕輪が落ちていた。もしかしたら誘拐されてしまったのかもしれない。だけれどそこから先を考えるほどの知識も、気力もその時のナディラにはなかった。ふらふらと村の中を彷徨っていたナディラは、盗賊の襲撃後の状態を見に来た騎士団たちに拾われた。まだ幼い彼が預けられたのはマルスランの街の一角、小さな宿屋だった。その宿屋は、農村から出てきた夫婦が経営する冒険者たちのための宿屋で、ナディラの境遇を知った夫婦が自分たちから引き取ることを申し出たのだという。一日中何をするでもなく宿屋の一室に引きこもっていたナディラだったが、ぼんやりと外を眺めていたナディラは、宿屋の向かいにある花屋に咲いていた小さな花に気づいた。その花はナディラの故郷にも咲いていた花、サルビアの花だった。その花を目にしたとき、ナディラは昔悲しいことがあって泣いていた時に姉さんにかけられた言葉を思い出した。「いつまでも泣いてちゃダメ。男の子なんだからしっかり前を向いて、今の自分に何ができるかを考えるのよ。そうね……ナディはこの花の名前は知ってる?…………そう、サルビア。知恵と勇気の花よ。辛い先にいいことはあるから。ね、だからもう泣いてちゃダメよ」。もう自分のところに姉さんは帰ってこないのだろう。……それでも、姉さんは、父さんは、母さんは、自分に多くのものを遺してくれた。だから僕もいつまでも部屋に閉じこもってはいられないだろう。―――そう思ったナディラは宿屋の夫婦に宿屋で働かせてくれるようお願いをした。幸いナディラには治癒魔法という才能があった。冒険者が多く集まる宿屋でナディラの魔法は重宝された。でもそれと同時にナディラは気づいてしまった。『森の神様の加護』などないのだと。……そのことに対してナディラがどう思ったかは定かではない。落胆か、悲しみか、それとも怒りか。なんにしても時は過ぎ、ナディラが宿屋での生活にも慣れてきたころ、ナディラの下に一通の手紙が届いた。内容は「ベルファール魔法学園で魔法を学ばないか」というもの。どうやら"宿屋で働く小さなお医者さん"の噂は学園のもとにまで届いていたらしい。今のまま宿屋の夫婦にお世話になるのも申し訳ないと思っていたナディラは、ベルファール魔法学園へと入学することを決意した。その手に握られていたのは、園芸の為のいくつかの道具と、いつしか拾った小さな腕輪だった。 

+ シルヴァン(kyori)
(画像出典元: 少年少女好き?2
名前:シルヴァン
年齢:15
性別:男
趣味:料理、人助け、魔法
性格:根気強い(+1)純情(+1)やさしい(+2)
得意技:根性(体力を使った行為判定+1)

感知力:4(+1
敏捷度:4(+2
外見:3(+1
知力:4
器用さ:4
体力:4(+1
精神力:20
耐久力:25

魅力値:14

経験点:0(通算180点)
戦闘レベル:2
魔法レベル:2

呪文:(Lv1)念力、緑の指、お仕事、魔法分析(Lv2)増速、蛇使い、豊穣の歌、飛行

特殊アイテム:幸運の石(ダイスを振らずに成功できる)
持ち物:大剣、ソーイングセット、釣り竿、魔法の瓶詰、ロープ

ぷろふぃーる
 北のほうにある村から、村一番の知恵者として都会にでてきたが、一瞬で上には上がいることをしまった。出発資金は旅費と学費と下宿費で全部消えてしまい、村が遠いので仕送りもありません。むしろ、6人兄弟(男2、女4)の長男で、大家族なので仕送りをしている。その結果お金がないので、アルバイトをして稼いでいる。困っている人を見ると首を突っ込んでしまう。石はきれいな水色だったので川辺で拾いました。 

+ クゥイナ・ハーロット(推進課)
(画像出典元: 趣味丸出しメーカー
名前:クゥイナ・ハーロット
年齢:15
性別:女性
趣味:魔法、学問
性格:やさしい(+2)気が利く(+1)紳士的(+1)
得意技:演技(演技の時敏捷+2)

感知力:4
敏捷度:1+2
外見:5
知力:4
器用さ:3
体力:1
精神力:20
耐久力:10

魅力値:5+7+4=16
魔法レベル3 戦闘レベル0


呪文:幻影、幻影操り、着せ替え、霊覚、空耳、妙なる調べ、催眠、偽りの姿、飛行
 精神防護 温度変化 魔法解除

経験点余り5

特殊アイテム:時操りの鏡(大人になると敏捷、体力、器用+1、戦闘or魔法レベル+1)
持ち物:酒、煙草、オイルライター、透明マント 土蜘蛛の毒 謎の薬 短剣 ロープ×2 所持金160

※謎の薬には身体能力を向上させる力がある(副作用は未定)

ぷろふぃーる
 スラム街出身の女の子、彼女の父親は彼女が生まれる前に母親を捨ててどこかへ消えてしまったので女手一つで育てられた。母親の仕事のことはよくわかっていないし裕福なわけでもないけれど、魔法使いになってほしいと幼いころから言われていたので何とか学費をねん出してもらって学園に入学できた。お母さんはいま元気にしてるかなぁ?よく親に仕送りを送っている 

+ ザフィーラ・ハリーリー(よしとも)
(画像出典元: 妙子式おんなのこ
名前:ザフィーラ・ハリーリー
年齢:15
性別:女
趣味:釣り 酒
性格:快活(+1)おおざっぱ(-1)
得意技:力仕事 体力を使った(筋力を使う)行為判定に+1

感知力:3
敏捷度:2
外見:4(+1
知力:3(+1
器用さ:3
体力:6(+1
精神力:16
耐久力:30

魅力値:11

戦闘レベル:1
魔法レベル:3
経験点:0 (通算180)

呪文:遠眼鏡 精神集中 料理の歌 海魔の呼び声 意志強化 イヌイヌ鼻 陽球

特殊アイテム:怪力の腕輪(体力+3)
持ち物:釣り竿 火打ち金具 斧 100s

ぷろふぃーる
 マルスランから遠く離れた町の漁師の娘。幼少期から海の魚たちと格闘する生活を送っていた。うまく魚を捕るために自力で魔法を編み出した。地元では珍しく魔法の扱いが上手だったため魔法学校に進学したが、本人的には魔法よりも力業が得意。実家からたまに魚が送られてくるが、現金の仕送りがないため学費はバイトで補っている。田舎とマルスランの町の違いに戸惑いつつも、大体のことは筋力と朗らかな性格によって何とかしている。腕輪は合格祝いに父親からもらった。弟が二人、姉が一人いて、例にもれず一家全員筋力自慢。昔、故郷の町に盗賊が入ったが、その盗賊たちは主にハリーリー家にボコボコにされ追い返された。 


セッション概要
+ 第1話「はじまりは誘拐と共に」
 ベルファール魔法学園は新学期の季節を迎え、世界各地から数多くの若者達が集まってきた。故郷を失った少年ナディラは大盗賊の孫であるライアスと、辺境出身の少年シルヴァンは医者の娘のオリヴィエと、地元のスラム出身の少女クゥイナは貴族令嬢のプティと、そして漁師の娘ザフィーラは戦士の娘ソーニャと、それぞれにマルスランで邂逅した後、各自が自身に割り当てられた寮の部屋へと向かうことになる。
+ ライアス
+ オリヴィエ
+ プティ
+ ソーニャ
 その結果、男子寮ではナディラシルヴァンが同室(ライアスが隣室)、女子寮ではクゥイナザフィーラが同室(右隣の部屋にはオリヴィエとソーニャ、左隣の部屋にはプティ)となり、それぞれに軽く挨拶を交わしつつ、やがて夕食の時間になったことで、彼等は学生食堂へと向かおうとする。
 だが、その過程でクゥイナザフィーラが何者かに《催眠》の魔法をかけられて、その場に倒れ込んでしまう。その直後、近くを通りかかったソーニャとオリヴィエは倒れているザフィーラを発見し、ソーニャはすぐにザフィーラを揺り起こすが、近くにクゥイナの姿はなかった。突然の事態に三人が困惑していると、やがてそこへプティが走り込んで来る。どうやらプティは「怪しい二人組」がクゥイナを担いで連れ去ろうとしているのを発見したものの、追いかけようとしたところで見失ってしまったらしい。ひとまずザフィーラ達は、プティの目撃情報を元に、「怪しげな二人組」を探して走り出す。
 一方、男子寮側から食堂へと向かおうとしていたナディラシルヴァンは、その途上でライアスと遭遇したところで、ライアスが怪しげな風貌の「少女を背負った大男」と「魔法使い風の小男」を発見し、その二人の姿をナディラシルヴァンも確認する。そんな男子三人の前にザフィーラ達が現れ、オリヴィエがシルヴァンに事情を伝えると、彼等もまたザフィーラ達と共に「大男と小男」を追走することになった。
+ 大男
+ 小男
 ここで、シルヴァンは《念力》の魔法を使って大男の足元を滑らせることに成功すると、その大男は背負っていたクゥイナを落としてしまい、その衝撃で彼女は目を覚ます。なおもクゥイナを捕まえようとする大男の両腕をくぐり抜けつつ、クゥイナが二人に目的を問い質したところ、どうやら彼等は何者かの依頼でクゥイナを誘拐しようとしていたらしい、ということが分かる。
 その直後、クゥイナを救おうとザフィーラ達が駆け込んで来たが、先頭を走っていたソーニャが、小男による《催眠》の魔法によって眠り倒れてしまい、そのすぐ後ろを走っていたライアス、そして更にその後方にいたプティとオリヴィエもまた足元を狂わせて立て続けに転んでしまう。一方、彼女達と並走していたザフィーラシルヴァンナディラはどうにかクゥイナの元へと辿り着き、二人組の侵入者との乱闘状態へと突入することになった。
 クゥイナを守るように立ちはだかるシルヴァンザフィーラに対し、小男が放つ《魔力弾》と《催眠》、そして大男が繰り出す強烈な拳が襲いかかるが、ナディラによる《癒しの手》による支援もあり、彼等は一進一退の攻防を繰り広げる。そんな彼等の後方からクゥイナが《幻影》(自分の外見を異形の姿に変化)や《空耳》(強烈な叫び声の発生)で敵を撹乱しようとするが、後者はシルヴァンナディラにまで悪影響を及ぼしてしまったこともあり、戦線はより一層混迷を極めた結果、最終的には彼等の仲間と思しき謎の女盗賊の乱入の末に、彼等はクゥイナの誘拐を諦めた上で、何処かへと逃げ去って行った。
+ 女盗賊
 自分の身を救ってくれたナディラシルヴァンザフィーラに対してクゥイナは深く感謝する。そんなクゥイナに対して、ナディラは照れてドギマギした様子を見せたのに対して、シルヴァンは内心ではナディラ以上に深い好意をクゥイナに対して抱いていたが、表面上は平静を装っていた。一方で、クゥイナザフィーラは必死で前線で戦っていたシルヴァンに対してそれぞれに好印象を抱き、ライアス、オリヴィエ、ソーニャは自分達が到着する前に事態を解決した彼等を素直に褒め称え、プティは(大男の転倒時に)怪我をしたクゥイナの傷口を手持ちの(高そうな)ハンカチで塞ぐ。
 そうこうしている中、やがて一連の喧騒を聞きつけて、魔法学園の教師クレイトンが彼等の前に現れる。彼に対して皆が事情を説明すると、クレイトンはクゥイナの姿を見て「何か」に気付いたような表情を浮かべつつ、学園の警備を強化するように学長に進言するという旨を伝え、彼等の前から去っていった。
+ クレイトン
 クゥイナを誘拐しようとした者達(三人組?)の正体については疑問を抱きつつも、ひとまず彼等は(当初の予定通りに)学食で交流を深めた後、それぞれに様々な想いを抱きながら就寝し、無事に翌日の入学式を迎えることになる。
 学園の教師達が居並ぶ中、同世代の学生達と共に講堂に集まった彼等は、新入生代表のレミィナによる挨拶と、そしてクレイトンからの注意喚起と激励の言葉を受けた上で、魔法使いとしての第一歩を踏み出していくことになる。果たして、これから始まる学園生活の中で、何が彼等を待ち受けているのであろうか。
+ レミィナ

+ PC間の第一印象
+ NPCからPCへの感情
ライアス
→ナディラ(普通)
「入学前から回復魔法をそこまで使えるなんて、すげーな」
オリヴィエ
→シルヴァン(好印象)
「もし傷を負ったら、すぐに治してあげるからね」
プティ
→クゥイナ(共感)
「なんて綺麗な子なのかしら。見惚れてしまうわ」
ソーニャ
→ザフィーラ(普通)
「体育の実技で対戦するのが楽しみだ」
+ 第2話「命名は輝きと共に」
+ 月曜午前
 入学式の翌日から、本格的に新学期の授業が始まった。月曜1限は本来は「馬術」と「家庭科」の選択授業なのだが、初日はオリエンテーションとして、全生徒が両授業を半分ずつ体験するというプログラムになっているため、まずは地下の厩舎にて、馬術担当の教師ヴァシュランから、馬への餌遣りの仕方を学ぶことになる。
 だが、ここで事件が起きた。厩舎の一角にて飼育されていた(数日前に学園の近くで発見・収容されていた)一角馬(ユニコーン)の厩舎の柵が壊れて、一角馬が暴れ始めたのである。それを止めようとした(馬の扱いに慣れている筈の)猟師の息子のポールを蹴り飛ばし、一角馬はナディラに向かって突進して来るが、ここでナディラの腕輪から、突如として謎の(手のひらサイズ程度の)羽の生えた少女のような姿の妖精が現れる。
+ ポール
+ 妖精
 その妖精の周囲に輝く「謎の光のオーラ」を目の当たりにした一角馬はたじろぎ、そこへ横からザフィーラが割って入り、力づくで一角馬を元いた場所へと戻すと、一角馬は一転してザフィーラに懐き始める。その一角馬にはまだ名前も無かったため、ヴァシュランの一存でザフィーラに命名権が与えられると、彼女はひとまずその一角馬を「パール」と名付けることにした。
 一方、妖精の方は(人間の言葉は喋れるものの)自分自身が何者なのかもよく分かっていない様子であったが、ヴァシュラン曰く、おそらくはナディラの腕輪に付属されていた謎の石の中に封印されていた妖精ではないか、とのことである。そして彼女もまた「自分の名前」を思い出せないようだったので、彼女にはナディラから「ルビィ」という名が与えられることになった。
 続いて、家庭科室へと移動した彼等は、担当教員であるペルジェの指導の下で、まずは料理のために必要な竈の扱い方を学ぶことになる。ここで、クゥイナが手を滑らせて調理用のアルコールの瓶を落として大惨事を引き起こしかけるが、シルヴァンが咄嗟の判断で瓶を掴み取ることで、どうにか事なきを得る。その後、竈で茹でた湯を用いて野菜スープを作る過程へと入ったところで、今度は歌手志望の少女であるフォンティーナの使おうとした包丁の先の部分がすっぽ抜けるという事故も発生するが、こちらは幸運にも(?)飛んでいった先にいたのがザフィーラだったため、どうにか軽症で済んだ。
+ フォンティーナ
 そして、月曜2限目の講義である「基礎魔法」を担当するのは、クレイトンである。彼は魔法を用いる時に集中力を高める訓練として、生徒から「皆の集中力をかき乱す役」を募ったところ、幻術系の魔法に長けたクゥイナと、芸人志望の少年フルムが立候補する。クゥイナは《空耳》の魔法を用いて皆の耳に幻聴を聞かせた結果、シルヴァン以外の者達は精神集中を崩してしまうが、フルムが披露した「イグアナのモノマネ」はクゥイナ以外の者達の心には刺さらず、彼はクレイトンから「ネタ見せ直前のフリ不足」や「メリハリの無さ」などのダメ出しを受ける。
+ フルム
+ 月曜午後
 学生食堂での昼食を経て(その過程でシルヴァンがフォンティーナの歌声で重症を受けつつ)、午後からの3限目は「武術」の授業であり、担当教員のバノンの指示の下、学生達は「二人一組での模擬戦」を展開することになる。シルヴァンはコックの息子であるピエールの持つ「不幸の矢」の力に翻弄されながらも互角以上の戦いを繰り広げ、ナディラはオリヴィエ相手に完勝する一方で、クゥイナは(手加減してくれていた筈の)プティの一撃で重症を負い、そして皆が注目する一戦となった「力のザフィーラ」と「技のソーニャ」の対決は、激戦の末、ザフィーラの勝利に終わる。
+ ピエール
 こうして、一日目の授業を無事に終えた後、シルヴァンは生活費を稼ぐために、孤児院出身のデリスと共に庭師のバイトを担当することになり、二人で協力してテキパキと庭の手入れをやり遂げる。一方、ザフィーラは商人の娘であるペルシエの実家からの依頼で、船からの荷降ろしのバイトをすることになったのだが、ここで彼女は、積荷の中身を偽って密輸されようとしていた稀少獣キュキュルの存在に気付く。ペルシエの父親と相談した上で、ひとまずそのキュキュルはザフィーラが学園へと預けることになり、その過程でナディラと遭遇した時点で、彼と共にいた妖精のルビィは、そのキュキュルに謎の既視感を感じ取る。
+ デリス
+ ペルシエ
 その頃、クゥイナはオリヴィエの手助けを受けながら、自分を攫おうとした者達についての情報を図書館で調べていた。図書館に所蔵されていた過去の新聞記事などによると、どうやら彼等は「ドクロ団」と呼ばれる小悪党集団であり、それぞれオロンジョ(女盗賊)、タンズラー(大柄な男)、ヤヤッキー(小柄な男)という名前らしい。これまで様々な窃盗事件を引き起こしており、成功率は低いものの逃げ足だけは早いため、まだ一度も捕まったことはないという。そして、様々な者達から依頼を請け負う立場にあり、それなりに身分の高い者達から「極秘の任務」を引き受けることもあるという噂も流れているようだが、それ以上のことまでは分からなかった。
+ 火曜午前
 二日目の1限目の授業は「医術」である。保険医兼校医のエリシエルが基礎的な手当の方法を教える中、昨日の時点での厩舎での怪我がまだ癒えていなかったポールと、武術の授業での手傷を負ったままのザフィーラに対して、オリヴィエ、ナディラクゥイナといった面々が実際に手当や《癒やしの手》を用いて回復させる実践訓練をおこなうことになる(なお、オリヴィエの《癒しの手》はなぜか昨日からずっと不調な状態が続いていた)。
 続く2限目の「社会科」の授業では、担当教員のシヴレーの判断で、城下町であるこのマルスランの町を実際に学生達に紹介するという形での「社会見学」がおこなわれることになった。そして、多くの魔術研究所が並ぶ「賢者の通り」に入り、各自が興味のある施設を見て回っている中、ナディラがとある魔法使いの施設へと足を踏み入れたところで、彼の腕輪の中のルビィが唐突に「謎の既視感」を訴え始める。
 そして次の瞬間、彼の目の前にあった(この施設の中で保管されていた)「謎の水晶」が突然割れ、中から「四足の合成獣のような何か」が姿を現し、ナディラの持っていた腕輪に向かって襲いかかってくるが、その水晶の異変にいち早く気付いていたシルヴァンがそこへ割って入り、身を挺してナディラを庇う。ナディラはすぐにその傷を《癒しの手》で回復させつつ、更にそこにザフィーラも参戦し、最終的にはクゥイナが連れてきたシヴレーによる支援も受けた上で、どうにか彼等はその謎の合成獣を倒すことに成功した。
 この施設を管理していた魔法使いが言うには、割れた水晶は古代の魔法使いによって作られたと推測されていた一品であり、もともと「中に何かが封印されているのではないか」と言われてはいたものの、その正体が何なのかは誰も解明出来ていなかったらしい。状況的に、腕輪もしくはルビィがその封印を解く引き金となったのではないかと推測されるが、この施設の責任者がナディラの腕輪を調べてもその正体は解明出来なかったため、まだ確かなことは誰も分からない、という状態であった。
+ NPCからPCへの感情
ポール
→ザフィーラ(普通)
「あの一角馬を手懐けられるなんて、羨ましいよ」
フォンティーナ
→ザフィーラ(好印象)
「怪我させてしまった借りは、いつか返さないとね」
フルム
→クゥイナ(一目惚れ)
「俺はあの娘を笑わせることに、生涯を懸ける!」
ピエール
→シルヴァン(共感)
「なんというか、戦ってて心地良い相手だったな」
デリス
→シルヴァン(普通)
「バイト仲間としては優秀みたいだし、頼りになりそうね」
ペルシエ
→ザフィーラ(普通)
「これから先も、彼女にならウチの仕事を任せられそう」
オリヴィエ
→ナディラ(普通)
「医者の娘として、私も負けてられないわ」

→クゥイナ(普通)
「よく分からない人達に狙われて、気の毒ね……」
+ 第3話「運命は守護星と共に」
+ 火曜午後
 古代の水晶との間で謎の共鳴を引き起こしたナディラの腕輪に関しては、今後再び何か危険な状況を引き起こす可能性は危惧されつつも、クレイトンの判断により、そのまま彼の手に残されることになった(この背景には、以前に学生の私物の魔法具を本人から強引に引き剥がしたことで暴走が発生した、という事情があるらしい)。
 その後、昼休みに食堂でデリスから「週末に予定されている球技大会の希望種目」について聞かれたシルヴァン達は、ひとまず「野球」と答えた上で、午後の授業である「技術」の教室(自習棟?)へと向かうことになる。
 初回となるこの日は木工のための基礎的な道具の使い方についての実習であったのだが、ここでザフィーラナディラが手元を狂わせ、金槌で自身の指を打ち付けてしまう。ナディラは軽症だったため、シルヴァンの手当ですぐに対処出来たが、ザフィーラの方は(本人は大して痛がっている様子もなかったが)かなりの大怪我で、ナディラが《治療》の魔法をかけて、更にそこに(たまたま隣にいた)クリスが手当を加えることによって、大事には至らずに済んだ。
+ クリス
 その直後、クリスが《魔法感知》によって、部屋の一角に特殊な魔力の気配が漂っていることに気付く。クリスが指差す方向にクゥイナが視線を向けると、テーブルの上に置かれていた工具の一つが宙に浮き上がり、その直後に彼女の視界から消滅した。更に、その直後から僅かな足音がその周囲で発生していることに気付いたクゥイナは、《幻影》で斧を作り出し、更に《幻影操り》を用いてそれを「足音がする方向」に向けて投げつけるような映像を作り出す。すると、空中に再び工具が現れ、ポトリとその場に落ち、何者かが激しい足音を立ててその場から遠ざかっていくような音が聞こえたが、その音のする方向からは誰の姿も見えない。
 おそらく、「何らかの形で姿を消した何者か」がいたのだろうと推測したナディラは、放課後、《枝葉のささやき》を用いて中庭の植木に「透明な侵入者」を見ていないかと訪ねてみるが、木々にはそもそも視覚がない(「気配」だけで他者の存在を認識する)ため、有効な情報は得られらなかった。一方、その近くでシルヴァンは《緑の指》を用いて植物を急成長させる練習を試みていたところで、演技の練習をしていた地元出身のイルミナと出会い、翌日にマルスランの町を案内してもらう約束を交わすことになる。
+ イルミナ
 その頃、ザフィーラは一角馬についての情報を探してマルスランの酒場へと向かったところで、たまたま遭遇した級友のユーシスと酒を飲み交わすことになる。だが、ここでユーシスは悪酔いして、ひたすら愚痴をこぼし続けた挙げ句に眠ってしまったため、ザフィーラはひとまず「自分と同年代の少女(実は変装したクゥイナ)」がステージで(《妙なる調べ》を駆使して)歌うのを一曲聞き終えた後、ユーシスを背負って寮へと帰ることになった。一方、同じ酒場に来ていたオービスタは、クゥイナの正体に気付かないままその歌声に聞き惚れ、彼女に続けてステージに立ったフォンティーナの歌声にも耳を傾けそうになるが、クゥイナの唱えた《空耳》のおかげで難(?)を逃れるのであった。
+ ユーシス
+ オービスタ
+ 水曜午前
 三日目の1限目の「占術」の授業を受けるため、生徒達は最上階の占術室へと向かう。この科目を担当するテュレリー曰く、この世界に住む者達にはそれぞれ「守護星」が存在するが、星の輝きの強さは星によって異なるため、大半の人々は自身の守護星を認識出来ずに生涯を終わるらしい。だが、ナディラクゥイナシルヴァンザフィーラの四人は、テュレリーがプラネタリウムを用いて見せた疑似的な星空を見ながら、それぞれの守護星の輝きを見つけることに成功する。
+ テュレリー
 ナディラの守護星は地霊星。それは人々の命を助ける宿星であり、その存否が多くの人々の生き死にを左右する存在であるらしい。クゥイナの守護星は地慧星。それは他者を魅了する力に溢れた宿星であり、数奇な運命に翻弄される宿命を背負う存在であるという。シルヴァンの守護星は天功星。それは多芸な才能に恵まれた宿星であり、多くの人々の運命を動かす存在と言われているらしい。ザフィーラの守護星は天殺星。それは武勇に優れた宿星であり、純粋であるが故に力の使い方次第では危険な存在にもなりうる可能性を秘めているという。
 その上で、テュレリーは「あくまで守護星は一定の『傾向』を示すだけのものであり、同じ守護星でも全く異なる道を歩む者もいる」ということを強調しつつ、自分の宿星を知ることによって、自分の人生に対して一定の気構えを持って生きることが出来る、という旨を生徒達に解いたところで、ひとまず初回の講義は終わることになった。
 続く2限目の「礼法」の講義では、担当教員のキューレが、まずは最低限の基礎的な作法として、「背筋を正して直立不動で教員の話を聞く」という課題を生徒達に課すが、その過程でシルヴァンナディラは窓の外に一瞬だけ映った「人間の足のような何か」の存在に気付き、シルヴァンは《念力》を用いてその「窓に貼り付いていると思しき何か」を(2階の高さから)地上へと叩き落とすことに成功する。
 その直後、課題に反して勝手に呪文を唱えたシルヴァンをキューレが教鞭で叩かれている間に、ナディラが小声でクゥイナザフィーラに「窓の外の不審人物」の件を告げると、クゥイナは体調不良で倒れたフリをした上で、ザフィーラナディラクゥイナと(教鞭によって重症を負った)シルヴァンを医務室に連れて行くという名目で教室を抜け出し、窓の外へと向かう。すると、先刻の窓の真下には血痕が残っており、その血痕は更に中庭へと向かって続いていた。
 彼等はそのまま中庭へと向かうと、そこで血痕は途切れていたため、ここでナディラが再び《枝葉のささやき》を用いて木々に「誰か来なかったか?」と聞いてみたところ、「『あなた達五人』以外には誰も来ていない」と告げられる。この瞬間、この場に誰かが隠れていることを察した彼等は、あえて挑発するような言動を繰り返しながら周囲の様子を観察すると、血痕が途絶えた場所で物音がしたことにクゥイナが気付き、そこに向かってシルヴァンがタックルをかけると、彼はそこに確かな「やわらかい何か」が存在していることを顔面で感じ取る。
 その正体は、先日クゥイナを誘拐しようとしたドクロ団のオロンジョであった。彼女は自分の身体に飛びついてきたシルヴァンから逃れるために、自身が着ていた「身体を透明化するマント」を脱ぎ捨た上で、(おそらくは落下時に生じた傷口から)血を流しながら、「学園にいる何者か」を探していることを示唆する言葉を発しながら六枚のカードを取り出し、そこから小型の魔獣を発生させ、シルヴァン達を襲わせる。
 突然現れた六体の魔獣の猛攻によってシルヴァンは危機に陥るものの、即座にナディラが《治癒》と《応急手当》を駆使することで一命を取り留め、駆け付けたザフィーラと共に一体ずつ着実に魔獣を撃破し、最後は素手で参戦したクゥイナの一撃もあって、どうにか魔獣達の殲滅に成功するが、その間にオロンジョは姿を消していた。
 その後、学園当局に一連の顛末を説明したところ、どうやらオロンジョが用いていた「魔獣が封じ込められたカード」は古代魔法文明の遺産であり、本来ならば彼女達のような「ただの小悪党」が手にしているような代物ではないため、おそらく彼女達の背後に何か大きな黒幕がいるのではないか、というのが学園側の見解であった(なお、オロンジョが着ていた「身体を透明化するマント」については、クゥイナが「調べてみたい」という名目でシルヴァンから受け取り、学園にも報告しないまま持ち帰ることになった)。
+ NPCからPCへの感情
クリス
→ザフィーラ(普通)
「あれだけ指が腫れてても一切動じないなんて……」

→クゥイナ(好印象)
「即座に幻影を生み出す機転、大したものだわ」
イルミナ
→シルヴァン(普通)
「あの魔法は舞台演出にも使えそうね」

→ナディラ(普通)
「とりあえず、どこに案内しようかしら」
ユーシス
→ザフィーラ(普通)
「酔い潰れて迷惑をかけてしまった。申し訳ない……」
オービスタ
→クゥイナ?(共感)
「あの美しい歌声の子は、誰だったんだろう……?」
+ 第4話「嘘付きは泥棒と共に」
+ 水曜午後
 前日の約束通り、この日の昼休みにイルミナに連れられて町を散策することになった四人は、まずは学生向けの食堂「子山羊亭」へと足を運ぶ。ナディラは「大人のお子様ランチ」、ザフィーラは「スパイス共和国」、クゥイナは「赤いワンピース」、シルヴァンは「コスモスパ」を注文し、それぞれに未体験の不思議な味や食感を堪能した後、ザフィーラは(隣の席でフラムが食べようとしてリタイアした)「店長の新作」をもあっさりと完食してみせた。
 その後、彼等は広場へと向かうことになったが、ここでナディラザフィーラは噴水から奇妙な気配が漂っていることに気付く。そして、噴水の隣に降り立った鳥がその水を飲んだ瞬間、痙攣を始めたのをナディラが発見し、すぐにその鳥を連れて近くの病院へと駆け込むと、そこで彼等は地元の職人の娘である級友のラミと遭遇した。
+ ラミ
 ラミもまた、口に含んだ飲料水が原因でその鳥と同様の症状が発生していたようだが、病院で中和剤を貰ったことで今は治まったそうで、ナディラが連れてきた鳥についても、同様の中和剤を投与してもらうことで、無事に痙攣は治まった。ただ、この時、ラミのことを心配したナディラは、ラミの病状を確認しようとして彼女に触れようとするが、それに対してラミは反射的に拒絶反応を示し、気まずい雰囲気になってしまう。
 その後、ひとまず水の異変について学園当局に報告した上で、彼等は3限の「魔法学」の講義に出席する。担当教員のアントラムから、「魔法の存在意義」や「目指すべき魔法師像」について、生徒達に自身の考えを語るように促されると、ナディラは「神が誰かを助けるために(神だけでは何も出来ないが故に)生み出したもの」が魔法であるという前提の上で、その魔法を用いて怪我や病気を治すことで、「自分の周囲にいる人達を救えるような存在」になりたいと宣言する。
 これに対して、シルヴァンは魔法を「世界を安全にするためのもの」と位置付けた上で、自分自身は「人を助けることが出来て、人から頼られる存在」を目指すという意志を示し、ザフィーラは魔法を「生活しやすくするためのもの」と捉えつつ、「自分も仲間も守れるような魔法使い」になりたいと語る。そんな彼等のそれぞれの主張を聞いた上で、アントラムは「この問いの答えは、一生かけて探し続けるもの」と結論付けるが、「魔法は自分が好きなことをするためのもの」と考えているクゥイナの心には、あまりこの講義の内容は響かなかったようである。
 そして放課後。噴水の状況が心配になったクゥイナは図書館へと赴いて町の地下水の流れについて調べた上で当局へと報告する一方で、ザフィーラは酒場へと赴き、店内の酒類の確認のために魔法による検査を提案する(なお、この過程でザフィーラは、現在学園内で保護しているユニコーンとキュキュルに、精神力回復効果があるという話を聞くことになる)。
 一方、現地の噴水へと再び赴いたシルヴァンナディラは、学園関係者が地下水の確認のために掘り進めていた穴の中から現れた一匹の「不気味な臭気を放つ巨大な蜘蛛」の襲撃を受ける。強力な毒素をその身に纏った蜘蛛の攻撃によって、(昼の時点での戦いの傷がまだ癒えていなかった)シルヴァンが倒れ、ナディラも窮地に追い込まれるが、すぐさま駆け付けたザフィーラクゥイナのおかげで、どうにか蜘蛛の息の根を止めることには成功した。ただ、その過程でナディラもまた蜘蛛の攻撃で倒れてしまったため、彼等は病院へと搬送されることになる。
 その後、学園関係者の調査の結果、この巨大蜘蛛こそが水質汚染の原因であることが判明し、一時的に営業停止を要請されていたいくつかの店も、諸々の再確認の後に、無事に再開を認められることになった。
+ 木曜午前
 四日目となる木曜1限の授業は「物理」である。担当教員のハルツは、まずはこの世界における「重力」のあり方について解説するために、様々な重さの鉄球を上の階から下の階へと落とす実験を試みるように生徒達に命じるが、その際、傭兵の息子であるビュシェットが(隣からフォンティーナの鼻歌が聞こえてけいたことで)手を滑らせて鉄球を落とし、ラミが怪我をしてしまう。近くにいたクゥイナが即座に彼女を治療し、そして駆け付けたナディラが回復魔法をかけたことで、どうにかラミの怪我は全快し、そして(昨日の時点で生じていた)ラミとナディラの間の不穏な空気も解消された。
+ ハルツ
+ ビュシェット
 その後は各自が慎重に実験を進めていくことになるのだが、そんな中、元来はそこまで体力自慢でもない筈のソーニャが最重量の鉄球を軽々と持ち運んでいる様子を見て、何人かの生徒達は違和感を覚える。ザフィーラが彼女にそのことを問いかけてみても、彼女は「鍛えたから」とだけ答え、それ以上のことは話そうとはしなかった。
 続く2限の「体育」の授業では、担当教員のブレスの指導の下、生徒達の基礎体力の測定がおこなわれることになる。本来、体力には全く自信のないクゥイナであったが、(ここ数日の諸々で逃げ足が鍛えられたのか)短距離走では意外に善戦し、ナディラシルヴァンを上回る結果を残すものの、そこで力を使い果たしてしまう。一方、続く腕立て伏せの測定では、ソーニャがまたしても驚異的な勢いで回数を重ねていくが、ザフィーラがそれをも上回る記録を叩き出し、ソーニャは動揺をした表情を浮かべながら、一旦、校舎裏へと去って行く。
 そんなソーニャの様子を不審に思ったクゥイナが(先日入手した透明マントを用いて)彼女を尾行すると、ソーニャが謎の瓶の中に入った薬を服用しようとしたのを発見し、その様子から危険な予感を感じ取ったクゥイナは、催眠の魔法を用いてソーニャを眠らせた上で、その薬が入った瓶を奪い取ることに成功する。
 やがて、目を覚ましたソーニャは薬瓶が消えていることに焦りながらも授業に復帰し、今度は腹筋に挑戦した結果、ようやくザフィーラ相手に念願の初勝利を勝ち取るものの、その隣ではナディラシルヴァンが神憑り的な記録を叩き出すことで彼女達の記録を上回る結果となり、それ以降、ソーニャは彼等に対して「彼等が自分の持っていた薬を盗んで服用したのではないか?」という「疑惑の目」を向けるようになった。
+ 木曜午後
 昼食の時間になると、学食にてソーニャはナディラシルヴァンの食事の様子を密かに観察するが、当然の如く特に何の異変も感じられない。そんな彼女に対して、クゥイナが探りを入れるような会話を持ちかけると、ソーニャはクゥイナに対しても疑惑の視線を向けつつ、ひとまず放課後になったら自分の部屋に来るようクゥイナに促し、クゥイナもその提案に同意する。
 その後、3限の「美術」の授業を迎えることになった彼等は、担当教員のシェーヴェルから「二人一組になった上での互いの顔のデッサンを描く」という課題を出され、シルヴァンは動物好きの少年ポールと、ザフィーラは植物好きの少女リコッタと、クゥイナは入学式で学生代表を努めたレミィナと、そしてナディラは宮廷魔術師を目指すフィレタとペアを組み、それぞれに交流を深めることになる(なお、シェーヴェルの採点では、ナディラ、ポール、リコッタの三人の絵が特に高得点であったのに対し、ザフィーラとレミィナの作品は低評価に終わった)。
+ リコッタ
+ フィレタ
 そして放課後になると、ナディラは改めて噴水の確認へと赴き、無事に鳥達が水を啄みながら平気な様子を見せているのを見て安堵する。そんな彼に対して、腕輪の中から妖精ルビィが現れ、昨日の戦いで命を落としかけたことを窘めつつ、「もうあんな無茶はしないように」と釘を刺す。
 一方、シルヴァンは「子山羊亭」でのバイトを試みるが、配膳中に手元を狂わせえ、客として訪れていたプティに対して鍋パスタを(彼女の頭上から)ひっくり返してしまう。慌てて店長がマンゴーかき氷を差し出すことで彼女の顔面を冷やしつつ、ひとまず従業員用の浴室へと彼女を案内し、代わりに従業員服を彼女に差し出し、その間にシルヴァンが魔法を使って彼女の(下着を含めた)衣服を洗濯することになった。
 そして、ソーニャから自室に来るように促されていたクゥイナは、詳しい事情は伏せたまま、ザフィーラに透明マントを貸し与えた上で自分と一緒に来るように要請し、(よく分からないまま)ザフィーラがその申し出に同意すると、二人で(表面上はクゥイナ一人で)ソーニャの部屋へと赴き、彼女から話を聞くことになる。
 ソーニャ曰く、どうやら彼女は火曜夜の時点で、学園を訪れた「謎の人物」から「潜在能力を引き出す薬」を受け取り、それを一錠服用した、ということを告白する。謎の人物からは「この薬のことは誰にも話してはいけない」と言われていたが、昨日の体育の授業の途中で二錠目の薬を飲もうとする直前に気を失ったことを(本当はそれはクゥイナの魔法が原因なのだが)薬の副作用と勘違いした彼女は、この薬は危険な代物であると判断し、むしろその危険性を皆に知らせなければならないと判断した上で、自分の持っていた薬瓶を奪った犯人を探しているらしい。
 これに対してクゥイナは「自分も同じ者から同じ薬を受け取った」と告げた上で、ソーニャの薬瓶を奪ったのは学外からの侵入者ではないか、という虚偽の憶測を告げる。ソーニャはひとまずその仮設を受け入れた上で、教員に報告に行くことを決意し、クゥイナも「いずれ自分も先生には話す」と告げた上で、(今一つ事情がよく分かっていないザフィーラと共に)ソーニャの部屋を後にするのであった。
+ NPCからPCへの感情
イルミナ
→ザフィーラ(普通)
「一人で実質二皿食べるなんて、これがあのパワーの源なのかしら」
フルム
→ザフィーラ(普通)
「リアクション芸の練習のつもりが……、迷惑をかけてしまったな」
ラミ
→ナディラ(反発)
「悪気はなかったらしいけど、いきなり触るのは失礼よ!」
ビュシェット
→ナディラ(普通)
「俺より先に魔法で治してくれて、助かったよ」
ソーニャ
→クゥイナ(一目惚れ)
「彼女のような存在を守るために、私の武術は存在する」
→ナディラ(好印象)
「治癒魔法だけでなく、基礎体力でも私を上回るとは、感服した」
→シルヴァン(好印象)
「さすがは常に最前線で仲間を守り続けただけのことはある」
ポール
→シルヴァン(好印象)
「なんというか、彼は話していて心地良いな」
リコッタ
→ザフィーラ(普通)
「彼女は本当に裏表が無い、実直な人なのね」
レミィナ
→クゥイナ(好印象)
「よく分からないけど、なぜか心が惹かれる。不思議な人ね」
フィレタ
→ナディラ(普通)
「宮廷魔術師を目指す上で、注意すべきライバルの一人になるかも」
プティ
→シルヴァン(普通)
「びっくりしましたけど、悪気はなかったようですし……」
+ 第5話「週末は気まぐれと共に」
+ 金曜午前
 週の締めくくりとなる金曜の1限の講義は「生物」である。担当教員のマトックは学生達に対して、動物に慣れるための訓練として、先日保護されたキュキュルの子供への餌遣りという課題を提示した。元来、キュキュルはおとなしい気性だが、密輸業者によって狭い場所に無理矢理閉じ込められていた経験のせいで、この仔キュキュルはやや気が立っている様子であった。しかし、ナディラシルヴァンクゥイナザフィーラの四人からの餌遣りに対して仔キュキュルは素直に応じ、特にクゥイナには懐いた様子を見せる。
 そんな中、貴族の娘のエミリーが、うっかり仔キュキュルの「嫌がる部分」を触ってしまったことで、唐突に仔キュキュルは暴れ始めて柵から飛び出すが、ザフィーラが身を挺して庇いつつ、どうにか押し戻すことに成功する。その後、仔キュキュルにはクゥイナによって「モーティア」という名が与えられることになった。
+ エミリー
 続く2限目の「音楽」の授業では、担当教員のボーモンの手から生徒達に「縦笛」が渡され、二人一組での合奏の練習をすることになる。シルヴァンは商人の娘ペルシエと、ザフィーラは地方貴族の息子エコリーノと、ナディラは魔法使いの息子クレストと、そしてクゥイナは地方牧場出身のシャウルスと、それぞれペアを組むことになるが、エコリーノのいたずらに翻弄されたザフィーラは調子を崩して散々な結果に終わり、シルヴァンナディラも本領を発揮出来ずにいる中、クゥイナは見事な腕前を披露して、シャウルスからもボーモンからも高評価を受けるのであった。
+ エコリーノ
+ クレスト
+ シャウルス
+ 金曜午後
 昼休みになり、四人が昼食を食べるために再び子山羊亭へと繰り出すと、そこでは級友のフィレタとミナが客席のテーブルに突っ伏していた。どうやら彼女達は、店長の新作「三色マリトッツォ(からし/わさび/ハバネロ)」を一口食べて、そのあまりに強烈な味に悶絶していたらしい。クゥイナが二人を介抱し、食べきれなかった分をザフィーラシルヴァンが平らげることで事態を収拾した上で、彼等は口直しも兼ねて、きのこスパ(ザフィーラ)、和風雑炊(シルヴァン)、シャンピニオン(クゥイナ)、サーモンほうれん草スパ(ナディラ)を頼むことにした。
+ ミナ
 そして、週の最後の授業となる「自由研究」にて、担任のクレイトンから「これから研究したいテーマ」を決めるように促された生徒達は、それぞれに熟考した結果、クゥイナは「薬品」について、ザフィーラは「魚介類」について、そしてシルヴァンナディラは共同で「植物」についての研究を進めるという方針を固める。
 こうして一週間の授業を一通り終えた彼等は、それぞれに心置きなく週末の放課後を満喫することになる。ナディラはさっそく自由研究用に「モクモク草」の種を商店街で購入した上で、寮の近くに自分用の園芸区画を作り、栽培を始めることにした。
 一方、ザフィーラは(シルヴァンと入れ替わる形で)子山羊亭のバイトに入り、ホールでの接客をこなしていたが、そこで「以前にユニコーンに関する情報を聞いて回っていた時に話しかけた人物」と遭遇する。その人物曰く、あの後でザフィーラの他にも同じ質問をしていた二人組の男性と遭遇したらしいが、その特徴を聞く限り、どうやらその二人の正体は、ドクロ団のヤヤッキーとタンズラーのようである。
 その頃、シルヴァンは学生通りの「へら鹿屋」の女主人からの紹介で、級友のクリスと共に(彼女の出身地区でもある)開発区の清掃のバイトに赴くことになるのだが、そこで彼等は、何かを探している様子のシャロル(村娘と自称する怪盗の娘)と遭遇する。どうやらシャロルの「隼の靴」が何者かに盗まれてしまったようで、その犯人を探しているらしい。
+ シャロル
 既に清掃の仕事も一段落ついていたこともあり、シルヴァンとクリスもシャロルに協力して捜索に加わることになるが、その途上でプティが「歓楽街の店の勧誘員と思しき人物」に声をかけられて(意味も分からないうちに)店に連れて行かれようとしている場面に遭遇する。だが、そこへ「時操りの鏡」の力を用いて「大人の姿」に変身したクゥイナが現れ、「同業者」としてその人物に「貴族の娘を巻き込むことの危険性」を諭した結果、どうにか無事にプティを解放させることに成功した。
 結局、この日はシャロルの靴を盗んだ犯人は見つけられないままシルヴァンは帰宅することになるのだが、その途上でナディラが設置した園芸区画の標識を発見すると、そこで彼はさっそく《緑の指》の魔法をかけることにする。こうして、彼等の「魔法学園での最初の一週間」は、静かに終わりを告げることになるのであった。
+ NPCからPCへの感情
エミリー
→ザフィーラ(警戒)
「この人、本当に私と同じ人間なのかしら……?」
ペルシエ
→シルヴァン(普通)
「もう一度合奏すれば、もっとうまく合わせられるかも」
エコリーノ
→ザフィーラ(普通)
「いたずらは成功したけど、もう少しリアクションが欲しかったな」
クレスト
→ナディラ(普通)
「正直、音楽に関しては、まだまだだね」
シャウルス
→クゥイナ(共感)
「綺麗な音色だったな。また一緒に演奏してみたいぜ」
フィレタ
→クゥイナ(一目惚れ)
「この恩義、いつの日か何らかの形で返さなければなるまい」
→ザフィーラ(警戒)
「いずれ彼女もまた私の前に立ちはだかることになるのかも」
→シルヴァン(共感)
「やるじゃないか。私も見習わなければな」
ミナ
→クゥイナ(共感)
「助かりました。外見だけでなく、心もお美しい方なのですね」
→ザフィーラ(普通)
「私の不手際の後始末をして下さったこと、感謝します」
→シルヴァン(普通)
「無理して食べてたようにも見えますけど、大丈夫なのでしょうか?」
クリス
→シルヴァン(好印象)
「あの仕事量をあっさりとこなすなんて、大したものだわ」
シャロル
→シルヴァン(普通)
「手伝ってくれたことには感謝するぜ」
+ 第6話「白球は豪腕と共に」
 週末を迎えた1年A組の面々は、レクリエーション企画として球技大会を開催することになった。もともとの発案者の一人であるシルヴァンの元には、ザフィーラナディラ、フルム、オリヴィエ、ソーニャ、プティといった「馴染みの面々」が集まり、そこに前日ナディラと共に合奏したクレストと、そして魔法書店の息子ドーファンが加った上で、クゥイナは補欠(マネージャー?)として参加することになった。
+ ドーファン
+ チーム・シルヴァンのオーダー
1:ソーニャ(中)
2:フルム(一)
3:ドーファン(二)
4:ザフィーラ(投)
5:シルヴァン(遊)
6:クレスト(右)
7:オリヴィエ(右)
8;プティ(左)
9:ナディラ(捕)
補欠:クゥイナ
 一方、もう一人の発案者であるデリスの元にも、シルヴァンナディラの隣の部屋に住むライアスが、彼の友人である没落貴族の息子アインを誘う形で参加し、更にアインの騎士志望仲間(?)のシャウルスと、シルヴァン達と縁のある五人の少女達(クリス、レミィナ、ラミ、ペルシエ、ユーシス)が集まり、彼等と対戦することになった(なお、こちらのチームのキャプテンは、本人の強い要望により、アインが務めることになった)。
+ アイン
+ チーム・アインのオーダー
1:ラミ(二)
2:ペルシエ(三)
3:デリス(遊)
4:アイン(投) 左打ち
5:レミィナ(一)
6:ライアス(左)
7:クリス(右)
8:シャウルス(中)
9:ユーシス(捕)
 こうして両チームが出揃う中、担任のクレイトンが審判を務める形で、コイントスをおこない、チーム・アインの先行で試合が始まった。先頭打者のラミはクレイトンの前でいいところを見せようと意気込むが、ナディラの配球センスが冴え渡り、完全に裏をかかれた彼女は一球をバットに当てることが出来ないまま三振を喫する。だが、続く2番のペルシエの出会い頭の一振りがナディラの剛速球をジャストミートし、まさかの先制ホームランを叩き出す(ア 1-0 シ)。しかし、その後はデリスをピッチャーフライ、アインを三振に仕留めることで、初回の投球を終える。
 一方、打者としては手も足も出なかったアインであったが、捕手のユーシスが相手の打ち気をそらすリードで打者達を翻弄したこともあり、一回から三回二死まで八者連続三振の快投を見せる。九人目の打者となるナディラが四球を選んだことで記録は途絶えたが、後続のソーニャもきっちり三振で抑えて零封を続ける。その間にザフィーラもまた三振の山を築き上げ、3回にシャウルスとラミに四球を与えたものの、それ以外はこちらも完璧な投球を続けていた。
 そんな中、試合が動いたのは四回であった。四回表の第三打者となるレミィナが、センターの頭上を超える大きな当たりを放ち、彼女はそのまま快走を飛ばしてランニングホームランを達成する(ア 2-0 シ)。だが、その裏、先頭打者のフルムが四球を選び、それに動揺したのかアインは続くドーファンに死球を投げ込んでしまったところで降板し、一塁のレミィナと守備を入れ替える。しかし、レミィナを以ってしても勢いを止めることは出来ず、ザフィーラがレフト前ヒットで打線を繋げた後、シルヴァンが(幸運の石の力を用いて)逆転満塁ホームランで試合をひっくり返すことに成功する(ア 2-4 シ)。
 その後は 5回表のクリスの四球、6回裏のザフィーラの三塁打、そして7回裏のナディラの四球以外は互いに凡退(その大半は三振)を続け、最後はレミィナの腕輪を借りる形でデリスとアインがザフィーラに勝負を挑むものの、ザフィーラの豪速球を打ち返すことは出来ず、そのままチーム・シルヴァンの勝利で試合は終了する。なお、クゥイナは密かに「例の薬」をどこかのタイミングで誰かに飲ませようと目論んでいたようだが、クレイトンの目を盗むことは出来ず、最後までその機会は得られなかったようである。
+ スコアボード&個人成績
+ NPCからPCへの感情
ラミ
→ザフィーラ(普通)
「せめて一発くらいは打ち返したかったわ」
ペルシエ
→ナディラ(普通)
「最初の打席以外は、全部裏をかかれちゃったな」
デリス
→ザフィーラ(普通)
「完敗ね。次はまた別の種目で勝負したいわ」
アイン
→ザフィーラ(好印象)
「お前、すげぇな! でも、次は負けないぜ!」
レミィナ
→シルヴァン(普通)
「うーん、打たれちゃったかぁ。まぁ、仕方ないわね」
ライアス
→ザフィーラ(強烈な警戒)
「もう勘弁してくれ。お前とは二度とやりたくないよ」
クリス
→ザフィーラ(普通)
「噂には聞いてたけど、やっぱり別次元の存在ね」
シャウルス
→ザフィーラ(普通)
「いずれまた別の種目でリベンジしたいところだな」
ユーシス
→ナディラ(普通)
「なかなか手応えのある心理戦だった」
ドーファン
→シルヴァン(普通)
「死球で走るのが辛かったから、ホームランで返してくれて助かったぜ」
+ 第7話「返還は見返りと共に」
+ 土曜(試合終了後)
 試合を終えた後、クゥイナとザフィーラが女子寮へと戻ると、壁にかけてあった「透明マント」が消えており、ザフィーラの枕元には「お前のマントは預かった。返してほしくば今夜、お前の腕輪と交換だ」という旨が記された置き手紙が残されていた(犯人は、マントをザフィーラの持ち物と勘違いしているらしい)。「引き渡し場所」には城下町のスラムの一角が指定されており、差出人名には「レディ・カーバンクル」と記されている。
 なお、隣室のマリアの証言によると、この日の昼頃に一度、クゥイナとザフィーラの部屋の扉が開く音が聞こえたらしい。つまり、犯人は寮内にいる(もしくは寮内に自由に入れる)人物の可能性が高い、ということになる。
+ マリア
 その後、街の酒場で開かれたチーム・シルヴァンの戦勝会において、クゥイナはシルヴァンに協力を依頼し(この過程で、クゥイナとシルヴァンが「特別な仲」だと何人かに勘違いされつつ)、シルヴァン経由で(ほろ酔い状態の)ナディラにも事情を伝えた上で、四人は共に引き渡し場所の路地裏へと向かうことになった。
 現地に到着した彼等に対して、姿を隠した状態の犯人は腕輪を渡すようにザフィーラに語りかけるが、ここでナディラが《導きの矢》を用いて場所を特定すると、シルヴァンが(オロンジョの時と同じ要領で)「その空間」に向かってタックルで組みかかる。これに対し、犯人は《絵師の筆》を用いつつ、どうにかその状況から逃れようとするが、最終的にはクゥイナの《催眠》によって、意識を失ってその場に倒れ込む。その正体は、先日「隼の靴」を盗まれたシャロンであった。
 クゥイナが持ってきた縄で身体を拘束した上で、目を覚ましたシャロンに話を聞いてみたところ、彼女は「靴を盗んだ犯人」と思しき者から「返してほしくばザフィーラの持っている腕輪を盗んで来い」という手紙を受け取っていたらしい。シャロンは怪盗カーバンクルの娘であり、これは父と同じ盗賊ギルドに所属する「魔術師ガニメデ」の配下の盗賊の仕業ではないか、というのが彼女の推測である(なお、ガニメデ盗賊団は、ナディラの村を襲った者達でもある)。シャロンの状況に同情したザフィーラ達は、彼女に協力して、靴の奪還に協力することにした。
+ 日曜昼
 シャロンの靴を盗んだ犯人が指定した「引き渡し場所」は同じスラムの別の一角であり、指定された期日は「日曜(翌日)の夜」であった。そして、どうやら犯人はシャロン以外の別の学生にも「同様の交渉」を持ちかけているらしい。そのことを踏まえた上で、クゥイナは日曜の昼の時点で(シャロンから取り返した)透明マントを着て、一人で「引き渡し場所」の下見へと向かうことにした。
 すると、彼女はそこでライアスの姿を発見する。彼もまた同じ場所で、周囲の状況などを確認しようとしていた。その様子から何かを察したクゥイナは、姿を隠した状態から《催眠》を用いてライアスを眠らせた上で、縄で縛って拘束し、彼が何を探ろうとしていたのか(姿を隠したまま)尋問しようとするが、《念力》と《絵師の筆》で抵抗されたため、ひとまずこの場は撤退することにした。
 なお、実はライアスは前日の時点で「この状況」に繋がる言動を見せていたのだが、いずれもクゥイナにはその情報が伝わっていなかったので、この時点ではまだ彼女には、彼の思惑を特定するには至れなかった。
+ 前日の時点でのライアスの言動
1、アインから「なぜ幸運の石を使わなかった?」と問われた時に、やや苛立ってた。
2、ナディラに「ザフィーラは誰かに恨まれたりしていないか?」などと尋ねていた。
3、門限までに寮に戻らず、夜中に窓からこっそりと帰宅していた。
+ 日曜夜
 陽が落ちた時点で、ザフィーラ達はシャロンと共に(クゥイナは透明マントに身を包んだ上で)刻限の時間よりも前に現地へと向かう。すると、その途中でシルヴァンは、目的地の方角から聞こえてくる「ライアスと謎の男の会話」に気付く。どうやら、その「謎の男」こそがシャロンの靴を盗んだ犯人であり、彼はライアスの「幸運の石(エメラルド)」も盗んだ上で「同じ交渉」を持ちかけていたようだが、ライアスはその申し出を断る旨を告げる(なお、この時点で犯人らしき男はライアスのことを「長老様の孫」と呼んでいた)。
 そしてライアスに代わってシャロン達が現場に到着すると、犯人と思しき盗賊風の男が姿を現す。その男は(シャロンの予想通り)ガニメデ盗賊団の一員であり、かつてザフィーラの村に潜入し、ザフィーラ達によって撃退された人物でもあった。彼はザフィーラへの復讐のために、彼女の力の源である腕輪を奪おうと企んでいたのである。
+ 犯人
 ザフィーラが腕輪を外して手に持つと、犯人は魔法の範囲外となる高い場所から「特殊な糸」を用いてそれを手繰り寄せようとするが、(腕輪を外した状態のザフィーラ相手が相手だったにもかかわらず)力負けする形で逆に引っ張り込まれ、そこにクゥイナが《催眠》をかけることで、彼は意識を失って俯せに倒れる。
 だが、この時点で彼が懐に忍ばせていた魔導具が発動し、そこから「四足の怪物」が出現した。シルヴァンが《蛇使い》の魔法で怪物の足を封じた上で、改めて腕輪を装着したザフィーラの奮戦によってどうにか怪物を倒した彼等は、ナディラの《癒しの手》でザフィーラの傷口を塞ぎつつ、犯人が持っていた「隼の靴」と「幸運の石(エメラルド)」を奪い返すことに成功した。
 その後、縄で縛り上げられた犯人は、目を覚ました上で、彼等の尋問に対しておとなしく供述を始める。犯人曰く、今回の件はあくまで彼の独断による行動であり、ガニメデ盗賊団として動いていた訳ではなく、シャロンとライアスを使って腕輪を盗ませようとしたのは、彼等がそれぞれ「怪盗カーバンクルの娘」と「盗賊ギルド長(長老)の孫」であることが理由らしい(自分が直接ザフィーラから盗み出すのは怖かったらしい)。
 なお、彼にとっての首領であるガニメデは最近、「潜在能力を引き出す薬」や「精神力を強化する薬(その原料は『特殊な動物の角』)」を開発し、それらの被検体として魔法学園の生徒達を利用しているという。この話を聞いた時点で、クゥイナはソーニャが持っていた(自分が盗み取った)「謎の薬」や、前日の時点でのレミィナの不穏な発言を思い出すが、それ以上のことを聞き出す前に、騒ぎを聞きつけた官憲の者達が現れたため、犯人の身柄は彼等に引き渡され、幸運の石(エメラルド)はシルヴァンによって無事にライアスへと届けられることになった。
+ 前日の時点でのレミィナの発言
 試合が終わった時点で、レミィナのスタミナ(精神力)を不安視していたたクリスに対し、「旅の商人から貰った飲み薬」のおかげで大丈夫だった、と彼女は答えていた。
 なお、シャロンが言うには、この地の盗賊ギルドを統べているのはライアスの祖父(長老)であり、魔術師ガニメデ、怪盗カーバンクル(シャロンの父)、Dr.エベロ(オロンジョ達の長)の三人はその下で活動する者達の中でも特に有力な「四天王」と呼ばれる実力者であるという。そして、四天王の最後の一人は「相手の心を盗むことで、その全てを奪う女性」として知られる「(ブルーローズ)青薔薇」と呼ばれる碧眼の美女だったが、現在は行方不明となっているらしい。
+ NPCからPCへの感情
マリア
→ザフィーラ(普通)
「部屋に誰か入ってたみたいだけど、本当に大丈夫なのかしら?」
シャロル
→ザフィーラ(特殊な感情を抱えながらも普通)
「何も言わなかったけど、さすがに内心では怒ってるよな……」
ライアス
→シルヴァン(普通)
「この借りは、いつか絶対に返す!」
+ 第8話「真夜中は告白と共に」
+ ある日の昼間
 入学から月日が経ち、皆が学園生活に慣れ始めた頃、辺境の農村出身のグランと医者の息子のリゴットが、シルヴァンに声をかけた。彼等はシルヴァン達と同様に薬草関連の自由研究を進めているのだが、そんな彼等が旧校舎の近く植えていた苗が、昨晩、何者かの手で根こそぎ奪われており、その近くには立入禁止の旧校舎へと向かう足跡が残っていたらしい。その話を伝えた上で、シルヴァンに対しても同様の被害に遭わないよう注意喚起した彼等に対し、シルヴァンは自分達の草木を植えている区画の隣を新たな農園とすることを提案する。
+ グラン
+ リゴット
 その頃、役人の息子であるカトルヴァンは、クゥイナに「シルヴァンと付き合っているという噂」の真偽について問いかけていた。これに対して彼女が曖昧な返答を示すと、彼はクゥイナに「真夜中の旧校舎でのデート」を申し込む。どうやらこの学園には「日付が変わる瞬間に旧校舎内の講堂のステージ上にいた二人は、永遠に幸せになれる」という伝承があるそうで、その真相を二人で確かめたいと申し出て来たカトルヴァンに対し、クゥイナは意味深な態度を示しつつも快諾する。
+ カトルヴァン
 一方、ザフィーラは旅芸人出身のカーシャ、貴族の次男坊のガルディアン、商人の息子のセラックの三人からの依頼で「旧校舎の潜入」に同行することになった。現在、カーシャはこの地での芸能活動の再開を計画しており、衣装演出をガルディアンに、看板作成をセラックに依頼しているのだが、その看板の背景として「旧校舎の講堂のステージ」を利用したいと考えているらしい。その上で、立入禁止区域での危険性を考慮した上で、護衛役を欲しがっていたのである。
+ カーシャ
+ ガルディアン
+ セラック
 そしてもう一人、旧校舎に興味を持っている人物がいた。職人の息子のアルディである。怪奇現象に興味を持つ彼は「旧校舎に妖精が潜んでいるらしい」という噂を聞き、妖精を連れているナディラに、一緒に妖精を探しに行こうと提案し、ナディラも(妖精のルビィと共に)賛同する。その上で、ナディラシルヴァンにも声をかけた上で、三人で夜の旧校舎の探検へと向かうことになった。
+ アルディ
+ ある日の深夜
 最初に旧校舎に足を踏み入れたのは、ナディラシルヴァン、アルディの三人(とルビィ)であった。彼等は「妖精」と「苗木の窃盗犯」を探すために校舎を探索しようとするが、その過程で「覆面をかぶってマトックを持った人物」が徘徊しているのを発見する。シルヴァンの《蛇使い》によって、その人物の身体を拘束した上で正体を確認すると、それは鉱山技師の息子のトラップであった。彼もまたグランとリゴットの話を聞いた上で、苗木の窃盗犯を探して潜入していたらしい。ひとまず彼等はそのまま同行した状態で探索を続けることになる。
+ トラップ
 それから少し遅れて旧校舎に入ってきたのは、ザフィーラ、カーシャ、ガルディアン、セラックの四人である。彼等は「上の階」で何者か(=ナディラ達)がいることには気付きつつも、ひとまずは目的地である講堂へと向かうと、ザフィーラが周囲に対して警戒の目を光らせている間に、舞台上ではガルディアンの手で着付けられたカーシャの絵をセラックが描き始める。
 更にそれから数刻後、今度はクゥイナとカトルヴァンが旧校舎の中へと足を踏み入れると、彼等は校舎内でナディラ達と鉢合わせる。この瞬間、シルヴァンの姿を発見したクゥイナが彼に駆け寄って行くのを見たガルディアンは「何か」を察しつつ、シルヴァン達から話を聞いた上で、ひとまずは彼等の捜索にクゥイナと共に協力することにした。
 こうして6人(+1妖精)となった探索隊が更に旧校舎内を調べ回っていると、ナディラクゥイナは前方から「何者か」の足音が聞こえてくるのに気付く。彼等がその足音の方へと向かおうとすると、その音に気付いた「何者か」は走って彼等から遠ざかろうとしたため、そのまま追走を続けた結果、その「何者か」は講堂へと逃げ込むことになる。
 当然、その足音は(もともと講堂にいた)ザフィーラ達の耳にも届くことになり、彼女達が警戒しながら足音のする方向(東側の入口)に視線を向けると、そこに走り込むように現れたのは「走る人体模型」であった。その異様な光景に対してザフィーラ達が当惑する中、その後方から(真っ先に追走していた)クゥイナが現れたことで彼女達は更に混乱し、その間に人体模型は「西側の入口」へと走り去って行く。
 何が起きているのか分からないまま、やがて他の探索隊の面々とも合流した彼等は、ひとまず互いに状況を確認した上で、「ナディラ(&ルビィ)、シルヴァンクゥイナザフィーラ」と「アルディ、カトルヴァン、カーシャ、ガルディアン、セラック、トラップ」に分かれて、人体模型を追うことにした(なお、この振り分けに関しては、「クゥイナシルヴァンとの間に流れている雰囲気」を察した上でのカトルヴァンの提案であった)。
 その後、探索を続けていくうちに、クゥイナはこの旧校舎内に似つかわしくない「植物の匂い」を感じ取り、シルヴァン達と共にその方向へと向かうと、ある一つの教室の中に「鉢に植えられたいくつかの苗木」と人体模型の姿を発見する。そしてこの瞬間、ルビィはこの人体模型から「自分と同じ妖精」の気配を感じ取った。
 彼等は人体模型に対して「何が目的なのか?」と問いかけるが、人体模型は何も答えない。だが、シルヴァンが「植木をまた旧校舎の土に戻していいか?」と問いかけると、明確に首を振る。この時点で、どうやら言葉自体は通じるらしいと察した彼等は「筆談」を提案し、ザフィーラが筆記用具を手渡すが、人体模型がそこに記したのは明らかに古代の文字であり、四人の誰も読むことが出来ない。だが、その文字をルビィに見せてみたところ、記憶を失っている筈の彼女の中で何かが目覚めたようで、ルビィは人体模型の書いた文字を音読し始める。
 どうやらこの人体模型には「妖精(女性型?)の幽霊」が取り憑いているようで、現在は妖精としての本来の身体を(霊体として視認させることは出来るが)失っているが故に、物体に取り憑く形でしか何かに触れることが出来ないらしい。その妖精曰く、この旧校舎の近くの土には強力な魔力が宿っているため、薬草などの特殊な植物を植えると危険な副反応が起きると判断した上で、別の場所へと植え替えようとしていた、とのことである。その上で、シルヴァンが別の場所へと植え替えることを約束すると、妖精(人体模型)は快く苗木を渡す意志を示す。
+ 霊体化した妖精
 ただ、彼女は生前の頃、まだ設立されたばかりの魔法学園に通っていた男性との恋を、学園の者達によって邪魔され、最期は講堂のステージ上で心中したという過去があるため、魔法学園に対してはあまり良い印象を持っておらず、自分の存在は出来れば公にはしたくない、という意志を示す。ナディラ達は彼女の心情を理解した上で、ひとまず植木を返してもらいつつ、妖精には人体模型から離れてもらった上で、それが動いていた理由は分からなかった、と他の者達に報告することにした。
 その上で、ナディラザフィーラが植木を手に帰還する一方で、シルヴァンクゥイナを連れて講堂の舞台上へと向かい、そして日付が変わる直前のタイミングで、彼女に対して交際を申し込む。クゥイナは「私は『あなたが思っているような人間』ではないかもしれない」と伝えた上で、それでも受け入れるとシルヴァンが断言したのを確認すると、彼女はシルヴァンの想いに応える意を示す。次の瞬間、時計の針は0時を指し、そのまま静かに「日付が変わる瞬間」を二人で迎えるのであった。
+ 後日談
 無事に苗木を取り戻したもらったグランとリゴットは、ナディラシルヴァンに深く感謝しつつ、彼等の研究植物の隣で新たに薬草の育成を始めることにした。
 カトルヴァンはクゥイナへの想いはスッパリと諦めた上で、今度はラミをデートに誘い、ラミもまた満更でもない雰囲気を見せてはいたが、彼女がその申し出を受け入れたのかは不明である。
 カーシャ達は無事に看板を完成させ、ザフィーラに対して「何かお礼がしたい」と告げるが、ひとまずザフィーラは何も思いつかなかったので、一旦答えを保留する。
 アルディは事件後もしばらくは「動く人体模型の謎」を解明しようとしていたが、結局真相には辿り着けないまま、いつの間にか別の心霊現象の噂へと彼の興味は移行していたのであった。
+ NPCからPCへの感情
グラン
→シルヴァン(共感)
「大事な土地まで貸してくれるなんて、度量の広い人だ」
リゴット
→シルヴァン(共感)
「報告書には協力者として名前を載せておかないとね」
カトルヴァン
→クゥイナ(好印象)
「さすがは学年一の人気者だけのことはある」
カーシャ
→ザフィーラ(普通)
「さて、どんなお礼をしようかな」
ガルディアン
→ザフィーラ(普通)
「彼女について来てもらったのは正解だった」
セラック
→ザフィーラ(普通)
「僕も彼女くらい堂々と生きていけたらいいな」
アルディ
→ナディラ(普通)
「妖精と一緒にいられるなんて、本当に羨ましい」
トラップ
→ナディラ(普通)
「無事に事件を解決してくれたようで、安心した」
+ 第9話「真実は潮風と共に」
+ 出発前
 臨海学校の季節が訪れた。1年A組の面々が向かうことになるのは、ザフィーラの故郷の近くの村の宿泊施設である。ザフィーラがその準備に勤しむ中、彼女の元には故郷の両親からの手紙が届いた。彼女の地元の海域には、土地神のように慕われている「カクカク様」と呼ばれる海獣(地球におけるイッカクのような存在)が存在するのだが、両親曰く、最近、そのカクカク様の密猟を目論む者達が暗躍しているらしい。
 ザフィーラはその手紙を読んで警戒心を強めつつ、ひとまず、前回の護衛の報酬としてカーシャから(筋肉美を引き立たせる)セパレート型の水着を購入してもらうことにした。一方、彼女達と一緒に水着を買いに来ていたクゥイナは、店内で遭遇したクリスからの(「あまり過激な水着を着ると男性陣が心を乱すかもしれない」という)助言に従い、清楚なワンピース型の水着を購入する(ただ、それとは別に「何かあった時のために」きわどい水着もこっそり購入していた)。
+ 臨海学校/昼
 臨海学校の会場となる海辺の村までは、クレイトンが操縦する巨大モクモク草で移動することになった。旅の道中では、オービスタがザフィーラに対して現地の様子について尋ねるなど、和気藹々とした雰囲気に包まれていたが、やがて彼等に対して想定外の「突風」が襲いかかる。生徒達は必死モクモク草にしがみつくが、エミリーがその風圧に耐えられずに、吹き飛ばされそうになってしまう。しかし、咄嗟にシルヴァンが手を伸ばすことで、彼女はどうにか落下の危機を免れた。
 こうして無事に現地へと到着した彼等は、海辺でカッターボートの訓練をするため、水着に着替えることになる。着替え用のスペースが狭いため、必然的に全員の着替えが終わるまでの間の待ち時間が長くなってしまうのだが、その間に、アインの提案により、シルヴァンナディラクゥイナザフィーラと、アイン、ライアス、レミィナ、クリスの2チームに分かれて、「スイカ割り」をおこなうことになった。
 シルヴァン組は、ザフィーラが目隠し状態で棒を持ち、シルヴァンがスイカの隣に寝そべり、ナディラクゥイナが声で指示する役を担うのに対し、アイン組は、レミィナが棒を持ち、アインが寝そべり、ライアスとクリスが声掛けを担当する。結果は、ザフィーラが見事な棒捌きでスイカを綺麗に一刀両断にしたことで、シルヴァン組の完勝となった。彼女が早々と勝負を決めたことで、(レミィナに頭を叩き割られる直前だった)アインはかろうじて命拾いしつつ、その後は皆で仲良くスイカを食べることになる。
 やがて全員の着替えが終わり、カッターボートの授業が始まる。用意されたボートは二艘であり、四人一組でそれぞれのボートに乗り込む、という形式であった。シルヴァン達四人は、ガルディアン、トラップ、ピエール、ドーファンの四人を乗せた船と同時出航となり、両者は競い合うように船を漕ぐが、結果はシルヴァン達の完勝に終わる。
 ただ、このカッターボートの途上でシルヴァンは、沖の方角の海面に「巨大な貝のような形状の何か」がいくつも浮かんでいるのを見つける。彼の目にはそれが「魔法で作られた何か」のように見えた。地元の風習か何かかと考えた彼は、ザフィーラにそのことについて尋ねてみたのの、彼女の中にはそのような魔法具の記憶はなく、そして帰還後に現地の人々に聞いてみても、誰も心当たりがないようであった。
 その後、彼等は、他の面々がボートに乗っている間の「荷物番」へと回ることになる。ここで、地元の協力者としてザフィーラの弟達も一緒に警備を担当することになるのだが、そんな中、ナディラが「遠方から自分達を見ているヤヤッキー」の姿を発見する。即座にザフィーラが追いかけ、最終的には全員で協力して捕縛することに成功した彼等は、ヤヤッキーの口からドクロ団に関する様々な情報を聞き出すことになる。
 ドクロ団は現在、ガニメデからの依頼により、「カクカクの角」を入手するためにこの村に来ているらしい。ガニメデは以前から「特殊な魔力が込められた角」を材料とした「何か」を錬成しようとしており(以前にガニメデ直属の盗賊団がザフィーラの里を襲ったのも、村に祀られている「死んだカクカクの角」が目的であった)、最近学内で出回っている怪しげな薬の数々も、その「何か」の材料の一つであるという(つまり、彼は生徒達を実験台にした上で、それらの薬の効果を調べようとしていた、とのことである)。
 また、以前にオロンジョが学園に潜入していたのも、ガニメデからの依頼で(カクカクと同様の力を秘めた)キュキュルやユニコーンを入手するためだったらしい。一方で、クゥイナの誘拐もまたガニメデからの依頼であったが、それもまた上記の計画に関係する話なのかどうかまでは、ヤヤッキーは聞かされていない、とのことである。彼等はひとまずヤヤッキーの身柄をクレイトンに引き渡し、以後の処遇については学園側に任せることにした。
 やがて全員のカッターボート体験が終わると、今度は海での「船釣り」の授業となる。各自が船で沖へと向かっていく中、上述の「謎の貝」の海域へと向かったシルヴァン達は、貝と貝の間が「何か」で繋がれていることに気付く。ひとまずザフィーラが潜って調べてみたところ、その「繋いでいるもの」が巨大な「網」であることが分かった。
 だが、ここで彼女がそれに触れてみた瞬間、突然、電撃のような何かが彼女の身体に襲いかかる。ザフィーラはもがき苦しみ似ながらも海面へと上がり、最後はナディラに引っ張り上げられる形で、どうにか船への帰還に成功した。どうやらこの「貝」と「電撃網」はカクカクを密猟するための道具らしい。彼等はひとまずシルヴァンがナイフを《念力》で操ることで、「貝」の一つを持ち帰ろうと試みる。
 そんな中、やがて彼等のいる海域に向かって、遠方から一隻の船が近付いてきた。その船に乗っているのは、オロンジョとタンズラーである。彼女達の意図は不明だが、慣れない海上での戦闘は危険と判断したシルヴァン達は、ひとまず貝の一つだけを切り取った上で、陸へと逃げ帰る。その後、クレイトンに貝を手渡したところ、どうやらこれは古代の魔法具の一つであり、以前にオロンジョが連れていた小型の怪物達と同系統の代物らしい、ということが判明した。
+ 臨海学校/夜
 この日の夜は海辺の近くの宿舎に泊まることになり、男女それぞれに6人部屋があてがわれることになった。クゥイナザフィーラはレミィナ、デリス、ユーシス、フィレタと同室となり、それぞれの恋愛事情や恋愛観などについて語り合うことになるも、クゥイナシルヴァンとの関係については、あくまではぐらかし続ける。一方、シルヴァンナディラはアイン、シャウルス、クレスト、ガルディアンの四人と同室となり、こちらは激しい枕投げを繰り広げた後に(最終的にはナディラをアインが倒して勝利)、やはり恋愛関係の話になるが、シルヴァンもまた、クゥイナの件については、はっきりと明言はしなかった。
 やがて消灯時間となり、皆が静かに就寝する中、ナディラはベランダに出て、妖精ルビィと言葉を交わそうとする。すると、そこへ見慣れない魔法使いの男が現れた。彼は「ガニメデ」と名乗り、そして自らが「古の妖精族の生き残り」であることを告げ、そしてルビィのことを「陛下」と呼んだ。
+ ガニメデ
 ガニメデ曰く、ルビィは妖精族の女王であり、数百年前の人間達との激しい抗争の末に、人間の手によって魔石に封印された、とのことである。ナディラの姉がなぜその魔石の付いた腕輪を持っていたのかは不明だが、ガニメデが部下達にナディラの村を襲わせたのは、魔石を奪取することで、ルビィを取り戻すためであったらしい。そして、ガニメデは数百年前のルビィの命令に従い、人間を滅ぼすための究極の生物兵器を生み出そうと研究を続けているのだという。
 ルビィには昔の記憶が全くないため、彼女はその説明を聞いて激しく困惑する。なお、ガニメデもルビィの封印を解く方法については未解析だったため、彼女の封印がユニコーンを触媒として解かれたことは全くの誤算であったらしい。その上で、まじない通りにおいて水晶の封印を破って襲いかかってきた魔物に関しては、元来は妖精族の使役獣であり、おそらくルビィに内在された魔力が水晶の破壊を誘発し、そして魔物はルビィを助けようとしてナディラに襲いかかったのではないか、というのがガニメデの見解であった。
 だが、そこまでの説明を聞いてもなお、ルビィは「自分が人間を滅ぼそうとしていた」とは信じがたい様子であった。一方、ナディラは故郷を滅ぼした仇敵を目の前にして様々な感情が入り乱れつつも、ひとまずは、何があろうとルビィを手放す気がないと宣言する。それを聞いたガニメデは「今後も陛下の傍に居続けるなら、あなたに危害を加えるつもりはありません」と告げた上で、ルビィの記憶が戻ることを期待しつつ、彼等の前から姿を消す。
 その後もルビィは混乱した様子であったが、ナディラは、ルビィが自分の故郷を滅ぼした原因だとしても、それでも彼女との出会ったことの意義を重んじて、これから先も彼女と共に生き続けると告げる。その言葉を聞いた瞬間、ルビィが一瞬、今までとは明らかに別人のようなオーラを漂わせるが、次の瞬間、何かに納得したような顔を浮かべながら、「私が求めていたものは、これだったのね」と呟き、そしていつものルビィの表情へと戻る。
 一方、そんな彼等の会話を偶然立ち聞きしてしまった者がいた。クゥイナである。皆に隠れて煙草を吸うためにベランダに出ていた彼女であったが、ひとまず気付かれないように部屋へと戻る。しかし、ナディラは《音知覚》によってその気配を察知していた。翌日、ナディラクゥイナに対して意味深な言葉を告げ、二人の間に微妙に不穏な空気が漂う中、やがて彼等はマルスランへと帰還するのであった。
+ NPCからPCへの感情
オービスタ
→ザフィーラ(普通)
「地方出身の彼女の話はなかなかに興味深いな」
エミリー
→シルヴァン(普通)
「おかげで命拾いしたわ。ありがとう」
+ 最終話「さよならは口付けと共に」
+ オープニング
 臨海学校から数日後、ベルファールでは学園祭に向けての準備期間に入っていった。1年A組は舞台演劇をおこなうことになり、その演目を考えていたペルシエは、かつて存在していた演劇部の資料が旧校舎の中にあるという噂を耳にする。彼女はその中から使えそうな台本を探し出そうと考え、ザフィーラに同行を依頼することになった。
 同じ頃、ナディラはルビィから「旧校舎で出会った妖精の幽霊と話がしたい」と請われ、シルヴァンを誘って一緒に旧校舎へと向かうことになる。その一方で、クゥイナの元には「私はお前の秘密を知っている。旧校舎に来い」と書かれた差出人不明の手紙が届いており、期せずして彼等は同じ日の夜に、それぞれに再び旧校舎へと向かうことになる。
 最初に到着したのはザフィーラとペルシエであったが、夜の校舎内での探索の途中ではぐれてしまった。ザフィーラはしばらく一人でさまよい歩いた末に、後から来たナディラ(&ルビィ)およびシルヴァンと遭遇することになる。彼等から事情を聞いたザフィーラは、この旧校舎に取り憑いた妖精(幽霊)であれば演劇部の場所も知っているのではないかと考え、しばらく彼等とそのまま同行することにした。
 やがて彼等は妖精(幽霊)を発見すると、ルビィは彼女に対して、申し訳なさそうな顔を浮かべながら語り始める。ルビィ曰く、ルビィは彼女(妖精の幽霊)よりも昔の時代の妖精であり、妖精(幽霊)の恋が実らなかったのは、ルビィが原因であるらしい。かつてルビィには人間の恋人がいたが、最終的にその人間との関係がこじれて、それが多くの災いを招いたことが原因で、人間と妖精の恋は禁忌とされるようになった、とのことである。
 「何があっても自分の味方でいてくれる人がほしい」という自分の心の暴走が皆を不幸にした、と述懐するルビィのその表情からは、明らかに「妖精女王としての記憶」が戻っていることが伺えたが、ナディラはあえて何も言わなかった。そして、妖精(幽霊)もまた(ルビィの話をどこまで信用していたのかも不明だが)特にルビィを責めることもなく、黙ってルビィの懺悔を受け入れると、ルビィは少しすっきりしたような顔を見せる。
 その後、ザフィーラは妖精(幽霊)から旧演劇部の部室の位置を聞き出し、ナディラ達と共にその場所へと向かうと、そこには既に到着していたペルシエの姿があった。彼女は既に目ぼしい台本を発見していたらしい。そこに描かれている物語は、以下のようなものであった。

 遥か昔、伝説の勇者と妖精女王フローラが恋に落ちた。しかし、悪しき竜王の手によって妖精女王は封印されてしまう。勇者は妖精女王を救うために仲間達と共に旅立ち、数々の苦難を乗り越え、最終的に竜王を倒して妖精女王を復活させることに成功する。しかし、それまでの旅の過程で、勇者は仲間の一人であった幼馴染の少女ビアンカに心惹かれるようになっていた。そのことを察した妖精女王フローラは、二人のことを祝福しながらひっそりと身を引き、最後は勇者と幼馴染のビアンカの結婚式で幕を閉じる。

 この物語を聞いた時点で、ルビィは明らかに意味深な顔を浮かべていた。それは、明らかにその「妖精女王フローラ」がかつてのルビィ自身であることを物語っている表情であったが、彼女も、そして周囲の者達も、あえて何も言わず、そのまま彼等は演劇部の部室を後にする。
 一方、少し遅れて旧校舎に到着していたクゥイナは、入口付近で「手紙の差出人」を名乗る人物と対話していた。その差出人は姿こそ見せなかったが、声から明らかにオロンジョであることが分かる。オロンジョ曰く、彼女達はガニメデと手を切り、マルスランを去ることにしたらしい。その理由は、ガニメデが(現在投獄中の)ヤヤッキーの救出に対して非協力的である上に、彼が錬成しようとしている生物兵器があまりに危険な存在であることが判明したため、ドクロ団の首領であるDr.エベロがそう決断したらしい。
 その上で、クゥイナがヤヤッキーの救出に協力してくれるのであれば、ガニメデがクゥイナを攫おうとした理由、すなわちクゥイナ自身も知らない「クゥイナの秘密」を伝えると約束し、クゥイナもその方針に同意する。なお、この一連の会話は、演劇部の部室から戻ってきたナディラの耳にも(《音知覚》によって)断片的に届くことになり、「クゥイナが何者かと何らかの裏取引をしている」という情報だけがナディラに伝わることになった。
+ 準備期間
 翌日、ペルシエが持ち帰った台本は級友達の間でも好評で、正式に彼等の演目として採用されることが決まった。その上で、配役に関しては、勇者役にシルヴァン、妖精女王役にクゥイナ、竜王役にザフィーラが選出され、最終的に勇者と結ばれることになる幼馴染の少女役は(役者志望の)イルミナが、そして幼馴染以外の勇者の仲間達の役はソーニャ達が担当することになった。
 こうして、配役が決まった彼等が芝居や殺陣の練習に打ち込み(その合間を縫ってクゥイナはヤヤッキー脱獄のための下準備を進め)、美術担当のマリア、衣裳担当のガルディアン、背景となる草木の演出担当のリコッタなどがそれぞれの役割を担う形で準備が進む中、ナディラは特に明確な役職もないまま、全体の様子を俯瞰していた。そんな彼の傍らで複雑な表情を浮かべているルビィに対して、ナディラはふと、この物語と史実の関係性を問うと、彼女は「途中までは真実」とだけ答える。
 一方、そんな中で一人、不審な動きをしていた者もいた。いたずら好きの少年・ピエールである。彼は舞台の床下に何かを仕込めるような「隙間」を作っていたのだが、その動きを察知したシルヴァンによって、その隙間を封じられる。その後も、彼は夜中に男子寮の近くで何者かと密会していたようだが、結局、何を企んでいたのかは全て闇の中である(ガニメデに何かを託されていたのかもしれないし、そうではなかったのかもしれない)。
 そうこうしているうちに、学園祭の前日にまで差し掛かったところで、一つの事件が起きる。イルミナが足を怪我して、舞台上での立ち回りが不可能になってしまったのである。この時点で、当日に何の仕事にも就いていなかったのはナディラだけだったため、ひとまずナディラが(魔法の演出によって外見をごまかすことで)幼馴染の少女役として舞台に立ち、台詞を舞台袖からイルミナがアテレコするという形で対応することになった。
 唐突に「少女役」を押し付けられたナディラは当然困惑するが、ルビィはこの展開に、どこか運命的なものを感じていた。というのも、実はこの物語の主要登場人物である四人(勇者、竜王、妖精女王、幼馴染の少女)の宿星が、シルヴァン(天功星)、ザフィーラ(天殺星)、クゥイナ(地慧星)、ナディラ(地霊星)と完全に一致していたのである。その上で、クゥイナが「かつての自分」を演じ、ある意味でその宿敵とも言うべき少女をナディラが演じるという巡り合わせに、ルビィはどこか不思議な感慨を抱いていた。
+ 学園祭当日/上演中
 学園祭の当日を迎えた1年A組の面々は、舞台の内外でそれぞれの役割を果たしながら、ひとまず第一幕(妖精女王の封印)を無事に終え、上々の盛り上がりを見せる。この時点で、クゥイナは次の自分の出番が回ってくる最終幕までの間にヤヤッキーを救出するため、舞台裏からこっそりと抜け出すが、そんなクゥイナの動きに勘付いたナディラは、ひとまずイルミナの足に魔法をかけることで(派手な立ち回りが必要な終盤までには戻ると約束した上で)彼女に舞台を任せ、クゥイナの後を追う。
 諸々の経緯の末に、最終的にはクゥイナはヤヤッキーの脱獄を成功させ、ナディラは《音知覚》によって彼女がその現場に立ち会っていたことまでは確認出来たものの、彼女の行動の全てを把握するには至らなかった。一方、クゥイナもまた、牢獄からの逃走の過程でヤヤッキーの行方を見失ってしまい、オロンジョ達と合流することは出来ないまま、ナディラと共に劇場への帰還を余儀なくされる。
 そして舞台は終盤の佳境へと差し掛かり、勇者(シルヴァン)と「竜王の人間体」(ザフィーラ)の戦いを経て、竜王が「真の姿」となる場面を迎える。本来ならば、ここでザフィーラは舞台袖へと捌けて、代わりに魔法の映像によるドラゴンが出現する筈であったが、ここで唐突に「本物のドラゴン」が舞台上に召喚される。それは、観客席に潜んでいたガニメデがもたらした「余興」であった。
 観客席から見ていたクレイトンは即座に舞台上に結界を張った上で、あくまでもこれは舞台上の演出であるという体裁の上で、シルヴァン達にドラゴンを倒すように目で訴えかける。クレイトンとしては、生徒達がここまで作り上げた演劇を、謎の乱入者によって中止にさせることが耐え難く、どうしても最後までやり遂げさせたかったらしい。 
 舞台上にいたシルヴァンナディラ達に加えて、ザフィーラもまた「善と悪に分離した竜王の善の心の持ち主」としてドラゴンとの戦いに加わり、クゥイナもまた舞台袖から補助魔法で支援する形で激戦を繰り広げた結果、どうにか最後はザフィーラがドラゴンにとどめを刺し、舞台の崩壊は免れる。演出の都合上、ザフィーラは「悪の心との相打ち」という形でその場に倒れた上で、その後は本来の台本通りに、シルヴァンナディラ(声はイルミナ)が愛を誓い合うことで、無事に舞台の幕は降ろされることになった。
+ 学園祭当日/終幕後
 舞台を終えた後、クゥイナは改めて(ナディラの証言に基づいて)ヤヤッキーの逃げた方向へと向かうと、そこで彼女はオロンジョと遭遇する。どうやらオロンジョも、約束を守るためにクゥイナが戻って来るのを待っていたらしい。そして彼女は、クゥイナに全ての真相を伝える。
 ガニメデがクゥイナを攫おうとした理由は、彼女の血統に理由があるらしい。クゥイナの父親は、古の妖精族の血を引く貴族であり、ガニメデの作ろうとしていた生物兵器の「素体」としての資質を持ち合わせた人物であったため、ガニメデによって拉致された上で改造手術を施されることになったが、結果は失敗に終わった。そのため、次の素体候補として、彼の娘であるクゥイナが選ばれた、とのことである。
 そして、最後にオロンジョはクゥイナに対して「青薔薇様の名を継ぐのかい?」と問いかける。それはクゥイナの母親の異名であり、「盗賊ギルド四天王」の一人の名でもある(オロンジョにとっては、若い頃からの「憧れの女性」だったらしい)。クゥイナはその問いに対して頷きつつ、マルスランから去っていくオロンジョ達を見送ることにした。
 一方、ルビィは観客席にいたガニメデの気配を察知した上で、彼に言わなければならないことがある、とナディラに告げる。ナディラは《音知覚》を用いて周囲の物音を探った結果、校舎のはずれでガニメデが見知らぬ男性と会話している声の存在に気付いた。話の内容から察するに、相手はおそらく(街を去ろうとしている)ドクロ団の首領・Dr.エベロであろうと思われる。
 ナディラとルビィがその方角へと向かうと、彼等は目論見通りにガニメデの姿を発見する。ルビィはガニメデに対して「昔の記憶が戻った」ということを告げた上で、生物兵器計画の中止を命じ、これから先は「妖精女王フローラ」ではなく、「ルビィ」として、ナディラと共に生きていくことを宣言する。ガニメデはその言葉を粛々と受け入れ、ナディラに対して「あなただけは、陛下のことを裏切らないで下さい」と告げ、二人の前から姿を消した。
 その後、1年A組の面々は舞台の成功を祝して子山羊亭での「打ち上げ」を開催することになった。酒に酔ったザフィーラとソーニャが腕相撲で勝負するなど、皆がそれぞれに盛り上がる中、ナディラシルヴァンに断りを入れた上で、クゥイナと二人で話をするため、彼女と共に宴会の席を抜け出す。
 ナディラクゥイナに対して、様々な角度から探りを入れるような言葉を投げかけるが、クゥイナは自分の正体を隠し通すため、徹底してはぐらかし続ける。あくまでも心を開こうとはしない彼女に対して、ナディらは最終的にはそれ以上の追求を諦めた上で、「シルヴァン君のことだけは裏切らないで下さい」とだけ懇願し、二人は子山羊亭へと戻ることになった。
+ エピローグ
 翌日。クゥイナは別れの言葉を記した置き手紙を残して、女子寮から姿を消した。明らかにナディラが自分の正体に気付き始めていることを察したことで、もうこの学校にはいられないと判断したのである。ザフィーラはその置き手紙を見た瞬間、即座に男子寮へと駆け込み、シルヴァンにその旨を伝えると、すぐさま二人はクゥイナを探しに向かう。一方で、ナディラクゥイナが自分の言葉を受け入れてくれなかったことに深く落胆し、あえてその捜索には加わらなかった。
 シルヴァンは《飛行》の魔法と幸運の石(アクアマリン)の力を駆使した結果、どうにかクゥイナの姿を発見するが、彼女はシルヴァンに自分の正体を明かした上で、宿敵であるガニメデを探すために学校をやめると伝える。シルヴァンは彼女の正体を知ってもなお、彼女と共に生きていきたいと告げるが、それでもクゥイナの決意を覆すことは出来なかった。最終的には、シルヴァンは彼女の意志を尊重しつつ、卒業後の再会を約束し、クゥイナは最後にシルヴァンの頬にキスをした上で、彼の元から去って行った。
 そんな二人の様子を遠くから見ていたザフィーラも、シルヴァンから話を聞いた上で、いつか彼女と再会する日が訪れることを願いながら、一人部屋となってしまった寮へと帰還するのであった。
 こうして、「二代目・青薔薇」ことクゥイナ・ハーロットの魔法学園における物語は幕を閉じた。彼女と共に過ごしたザフィーラシルヴァンナディラ、そして全ての1年A組の生徒達にとって、この数ヶ月間の彼女との日々は、青春時代を彩る掛け替えのない記憶として、永遠に心の中に残り続けることになるだろう。彼女の青い瞳の如く輝く、淡く美しい宝石のように。

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最終更新:2022年01月25日 11:58