+ | 第1話「記憶妄執の少女」 |
名古屋八八プロジェクトの「ガールズ8(仮称)」を選抜するため、プロデューサーの
秋野真那
は名古屋市北部の各区から集められた少女達を、まずは「七色ういろう」のバックダンサーとして育てようとしていた。しかし、あまりに過酷な彼女の指導に耐え切れず、次々と候補生達は脱落していき、最終的に残ったのは、木下真央(18)、佐々木りんご(17)、桜丘砂胡(16)、青藍ひまり(16)、不知火灯(16)の五人だけになってしまう。
それでもどうにか残った彼女達を劇場デビューさせるべく、秋野は先輩の七色ういろうの代表曲の一つである 「背中からHold me tight」 の曲と振りを、彼女達に叩き込みつつ、先輩達のバーターとしてのバラエティ番組への出演や握手会参加、自主制作CD(曲目は 「校庭のpuppy」 )の作成などを通じて、プロモーション活動を展開させる。 だが、そんな中、不知火灯(下図)が交通事故で重体となってしまう。数日間の入院の後、かろうじて意識を取り戻した彼女であったが、記憶に障害が発生したのか、自分のことを「 異世界 の住人」だと勘違いしているようで、「君主(ロード)様」「魔法師(メイジ)様」などと、訳のわからない言動を繰り返していた。 ![]()
しかし、彼女のことを想う真央の歌声によって、どうにか彼女は記憶を取り戻し、彼女達五人は無事に劇場デビューを成功させる。こうして、「名古屋八八プロジェクト」の候補生としての彼女達は、順調なスタートを切るのであった。
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+ | 第2話「令嬢達の事情」 |
無事に灯が復帰したものの、未だ正規のCDデビューに必要な人員数を確保出来ていない758プロ。そんな中、秋野は東京の芸能人養成学校
「若本女学園」
において優秀な成績を収めていた下野唯(下図)のスカウトへと乗り出す。
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しかし、同時期にライバルの「清須企画」(スポンサーは
「清須ういろ」
)もまた、彼女の獲得に乗り出し始めた。清須企画の看板グループである戦国武将女体化アイドル「3AK2」(下図)の清須和紗は、自身の妹分として彼女を(「蘭丸枠」として)所望しているらしい。彼女は3AK2と並行して、「
ATSUMORI
」「
織田家の九家老
」「
清須Conference
」といったサブプロジェクトを構想しており、唯だけでなく、真央を「勝家枠」、りんごを「犬千代枠」、そしてひまりを「三法師枠」として獲得することを想定していた(かつては小雪を「フロイス枠」で用いようとしたこともあった)。
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だが、3AK2の中でも中村希乃は、そんな彼女の強引な多角経営方針をあまり快く思っておらず、彼女に3AK2に専念してもらうため、旧知の砂胡を密かに応援する。同様に、もう一人のメンバーである岡崎葵もまた、りんごと共に
わんちゃん動物園
で犬を愛でたり、唐松先輩プロデュースのロリータ服をひまりに着せたりする企画を楽しみながら、彼女と友情を育んでいた(ただし、そんな彼女達に対して、澤先輩は「仲良くなってもいいけど、『向こう』にいっちゃダメよ」と釘をさす)。
一方、唯に対しては、真央が「トップアイドルを目指す心意気」を伝え、砂胡が「ファンを楽しませる心の大切さ」を説き、ひまりが「(唯以上に)小柄でも全力でパフォーマンスする生き様」を見せつけた上で、最終的には、りんごとひまりのダンスに感銘を受けた唯は、758プロに入ることを決意する。 こうして、「6人目の仲間」を得た研究生達は、先輩達と共に 城金学院大学 の学園祭でのパフォーマンスへと向かう。七色ういろうの人気曲である 「ジェラシーの証明」 や、 「神々の領域」 を披露しつつ、女子大ならではのファッションショー企画(ひまり)や「利き魚」企画(真央)を着実にこなした彼女は、トップアイドルを目指す上では必要不可欠な「同性のファン」の獲得を無事に達成するのであった。 ![]() |
+ | 第3話「雪解けへの一歩」 |
名古屋最大のデパート「三坂屋」の経営者の娘である「松越レイナ」は、かつて「七色ういろう」の「白」担当として、グループ内でも絶大な人気を誇っていた。しかし、やがて委託販売契約を巡る方針の違いから、赤柳総本家は三坂屋と対立した結果、レイナは親会社の意向により、脱退を余儀なくされる。娘の生き甲斐を奪ってしまった罪悪感から、彼女の父はレイナを再び芸能界に復帰させるため、新たに芸能グループ「松越興業」を創設し、アメリカに留学していた妹のジュリアを呼び戻し、二人を「JR松越」の名で再デビューさせるに至った(下図)。
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一方、三坂屋デパート内での販売店舗の復活を目指す赤柳総本家は、水面下で三坂屋と交渉を続けた結果、両社の和解に向けての第一歩として、三坂屋の屋上ステージにて、758プロのアイドルとJR松越のジョイントライブを開催することが決定される。ただし、レイナは既に「JR松越」としての活動を始めている以上、彼女を七色ういろうに戻さないことが大前提であるため、ファンの混乱を招かぬよう、758プロからの参加者は、彼女のかつての同胞達を除いたメンバー(研究生6人+三谷理佳)のみとした上で、司会進行は松越興業所属の「経歴不明の謎の美少女アナウンサー」である田所依乃(下図)が担当することになった。
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だが、このような状況に対して、ファンの一部からは「レイナの七色ういろうへの復帰」を望む声が高まり、更に秋野Pが「松越興業のタレントを758に業務提携させる」という旨を電話で話しているのを聞いてしまった三谷理佳(レイナの後釜の「二代目:白」)は、自分が七色ういろうを解雇されるのではないか、という危機感に怯えるが、「年上の後輩」である真央の励ましにより、少しずつ元気を取り戻す。
一方、りんごと鷹音は劇場イベントにて(劇場を出禁になっているが故に変装した状態の)レイナと、ひまりと灯は病院にて(入院の名目で、日本の学校に適応するための勉強をさせられている)ジュリアと、砂胡と唯はゲーセンにて(プライズぬいぐるみを大量に抱えながらDDRをプレイしていた)依乃と出会い、それぞれに、今回の合同イベントに向けての意気込みを共有し合うことになる。 そして合同イベント当日、秋野Pの口から、「松越興業から業務提携で派遣される予定のタレント」がレイナではなく依乃であること(しかも、七色ういろうではなく、八八プロジェクトへの加入予定であること)、そしてレイナの後継者として理佳を推薦したのは、他ならぬレイナ自身であるということを聞かされた理佳は、改めて真央達と共にこのイベントを成功させるための決意を固める。 そして合同イベントでは、各自が以下のような配役に入った上で、「 Take me to Wimbledon 」、「 Pianist in the rain 」、「 Road of Melos 」といった七色ういろうの代表曲をカバーしつつ、(開催中の九州の物産展に関連して登場した)理佳の故郷である九州地方のゆるきゃら達と触れ合いつつ、松越姉妹とのトークコーナーでは和解を強調し、最後のアンコールでは(研究生達が既に精神的に疲弊していたこともあって)レイナと理佳の「新旧『白』コンビ」が二人でステージを盛り上げ、無事にイベントは閉幕。そして、総合司会を担当した依乃は、自分の新たな活動の場として、業務提携タレントとして名古屋八八プロジェクトに加わることを決意するのであった。
代役ポジション一覧
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+ | 第4話「奥三河の秘境」 |
三坂屋のイベントにて、最も多くの歓声を集めたりんごへの「ご褒美」として、秋野Pは東三河のローカルアイドル「渥美三姉妹」(下図)の長女・豊川いなりの愛犬(?)との「ドッグラン対決」と、豊橋の動物園
のんほいパーク
でのジョイントライブを企画する。
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対決の会場となる
新城市のドッグラン施設
へは、事務所の先輩である澤泰子が運転する車に乗って、りんご・真央・砂胡の三人と、りんごの愛犬のアントニオが向かい、その間にひまりと灯は病院での定期検診、そして唯と依乃は(まだ加入して間もないため)先輩達から振り付けを習いつつ、翌日にのんほいパークで合流する、という手筈であった。
ところが、無事にドッグラン対決を終えた後、りんご達を乗せた車はなぜか「誤った方向」へと迷走した末に、原因不明の事故で車が壊れてしまう。その後、渥美三姉妹と合流したりんご達は、自分達をサポートする澤の不自然な対応から、この状況が「ドッキリ企画」だということに気付きつつも、ひとまずは気付かないフリをしながら「アイドルとしてのお仕事」をまっとうしようとする。 だが、そんな中、森の中から美しい「少女の歌声」が聞こえてきた。アントニオがその少女の歌声に惹かれて森の中へと走って行き、りんご達がそれを追いかけると、そこにいたのは、森の動物達に囲まれて暮らしている(ひまりより少し小柄なくらいの身長の)推定10歳前後の異国人(もしくは混血)と思しき少女であった(下図)。 ![]()
「マリア」と名乗る彼女は、どうやら海外からの不法入国者の娘で、親の病死後に行き場が無くなり、この森に住み着くようになったらしい。この状況が「当初のドッキリ企画の想定外」であることを理解したりんご達は、ひとまず彼女を保護しようとするも、砂胡が「警察」という単語を口にした瞬間、彼女は(母親がその言葉を恐れていた、というトラウマから)森の奥地へと逃げ出してしまう。
このまま放置しておく訳にもいかないと考えたりんご・真央・砂胡の三人は、渥美三姉妹とも協力しつつ(その過程で彼女達が「よく分からない謎の力」を用いていたことはスルーしつつ)、マリアを追いかけた結果、紆余曲折を経てどうにか再びマリアに追いつき、ひとまず彼女が「日本で平和に暮らしていく環境」を作ることを約束して、そのまま連れ帰ることになる。 翌日、マリアを(豊橋で合流した)秋野Pに預けた上で、りんご達は他のメンバー達と共に、のんほいパークの特設ステージにてライブを開始する。動物達と触れ合いながら自己紹介した上で、「 Liar Ostrich 」、「 You are Pegasus 」、「 Rainy Zoo 」といった、先輩譲りの「動物園向きの曲(?)」を披露しつつ、ライブ途中の余興の「地元を題材としたクイズ企画」でも想定外の好成績を収め、最後は渥美三姉妹の代表曲である「 伊良湖岬 」を共に合唱し、無事に全ての演目は終了する。そして、ステージの最後のアンコールの場において、(秋野Pの友人の「養女」という形で役所と交渉することを前提に)「滝口マリア」という少女が加入することが発表され、遂に「名古屋八八プロジェクト」のガールズチーム8人が、ここに勢揃いすることになった。 ![]()
※滝口マリアについての参考資料
『ウタカゼ』2014年度後期キャンペーン「三匹が往く!」 第14話〜 『グランクレスト』不定期キャンペーン「ブレトランド八犬伝」 第6話 ※渥美三姉妹についての参考資料 『エリュシオン』2013年度前期キャンペーン「リリスの心臓」 第8話〜 ( NPC紹介 にも記述アリ) 『サイキックハーツ』2013年度後期キャンペーン「12人の歌姫」 第7話〜 ( NPC紹介 にも記述アリ) |
+ | 第5話「決戦!豊田スタジアム」 |
今年度のビギニングアイドル愛知県予選の当日が近付いてきた。全国大会に出場するためには「3AK2」や「JR松越」などの地元のライバルに勝たなければならない。そのためには「圧倒的なインパクトを持つメジャーデビュー曲」が必須と考えた秋野Pは、安城市出身のカリスマ的音楽家・正本山之に作曲を依頼するが、彼はその返答を保留する。真央達八人が地元愛知県を背負って立つにふさわしいグループかどうかを判断した上で、彼女達に合った楽曲を提供したい、というのが彼の意向らしい。
そんな中、まだデビュー曲すら確保出来ていない八人であったが、秋野Pは正式に彼女達に「名古屋八八プロジェクト」のガールズチーム(北部地区担当)としての「Nothern Girls EIGHT(略称:NG8)」という名を与えた上で、のんほいパークのライブでMVP認定された真央の意向により、名古屋港水族館での営業活動に勤しみつつ、来たるべき愛知県予選に向けての準備を整えることになる。 七色ういろうや秋野Pからの助言や支援を受けつつ、メンバー同士の連携強化を試みる彼女達であったが、その過程で砂胡は松越ジュリアと、りんごは岡崎葵と遭遇し、それぞれの事情を語り合いながらも、愛知県予選突破に向けての決意を固める。 一方、真央は(予選会に「ゲスト解説者」として参加予定の)前年度の全国大会覇者「ドリ☆レボ」の樫本ハンナ(下図上段)との対談を通じて「グループとして活動することの意義」を再確認し、ひまりは(実は密かに正本に楽曲提供を依頼するために里帰りしていた)MJ12の奏ミラ(下図下段)と再会し、彼女の口から「来週、大型新人が電撃デビューするらしい」という噂を聞かされる。 ![]() ![]()
その後、正本山之の目の前で歌声を披露した彼女達は、正本の脳裏に強烈なインスピレーションを与え、その場でデビュー曲「眠り姫の目覚め」を書き上げる。
「ありがとう 探し出してくれて
ありがとう 目覚めさせてくれて 私は走る あなたを追いかけ 私は走る 真夜中の街へ」
独特の「正本節」と呼ばれるキャッチーなメロディーに乗せたその歌詞は、彼女のCDデビューを待ちわびていた劇場のファン達の心を捉え、愛知県予選直前に発売されたそのCDは、一躍オリコントップに躍り出る。
そして遂に、愛知県予選の幕が開けた。先輩譲りの「758プロのアンセム」とも言うべき「 SAKAE758 」を皮切りに、ひまりが独特の民族衣装を着こなして披露した「 フィンランドの奇跡 」、真央が(体格の合わない)鷹音の衣装を着て踊りきった「 十字架 ]」、りんごが(同じ動物好きとしての)鷹音の思いを受け継いで歌った「 飛べない鳥 」、そして砂胡がDDRを通じて習得したダンス力を生かした「 栄光の日々 」を次々と披露し、そして最後はデビュー曲の「眠り姫の目覚め」を歌いきった上で、続くアンコール曲の「 回遊魚のキャパシティ 」も(魚が苦手なりんご以外は)それぞれの力を出し切り、会場全体からの割れんばかりの拍手を浴びて、見事に優勝を飾る。 だが、その表彰式が終わったところで、ゲスト解説者のハンナが、集まった会場の観客に対して、突如宣言した。
「私は本日付けでドリ☆レボを脱退して、東京の696プロダクションに移籍します。そして来週、ソロとしてCDデビューすると同時に、ビギニングアイドル東東京予選に出場します」
こうして、前代未聞の「二連覇」を目指す強敵が、NG8の前に立ちはだかることになるのであった。
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+ | 第6話「終わりなき挑戦」 |
東京の国立競技場で開催されるビギニングアイドル本選の対戦カードが発表された(下図)。NG8の初戦の相手は、優勝候補の大本命として突如浮上した樫本ハンナである。だが、これはある意味、天佑でもあった。
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というのも、ビギニングアイドル本選においては、決勝戦は(ライブビューイングも含めた)観客全体の投票で決定されるが、3回戦(準決勝)までは厳選された審査員達のみによる「パフォーマンス審査」で決着する。つまり、純粋なパフォーマンスの結果だけの勝負になるため、圧倒的知名度を持つ彼女と対戦する上では、決勝に至る前に対戦することは、むしろ好ましい状況でもあった。
だが、樫本ハンナはパフォーマーとしても圧倒的な実力者である以上、今のNG8のままでは厳しいと秋野Pは考えていた。そんな中、彼女達とは反対側のブロックに配属された「MJ12(武蔵坂女子十二楽坊)」の総合プロデューサーを務める 須藤まりん という女子高生から、「MJ12とNG8の合同特訓」を申し出るメールが届いた。どうやら彼女達としては、NG8が樫本ハンナを倒すことで、「知名度が大きく影響する決勝戦で樫本ハンナと対戦する」という最悪のシナリオを回避することを期待しているらしい。 秋野の本音としては、実はMJ12の山口昌子には過去に因縁があり、彼女達の力を借りること(そして彼女達に利用されること)に対しては複雑な心境ではあったが、NG8の成長とビギニングアイドル制覇のためには絶好の機会と考え、その申し出を受けることを決意する。こうして、ライバル陣営からの思わぬ援護を受けたNG8の面々は、武蔵坂学園の学園祭(弁当屋、金魚すくい、ゲーム大会、校内ラジオ企画、ファッションショー、etc.)にゲスト参加しつつ、MJ12の面々(下図)と共にパフォーマンスの向上を達成することになる。 ![]()
そして、そんな彼女達の成長を目の当たりにした秋野Pは、彼女達が七色ういろうに負けない実力を得たことを確信し、彼女達のバックダンサーとして、七色ういろうの面々を投入することを決意する。既にアイドルとして一定の地位を築いている先輩組をバックダンサーとして踊らせることは、主役である筈のNG8達の印象を逆に薄めてしまう危険性もあったが、今の彼女達であればその心配はない、というのが、秋野Pの判断であった。
そして、ビギニングアイドルの決勝戦当日を迎えることになった。一回戦で樫本ハンナと相対したNG8の面々は(MJ12の音楽プロデュースを手がける作曲家の「伏龍」から密かにNG8のために提供された)「 私たちの理由 」を披露する。伏龍は、かつては758プロのために楽曲を提供したこともあったが(城金学院の学園祭で披露した「ジェラシーの証明」もその一つ)、MJ12のデビュー後は他のアーティストからの依頼は全て断ってきた。その彼があえてNG8のために作ったこの新曲は、「等身大の普通の女の子」の恋心を歌った内容であり、既に「トップアイドルのオーラ」を身にまとった樫本ハンナに対抗するための、「本当の新人アイドル」の魅力を最大限引き出すことを想定した楽曲である。この曲を通じて、自分達の魅力を全て出し切ったNG8は、見事に優勝候補筆頭の樫本ハンナを破るという大金星を上げる。 こうして、一躍全国にその名を知らしめたNG8の8人は、二回戦では北海道代表の(赤柳鷹音の親友・坂口茜を擁する)「Redberry」を相手に「 渚の湘南 」を、続く準決勝では(三谷理佳の出身グループである)「HDD2nd(博多どんたく娘 2期生)」を相手に「 ういろうの行方 」を披露し、いずれも完勝して決勝へと勝ち上がる。彼女達はいずれも、NG8のことを「七色ういろうの後輩」としてしか認識していなかったが、もはや彼女達は先輩達に劣らぬ一流アイドルへと成長していたということを、このパフォーマンスを持って実証することになった。 そんな彼女達を決勝で待ち受けていたのは、MJ12の面々だった。一人一人が極めて高い歌唱力を誇る彼女達は、決勝の相手として、樫本ハンナと同等以上の強敵であったが、それでもNG8の面々は臆することなく、「 ロンリー・バレリーナ 」、「 Over the memory 」、そして愛知県予選でも披露した彼女達のCDデビュー曲「眠り姫の目覚め」を全力で歌い、踊りきった彼女達は、連戦の疲れをもろともせぬまま、続くアンコールでは初お披露目となる(デビューCDのc/w曲である)「 おまたせデビュー曲 」で客席を盛り上げ、割れんばかりの大歓声を受けて、見事に優勝を飾ることになる。 だが、彼女達にとって、このビギニングアイドルは、スタート地点でしかない。真の意味でのトップアイドルの座を巡って、今後は先輩である七色ういろうや、現時点でアイドル界の頂点に立つ樫本ハンナとも、今後は別のステージで、凌ぎを削り合っていくことになるだろう。栄枯盛衰の激しい芸能界の中で、彼女達はどこまで上り詰めることが出来るのか。NG8の挑戦は、まだ終わらない。 ![]() |
+ | 第1話「孤高のダンサー」 |
名古屋八八プロジェクトの「NG8」が結成されようとしていた頃(第一部の第4話〜第5話の頃)、同時並行で進める筈だった「ボーイズチーム(仮)」の結成が滞っている状態に、秋野Pは苛立っていた。彼女の中で、候補となる8人とそれぞれの担当区域の構想まではまとまっていたものの、実際に彼女の招聘に応じて集まってきたのは、その中の半分の4人だけだったのである。
それは、子役時代から長い芸歴を持ちながらもブレイクの機会を逸していた北陸のローカルアイドル出身の酒井涼太(23歳)、英国育ちでサッカーのジュニアユース候補に選ばれながらも体格に恵まれずにスポーツの道を諦めて芸能界に転身したオリバー山口(14歳)、自衛隊によって密かに開発されたものの整備予算の都合でお払い箱となった元軍事用アンドロイドの小山カルミン(稼働歴13年)、そしてNG8の桜丘砂胡の義理の兄(秋野Pの義理の甥)にあたる謎の青年(その正体は超能力者による秘密結社の幹部)桜丘夜霧(17歳)といった面々であった。 涼太は自身の祖先が宮司を務めていたという故事にちなんで熱田神宮前店、オリバーはサッカー時代の縁もあって瑞穂競技場前店、カルミンは製造元である四国への連絡口となる名古屋港店、そして(秋野Pの親族であるが故に最も信頼の厚い)夜霧は交通の要所である名古屋駅前店(中村区)のイメージキャラクターを担当することになったのだが、残り四店舗(四区)の候補者とは、未だに秋野Pとの交渉がまとまらない状態が続いていたのである。 それでも、NG8の時と同様、ひとまず今いるメンバーでプロモーション活動を進めようと考えた秋野は、間も無く開催予定の日本ガイシホールでのコンサートのために全員帰国していた先輩グループ「Central Five」の面々のバーターとして、彼等四人にドラマ出演のオファーを回したり、動物(蛇)企画、釣り企画、コスプレ企画などへの参加の機会を与えつつ、歌やダンスのレッスンを通じて彼等に「アイドルとしての基礎」を叩き込んでいく。 そんな中、先輩の仁龍と共にアクションドラマの企画に参加した夜霧は、そこで(生活費稼ぎのために)スタントマンとして参加している一人の少年と出会う。彼の中は小坂玲央(下図)。彼こそが、秋野Pが「笠寺観音前店(南区)」担当候補としてスカウト中のダンスパフォーマーであった。彼の人並み外れた身体能力を目の当たりにした夜霧は、彼が間違いなく「即戦力」であることを確信し、彼に「758プロならば、どんな素性の人物でも受け入れられる」と伝えた上で、自身のパフォーマンスの実力を彼に披露することで、玲央から「仲間に値する人物」として認められた結果、玲央は「名古屋八八プロジェクト」への参加を決意する。 ![]()
こうして、5人目の仲間を得た彼等は、日本ガイシホールでおこなわれた「Central Five」のコンサートにて「758プロ研究生」としてお披露目され、先輩達がそれぞれにメインボーカルを務める
「ピエモンテ伝説」
「海鮮アミーゴ」
「功夫ファイティング」
「荒野のロサンゼルス」
「うぉんばっとハート」
といった楽曲でバックダンサーやコーラスを担当し、(終盤でカルミンが過度の緊張故に一時的に機能停止に陥ってしまったこと以外は)無事にその役目を果たす。こうして、異色の経歴を持つ青少年達による、もう一つのアイドル伝説が始まるのであった。
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※小坂玲央についての参考資料
『でたとこサーガ』2015年度前期キャンペーン「ウィロー大陸攻防記」 第5話 |
+ | 第2話「闇の貴公子」 |
どうにかお披露目を果たしたボーイズチームは、ひとまず知名度を上げるべく、教育番組(できるかな系)、恋愛ドラマ(手違いでなぜか兄妹共演)、子供服のモデル(ジェイコブ先輩と一緒)など、各メンバーがそれぞれに様々な「外仕事」に従事することになる。
そんな中、Central Fiveのナオが司令官役で出演する特撮ヒーロー番組に、「6人目」役として涼太が、「追加敵幹部役」として夜霧が出演することになった。そして、その番組の「もう一人の追加敵幹部」として抜擢されたのが、秋野Pが以前から「緑区担当候補」として目をつけていたヴィジュアル系ロックバンド「淫夢」のヴォーカリスト、榊原クラウスだったのである。クラウスの「美形タレント」としての資質の高さを実感する二人であったが、クラウス自身は彼等に馴染もうとするつもりは一切見せない。 ![]()
その後、実際にクラウスのライブを見に行った涼太、夜霧、カルミン、オリバーの四人は、彼のライブを見た者達が、まるで洗脳されているかのような状態で彼に声援を送っていることに(同じ状態に陥っていた涼太以外は)違和感を覚えつつも、終了後に楽屋へと挨拶に行く。クラウスは、涼太達の「(特に女性に対する)ストイックな姿勢」が「男としての魅力の欠如」に繋がっていることを問題点として指摘しつつも、彼自身が芸能活動の幅を広げることに興味があったため、ひとまず758プロと仮契約を結ぶ。
その上で、イルカショー、虫除けスプレーのCM、熱湯コマーシャルなどに涼太達と共に出演したクラウスは、彼等には彼等なりの「自分には出来ないバラエティ能力」があることを実感する。そして、カルミンの持つ「人造物ならではの機能美」に、「自分とは異質の魅力」を感じ取ったクラウスは、正式に名古屋八八プロジェクトの一員に加わることを決意し、彼等と共に劇場公演でのデビューイベントに参加することになった。 秋野Pの下で独自にレッスンを受けていた玲央とも合流した五人は、Central Fiveや七色ういろうの面々のサポートを受けつつ、かつて秋野Pが現役アイドルだった時代に同じ事務所の男性アイドル達が歌っていた楽曲を中心としたセットリストを組み、ムーンライト栄での劇場公演の初日を迎える。 主にCentral Fiveのファンを中心とする観客達を相手に、彼等は最初に物腰丁寧に挨拶した上で、まずは涼太がメインボーカルを務める形で 「CYCLONE」 を披露した後、Central Fiveの面々との掛け合いコーナーではオリバーが(世界各地を旅行した経験を生かして)軽快なトークで盛り上げる。その後、後半ではカルミンが七色ういろうの面々と共に 「落下傘」 で独特な(ロボット)ダンスを披露するも、続くソロ曲 「Justi555」 を担当することになった夜霧が(本来は特撮ヒーローの主題歌であるこの曲と)あまりにもイメージが合わなかったため、会場内にはどこか微妙な空気が流れる。だが、その後の 「4 seasons」 では(再び過度の緊張で機能不全に陥ったカルミン以外は)美しい歌声で客席を魅了し、彼等は無事に劇場デビューを果たすことになるのであった。 ![]() |
+ | 第3話「無垢なる歌声」 |
少しずつ知名度が上がり、ファンも増えつつあった研究生達ではあったが、CDデビューに至るには、まだ肝心の音楽関係の仕事の経験が足りないと考えた秋野Pは、彼等の名を売り込むため、集中的に音楽方面の外仕事を彼等に斡旋することになった。
こうして、研究生達が地元の村祭のステージなどを中心に地道な営業活動に従事する中、彼等の前に、(秋野Pとも758プロとも因縁浅からぬ関係にある)武蔵坂学園の学生プロデューサー・高倉大介(下図右)と、(昨年度の熱田神宮での神前音楽祭で優勝した)久遠ヶ原学園の学生バンド「黒い微笑み」の女性ギタリスト・夢野まど(下図左)が現れる(なお、「黒い微笑み」のドラマーはオリバーの遠縁の親戚であり、高倉の持っている「黄金のキーボード」は異世界に投影されていたりもするのだが、別にそんなことはどうでもいい)。 ![]()
どうやら彼等は、今年の神前音楽祭で優勝するための特別ユニットを結成するために、その中心となるボーカリストとして、弥富市の大衆食堂で働く中国人ハーフの少年、李貴彦(下図)をスカウトするために、この地に来ているらしい。そして、秋野Pもまた彼をスカウトしようとしているということを、彼等の口から聞かされる。
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この点について彼等が秋野Pに確認すると、彼女はその事実を認めた上で、貴彦の獲得のために、研究生達を今度は弥富市の地元イベントへと派遣することを決意する。そこで彼等は実際に貴彦と遭遇し、彼の説得を試みようとしたのだが、どうやら彼は、過去に所属していた芸能プロダクションにおいて、「事務所の許可なく誰かのために歌うこと」を禁止され、その点を巡る対立から事務所を退社した経験があるらしい。そのため、あくまでも「自由気ままに歌い続ける人生」を求める自分は音楽業界には向かない、と彼は考えているようである。
だが、その一方で貴彦は、秋野Pから送られてきた研究生達の歌声には強い興味を示しており、彼等と一緒に歌える機会がほしい、と願う気持ちも彼の中にはあった。そこで、実際に彼等の歌声を生で聞いてみたいと考えた貴彦は、758プロのスタジオへと招待された上で、涼太の洗練された歌声を目の当たりにして、深い感銘を受ける。そして、彼等と自分の歌声の生み出すハーモニーに無限の可能性を感じ取った彼は、「なるべく活動制限が少ないレコード会社と契約する」という運営側の譲歩を受け入れた上で、758プロに加わることを決意することになったのである。 こうして「7人」になった彼等は、貴彦の職場のある弥富の公民館で、他の758プロのアイドル達と一緒にミニライブを開催することになった。地元弥富の郷土料理を生かした藤崎の「淡水魚タコス」の発表会や、地元弥富の名産品である金魚に関するクイズコーナーを(お魚大好きな木下の司会で)開催しつつ、 「勝者」 「求愛」 「65」 「純白」 といった海外のアイドル達の楽曲を披露する。途中、涼太がプレッシャーで押しつぶされそうになるも、なんとか意地で耐え抜き、どうにかライブの目標人数にもかろうじて到達し、秋野Pは胸をなでおろす。 ただ、そんな中、彼女は一つの悩みを抱えていた。それは、このグループの中で、カルミンだけが人気面で他のメンバー達から遅れを取っていた、ということである。彼は自分から目立ちに行こうとはせず、他のメンバーをサポートする役回りに徹していたこともあり、彼個人のファンが極端に少ない、という状況が発生しており、名古屋港支店の者達から、彼を港区の担当者とすることへの不安を訴える声が届いていたのである。 そんな中、貴彦のスカウトに失敗した武蔵坂学園の高倉大介は、今度は個人的にカルミンに対して強い興味を示していた。現状(ガールズ編6話の直前期)、武蔵坂の同胞であるMJ12側からの要請もあり、758プロとの関係を悪化させる訳にはいかなかったため、表立って引き抜く気は無いが、出来ることならばカルミンに自分の楽曲を歌わせたい、という妄想が、高倉の中で湧き上がりつつあったのである。果たして、カルミンはこのまま「758プロの一員」としてデビューすることが出来るのだろうか? ![]()
※高倉大介についての参考資料
『サイキックハーツ』2013年度後期キャンペーン「12人の歌姫」 第6話〜 ( NPC紹介 にも記述アリ) ※高倉大介の「黄金のキーボード」についての参考資料 『グランクレスト』2014年度前期キャンペーン「ブレトランド戦記」 第5話&第6話 『グランクレスト』不定期キャンペーン「ブレトランド八犬伝」 第6話 ※夢野まどについての参考資料 『エリュシオン』2013年度前期キャンペーン「リリスの心臓」 第3話〜 ( PC紹介 にも記述アリ) ※李貴彦についての参考資料 『ウタカゼ』2014年度後期キャンペーン「三匹が往く!」 第1話〜 |
+ | 第4話「最後の欠片」 |
「名古屋八八プロジェクト」の正式発足まで、あと1人。だが、ここで秋野Pにとっての最大の誤算が発生する。彼女が「天白区担当」候補と見込んでいた平針自動車教習所のイメージキャラクターを務めるローカルアイドル「平針轟(ひらばり・ごう)」から、正式に参加を拒絶する返事が届いてしまったのである。自動車好きのルカが必死で説得を試みていたが、どうやら轟には、同時期に別の芸能関係者からも誘いが来ていたようで、最終的にそちらの依頼を優先した結果、758プロ側に断りの連絡を入れることになってしまったらしい。
秋野Pとルカが必死で代わりの人材を探す中、ひとまず亮太達には地元国立大学の「秋祭」への出演の仕事が与えられることになった。だが、この大学の「秋祭」は、多くの地元アーティストにとっては、その大学の知名度の割に全く集客が期待出来ないことで有名で、これまで幾多のミュージシャン達が、その「全く盛り上がらないステージ」に苦戦してきた「鬼門」である。 そのような条件でも、なんとか少しでも場を盛り上げられるように頑張ろうと、事前告知のために大学へと乗り込んだ亮太達は、大学の近くの東山動物園のイメージキャラクターを務める東山一秀(全国の動物園アイドルが参加する「ZOO ZOO TRAIN」の一員)のサポートを受けた動物ショーを開催したり、謎の少年音楽家(下図)の協力によって解雇危機にあるカルミンの性能強化などを試みるものの、なかなかその成果が上がらない。 ![]()
そんな中、亮太達は758プロの事務所の近くの路地裏で、ルカが一人の少女(下図)と言い争いをしている場面に遭遇する。どうやら彼女は、ルカの「最後の一人」探しに協力しようとしているようだが、なぜかルカの方が彼女の申し出を「生理的な理由」で断っているらしい。
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その様子を亮太達に見られてしまったことに気付いたルカは、やむなく事情を説明する。曰く、彼と言い争いをしていたのは、かつてCENTRAL FIVEのライバルと言われていた名古屋市交通局主催の男性6人組の地下鉄アイドル「Under Ground Network(通称:UGN)」の一員であった鶴川舞という名の「女装少年」であり、(「彼女」ではなく)彼は、自らが「天白区担当」として名古屋八八プロジェクトに参加することを申し出ているらしい(ちなみに、上述の東山もまた元UGNである。詳細はEXOTIQUE PRINCE参照)。
ただ、舞はUGNだった頃から、ライバルである筈のルカの「ファン」を自称し、ルカに対して幾度も「色目」を使っていたことから、(女好きで、男色の素養が全くない)ルカとしては、舞が「同じ事務所の後輩」となることが、どうしても生理的に受け付けられないらしい。 そして、事務所に戻った亮太達を待っていたのは、苦渋の表情を浮かべる秋野Pと、カルミンの性能強化に協力していた上述の少年であった。彼の正体は、ネット上で活動する(これまで幾度も758プロに協力してきた)覆面音楽家「伏龍」であり、秋野Pは彼に亮太達のデビュー曲の作曲を依頼していたが、彼は「榊原クラウスを擁するユニットには強力出来ない」と宣言し、その場を立ち去ってしまう(その際、なぜか彼は亮太の「酒井」という姓に対してもどこか引っかかる様子を示していたが、その理由について詳細は語らなかった)。 こうして、二つの難題を同時に抱え込むことになった亮太達であったが、意外な形で「作曲家」の問題は解決することになる。伏龍が去った直後、彼等の前に、茨城県の久遠ヶ原学園の学生である「山口マヨネーズ」と「アンドラス・オミフリ」と名乗る二人組が現れる。彼等はいずれも、先日遭遇した夢野まどと共に、昨年の熱田神宮での音楽祭で優勝した「黒い微笑み」のメンバーであり、マヨネーズはオリバーの遠縁の親戚でもあった。まどから、オリバーが日本に来ていることを聞かされたマヨネーズは、彼等のために楽曲提供することを申し出たものの、彼の「独特すぎる作詞センス」に不安を覚えたアンドラスが、「お目付役」として彼に同行した上で、(作曲については音楽経験の長いマヨネーズに任せるものの)作詞に関しては自分が担当すると宣言する。こうして、ひとまずデビュー曲についての目処が立った彼等は「8人のメンバー」が揃った時点で、改めて彼等と曲作りのための打ち合わせに入ることを約束する。 そして、「最後の一人」に関して、いくら探しても他の人材のアテが見つからなかったルカは、最終的には(轟の説得に失敗したことの罪悪感もあって)やむなく、舞の加入に前向きな姿勢を示す。その上で、舞は「自分の美しさを生かせるような美貌の持ち主」がルカの後輩達の中にいるかどうかを確認した結果、クラウスにその可能性を見出し、晴れて正式に758プロへの加入が決定する。こうして、遂に「名古屋八八プロジェクト」を担う16人が、正式に揃うことになったのである。 だが、彼等にはまだもう一つの課題が残されていた。それは、港区担当者にカルミンの活動継続を納得してもらうことである。地元国立大学の秋祭ライブにて、彼等は舞の古巣UGNの楽曲( 「恋のトレイン6700系」 「Jump to Climax」 「一向一揆」 )をセットリストに加えつつ、758プロの裏方スタッフによる楽曲 「SCREAM」 や、カルミンの故郷四国をイメージした 「ヤイロチョウは飛んだ」 、そして伝説のスーパーアイドルのカバー曲である 「弾丸Groove」 といった楽曲を、カルミンが最後までプレッシャーに打ち勝てるように配慮しつつ、カルミンもまたそんな周囲の心遣いに感謝しながら自らの役割を最後まで全うして歌いきった結果、カルミンは多くの新規ファンを獲得するに至る。 ライブ全体としては目標人数には到達出来ず、758プロとしてはデビュー直前になって多額の負債を抱え込むことにはなったが、それでもどうにか、正式デビューのための最低条件をクリアした亮太達は、ここに改めて「Southern Boys Eight(通称:SB8)」としての第一歩を踏み出すことになるのであった。 ![]()
※伏龍についての参考資料
『サイキックハーツ』2013年度後期キャンペーン「12人の歌姫」 第4話〜 ( NPC紹介 にも記述アリ) ※山口マヨネーズ&アンドラス・オミフリについての参考資料 『エリュシオン』2013年度前期キャンペーン「リリスの心臓」 ( PC紹介 にも記述アリ) |
+ | 第5話「孤島合宿」 |
SB8への曲提供を約束してくれていたマヨネーズとアンドラスから、「皆の歌声を直接聞いた上で、一緒に曲を作りたい」という旨の手紙が758プロに届いた。そのために、彼等は久遠ヶ原学園(茨城県沖の孤島の巨大学園)にある音楽施設を借りて、SB8の面々を招待したいと申し出ている。その上で、間もなく開催される久遠ヶ原学園の学園祭のステージでその曲を披露するというプランを彼等は提案してきたのである。秋野Pは二つ返事でこの計画に賛同し、8人は久遠ヶ原学園へと向かうことになった。
島に着いた彼等は、謎の 黒い羊(のような何か) に襲撃されたり、 天使(そのもの) の歌声によって魂を抜き取られそうになるなどの「よく分からないアクシデント」に見舞われつつも、夜霧、玲央、クラウス、そしてマヨネーズやアンドラスが用いる「謎の力」によって事無きを得る。その後、アンドラスの友人(?)である 海原満月 の作る海鮮料理で栄養をつけた彼等は、それぞれに飛躍的なスキルアップを果たしつつ、メンバー同士の仲も深めた上で(亮太との距離を縮めようとした舞だけは、なぜか拒絶されたが)、レコーディングへと臨む。 彼等の歌声に基づいてアンドラスが書いた歌詞の名は「Amor aeternus(永遠の愛)」。南欧系出身である彼ならではの、情熱的な正統派のラブソングであった(その前に密かにマヨネーズが別バージョンの歌詞を作っていたようだが、表に出る前にアンドラスによって闇に葬られた)。そこにマヨネーズの作ったメロディを合わせ、即興で振り付けを加えた上で、彼等は久遠ヶ原学園の学園祭へと臨む。 会場の中心部に作られたステージでは、間もなく開催される「ビギニングアイドル・ガールズ部門」に出場予定の「JK忍法帖」や「陰陽堂」、そしてMJ12内ユニットとしての(かつてこの学園に通っていた)「渥美三姉妹」といった面々が次々とアイドルソングを披露する中、異彩を放つ3人組ユニットがSB8の前に現れる。それは、カルミンそっくりの姿を持つ彼の後継機「カーマイン」をメインボーカルに迎えた「Diceman」の面々であった。 そんな並み居る強豪達に続いて登場したSB8の面々は、まずはこの学園の人々に気に入られそうな2.5次元の住人達の楽曲( 「四重奏夜」 「幻影の仮面舞踏会」 「ジョーカーの罠」 「新たなるメロディ」 「冬に咲く花」 )を次々と披露することで場の空気を温め、そして満を持して「Amor aeternus」を披露する。
「世界中に届けよう 待ち焦がれる皆のために
世界中に届けよう 俺達の愛の歌を」
このサビの歌詞の主旋律を任された夜霧に対して、オリバー、貴彦、玲央の三人が見事なハーモニーを被せることで、会場内は最高潮に盛り上がる。今まで「メンバー間の連携が課題」と言われていた彼等が、ようやく目指していた「理想のハーモニー」の領域に到達したのである。
こうして、CDデビュー曲のお披露目を無事に成し遂げた彼等は、カーマイン達との熱田神宮での再戦を約束しつつ、秋野Pからの電話指令を受けて、東京で開催されている「ビギニングアイドル・ガールズ部門」の本戦に出場するNG8の面々の応援へと向かうのであった。 ![]() |
+ | 第6話「栄光へと続く道」 |
見事ビギニングアイドルのガールズ部門で優勝したNG8の少女達と合流したSB8は、改めて「名古屋八八プロジェクト」として、来るべき「熱田神宮音楽祭」に向けて、彼女達との連携強化のために、それぞれにペアを組み、彼等の原点である地元名古屋に軸足を置いた活動に従事する。
砂胡の行きつけのゲームセンターでのティッシュ配り、涼太の担当店を内包するショッピングモールでの営業、貴彦の第二の地元である弥富の金魚店でのレクリエーション、そして地元ローカルのテレビ、ラジオ、ネット配信などを通じて、彼等は地道に、しかし着実にファンを増やしていく。「ビニギングアイドル優勝」の看板を手に入れたNG8の知名度に引っ張られる形で、着実にSB8の顔と名前も、地元の人々の間に浸透しつつあった。 だが、この熱田神宮音楽祭は、アイドルのみならず、毎回様々なジャンルのミュージシャン達が出場することで知られており、地方イベントながらも、その音楽祭としてのグレードは、むしろビギニングアイドルよりも高いとも言われている。既に、3AK2、JR松越、渥美三姉妹、ZOO ZOO TRAIN、知多娘、名古屋おもてなし武将隊など、次々と地元の有力グループが参戦を表明している上に、今年は(去年の優勝者である「黒い微笑み」のような)関東方面からの参加者も多いという前情報もある。 そんな激戦を戦うことになった自社のタレント達を支援するために、秋野Pは758プロ公認の応援マスコットキャラクター「ツバキちゃん」(下図)を発表する。スポンサーである赤柳総本家のシンボルマークでもあるカエルをモチーフに、依乃がデザイン&作成した着ぐるみであり、その見た目は賛否両論ではあったが、人目につく「彼女」の存在は、営業面で758プロのタレントの名を売る際に抜群の効果を発揮した。 ![]()
更に秋野Pは、名古屋八八プロジェクトのためのオリジナル衣装の作成を、老舗の呉服ブランド「花鳥風月」に依頼し、「名古屋八八」の本来のコンセプトである「花札」を題材にしたステージ衣装を完成させるに至った。それは「五光」と「猪鹿蝶」をモチーフにした男女一組ずつ対になった八組の衣装であり、実際にデザイナーの前で「名古屋八八プロジェクト」のパフォーマンスを披露した上で、以下のような形で各ペアに渡されることになった(下図)。
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このオリジナル衣装に身を包んだ彼等は、まずは予選審査用楽曲としての
「愛はエナジー」
のライブパフォーマンス映像を作成する。初の16人揃っての楽曲となったが、この数日間を通じて絆を深めた彼等は、見事な完成度の歌とダンスを映像に収めることに成功し、難なく予選審査を通過する。
そして迎えた音楽祭当日、一回戦で彼等16人と相対することになったのは、武蔵坂学園高等部の演劇部に所属する「W(ダブル)Prince」の二人である(下図)。実はこの二人は、とある事情から大会の直前にクラウスを襲撃する事件を引き起こしていたのだが、ひとまずこの場は純粋に「音楽」で勝負することになった。長身のスタイルを生かした情熱的なダンスを見せるW Princeであったが、涼太&真央の北陸ペアがメインボーカルを務めた 「ロマンチカ・リップ」 の妖しくセクシーなパフォーマンスは彼等のそれを圧倒し、無事に一回戦を突破する。 ![]()
続く二回戦では、久遠ヶ原学園でも共演した「Diceman」との再戦となった。一回戦で対戦したW Princeの盟友・高倉大介を中心として、カルミンの後継機のカーマインがボーカルを、昨年度優勝バンドの一員である夢野まどがギターを担当するこの3人組ユニットは、それぞれの全く異なる個性がぶつかりあった不思議な未来系サウンドを奏でて観客を魅了するが、オリバー&りんごの核弾頭コンビが中心となって披露した洋楽調のダンス曲である
「二つの栄光」
は、彼等の楽曲以上の歓声を集め、見事に勝利を収める。
そして迎えた三回戦、彼等を待ち受けていたのは「実体を持たないバーチャルアイドル」として有名な「尋音くるむ」である(下図)。実は彼女の楽曲を作っているのは、758プロとも色々な意味で因縁のある覆面作曲家・伏龍であり、その独特の作曲センスと絶妙に調教された電子音の歌声は、デジタルに縁遠そうな高齢層の審査員をも唸らせるほどの高い完成度に仕上がっていた。しかし、それに対して、名古屋八八プロジェクトの方は、電子音声のカルミンと、もっともプレーンな歌声の持ち主であるひまりのツインボーカルを軸とした 「学園パラディーゾ」 が、単声のくるむには出せない唯一無二のケミストリーを生み出したことで、くるむ以上の高評価を獲得し、準決勝へとコマを進める。 ![]()
だが、準決勝でそんな彼等の前に現れたのは、同じ758プロの先輩である「七色ういろう」の面々であった。ビギニングアイドルの全国大会では、NG8のバックダンサーとして彼女達をサポートしていた七人であったが、今回は同じ土俵で戦うライバルとして、後輩達の前に立ちはだかることになったのである。だが、今のNG8には、SB8という強力なパートナーがいる。「名古屋八八プロジェクト」として先輩と初めて真正面から対決することになった彼等は、桜丘兄妹がリードボーカルを担当する
「極限のデュエル」
を通じて、その持てる力を全て出し切った結果、見事に決勝進出を勝ち取ることになった。
一方、反対側のブロックから、並み居る強敵達を破って勝ち上がってきたのは、758プロのもう一組の先輩、「Central Five」であった。先輩達のこれまでの恩義に報いるためにも、ここは全力のパフォーマンスで応えなければならないと決意を新たにした彼等は、万感の思いを込めて、16人体制での初めてのオリジナル曲となる 「名古屋八八花合戦」 を歌い上げる。八組の花札の衣装に身を包んだ十六人の歌声とダンスが一つとなり、熱田神宮全体を未曾有の感動が包み込む。それは、世界中でライブを繰り返してたCentral Fiveの面々をも認めざるをえないほどの圧巻のパフォーマンスであり、審査員も満場一致で名古屋八八プロジェクトに軍配を上げることになった。 こうして、優勝の栄冠を勝ち取った十六人には、その集合写真が歴代優勝者達と並んで飾られる栄誉が与えられると同時に、この神社に伝わる伝説の「人身(ひとみ)の鏡」が与えられた(熱田神宮音楽祭では、毎年このような形で、神社に伝わる数多の神具の中の一つが優勝者に授与される慣習がある)。一部の伝承によれば、この鏡は「『人ならざる者』に『人の身体』を与える力」を持つとも言われており、カルミンをはじめとして、この力の対象となりうる者が彼等の中には幾人かいたが、カルミンは「カーマインと同じ条件で今後も歌い続けたい」という意思を示し、他の者達も特に使用を希望しなかったため、その鏡は758プロの神棚に静かに飾られることになった。今後、いずこかの「人ならざる者」がこの鏡を求めて758プロを訪れる日が来るかもしれないが、それはまた別の物語である。 そして、名古屋八八プロジェクトの物語は、これから先も続くことになる。彼等が真の意味で日本一の、そして世界一のアイドルの座に辿り着くまでの道のりは、まだ遥か遠くまで続いている。それもまた、いずれ別の物語を通じて語られることになるであろう。 (ビギニングアイドル「名古屋八八プロジェクト」・完) ![]() |
+ | PC&同僚NPC |
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+ | 先輩アイドル「七色ういろう」 |
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+ | 先輩アイドル「Central Five」 |
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